2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

片耳難聴の方に両耳、耳あなクロスは、どうなのか?色々と調べてみた


クロス補聴器には、いま現在、両方とも耳かけのクロス、両耳とも耳あなのクロス、耳かけ補聴器、耳あなクロスの3つの組み合わせがあります。

その中で、聞こえが良くなるものは、なんなのか。どれがどのように利点、欠点があるのか。それについて日々、調べながら対応をしているのですが、両耳とも耳あなのクロスで、お客様へ実際に試聴しつつ、いくつかわかってきたことがありますので、ご報告。

結論から言いますと、欠点の部分がどうしても改善されないので、候補からは、外した方がいいかもしれません。有効活用できるのは、欠点が気にならない、影響を受けない方のみとなります。

何名かに試聴し、状況をみてみた限り、そのように感じます。

いま現在のクロスの状況

いま現在、クロス補聴器の組み合わせとしては、

左から、両耳耳かけの組み合わせ、耳あなクロス、耳かけ補聴器、両耳とも耳あなの組み合わせ。いま現在、クロスに関しては、この3つの組み合わせがある。

左から、両耳耳かけの組み合わせ、耳あなクロス、耳かけ補聴器、両耳とも耳あなの組み合わせ。いま現在、クロスに関しては、この3つの組み合わせがある。

このような組み合わせがあります。そして、それぞれのポイントに関しては

それぞれの組み合わせのポイント表。組み合わせが異なれば特徴も、異なる。

それぞれの組み合わせのポイント表。組み合わせが異なれば特徴も、異なる。

このようになります。こちらの表は、お客様に試聴して、その評価で作成しており、私の体感としては、よく表されているように感じます。

どんな人でも聞こえの効果を重視するのですが、そうなりますと、両耳とも耳あなのタイプとなります。しかし、こちらの場合、結構なデメリットがあります。それは、

  • 聞こえる耳側が聞こえにくくなる
  • 咀嚼が大きい
  • 自分の声が大きく聞こえる

の3つです。それぞれ、実際にお客様に試聴し、わかったことに関して、以下にまとめていきます。

聞こえる耳側が聞こえにくくなる

はじめに結論から記載しますと、改善は、不可。考えつくことをやってみましたが、どれも改善までには、至らず。といったところです。こちらに関しては

  • 状況
  • したこと

の2つに分けて記載していきます。

状況

両耳とも耳あなのタイプを使用しますと、聞こえる耳側が塞がれやすくなり、一つの耳で全ての音をきくクロス補聴器としては、聞こえる耳側が聞きにくくなります。

聞こえる側につける補聴器。赤い丸で穴が空いている部分があるが、聞こえは、低下する傾向がある。

聞こえる側につける補聴器。赤い丸で穴が空いている部分があるが、聞こえは、低下する傾向がある。

実際には、こんな感じになります。簡単に言えば、耳を塞がれるので、そのぶん、聞こえを阻害されやすくなるということですね。

じゃあ、実際にどんだけ聞こえにくくなるのか。気になったので測定してみたところ

実際に測定をしてみた結果がこちら。測定は、音場閾値測定と呼ばれる補聴器を装用しながら行える測定で行った。それぞれの数値を出すことで、その違いを見れるからだ。

実際に測定をしてみた結果がこちら。測定は、音場閾値測定と呼ばれる補聴器を装用しながら行える測定で行った。それぞれの数値を出すことで、その違いを見れるからだ。

このような状況でした。低音〜中音域に関しては、大丈夫なようで、高音域が低下し、聞こえにくくなる。という結果に。

わかりにくい人のために、こちらの表に関して、少し説明しますと

こちらの測定は、聴力検査の際と見方は同じ。0〜10dBで健聴の人は、ほとんど聞こえている。そして、0〜25dBまでは、正常の範囲内となる。

こちらの測定は、聴力検査の際と見方は同じ。0〜10dBで健聴の人は、ほとんど聞こえている。そして、0〜25dBまでは、正常の範囲内となる。

まず、一般的な人が聞こえているラインは、赤の中で、0〜10dBで聞こえます。そして、健聴の範囲は、0〜25dBの範囲内になります。25dBまでに設定しているのは、これよりも下がると、小さい声の方の音声がはっきりしなくなり、音声の聞き間違え、聞こえにくさを感じるようになるためです。

組み合わせてみると、このようになる。すると、補聴器を装用した状態で、どこが、健聴外になっているのかがよくわかる。

組み合わせてみると、このようになる。すると、補聴器を装用した状態で、どこが、健聴外になっているのかがよくわかる。

その図と先ほどの図を合わせますと、このようになります。高い音のみが健聴の範囲より、下回り、聞こえにくくなる可能性がある。というのが、図からも読み取れます。

そのため、実際の状況に関し、お客様にお伺いすると、小さい声の方や細い方は、聞こえにくくなったり、理解しづらくなるため、聞こえる耳側は、逆に補聴器を外して聞くこともある。と、いうことでした。

数値的には、2000Hz、4000Hzのところのみが、急にガクッと下がっていますが、その結果、聞きにくくなってしまう。ということがわかりました。

したこと

私が改善のために行ったこととしては、

  • 補聴器に大きな穴を開ける
  • 補聴器側も動作させる

の2つになります。

補聴器側に大きな穴を開ける

こちらは、

実際に試した方の補聴器。赤い線の部分に穴があり、耳を塞がないようにした。

実際に試した方の補聴器。赤い線の部分に穴があり、耳を塞がないようにした。

こんな感じに、耳を塞がないように大きな穴をあけ、その穴からなるべくそのまま音が伝わるようにする。という意味です。ちなみに、このように加工した後に、上記の測定を行い、上記の結果になりました。……全然改善できていませんね。

こちらに関しては、さらに大きな穴を開けたり、やり方を変えたりしてみましたが、改善には、至らず。聞こえに関しては、ほんの少しだけ改善したくらいで、健聴の耳からするとほど遠い状態であり、聞こえにくくなる現状は、変化なし。

補聴器側も動作させる

両耳とも耳あなクロスの場合、実際には、聞こえにくい耳側のクロスだけが動作しているわけではなく、聞こえる耳側の補聴器も動作します。すると、聞こえる耳側の聞こえも少し補うことになります。

そのため「では、下がってしまう分を補ったらどうか?」という発想でやってみたのですが、音を大きくしても変化なし。実際に音が大きくなっている感覚はあるものの、上記の測定の数値に関しても変化はなく、そして、聞きにくさは、改善されず。

まとめ

こちら側は、私が考えうることを全て行ってみましたが、改善できず。でした。片耳のみ難聴の場合、聞こえる側の聞こえに影響をきたさないことが何よりも優先されますので、そのような意味では、厳しい状況です。

咀嚼の音が大きい&声が大きい

咀嚼の音や声が大きいという問題については、大きいけれども何とか使える。というレベルなら可能。が、基本的に結構、大きく感じるため、人によって評価が分かれます。

状況に関して説明しますと、耳を手で塞ぐと基本的にそのまま声が大きく聞こえるようになります。その場合、自分の頭の中で発生する音、例えば自分の声や噛む音などがより増幅されるようになります。これは、耳をふさぐことによって起こることですので、補聴器だけが起こるわけではありません。

そして、耳あなの場合、耳の穴の中にマイクがあるため、より増幅されやすい傾向があり(音源に対し、マイクの位置が近い)、不快感を感じやすい要因になります。

こちらについては、ちょっと大きく感じる傾向がある。と、いう状態で、使えるレベルまでの改善なら可能です。ただ、その改善は、人によっては、厳しいかもしれません。

実際に改善させる方法は、耳の中を塞がないようにすることで、それを行うことで、いくらか楽にはなります。

まとめ

さて、まとめですが、マイナス面が大きいため、正直、いま現在の段階では、あまり勧められるものではありません。

上記のことがわかってからは、影響を受けない人、例えば、聞こえる耳側も少し、聴力が下がっている方やバイクロスとよばれる聞こえにくい耳にクロス、まだ聞こえやすい耳は、補聴器で補う。というようなやり方が必要な方のみにしか、勧めていません。

実際には、両耳とも耳あなの方が聞こえない側からの音や音の質に関しては、良いようで、聞こえない耳側での評価は、上々。

しかし、マイナス面が大きく、聞こえる耳側が聞こえにくくなる。そして、そのレベルが、日常生活に影響を与えるレベルである。ということがわかってから、私の方では、お勧めしなくなりました。マイナス面がどうしても大きくなってしまうためです。

実際には、販売した例もありますが、よくデータを見てみますと、高い音だけ聴力が下がっており、偶然、聞こえにくくなる要素に関し、影響を受けていない方であったことがわかりました。

どんなものにも欠点がありますので、その欠点が気にならなければ、こちらは、いい組み合わせのクロス補聴器です。しかし、聞こえる耳側が健聴のレベルであれば、オススメはしません。

ちゃんと聞こえを数値にしたり、どのくらい聞こえにくくなるのか、欠点がよりよくさせることはできるのかを検証することは、重要ですね。

と、現場からの報告は、以上です。

 

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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