2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

補聴器が初めての方に送る補聴器の選び方


基本的に補聴器には、耳あな形補聴器と呼ばれる耳の中に補聴器を入れるタイプと耳にかけて使用する耳かけ形補聴器の2つがあります。

補聴器の選定は、この2つから選ぶことが多いのですが、どのように違いがあるのか。それについてはわかりにくいかと思います。

そこで、選びやすくするため、この2つの違いを説明していきます。私自身が実際にお客様に説明していることですので、参考にしてみてください。

なお、当店は、30~50代の方が来店者の99%を占めるため、手先が不自由なご年配の方に向けた内容ではありません。その点に注意してご覧ください。

形状で選びやすくする3つのポイント

結論から書きますと、

  • それぞれの聞こえの効果
  • 装用した時に起こるデメリットのレベル
  • 邪魔になるか、ならないか

の3つを考えていただくと、選定がしやすくなります。それぞれの形状による特徴は、

形状を選定する上で重要になるのは、上記の3つ。これらを考えながら選定できると、補聴器を選びやすくなる。

形状を選定する上で重要になるのは、上記の3つ。これらを考えながら選定できると、補聴器を選びやすくなる。

このようになります。

この3つの点を理解しつつ、実際に使ってみることで、補聴器の選定は、わかりやすくなります。

聞こえの効果

聞こえの効果に関しては、耳あな形の方が良くなりやすい傾向があります。その効果に関しては、少々複雑になってしまうのですが、

  • 聞こえの効果の基本部分
  • それ以外の形状による違い

の2つに分けて載せていきます。

聞こえの効果の基本部分

まず、理解したいのは、補聴器の聞こえは、どこで決まるのか。というところです。それは、どれだけ音を入れて、聞こえさせるか。それにより、決まります。

基本的に補聴器は、どこまで聞こえを改善させられるかで、基本の聞こえは、決まる。これは、性能とは、別の要素になる。

基本的に補聴器は、どこまで聞こえを改善させられるかで、基本の聞こえは、決まる。これは、補聴器の性能とは、別の要素になる。▲は、補聴器で聞こえを改善させる目標値。△は、補聴器がない状態の聞こえを意味する。

図で説明させていただきますと、まず、赤で囲んである部分が、正常の方が聞こえている聴力範囲になります。そして、0~25dBの範囲内が、正常の範囲内です。

補聴器で目指せる聞こえ(改善の目標値:▲で表示)は、30~40dBです。この数値に関しては、その方の聴力により、変化するのですが、中等度難聴クラスであれば、30~40dBまで改善させられる方が多くなります。

では、この目標とする改善値まで改善させやすいのは、どちらの形状か。あくまでも私自身が今までやってきた経験ですが、耳あな形の方が達成しやすくなります。

特に高い音、2000Hz~4000Hzに関しては、耳の集音効果と呼ばれるものも活用ができるため、より効果を出しやすくなります。

補聴器の基本的な聞こえは、これらの音の部分がどれだけ聞こえるようになったか。それによって決まります。そして、補聴器で目指せる数値まで達成させやすいのは、耳あな形補聴器になります。耳かけ形補聴器でも達成は、できますが、耳あな形補聴器の方が、容易になります。

それ以外の形状による違い

それ以外に聞こえの効果に関わる形状の違いは、音を拾いやすい範囲があげられます。

かなり大雑把な内容だが、概ね、このような感じになる。注目したいのは、耳あな形は、後方の聞こえが低下すること。これにより、騒がしい環境下では、入りにくくなることにより、聞こえを阻害されにくくなる。

かなり大雑把な内容だが、概ね、このような感じになる。注目したいのは、耳あな形は、後方の聞こえが低下すること。これにより、騒がしい環境下では、入りにくくなることにより、耳かけ形より聞こえを阻害されにくくなる。

耳かけ形は、全体的に拾う傾向があり、耳あな形は、前方を中心に音を拾う傾向があります。これがどう関係があるかと言いますと、騒がしいところでの聞き取りに関して、影響が出てきます。

耳かけ形補聴器は、全方向から音が入るため、騒がしい環境下では、様々な音が入り、わかりにくくなる(邪魔される)傾向があり、耳あな形補聴器は、前方を中心に聞きますので、その影響は、最小限に抑えられます。

どちらにしても静かなところよりも聞こえやすさは低下してしまいますが、その低下をなるべく抑えてくれるのは、耳あな形補聴器です。

まとめ

耳あな形補聴器は、聞こえの効果のみ、もしくは、聞こえの改善という観点で考えると優秀です。厳密には、耳あな形補聴器が優秀なのではなく、人が持つ耳の効果を有効活用できるため、その恩恵に与りやすいことによる特徴です。

耳の中から音が出せると、耳に音が伝わりやすくなり、その結果、聞こえの元となる部分がよくなりやすくなります。

そして、私たちが普段耳と言っている部分は、あのような形状だからこそ、後方の音を抑えられ、前方の音の方が入りやすくなっています。そのおかげで、騒がしいところでは、目が届かない後方や左右後ろの音が軽減されることにより、聞きやすくなっています。

人は、目が見える範囲内でお話しすることが大半ですので、そのようになっているわけですね。

また、音の方向感覚も耳かけ形よりも耳あな形の方が優れています。これも耳そのものの特性を利用できるためです。耳かけ形補聴器は、左右くらいしかわかりませんが、耳あな形補聴器であれば、音の上下(上からくる音、下からくる音)もわかります(※CICと呼ばれる補聴器のみ)。

ただ、耳かけ形補聴器も聞こえの目標値まで改善させるという観点からであれば、可能ですので、決して悪いわけではありません。そして、耳あな形、耳かけ形で、聞こえ改善の目標値が変わるということもありません。

これらのことを考慮し、こちらでは、耳かけは、○、耳あなは、耳かけより、プラスαよくなるということで、○+と評価しています。一つ先の聞こえを得たい場合は、耳あな形。といったところでしょうか。

聞こえの効果を重視したい場合は、耳あな形がオススメです。

補聴器の装用感覚

補聴器の形状により、変わるのは、耳の装用感覚もあります。こちらは、非常に重要で、補聴器で聞こえを補う以上、避けて通れない問題になります。

  • 基本の部分
  • 形状による違い

の2つについて載せていきます。

基本の部分

補聴器を装用する際、問題になりやすいのは、補聴器の装用感覚です。使用する際、耳に耳せんを入れて装用したり、補聴器そのものを耳の中に入れて使用します。

その際、何が起こるかと言いますと、耳をふさぐことにより、

  • 声がこもる
  • 声が大きく聞こえやすい
  • 咀嚼の音が大きくなる
  • 閉塞感がある

これらのことが起こります。これは、耳を手の平で塞ぎ、自分で声を出してみるとわかりやすいのですが、ふだん聞いている声よりも大きく聞こえるようになります(ある程度しっかり塞ぐとわかりやすくなります)。

この際、何が起こっているかと言いますと、耳をふさぐことにより、頭の中で声が響きやすくなり、自分の中で声そのものが大きくなったり、響いたり、こもった感覚になります。イヤホンを装用する際にも起こることで、補聴器を装用する際も少なからず、このような現象が起こります。

これは、耳をふさぐことにより起こる現象ですので、どの補聴器を装用したとしても起こるようになります。

形状による違い

では、声がこもったり、大きく感じるのに、形状による違いはあるのか。その答えは、Yesです。厳密には、この現象を軽減させる方法の取りやすさが異なり、耳かけ形補聴器は、こちらの処置を行いやすい部類になり、耳あな形補聴器は、行いにくい傾向があります。

一般的に穴を開けたり、耳せんをゆるくしたりすることで、こもり、声の響き、咀嚼の音を軽減させる。こちらは、耳かけの方がしやすい。

一般的に穴を開けたり、耳せんをゆるくしたりすることで、こもり、声の響き、咀嚼の音を軽減させる。こちらは、耳かけの方がしやすい。

耳かけ形の場合、耳に耳せんしか入れません。そのため、その耳せんを加工し、音抜けをよくさせることが容易になります。それでもこもりや声が大きくなったりはしますが、耳あな形よりは、軽減させやすくなります。

一方、耳あな形補聴器の場合、耳の型を採取し、その方に合った補聴器を作ります。耳の型にあったものは、落ちにくく、耳にしっかり入っている感覚はありますが、その代わり、

  • 声がこもりやすい
  • 声が大きく聞こえる
  • 咀嚼音が大きい
  • 閉塞感を感じやすい

という感覚は、強くなりやすくなります。そして、

耳あな形の場合、写真のように穴を開けてこもり、咀嚼音を軽減させる。が、耳あな形の場合、うまく軽減できないことも多い。

耳あな形の場合、写真のように穴を開けてこもり、咀嚼音を軽減させる。この穴は、一般的にベントと呼ばれる。しかし、耳あな形の場合、うまく軽減できないことも多い。

このように補聴器そのものに穴を開けたりすることで、軽減させる方法もありますが、思うように軽減できないことも多くあります。

どのようにしても補聴器を装用する場合、上記のことが起こりやすくなるのですが、耳かけ形補聴器は、どちらかというと軽減しやすくなります。

評価としては、耳かけの方が処置をしやすいというのはあるのですが、少なからず感じること、そして、耳あな形ですと、中には、かなりきつく使えないケースもあるため、それぞれ、○と△で評価しています。

補聴器の装用感覚を気にする場合は、耳かけ形補聴器の方がオススメです。

邪魔になるか、ならないか

そのほか、選ぶ要素としては、補聴器が邪魔になるか、ならないかがあります。

耳あな形は、耳の中に補聴器を入れているため、ほとんど邪魔になることはない。

耳あな形は、耳の中に補聴器を入れているため、ほとんど邪魔になることはない。

こちらは、耳あな形を装用した状態

耳かけ形補聴器の場合、上に補聴器がかかるため、メガネやヘルメットなどの邪魔になりやすい。

耳かけ形補聴器の場合、上に補聴器がかかるため、メガネやヘルメットなどの邪魔になりやすい。

こちらが耳かけ形を装用した状態です。こちらを見ていただければわかりやすいのですが、耳あな形補聴器の場合、耳の中に補聴器を入れますので、

  • メガネ
  • マスク
  • ヘルメット、帽子

の邪魔になりにくくなります。耳かけ形補聴器は、耳にかけるため、上記のものが耳に重なります。その結果、邪魔になることがあります。特に仕事で、

  • メガネ(目を守るものをつける。ゴーグルなど)
  • マスク(医療関係)
  • ヘルメット、帽子(建設系、交通機関系)

を使う場合は、邪魔にならない方が使い勝手はよくなります。それ以外の方は、実際に耳かけ形補聴器を使用してみて、邪魔になるか、ならないか。それを体験してみると使い勝手の部分を考えながら、選ぶことができます。

今回のまとめ

補聴器を選ぶ上で、重要になるのは、上記の3つになります。それぞれの部分を補聴器を装用しつつ、補聴器に触れつつ考えると選びやすくなります。

例えば、聞こえを重視したいけれど、声のこもりや咀嚼の音が大きくなるのは、嫌だとお考えになったとしましょう。実際に耳かけ形補聴器を試聴してみた際、そこまで気にならない、あるいは、耳をなるべく密閉した状態で聞いてみたところ、気になるレベルではないのであれば、耳あな形でもそのまま使える場合があります。

逆に耳かけ形補聴器を使用してみて、こもりを軽減させる処置を行っているのに関わらず、それでも、こもりや咀嚼の音がきになるのであれば、それ以上にこもりや咀嚼の音が大きくなる耳あな形補聴器は、お勧めできません。

このようにそれぞれの特徴と実際に使用してみた感覚を照らし合わせ、選んでいけるとより良いものを選択できるようになります。人によってこもりや響きの感覚は、異なりますので、実際に使ってみてどうか。それで判断していけると、選びやすくなります。


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
  • 補聴器の種類、性能、違いを知りたい

などお考えでしたら、こちらをご覧下さい。補聴器で耳を改善させる内容のみに絞って記載してみました。お役に立てば幸いです。

お困りごとのご相談、承ります

Webサイトに訪れる方のご要望にお応えするため、東京都墨田区に店舗を構えました。

  • 聞こえにくい事で困っている
  • どこに相談したら良いかわからない
  • お使いの補聴器でうまく聞こえない

などお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。当店で行なっていること、よくいただくご相談は、リンク先の通りです。

〜更新情報のお知らせ〜
こちらのいずれかにご登録いただきますと更新時、お知らせします。お気軽にご登録ください。なお、Twitterでは、私自身が興味を持った記事や自分のエントリーについてツイートしています。もしよろしければフォロー、ご登録いただけるとうれしいです!
検索フォーム