2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

治らないから使わないという方々に関する答え


さて、先日から色々と補聴器について学んできたクロブタ。先日は、深井さんが補聴器を使用している理由に関して話してくれました。しかし、その内容を聞くうちに少し気になることがクロブタには、ありました。それは、治らないから使わない。という考えについてです。

前々から深井さんは、補聴器では耳を治すことはできないけれど、改善させることはできると言っていました。そして、現に深井さんは、使用されています。が、一部では、治らないから使わないという方がいるというのも聞いています。

果たしてそのところは、どうなのか。気になったクロブタは聞いてみます。

クロブタ
先日は、ありがとうございました。使う理由、結構しっくりきました。前々からおっしゃっている治らないけれど改善はできる。つまりこの言葉に全てが集約されるのですね。

深井
まぁそうだね。簡単に言えばだけど。

クロブタ
ところで気になることがあるのですが……

深井
はい?何でしょう?

クロブタ
補聴器に関しては、一部「治らないから使わない」という意見がありますが、その点に関しては、どう思われますか?

深井
?ど、どう思う……?

クロブタ
使っている立場から、こうした方が良い、もったいないなど、感じることはありませんか?

深井
いや……、私は特に感じないけど……?

クロブタ
?そうなんですか。

深井
どのような経緯でそのようになっているのかにもよるけど、私は、基本的に使用した方がいいとも、使用しない方がいいともいう気はないよ。装用に関して、今までで言ったことがあるのは、「もし補聴器をつけるのであれば、早めにつけた方がいいですよ」くらいだし。

クロブタ
……

深井
まぁ気になることもあるだろうから、いくつか説明はしていくね。

クロブタ
はい。

治らないから使わない?

深井
私のところに来た方々で、今のところ治らないから使わないというように言ってきた方は、いないのでわからないのだけど、病院さんでは、おそらく聞くワードの一つかもね。

クロブタ
ふむふむ

深井
その際、あくまでも私のスタンスだけど、使わないなら使わないでいいし、使いたい、改善したいのであれば使えばいい。ただそれだけだね。

クロブタ
自分からは使った方がいいとはあまり勧めないのですか?

深井
補聴器や耳に関する知識、情報は伝えるけれど、それをどう判断するかはお客さん、患者さん側なのでね。情報提供はするけど、干渉はしない。基本的なスタンスは、これだね。

クロブタ
そうなんですか……

深井
アドラー心理学みたいなやり方をしている。と言えばわかりやすいかな。聞こえを改善させるのもそのままでいるのも、そもそも私が決めることではないし、他人が決めることではない。それは、本人が決めることだ。

クロブタ
なるほど、援助はするけど、干渉はしない。まさに課題の分離ですね。

深井
そうだね。だから治らないから使わないと言われれば「そうですか」だし、できるだけ現状を改善させたい。だったら「では、そのお手伝いをしますよ」となるわけだね。

クロブタ
ある意味シンプルですね……

深井
そういうものだと思うけどね。まぁもしかしたら、私自身が干渉を嫌うタイプだからかもしれないけど。

どうしてそのようになるのか

クロブタ
ところで素朴な疑問なのですが、どうして「治らないから使わない」というような考えになるのでしょうか?深井さんが補聴器を使っている理由を聞くと、特別悪いようには感じないのですが。もちろん、治らないのは事実ですけれど、その中でも改善できるところはあるのですよね?

深井
まぁそうだね。使わない理由はどうしてだろうね?私もわかんない。

クロブタ
では、こうなんじゃないか?的な考えはどうですか?

深井
そうだね……、いくつか思い当たるフシはあるのだけど、出すとしたら

  • 単に使いたくない
  • どこかで使ってみたけど、効果がほぼなかった
  • 自分は困っていない

の3つかな。

単に使いたくない

深井
一つ目は、これ。単に補聴器を使いたくない。このようなケースは、だいたい形がカッコ悪いとか、補聴器は老人っぽくて嫌とか、治らないから使いたくない。というように聞くケースがあるね。

まぁ、単純に使いたくないからその言い分として「治らないから使わない」というようにいうケースだね。重要なのは、治らないから使わないのではなく、使いたくないからその言い分として、治らないから使わないということを言っているという傾向がある。

クロブタ
これはもしやアドラー心理学の……

深井
そう目的論だね。

このようなケースは、以前見ていたので、わかるのだけど、まぁ聞こえにくさの程度がそこまで重い人が多いわけではないので、使いたくないのであれば、それでも個人的には、いいんじゃないかなとは思うけどね。ただ、聞きにくいことによって起こることは、自分で受け止めなければならないけど。

また、聞こえなくなった直後だった場合は、単に自分がそのような状況になったことを受け入れがたいためにそのように言っているケースもあったりするね。その場合も基本的には、目的論と同じ。

クロブタ
……

深井
適切な言い方かわからないけど、そのように見られたくない。そのような現実を受け止めたくない。認めなくない。ということで、使用を拒否したりするわけだね。

これが一つ。

どこかで使ってみたけど、ほとんど効果がなかった

深井
次は、どこかで補聴器を使ってみたけど、ほとんど効果がなかった。というケース。補聴器を使ってみたけど、思うように聞こえず、補聴器ってこんなもの?という状態かな。

クロブタ
そのようなケースもあるのですか?

深井
中には、あるね。補聴器も万能ではないので、特殊な聴力の方、例えば、ある一定の周波数以上は、急激に聴力低下するようなケースや音声の理解度が残念ながらかなり低いケースに当てはまる。

クロブタ
……

深井
ただ、このケースは、ちょっと複雑で、厳密には、実際は改善できたけど合わせる人の問題で改善できなかったケースと耳の状態がそもそも補聴器で合わせづらい、改善しづらいケースの2択になるから、自分自身では判断が難しい。

クロブタ
……

深井
補聴器を使ってみてもほとんど効果が感じなければ「治らないから補聴器は使用しない」となっても、お客さん、患者さんから見れば、何も不思議ではないよね?この点は、申し訳無いとしか言えないけど、このようなケースもある。

クロブタ
そうなんですか。

深井
ただ、このケースは、正直微妙でね……

クロブタ
?どういうことでしょう?

深井
いや……、このようなケースは、実際に困っている人が多く、少しでも改善したいと、仮に他のところでダメだった場合でもその他のところに相談しにく傾向があるのでね。実際に当てはまるかどうかは微妙だなと思ってね……

クロブタ
そうなのですか。

深井
うちにくる人の3〜4割は、このようなケースだから、それはよく感じるかな。

クロブタ
実際にはどんな感じなんですか?

深井
よくあるのは「他のところではこれ以上は無理と言われました」や「実際につけてみてもほとんど効果は得られませんでした、でも困っているので見てもらえないですか?」、他には「医師からは補聴器は意味ないと言われました」というケースだね。

このような場合でも、ちゃんと聞こえを可視化し、合わせるべきところまで合わせることで、現状より改善できるケースは、多いかな。一応、7〜8割くらいは、今のところよくできてる。ただ、中には、全然ダメだったケースもあるけど。

クロブタ
そうなんですか。

深井
と、まぁ私のお話は置いておいて、これが2つ目。

自分は困っていない

深井
さて、3つ目は「自分は困っていない」だね。これは、割とよくある話で、主に家族が困っているケースだね。

クロブタ
自分は困っていない……

深井
難聴というのは、音が聞こえにくくなることだけど、会話以外には、意外に困る要素は少なかったりする。例えばテレビを見るにしても、パソコンで動画を見るにしても、それらの音を大きく聞けばいいから、自分で操作して改善できたりするケースもいくつかある。でもお話する場合は、相手の声の大きさを自分で自由に調整できるわけでは無いので、その際に困りやすい。

もちろんアラーム系(呼び出し系)が聞こえなくなると、目覚ましで起きにくくなったり、湯はりの音が聞こえず、いつお風呂が沸いたかわからなかったりするけど、少し工夫すれば、なんとかなることも多いのでね。聞こえた方が楽な部分はあるけど。

クロブタ
……

深井
そしてここからが重要なのだけど難聴になると、その本人以外に周りの人も困るようになる。難聴は、コミュニケーション障害だから本人以外にもその方の周りの方にも影響を及ぼすんだよ。話したりする際に伝わりにくくなったりするのでね。

また、音に関しては、大きめの音で聞く傾向が出てくるから単純に騒音問題にもなりやすい。木造の家とか、軽量鉄骨の家とかだと、テレビの音を大きくして聴くと外に漏れるから、近隣からクレームが入ったりするケースもある。もちろん、一緒に家族が住んでいる場合は、家族から「音が大きい」と言われやすくもなるね。

クロブタ
……

深井
本人はさほど困っておらず、主にその周囲の人が困っている。これが3つ目だね。厳密には、本当に困っていないケースと実際には、①の思いがあって、困っていないと言っているケースがあることかな。

クロブタ
なるほど……

私がしているスタンス

深井
と、「治らないから使わない」というのは、大体この3つが当てはまるんじゃ無いかなと自分なりには感じるね。

クロブタ
なるほど……

深井
なぜ私がこのようなスタンスを取っているのかについても一応説明しておくね。まず、①のケースに無理に補聴器を装用させても意味がないのはわかるよね?

クロブタ
まぁなんとなくですが……、勉強を嫌がっている子供に勉強を強要するのと同じですよね。

深井
そうだね。補聴器をつけたくないという理由があり、それがはっきりしないうちにああだ、こうだ、言って干渉するのは、非常によろしくない。そんなことをすれば余計にこじれることは目に見えているし、前向きに使う姿勢がないと補聴器は、使いづらい。それに前にも言ったけど、改善させるかさせないかは、あくまでも本人の自由なのでね。

クロブタ
……

深井
ちなみに私がそのままでもいいかなと思う理由は、もう一つあって、このようなケースは、少し困っている程度の人が多いということ。本当に聞こえなくて困っている人は、補聴器を使わざるを得ないところまできているケースが大半だから、ほぼ使う。そのような場合は、治らないから使わないなんて言わないし、そんなこと言っている余裕もない。

クロブタ
……

深井
だから、このようなことを言える余裕があるんだったら、個人的には、そこまでいう必要はないんじゃないかなとは思うかな。余計な干渉をしないという意味でね。

クロブタ
なるほど……

深井
もちろん、周りから見れば、結構聞こえていないことも多いんだけど、こればかしは、自分で聞こえにくさに気づくのは、結構難しいので、ある程度は、仕方ないのかな。とは、思うかな。

クロブタ
……

深井
次は②だけど、改善を希望するなら、手伝いますよ。というスタンスだね。この場合は。

クロブタ
そうですね。この点はわかりやすいですね。

深井
私がしていることではあるけど、実際の状況を数値化して、改善できる部分があれば、改善させるし、お持ちの補聴器を調べて見て、厳しい場合は、そのまま伝える。ということをしているよ。

クロブタ
一般的な対応……ということですね。

深井
そうだね。まぁこの点に関しては、これくらいかな。

あっそうそう、一つ伝えるとすればだけど、時代は、常に動いているので、仮に過去に合わなかったものでも今現在の技術では、合わせられるものも増えて来ている。ということがあるね。

クロブタ
……時代は常に動いている?

深井
そう。例えば5〜6年前には、合わなかったものでも、今現在、調整できる幅が増えてきているから、実際に合わせられるようになってきているものも多いんだよ。技術が進歩すれば、今まで難しかったものもできるようになる。つまり、どんどんよくなってきている。ということだね。当然だけど。

クロブタ
……

深井
もちろん、耳の状況によって変わってはしまうのだけど、仮に合わなかった場合でも、3〜4年、後にまた補聴器販売店に行ってみるのもいいんじゃないかな。

クロブタ
なるほど……

深井
で、③についても、改善を希望される場合は、手伝いますよ。となるね。

クロブタ
まぁそうなりますね……

深井
ただ、①と同じように拒否されるケースもあるから、その場合は「そうですか」だし希望される場合は、「手伝いますよ」となる状態かな。

クロブタ
……

深井
このケースは、状況によってかなり大きく変化するので、ケースバイケースが多いね。

クロブタ
そうですか……

深井
と、このように治らないから補聴器はいらないについては「改善したいなら協力します」だし、「不要」だと思うなら、それでもいいですよ。というスタンスが一番かと思うね。理由は単純で、上記のように否定している理由によって対応が異なるから。①のようなケースに自分から入っていってもこじれるだけだし、②のようなケースであれば、ちゃんと対応した方がいいし、③のケースでは、それぞれが思っていることを聞く。その上で、どうしたら良いかを考えた方がいいと思うからだね。

クロブタ
……

深井
これが私自身が感じていることかな。だから、上記のようにしている。というのが本当のところだね。

クロブタ
なんか色々とわかってきた気がします。つまり相手の課題に無理に入らないようにしているのですね。

深井
簡単に言えばそうだね。改善させるか、しないかは相手の問題なので、それを自分で抱えても仕方がない。だから、私の場合は、このようにしているね。

クロブタ
色々とわかりました。ありがとうございます。

深井
いえいえ


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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