補聴器を理解する基本3点と重要な聞こえのベース部分


初めて補聴器を考えたり、補聴器について理解したいと考えても、なかなか補聴器については、わかりにくいのが現状です。補聴器に関して理解したい方にとって気になるのは「実際、補聴器ってどんなものなんだろう」というものだと思います。

ということで、今回は、

  1. 補聴器で得られる効果は?
  2. 補聴器を使って聞こえる世界
  3. 自分の聞こえを補える補聴器の判断
  4. 補聴器で重要な聞こえのベースとなる部分

の4つにわけ、基本となる部分に関して記載していきます。

補聴器をはじめに見た際は、どの形状にしようか、もしくは、どんなものがあるのかなど、どうしても見える部分に目が行きがちですが、それ以上に重要なのは、はじめに補聴器とはどんなものなのか。というところを理解することです。

①補聴器で得られる効果は?

補聴器について理解したい、あるいは、聞こえにくくて補聴器をお考えになっている場合、気になるのは、どこまで聞こえるようになるのか。どのくらい効果を得られるのか。というところだと思います。

それについては、仮に中等度難聴くらいを想定し、記載すると聴力ベースでだいたい以下くらいは改善できるようになります。※補聴器は、聴力により、改善できる幅が異なります。

▲が補聴器装用時。△が補聴器非装用時。補聴器は、補える人でだいたい30〜35dBくらいまで補える。

▲が補聴器装用時の数値。△が補聴器非装用時の数値。補聴器は、補える人でだいたい30〜40dBくらいまで補える。

補聴器の基本は、どのくらい聞こえを改善できたのか。そして、改善目標となる部分までどれだけ達成できたかにより、聞こえの効果は決まります。

聴力ベースで見る場合、その数値が何を意味するか。が重要になる。正常の方は、0〜10dBで聞こえ、正常の範囲(WHO、世界保健機関の基準)は、25dBまでになる。

聴力ベースで見る場合、その数値が何を意味するか。が重要になる。正常の方は、0〜10dBで聞こえ、正常の範囲(WHO、世界保健機関の基準)は、25dBまでになる。

理解したいのは、改善目標と数値による意味です。まず、正常の方は、0〜10dBで聞こえています。赤いラインで囲まれている部分ですね。そして、正常の範囲内(世界保健機関WHOによる指数)は、25dBまでになります。それより下は、いわゆる難聴という部類になります。

補聴器の場合、聴力によって改善できる数値が異なり、中等度難聴くらいであれば、だいたい30〜35dBの数値くらいは、改善できます。聴力が重くなると重くなるほど、残念ながらその数値までは改善できず、改善値も下がるようになります。

ここからが重要ですが、補聴器は、今現在の技術ではなかなか正常のライン(25dB以内)まで聞こえを改善させることはできません。無理やり音を大きくすればできないこともないのですが、そこまで大きくすると周囲の音が大きすぎて逆に聞きにくくなったり、音が大きくなりすぎてそもそも使えない。ということになりがちです。

使える音量、そして、逆に聞きにくくならない音量を目指すと大抵、35dB、30dBくらいになります。ですので、ここくらいまで、改善を目指します。※中等度難聴くらいの場合に限ります。

耳が聞こえにくくなると基本的に起こるのは、

  • 対面での人の話が聞きにくくなる
  • 複数の人との話が聞きにくくなる
  • 騒がしいところでのお話がわかりにくくなる
  • 離れたところからの音、呼び声に気がつかなくなる

の四つがあります。この四つに関しては、補聴器がない状態より改善できるのですが、上記の通り、どうしても正常の範囲内まで補うことはできませんので、

  • 小さい声、声が細い方、ボソボソ話す方が少し聞きにくい
  • 騒がしい中での聞き取りが、難しいこともある
  • 会議などの離れたところからのお話が理解しにくい事がある

という部分が出てきます。

一般的な声の大きさの方やしっかりお話ししてくれる方などは、結構聞きやすくなるのですが、ボソボソお話する方や声が小さい方、そして、距離が関係する会議や大きく離れたところからの呼びかけ、反応などは、少し聞きにくい……ということが起こります。

そして、騒がしいところでの聞き取りは、機械的な問題も加わり、少々聞きづらさを感じやすい状態です。

そのため、聞きにくいところ、全般を改善できるものの、部分部分で聞きにくいところも感じる。というのが補聴器になります。

これが、耳を治すことはできないけれどもよりよくすることはできる。と言われる所以です。

②補聴器を使って聞こえる世界

補聴器を使用して聞こえる世界は、まとめますと、こんな感じです。

補聴器で聞こえる感覚のまとめ。意外かもしれないが、難聴になると起こる大きな変化は、周りの状況がわからなくなること。なので、周囲の音は、よく聞こえるようになる。

補聴器で聞こえる感覚のまとめ。意外かもしれないが、難聴になると起こる大きな変化は、周りの状況がわからなくなること。周囲の音は、よく聞こえるようになる。

意外かもしれませんが、補聴器をつけて感じる大きな変化は、聞こえる音の範囲が広がるということです。それにより、

  • 遠くの物音、音声が聞こえるように
  • 小さい物音、細かい音が聞こえるように

これらのものがそれぞれ起こります。音声が聞こえにくくなり補聴器を考える方が多いかと思いますが、音声は、比較的、音量が大きい部類ですので、それが少し聞きにくくなるだけでも、周囲の物音は、それ以上に聞きにくくなっています。特に距離関係が躊躇に差が出ますので、その部分の変化が大きくなります。

それ以外には、補聴器は音響機器ですので、いわゆるYoutubeの動画やビデオカメラで撮影した時の音に近い状態で聞こえます。ビデオカメラやボイスレコーダーで撮影(録音)するとわかるのですが、細かい物音も聞こえますし、高い音、紙の音、ビニール袋の音などが少々大きく聞こえます。

また、マイクに何か触れると大きな音がするのですが、それも起こります。補聴器の場合は、主に風で、携帯電話でもマイクの部分に息を吹きかけるとヴォー!ッというような大きな音がしますね。それと同じ現象が起こります。

補聴器を装用するとよりよく聞こえるようにはなるのですが、上記の音も聞こえてくるようになります。それが、補聴器の世界ですね。はじめは、少々、機械っぽく、マイクを通した感覚に聞こえたりするのですが、その部分は、つけ続けると徐々に気にならなくなってきます。

③自分の聞こえを補える補聴器の判断

では、次は、自分の聞こえを補える補聴器の判断ですね。これは、そこまで難しくはないのですが、自分の難聴レベルを調べ、それにあったものを選択する。ただ、それだけになります。

補聴器メーカーフォナックジャパンのカタログより引用

補聴器の形状には、大きく分けて

  • 耳かけ形補聴器
  • 耳あな形補聴器

があります。それぞれの補聴器には、対応できる聴力が予め設定されています。

WHO世界保健機関による難聴の分類。4分法で平均聴力を求め、どの分類になるのか、手元にオージオグラムがあるならやってみよう。

WHO世界保健機関による難聴の分類。4分法で平均聴力を求め、どの分類になるのか、手元にオージオグラムがあるならやってみよう。

聴力の分類は、上記のようになっていますので、ご自身の聴力を調べ、対応する難聴のものを選択すればほとんど問題ありません。

補聴器メーカーフォナックジャパンのカタログより引用

中には、上記のように表示されていることもあります。その場合は、自分の聴力と照らし合わせて補えるかをみてみましょう。

難しいのは、聞こえている部分と聞こえにくい部分の差が大きい場合です(低い音は、よく聞こえているけれども高い音は、全然聞こえていないなど)。その場合は、大は小を兼ねるということで、少々出力が大きめのものを選定します。この場合は、補聴器販売店、もしくは、医師と要相談になりますね。

なお、この部分を誤ると、そもそもの部分として、聞こえを改善させるのに必要な音の強さが足りず、改善が難しくなってしまいますので、必ず、補えるかどうかをしっかり確認しましょう。形状や性能以上に、この部分が重要です。

④補聴器で重要な聞こえのベースとなる部分

最後に補聴器で重要なことについて載せていきます。それは、ご自身の聴力から補う目標値を決め、そこまでしっかりと改善させることです。

これは、音場閾値測定で調べた数値。補聴器には、補聴器使用時の状態を調べられるものがあり、その数値が上にくると上に来るほど、聞こえやすくなる。その数値がちゃんと聴力に対して必要な部分まで改善しているのかどうかが、聞こえのベースになる。ここが低いと効果は、下がる。

これは、音場閾値測定で調べた数値。補聴器には、補聴器使用時の状態を調べられるものがあり、その数値が上にくると上に来るほど、聞こえやすくなる。その数値がちゃんと聴力に対して必要な部分まで改善しているのかどうかが、聞こえのベースになる。ここが低いと効果は、下がる。

補聴器を装用した効果をみる音場閾値測定という測定があるのですが、この数値が目標となる部分まで改善させられるとさせられるほど、良い状態になります。この表の見方は、聴力検査のデータの見方と同じなのですが、印が上に来ると上に来るほど、聞こえやすい状態になります。

基本的に補聴器は、聴力から補える目標値があります。補聴器を装用した状態でどのくらい聞こえているのかを調べ、目標となる部分まで改善させる。これが聞こえを改善させる上でもっとも重要です。この部分が補聴器の聞こえの8割を占めるといっても過言ではありません。

補聴器は、装用することにより、音が聞こえる感覚こそわかりますが、どこまで聞こえるようになっているのか、目標となる部分まで改善できているのか。それらの部分はわかりません。補聴器を装用した時の状態を調べてみて、初めてわかります。

補聴器で聞こえを改善させる調整プロセスは

  1. 自分の聴力から補える目標値を知る
  2. 自分の聞こえの状態を可視化する
  3. 二つを比べ、現状を理解し、足りない部分を改善させていく

となります。このようにすることで、なるべく聞きにくくすることができます。ただ、この点は、基本、補聴器販売店側、もしくは、医師側が行うことですので、なかなか補聴器装用者側がどうこう言えるところではないのは、申し訳ないところです。

私自身、補聴器を自分の耳に使用しており(生まれつき難聴の人間です)、かつ、補聴器の販売(聞こえの改善)を行なっていますが、自分自身の感覚を自分で理解するのは、ほとんど無理だと思っています。

補聴器を使う事で、大きく聞こえたり、聞きやすくなっている感覚こそわかるのですが、それがどのくらいまで聞こえているのかまでは、流石に調べて見ないとわかりません。これは、メガネをかけて測定せず「これは、0.8の見え方だな」とかけただけで理解するようなもので、そこまでできる方は、恐らく、ほとんどいないかと思います。

そのため、現状をどう理解するか。そして、その現状は、良い状態なのか、もっと改善させた方がいいのか。それらの部分を考えられるようにする事が、重要です。

こちらに関して詳しく知りたい場合は、以下をご覧ください。※まとめページにも載っています。

リンク:しっかり改善させるための補聴器調整の基本と2つの効果確認法

補聴器の基本のまとめ

補聴器の基本ということで、

  • どこまで聞こえを補えるのか
  • 補聴器を使って聞こえる世界
  • 自分の聞こえを補える補聴器の判断
  • 聞こえのベースとなる部分は、どこなのか

の四つについて記載してみました。補聴器には、形状や性能という部分もありますが、それよりもこの四つの部分、基本的な部分を理解することの方が重要です。

補聴器は、残念ながら今現在の技術では、耳を治すことはできません。しかし、最後の聞こえのベースとなる部分で記載した通り、自分の状態を可視化し、補聴器で補えるところまでしっかりと補う。ということができれば、それなりに改善させることはできます。

それでも聞きにくいところが出てしまうのは、誠に申し訳ない限りですが、今現在、感じている聞きにくいところは、いくつか改善できるはずです。

補聴器のメーカーや性能、形状といくつか要素はありますが、基本の部分に関しては、どれも変わりません。聞こえの効果の部分の8割を占める目標値までちゃんと改善させる。ということができれば、補聴器を装用した時に効果も感じやすくなります。