2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

補聴器の調整において、どのようにより良い改善を求めるか


最近、なぜか補聴器販売店の方々から、問い合わせを受けたり、補聴器の調整や改善のやり方に関して聞かれますので、こちらについて記載してみたいと思います。

あくまでも私がやっている方法ですが、このようにすると、やったことがない聴力の方でもそれなりに改善できるようになります。ただ、前もって言いますと、これをすれば完璧!という技術的なものではなく、あくまでも考え方+技術の二つが入ります。

結論から

結論から記載しますと、PDCAを回す。ただそれだけです。PDCAとは、物事の改善のサイクルを示したものであり、私がしていることをPDCAにまとめますと

  • P(プラン):どのように改善させるか
  • D(ドゥー):考えた策の実行
  • C(チェック):実際の補聴器の効果の確認(現状の確認)
  • A(アクト):策の妥当性の判断及びより改善させる方法の検討

になります。これらのサイクルを繰り返すとできる限りの改善というのは、しやすくなります。以下、各要素のポイントに関してまとめていきます。

プランですること

さて、初めは、Pのプランです。こちらですることは

  • 現状を確認
  • そこからどう改善させるか
  • どこまで改善を行えるか

これらの部分を考えていきます。

現状を確認

まず初めに行うのは、現状の確認です。聴力検査や語音明瞭度測定のことですね。これを行い、現状を把握します。

補聴器を使用している人であれば、補聴器を装用した状態の音場閾値測定、語音明瞭度測定を行い、現状をみます。もちろん、現状とその聴力ごと、状況ごとの目標値と比べ、現状がどうなのか。把握していきます。

そこからどう改善させるか

その次は、得られたデータから、両耳装用した方がいいのか。片耳だけ装用していくのか、バイクロスやクロスといった特殊な機器を使った方がいいのか。それを考えていきます。簡単に言いますと、補い方の選定を行い、どの様に補えば一番改善できるのかを考えていきます。

どこまで改善を行えるか

その次は、聴力検査のデータから、どこまで補聴器で改善できるのか。音場閾値測定の改善目標の数値を決めていきます。この部分に関しては、私の場合

  • ローインプ
  • ハイインプ

で設定しています。

ローインプとハイインプは、私自身が作って使い分けている単語です。こちらの、解説しますと、ローインプとは、比較的、その聴力の人が改善できる改善目標値になります。例えば、軽度〜中等度難聴の方の場合、35dBくらいは、改善できることが増えていますので、それがローインプになります。インプは、改善の英語(improvment)の略です。

逆にハイインプは、先ほどの軽度〜中等度難聴の場合、35dBではなく、それ以上に改善できるケースも徐々に増えてきていますので、それらの人を参考にした改善目標値です。例えば、目指せるところは、25〜30dBくらいに設定したりします。

初めは、ローインプで設定し、より改善できそうだと思ったら、目標設定をハイインプに変えていきます。この点は、どちらかというと最後のA(act)の要素になりますね。

Dですること

さて、実際に改善プランを考えたら、その改善案で行なってみる。ただそれだけです。

調整する時にしているのは、音の体感を調べつつ、まずは、ちょうど良い音量、使える音量を目指して、改善していきます。私の場合、いきなり大きく入れることは、あまりしません。使える状態を目指し、音量調整をするのが基本です。

チェックですること

チェックですることは、貸出及び試聴時に

  • 音場効果測定を行い状況を把握する
  • 補聴器使用時の音の大きさ、感覚を理解する

の二つを行なっていきます。

音場効果測定を行い、状況を把握する

音場効果測定とは、

  • 音場閾値測定
  • 音場語音明瞭度測定

の総称で、貸出時は音場閾値測定を中心的に行なっていきます。時間があれば、音場の語音も行い、状況を見ていきます。基本的に、目標と現状を比較し、今現在、どのような状況なのか。それを把握していきます。

この点は、お客さんにも説明しているところですね。

補聴器使用時の音の大きさ、感覚を理解する

その次に行うのは、補聴器使用時の音の大きさ、音の感覚を理解することです。補聴器を使っている人にとってちょうど良い音量というのは、どのくらいなのか。それの理解ですね。

実際には、初めに試聴する際、ちょうど良い音量を目指し、その後、効果測定を行いますので、順序としては逆ですが、この部分も理解していきます。

私の場合、初め使える音量にまであげ(場合によっては下げ)、音量を調整した後、補聴器の効果測定を行い、現状を把握します。このようにすると、その方の音の感覚も可視化でき、かつ、その感覚が補聴器で聞こえを補うレベルとどのように差があるのか(場合によっては、差がないか)を理解することもできるようになります。

感覚を数値に落とし込んでいく。といえばわかりやすいかもしれません。感覚は、人によって異なるからこそ、数値という誰が見ても同じものにして、その感覚をお客さんと調整者、両方が共有できるようにしていくことが重要ですね。

アクトですること

ここは、アクトというケースと、アクションというケースがありますが、私は、アクトの方が好きですので、アクトと読んでいます(PDCAの話です。アクションにするとDoとかぶるので)。

さて、アクトですが、これは実際に使っていただいた後、どのように、より改善させていくか。という部分になります。この点を理解するには、そもそも補聴器の調整はどのように判断していければ良いか。というところが重要です。

そして、補聴器の調整の妥当性、もしくは、より聞こえを改善させられないか。という部分の判断には、どのように現状を確認をすれば良いか(現状を把握するか)。がポイントになります。

その確認ポイントは

  • 補聴器使用時の音場効果測定の目標値と現状値
  • 補聴器の調整データ(フィッティングソフト)の目標値と現状値
  • 補聴器使用時のお客さんの音の体感レベル

の三つしかありません。これらを比較すると、現状は良い状態なのか、そうではなくもっと改善した方が良いのか、はたまた、もっと改善できるのか。というところがわかりやすくなります。

わかりやすいのは、音場域値測定で、例えば

▲が補聴器なしの状態。赤い▲が補聴器で目指す目標値だと設定。

▲が補聴器なしの状態。赤い▲が補聴器で目指す目標値だと設定。

補聴器を使用している状態の音場閾値がこのくらいで、目標は、赤い▲のラインだとしますと、数値的には、もう少しあげられると良い状態です。

しかし、音に関して使用者に聞いて見ますと「これ以上、大きくなると、きつい…」となった場合は、そこまでにすれば良いですし、逆に「もっとあげることによって聞きやすくなるならあげたい」「少し音量が小さくてボリュームであげていることもありますので、まだ大きくしても大丈夫ですね」などともう少し大きくしても良さそうなら、大きくすれば良いことがわかります。

この場合は、

  • 補聴器使用時の音場効果測定の目標値と現状値
  • 補聴器使用時のお客さんの音の体感レベル

の二つを比べて、判断した状態ですね。どんなものもそうですが、基準の数値、この場合は、改善基準となる改善目標値と現状がどうなのか。それを比較するようにすると、現状はわかりやすくなります。

そして、その方の調整に関して、ローインプのまま行くのか、それともハイインプにして、より改善させて行くのか。それは、補聴器を使用している時の音の体感で決めていきます。35dBほどでもまだあげられそうなら、ハイインプの目標値で行い、より聞きにくさの改善を行なっていきます。この様にできると、より改善させることが可能になります。

残念ながら全ての人がそこまで達成できるわけではないのですが、資質がある方は、それなりに伸ばすことができる様になります。

ん?補聴器の調整データは?という方のために解説しますと、こちらは、特にやったことがない聴力の方を調整する場合に有効です。音場閾値の目標値がわからない場合は、補聴器のフィッティングソフトの目標値と現状値から、おおよその部分を割り出します。

まず初めにその方のちょうど良い部分の音量をお話ししながら、調整し、音場閾値測定を実行。その後、その数値とフィッティングソフト上の目標値、現状値の差を計算し、その差分をプラスすると、おおよその改善目標値は、割り出すことができます。

わからない方の場合は、このようにするとわかりやすくなります。その他には、ちゃんと音を入れられているか(目標値と現状値で、大きく差が出ていないか)というところも確認しています。ただ、この部分は、ちゃんと音を入れられると、まず音場閾値測定の結果がよくなるので、サブ的な見方にはなりますね。

PDCAのポイントは、チェックにあり

補聴器のPDCAに関して、一番重要なのは、どこか。それは、チェックの部分です。と言いますのも、チェックの部分で改善目標及び、現状を把握する術があれば、仮に変な調整で、聞こえが悪くなっても、確認した後に修正が可能になります。

チェックの部分は、上記の通り

  • 補聴器使用時の音場効果測定の目標値と現状値
  • 補聴器使用時のお客さんの音の体感レベル

の2つを行えば間違いはありません。改善したことがない聴力の方だと、補聴器のデータも見ながらやった方がいいとは思いますが、基本的には、この2つを見ながら、改善をしていきます。

そうすると仮に間違えたとしても、より正しい方向へ修正し直すことができますので、改善は、グッとしやすくなります。

まとめ

ということで、私がしている補聴器の調整、改善に関して記載してみました。基本的には、PDCAを繰り返し、どこまで改善ができるのか。それを数値にしながら、改善させて行く手法で私の場合は、改善させています。これは、自分の耳も同様ですし、お客さんにとっても同様です。

自分で書いてみてわかったのですが、う〜ん、意外に表現するのって難しいですね。個人的には、わかりやすく書いたつもりなのですが、結構、わかりにくいかも?と感じています。

簡単に言えば、状況を把握して、よりよくできそうなら、改善をする。そして、それが無理そうなら、そこまでとする。ということなのですが、その場合に重要になるのは、どの様にフィードバックを受けるかになります。それが、上記の内容ですね。これは、補聴器の調整に限ったことではなく、日々の仕事に関してだったり、技術の向上なども同様です。

ただ、私は残念ながら認定補聴器技能者ではないので、参考程度にでもしてください。認定補聴器技能者であれば、もっとすごい調整ややり方をしているはず!とバトンを渡し、今日は終わりたいと思います(笑。


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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