2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

原因不明の感音性難聴で軽・中等度難聴の方、補聴器で改善


40代、女性。もともと補聴器を使用されていた方ではあるのですが、片耳のみ装用のため、騒がしいところや反対側からの音声に聞こえにくさを感じていたり、補聴器店の対応に関しても、あまり良い印象を受けていないことから、当店へご相談に来られました。

こちらで、改善を行なった結果

  • ご家族との会話は、すごくしやすくなった
  • 全体的に聞こえに関してよくなった
  • 補聴器があるのとないのとでは、全然違う

とのことで、補聴器の販売を行いました。

では、どのようなケースで、どのように改善させていったのか。そちらに関して、記載していきます。

お客様の情報

まず、お客様の状況ですが

  • 名前:K・Iさん
  • 性別:女性
  • 聴力:両耳とも高い音から軽・中等度難聴
  • 症状:原因不明の感音性難聴
  • 備考:他の販売店で購入したものの、あまりうまくいかず。
  • 備考:片耳のみ使用

になります。聴力は、冒頭の通り

のようになり、高い音から、急激に低下してきている状態になります。このようなケースは、

  • 聞きやすい人は聞きやすいが聞きにくい人もいる
  • 騒がしい中になると急に聞きづらさを感じる
  • 離れたところから呼びかけられた時に気がつきにくくなる

などの傾向が出てきます。対面では、理解できることはあるのですが、人によっては、何を言っているかわからないこともあり、人によって、大きく変化します。

それ以外には、騒がしい環境下だったり、複数の人とのお話の時にわからない人がいたりすると、急にお話についていけなくなってしまうため、聞きにくさを感じることが増えてしまいます。

このような耳が、高域のみ軽・中等度難聴の方の特徴になります。

ご自身より、耳の状況、補聴器に関して、お伺いすると、耳に関しては、残念ながら治療はできず、補聴器に関して医師に相談するものの「まぁ聞こえているからいいんじゃない?」程度にされてしまい、改善できない状態が長く続きました。そして、ご自身から行動され、医師より補聴器販売店を紹介してもらうものの、そこでの対応は、少し不信が残る状態だったとのことでした。

そのような経緯により、当店へご相談いただきました。ご相談の内容は、外出時や車の中などで聞きにくさを強く感じており、それらの改善をしたい。とのことでした。

ということで、それらの改善を行なっていくこととなります。

改善のための思考

こちらに関しては、

  • 現状の確認と改善目標について
  • 改善案

の二つに関して記載していきます。

現状の確認と改善目標について

まず初めに行なったのは、現状の確認とその状況から改善目標と比較することです。簡単にいえば状況の把握ですね。

現状に関してですが、片耳のみ装用しており、補聴器を使った状態を調べられる音場閾値測定では

補聴器には、補聴器を使用した状態で、どのくらい聞こえているのかを調べる測定がある。それを使うことで、どのような聞こえなのか。どのくらい効果が出ているのかを判断することができる。

補聴器には、補聴器を使用した状態で、どのくらい聞こえているのかを調べる測定がある。それを使うことで、どのような聞こえなのか。どのくらい効果が出ているのかを判断することができる。

このような状況でした。※▲が補聴器ありの状態で、△が補聴器なしの状態です。見方は、聴力測定と同じく上に数値があるとあるほど、聞こえている状態になります。

聴力からして、達成できると良い数値は

補聴器の場合、ある程度、どこまで改善すれば良いのかの数値がある。それと比較することで、現状を把握することができる。

補聴器の場合、ある程度、どこまで改善すれば良いのかの数値がある。それと比較することで、現状を把握することができる。

このようになります。

それぞれの数値を比較したのがこちら。聞こえているといえば、聞こえているが、少し低い部分もあると言ったところ。ただ、すごく悪いと言う数値ではないことがわかった。

それぞれの数値を比較したのがこちら。聞こえているといえば、聞こえているが、少し低い部分もあると言ったところ。ただ、すごく悪いと言う数値ではないことがわかった。

比較をすると、このような状態ですね。そこまで悪くない数値といえばそうですが、数値上、まだまだ補える数値には、なります。

改善案

改善案としては、

  • 両耳装用を行い、騒がしい中でもなるべく聞きにくくならないようにする
  • 音については、補える数値まで補う

の二つです。

両耳装用を行い、騒がしい中でもなるべく聞きにくくならないようにする

耳には、音がどれだけ聞こえるかを調べる聴力測定と音声がどれだけ理解できるかを調べる語音明瞭度測定(語音弁別能検査)があります。

耳には、言葉を理解する力、認識する力と言うものがある。それを調べたのがこちら。補聴器は、耳を治せる道具ではないため、利用できるものは、しっかり利用しないと聞きにくさの方がまさってしまう。利用できるものは、ちゃんと利用し、聞きにくさを減らしていくことが大事だ。

耳には、言葉を理解する力、認識する力と言うものがある。それを調べたのがこちら。補聴器は、耳を治せる道具ではないため、利用できるものは、しっかり利用しないと聞きにくさの方がまさってしまう。利用できるものは、ちゃんと利用し、聞きにくさを減らしていくことが大事だ。

その結果は、こちらの通りでした。どちらの耳も音を入れることにより、理解できる耳であることがわかりました。※補聴器の適性は、一番正解率が大きい数値で、50%以上となります。

騒がしい中での聞き取りが難しいということでしたので、両耳装用し、なるべくその部分の聞きにくさを減らしていきます。

なお、両耳装用と片耳装用で、大きく異なるのは、騒がしい中での聞こえやすさです。

両耳と片耳の違いは、主に騒がしいところで異なる。片耳のみ改善では、騒がしいところでの改善は、実はできない。

両耳と片耳の違いは、主に騒がしいところで異なる。片耳のみ改善では、騒がしいところでの改善は、実はできない。

補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

特徴としては、このようになり、その効果は、私自身も確認をしています。

私の方では、片耳は正常、もう片耳が聞こえにくいという方を対応することがあるのですが、騒がしいところでの会話は、片耳がたとえ健聴レベルで聞こえていたとしても聞きにくさを感じていますので、片耳のみ改善させるというやり方では、まず改善ができません。

改善させるなら、補い方から見直す必要があり、こちらの方に関しては、両耳装用し、なるべく聞きにくくならないようにしていきました。

音については、補える数値まで補う

上記に載せた通りですが、聴力からする改善の目標値は、

補聴器で耳を改善させる場合、まずどこまで改善すれば良いのかを理解することが重要だ。それがないと、そもそも現状をどう判断したら良いかすらわからない。

補聴器で耳を改善させる場合、まずどこまで改善すれば良いのかを理解することが重要だ。それがないと、そもそも現状をどう判断したら良いかすらわからない。

こちらの通りになります。まずは、やってみてどうなのか。それをみていきます。

そこまで入れても日常生活上で使えるのであればいいですし、そこまで入れるとちょっと周囲の音が大きすぎたり、使いにくいのであれば、音量は下げていきます。

実際の対応

実際の対応に関しては

  • 初回&補聴器の貸出
  • 補聴器の選定
  • 最終調整(最終状況)

の3つに分けて記載していきます。

初回&補聴器の貸出

初めにご来店いただいた際は、まず現状に関して確認させていただき、状況に関して説明させていただきました。主な内容は、改善のための思考の通りです。

特に聞こえに関して、数値でみたりすることはなく、ただ「こんな感じでどうですかね?」程度にしか調整したことはなかったようで、聞こえを数値化し、ご自身の状況を可視化しながら、こちらでは、現状を説明。

そして、聞こえに関して改善させるため、両耳装用で補聴器をセットしました。

初めの設定。それなりに良い状態になった、幸い、音が大きすぎるなどはなく、お店での評価は、良く聞こえるようなので、そのまま貸出した。

初めの設定。それなりに良い状態になった、幸い、音が大きすぎるなどはなく、お店での評価は、良く聞こえるようなので、そのまま貸出した。

補聴器の効果に関しては、このようになります。初回から、それなりに入れてみて、全然使える範囲内。とのことでしたので、この状態で貸出を行いました。

すると

  • 外出時でも聞こえることが増えた
  • 家の中では、すごくよく聞こえるようになった
  • 家族との意思疎通もしやすくなった

との評価でした。

両耳とも装用し、かつ以前の状態よりも音は、大きくしているので、大きすぎないかな?と少し心配な部分はありましたが、日常生活上で使っていただき、家族との会話、娘さん達との会話などは、よくなっているところを感じており、全般的に改善されているようでした。

ということで、補聴器の選定に移っていくこととなります。

補聴器の選定

K・Iさんの場合は、

このような選択肢があります。

耳かけ形補聴器については

この中の、RIC補聴器、通常の耳かけ形補聴器が対象になり

耳あな形の場合は、CIC補聴器、カナル形が対象になります。

結論から記載しますとRIC補聴器にしました。

理由ですが、もともといくつか使用しており、耳あな形は、自分の声がこもったり、閉鎖された感覚が強く感じてしまい、きつかった。とのことで、かつ、形状に関しては、小さくできるなら、したいとのことでした。

その二つに関して、考慮するとRIC補聴器が適正となりますので、こちらにしました。貸出時も初めから、この形状で行い、改善に関しては、行なっています。

なお、厳密には、性能(補聴器のランク)についても選択する要素があるのですが、そちらは、一番下のもので行いました。予算が少ないというところとあとは、その一番下のもので貸出してみて(上記の結果は、一番下のものでの効果です)、それだけ改善ができているためです。

最終調整(最終状況)

さて、さらに改善を進めていくわけですが、上記の状態がわかり、かつ、もう少し大きくしても大丈夫そうでしたので、

最終調整は、このように。改善目標より上に目指せる部分がわかり、その点だけ、上限修正してさらに改善させた。全体的に改善されて良い状態である。

最終調整は、このように。改善目標より上に目指せる部分がわかり、その点だけ、上限修正してさらに改善させた。全体的に改善されて良い状態である。

このように最終的には行いました。ほとんど改善目標となる部分まで改善させた状態になります。

補聴器なしが△。補聴器ありが▲。補聴器があることにより、音声の理解に関しても良くなっている。ご本人曰く、ある状態とない状態は、非常に異なるようだ。改善できて何よりだ。

補聴器なしが△。補聴器ありが▲。補聴器があることにより、音声の理解に関しても良くなっている。ご本人曰く、ある状態とない状態は、非常に異なるようだ。改善できて何よりだ。

補聴器をつけた状態とそうでない時の音声の理解度に関しては、こちらの通りです。70dBが大きい声の方、60dBが普通の声の方、50dBが少し声が小さい方及び少し離れたところでの呼びかけ、40dBは、声が小さい方になります。

それでみてみると、普通の声の大きさの方からよりよくなっており、全体的によりよくすることができました。

なお、実際には、さらに改善させるために

補聴器には、耳の型を採取して、その人専用の耳せんを作ったりすることもできる。

補聴器には、耳の型を採取して、その人専用の耳せんを作ったりすることもできる。

このようなものを作り、改善を行なったこともあります。

実は、そのような耳せんを作ると聞こえが非常に良くなることがわかってきた。その数値がこちら。わかる人がみたら、この数値はすごい数値である。

実は、そのような耳せんを作ると聞こえが非常に良くなることがわかってきた。その数値がこちら。わかる人がみたら、この数値はすごい数値である。

補聴器の音の感覚は、このようになり、数値としては、非常に良く、かつ騒がしすぎて使えないと言うことはありませんでした。

先ほどの音の数値が良くなると音声の数値も良くなる傾向がある。こちらも少し改善値が上がっている。

先ほどの音の数値が良くなると音声の数値も良くなる傾向がある。こちらも少し改善値が上がっている。

言葉のテストは、こんな感じになります。こちらも数値としては、非常に良いですね。

しかし、

  • こもった感覚がでる
  • 食事の時の音(咀嚼の音)が大きい

ということと、こちらを使用する前のものでも聞こえが十分に改善ができていることから、こちらではなく、以前のものにしました。

お客様の声

実際に改善を行なった方へ、当店で相談してみたことに関してお伺いしてみました。

どのようなことでお悩みでしたか?

実際に補聴器をお使いになってみて(ご相談されてみて)いかがでしょうか?

このお店で購入(相談)した理由は何でしょうか?

実際のアンケート内容

アンケートにご協力いただき、誠にありがとうございました。

改善のポイント

こちらの方の改善のポイントに関しては、

  • 両耳装用で改善させたこと
  • 改善の目標値までしっかりと音を入れたこと
  • 試聴の初め、Vol調整ができるようにし、自分で調整できるようにした

の三つがあります。

両耳装用で改善させたこと

改善の思考でも記載した通り、騒がしい中での聞こえの改善は、片耳のみではまず無理ですので、両耳装用にして、補ったことが大きなポイントになります。

改善の目標値までしっかりと音を入れたこと

その次は、補聴器で改善できる目標値までしっかりと音を入れられたことになります。こちらの内容と、両耳装用で改善させたことが、今回の内容の中で、重要な2トップになります。

当然ですが、補聴器をつけても改善できるところまで聞こえさせないと聞こえはうまく改善できません。度なしのメガネをつけても見え方は、変わらないように、ちゃんと補うのに必要な度を入れることで、視力は改善されます。それと同じですね。

重要なのは、補う数値であり、補聴器をつけることではないということです。

試聴の初め、Vol調整ができるようにし、自分で調整できるようにした

私がよく行う常套手段ですが、聞こえを改善させる場合、最悪、ご自身で音量を下げられるようにして、対応しています。というのも聞こえすぎてしまうと辛くなってしまうため、ご自身で調整できるようにして、様子をみています。

例えば、その状態で使い続けられるのであれば、そのままで良いですし、やはり下げることの方が多かったのであれば、調整を見直します。どうしてもお店で聞く感覚と実際の状況で聞く感覚は、異なるため、このように対応すると、よりよくしやすいですね。

今回のケースも同様で、聞こえを改善させる場合、今までの聞こえより、より聞こえやすくなります。聞こえが良くなるということは、それなりに様々な音が入るようになりますので、そのような場合に備えて、自分で調整できるようにしてあげると、安心して、試聴ができるようになります。

高域が軽・中等度難聴の方のまとめ

以上、K・Iさんの改善例でした。上記の通り、このような聴力の方は、

  • 聞こえる人も入れば聞きにくい人もいる(人によって聞きやすさが分かれる)
  • 騒がしい中でのお話は、わかりにくくなる
  • 複数の方とのお話もわかりにくくなる
  • 離れているところからの呼びかけ、話は、結構わかりにくい

という特徴があります。軽・中等度の難聴なためかちょっと軽視される傾向はあるのですが、聞きにくさは、特定の環境で強く感じやすいため、悩みのレベルまで、軽度、中等度という訳ではありません。

補聴器で改善させる場合は、上記の改善のポイントの通り、もしくは、改善思考の通り、

  • 両耳装用
  • ちゃんと必要な数値まで音を補う

ということをすることで、最大限、聞きにくさを改善させることができます。補聴器の場合、耳が治るというところまで行かないのは、申し訳ないのですが、それでも聞きにくさを感じているいくつかの部分は、改善できます。

K・Iさんも同様で、改善できるところに関しては、改善を行いました。

なお、こちらの方とお話して良いことを伺いまして、それは、新しく物事を学び始めたことです。補聴器をつける前、聞こえがよくなかった頃は、どうしても自分自身に自信がなく、人とお話することに対して、不安を感じたり、何かをすることに関して、抵抗があったようですが、聞こえが改善された後は、自分がしたいことをするようになりました。

今は、資格の勉強をするようになり、スクールにも通う予定とのことです。前向きになられて、非常に良い傾向が出ていますね。

確かに、何かしたいと思っていても、聞きにくかったら、しても無駄なんじゃないかとか、お金を払うものだと、単なる消費になってしまうのではないかと思ってしまっても不思議ではありません。

しかし、どんどん前向きになられ、よりよくなったのは、本当に何よりです。そのような人を一人でも増やせて、こちらとしては、本当によかったです。

以上、改善例のご紹介でした。


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
  • 補聴器の種類、性能、違いを知りたい

などお考えでしたら、こちらをご覧下さい。補聴器で耳を改善させる内容のみに絞って記載してみました。お役に立てば幸いです。

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