聴力が左右異なる方に有効なバイクロス補聴器の対象者と補う選択肢


バイクロス補聴器は、少し特殊でなかなか知れ渡っていない機器になります。この機器は、左右とも聞こえが異なるか、聞こえない耳側が何らかの理由により、補聴器では、補えない方が主に対象になります。

そして、そのような方には、どのような選択肢があるのでしょうか。こちらでは、左右の耳の状況が異なる方の選択肢、改善方法についてまとめていきます。

聞こえを改善させる補聴器を選択していくセオリーは、

  1. 耳の状況を把握する
  2. それに沿った補聴器の補い方を知る
  3. 補い方に沿った補聴器の形状を知る
  4. 補い方に沿った補聴器の性能を知る

という順で決めていく事です。今回は、②になる補聴器の補い方を知る、という部分になります。

なお、こちらの内容は、耳の状況を把握できないとチンプンカンプンになります。耳の状況を知る測定などをご存知ない場合は、補聴器で聞こえを改善させるための2つの耳の検査方法をはじめにご覧いただくことをオススメします。

バイクロス補聴器の対象者と左右の耳が異なる場合に考えられる補い方

まずはじめにバイクロス補聴器の対象者と左右の耳の状況が異なる場合に考えられる補い方に関して記していきます。補い方?という疑問点があるかと思いますが、ここでいう補い方とは、どのようにはじめ補聴器を考えていったら良いかの部分になります。

そして、重要なのは、バイクロス補聴器の対象者を知る事ではなく、どのようなケースでは、どのように補ったら、今ある技術で、最良の結果を得られるのか。その点を理解する事です。

基本的に左右の耳が異なるケースは、

  • 左右の聴力差がまだ少ないケース
  • 片側が大きく聴力低下しているケース
  • 片耳の明瞭度が大きく低下しているケース

の3つがあります。

左右の聴力差がまだ少ないケース(20dB以内)

左右の聞こえがまだ少ないケースは、音声の理解度があることが条件ですが、その場合は、両耳とも補聴器を装用して、補っていくのが一番ベストです。

このようなケースは、

  • 生まれつきの感音性難聴
  • 老人性難聴
  • 別々の原因により、聴力低下した

など、様々なケースがあります。

例えば、このような聴力で、

両耳ともこのような明瞭度だった場合に限ります。これは、音声の理解度を調べる測定の結果で、最良の値が50%以上であれば、補聴器の適性あり。と見なせます。この場合は、両耳とも50%以上ですので、両方とも適性ありですね。

音声の数値の意味。この部分の理解がとても重要。数値により、その人の耳の状況がわかるようになる。

音声の数値の意味。この部分の理解がとても重要。数値により、その人の耳の状況がわかるようになる。

個人的には、50%は、少々低い数値ですので、補聴器で本当の意味で理解できるようにするには、70%くらいは、欲しいとは感じます。

このような耳の場合は、両耳に補聴器を装用し、バランスよく調整してあげるとよくしやすくなります。

なお、仮に上記の状況に当てはまるのでしたら、その際に重要になるのは、補聴器を使用した状態を左右別々に把握できるようにし、ちゃんとバランスよく補えているかどうかを確認することです。

補聴器には、補聴器を装用した状態を調べる音場閾値測定というものがあるのですが、それで左右のバランスを見れるようにすると、バランスを整えやすく、片側だけ補えていない。などの不具合を出しにくくなります。

とはいえ、この部分は、主に補聴器屋さんがやることですので、そんな測定があるんだな。という部分でも理解しておくと良いですね。

その点に関して、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

リンク:左右の聴力が異なる場合における補聴器改善の2つのポイント

片側が大きく聴力低下しているケース

片側が大きく聴力低下しているケースは、バイクロス補聴器の方が補えます。このようなケースは、2つの症状の合併型が多く

  • 老人性難聴と突発性難聴
  • 生まれつき片耳難聴と突発性難聴
  • 生まれつき片耳難聴と老人性難聴

などが当てはまります。こちらは、片耳のみ難聴になるケースに、別の症状が加わってこのようになるケースが大半です。

聴力としては、このようになり、聞こえない耳側は、補聴器では補えない。と言われるケースが多くなります。基本的には、明瞭度も調べた上で、判断はするのですが、上記のように重い場合は、補聴器ではなかなか補えません。

実際の選択肢は、

  • 片耳のみ補聴器をつける
  • バイクロス補聴器でなるべく改善させる

の2つがあります。

聞きにくさをより改善できるのは、バイクロス補聴器になります。

片耳の明瞭度が大きく低下しているケース

こちらは、バイクロス補聴器の方が聞こえの改善ができます。

補聴器は、残念ながら明瞭度が低下している耳側は、あまり効果が期待できません。これは、実際に、この測定を行うとより体感として理解ができるのですが、この測定は、補聴器で音を大きくした際にどのくらい音声が理解できそうか。その部分を知るための測定です。

そのため、この測定で、最良の値が50%以下、20%、30%の場合は、残念ながら補聴器で音声を理解するというのは、非常に難しくなってしまいます。

そのような場合は、聞こえる耳側で全てを理解した方が聞こえは改善します。

なお、この部分は、聴力関係なしに明瞭度が下がっているケース、全般に共通します。

左右の耳が異なる場合の補い方まとめ

基本的に最良の結果を求める場合は、聴力低下した耳に補聴器を装用することが重要になってきます。しかし、耳によっては、補聴器を装用しても、うまく補えないケースがあります。それが、片側だけ、聴力低下が非常に大きかったり、明瞭が大きく低下しているケースです。

そのような場合は、バイクロス補聴器を使用した方がよく、補聴器で効果が出るのであれば、両耳に補聴器を装用した方が、聞こえを改善できます。

今現在、残念ながら耳を治すまでには至っていないため、あまり考えずに行なってしまいますと、結果もそれに伴い悪くなってしまいます。少しでもよりよくする場合は、耳をどう補えば良いか。そこから考えていく必要があります。

左右の耳が異なる場合に考えられる補聴器の選択肢とそれぞれの効果

次は、それぞれの補い方による効果について見ていきましょう。左右の耳が言葉る場合に考えられる補い方の選択肢は、

  • 両耳とも装用する
  • バイクロス補聴器を装用する
  • 片耳のみ装用する

の3つがあります。なお、以下、両耳とも聞こえにくいことを想定し、一旦、補い方だけにみた視点で記載していきます。

両耳とも装用する

これができれば、一番効果が高くなります。

聴力の程度や状況によって異なるが、だいたいこの4つが当てはまる。仮に補聴器で両耳とも補えるのであれば、両耳装用が一番良い。全体的に改善できるからだ。

聴力の程度や状況によって異なるが、だいたいこの4つが当てはまる。仮に補聴器で両耳とも補えるのであれば、両耳装用が一番良い。全体的に改善できるからだ。

聴力によって症状が異なるのですが、ある程度、左右差がある聴力の場合、基本的にこれらの部分で聞きにくくなりがちです。

それを全体的に改善できるのが両耳装用の特徴です。

補聴器メーカーソノヴァジャパンより引用

特に両耳装用することと、片耳のみ装用すること(バイクロスも同様)で変化があるのは、主に騒がしい中での聞こえになります。実際には、静かなところでも少し差は出るのですが、わかりやすい差は、騒がしくなるとなるほど、出てきやすくなります。

補聴器メーカーソノヴァジャパンより引用

また、両耳で音が取れるようになると、距離感が掴みやすくなったり、より聞きやすくなる。という効果もあります。

音を拾う感覚は、このようになります。実際には、左右ともバランスよく補えた場合になりますので、聞こえにくい側が補いにくいとその分、聞こえにくい側の聞こえは、少し低下します。

両耳ともバランスよく入れられるようになると全体的によくできますので、そのようなケースでは、両耳とも装用するのが最良の方法になります。

なお、重要なポイントは、左右の聴力差ができれば20dB以内であることです。あまりにも離れている場合、両耳効果というものがあるのですが、それを活かすことができません。先ほどの騒がしい中での聞こえや音の方向感覚は、基本的に両耳効果を利用しているものであり、補聴器を装用した状態の左右差が15db以上の差が出ると、基本的に両耳効果はなくなります。(両耳効果を出すなら、10dB以内が望ましい)

ですので、両耳装用で効果が出るのは、あくまでも両耳ともある程度、近い聴力の場合になります。あまりにも離れている場合は、両耳効果は出ませんので、気をつけてください。両耳効果は、補聴器を両方ともつけることで出るのではなく、左右の聴力を補聴器でバランスよく補えている時にでます。

バイクロス補聴器を装用する

バイクロス補聴器は、何らか片耳が補聴器で補えないケースにとって最良の選択肢になります。

バイクロスと補聴器の違いは、両耳で分散させて聞くか、片耳側だけで全て聞くかであり。特に音の方向感覚やより騒がしいところでの聞き取りが、両耳に比べて下がりやすい。

バイクロスと補聴器の違いは、両耳で分散させて聞くか、片耳側だけで全て聞くかであり。特に音の方向感覚やより騒がしいところでの聞き取りが、両耳に比べて下がりやすい。

バイクロス補聴器による改善は、この通りです。両耳装用に比べると、音の方向感覚がわかりづらくなります。聞こえない側に音を拾う送信機をつけることで、そちらからの音はわかるものの、音の方向感覚までは、わかりづらい状態になります。

バイクロス補聴器は、まだ聞こえがよい側ほど聞こえない耳側を改善してくれるわけではない。聞こえる耳側より、少し劣る傾向がある。

バイクロス補聴器は、まだ聞こえがよい側ほど聞こえない耳側を改善してくれるわけではない。聞こえる耳側より、少し劣る傾向がある。

音の範囲は、このような状態になります。両耳に補聴器をつけるよりは減りますが、片耳のみ使用するより拾う範囲は広くなります。それにより、静かなところでの音の気づき、少し騒がしい程度の場所での聞こえについては、片耳のみ装用するより上がる傾向があります。あまりにも騒がしいところでは、そこまで変わりません。

バイクロス補聴器の場合は、このような特徴があります。

片耳のみ装用する

片耳のみ装用する場合は、金銭的に抑えたい場合でしょうか。それか、バイクロス補聴器を使ってもあまり変わらなかった場合に考えられます。

片耳側のみ使用する場合は、静かなところでの聞こえはよいが、周りが騒がしくなってくると途端にきつくなる。また、片側が聞こえない状態なので、その方向から話しかけられたりすると、特にわかりづらいままになることが多い。

片耳側のみ使用する場合は、静かなところでの聞こえはよいが、周りが騒がしくなってくると途端にきつくなる。また、片側が聞こえない状態なので、その方向から話しかけられたりすると、特にわかりづらいままになることが多い。

片耳のみ装用した場合は、静かな場所ではそれなりに聞こえるようになるのですが、騒がしいところに行くと、かなり聞きにくさを感じやすくなります。

両耳装用と片耳装用での違いがこちらになるのですが、騒がしいところほど、差が出ています。

また、音を拾う範囲は、このような状態になります。呼びかけや何かの音を聞かなければならない時の反応は、もっとも低下する状態になります。

今回のまとめ

さて、まとめていきます。今回、バイクロス補聴器の対象者とそれぞれの補う選択肢について記載してみました。お気づきかもしれませんが、左右の聴力が異なる場合において考えられる補う選択肢とそれぞれできる選択肢の中で最良の結果をそれぞれ記載してみました。

例えば、両耳とも聞こえづらいけれども補聴器で補える範囲内、バランスよく音を補える範囲内であれば、両耳装用が最良の結果が得られるようになります。

そして、仮に片耳が大きく低下しており、もう片耳は、補聴器で補える範囲内であった場合は、両耳装用は、大きく低下している耳側があるため、できません。その場合、片耳のみ装用するか、バイクロスを使うか、の2択になるのですが、片耳装用にすると、聞こえが悪いもっとも聞きにくさがある耳側を改善できません。その場合に置ける最良の補い方は、バイクロスになります。

このように補聴器は、今現在、良くも悪くも複数の選択があります。それぞれ金額や効果が異なりますので、一番初めにどのように補ったら良いのか、お金はどのくらいかかるのかを考えるのは、とても重要です。

これが初めに考える【補い方】という部分です。しっかりと改善させる場合は、このような部分から考えて、改善させていきます。