骨伝導補聴器の一種BAHAについてご存知でしょうか。BAHAは手術を行うタイプの補聴器です。手術と聞くと、怖いイメージがあるかもしれません。しかしBAHAには、手術をするだけのメリットがあります。
骨導補聴器には、一般的な骨伝導補聴器と手術形のBAHAの二種類があり、それぞれ異なる補聴器です。
今回は、この二つがどのように異なるのか、この二つのメリット、デメリットについて記載していきます。
なお、一般的な骨伝導補聴器は、こちらに記載しています。
目次
BAHAとは
埋め込み型骨伝導補聴器と言われる通り、一部の部品を頭の中に埋め込みます。補聴器の接続部分であるチタン性の金属端子を頭蓋骨に埋め込み、補聴器を装用できるようにします。
その図がこちらです。
※画像はコクレア社のWebサイトより引用
耳の付け根の部分より頭の内側がチタン性の金属です。
骨伝導補聴器は、音を頭蓋骨に振動させて聞かせるため、チタン性の金属を頭蓋骨に埋め込みます。そしてマイクの部分を金属と繋げる事で、外の音を聞く事ができます。
装用している様子はこちらです。
※画像はコクレア社のWebサイトより引用
手術をするタイプの骨伝導補聴器と覚えておけば問題ありません。
骨伝導補聴器の対象者
BAHAは、骨伝導補聴器である事を記載しました。
ここで、骨伝導補聴器とは、どのような方に合うかを記載していきます。
骨伝導補聴器は、主に伝音性難聴の方に適応します。
伝音性難聴とは、外耳(がいじ)、中耳(ちゅうじ)に障害が起こると発症する難聴です。外耳は、耳介(じかい)によって集まる音を耳に伝えるための道になります。中耳は、外耳を伝ってきた音を大きくして、耳の神経に届ける働きがあり、この部分に障害が発生すると、音が小さく聞こえる様になります。しかし、耳の神経系には、障害が起こっていませんので、音を大きく聞こえる様にしてあげれば、聞き取りが良くなります。
伝音性難聴を引き起こす病気は、中耳炎、鼓膜穿孔(鼓膜が破れる事)などがあります。中耳炎、鼓膜穿孔は、中耳の病気です。
伝音性難聴の特徴として、手術で治る難聴が多い事が上げられます。しかし、手術をしても思った様に効果がでない方、手術できる環境ではない場合は、手術をせず、補聴器、BAHA補聴器にて聞こえを補っていきます。
なお、難聴には、伝音性難聴の他に感音性難聴があります。こちらは、耳の神経上の障害になりますので、骨伝導補聴器は合いません。主に、老人性難聴、突発性難聴、生まれつきの難聴(感音性難聴に限ります)は、合いませんので、ご注意ください。
従来の骨伝導補聴器と比較したBAHAのメリット
BAHAのメリットは
- 圧迫感がない
- 痛みを感じづらい
- 煩わしさの改善
主にこの3点があります。
圧迫感、痛みの改善
従来の骨導補聴器は、カチューシャ型とメガネ型でした。それらについている骨導子を耳の裏の骨に当てる事で音を聞き取るものです。
しかし、これには欠点があります。骨導子を当てる際の注意として、それなりの力で当て続ける必要があります。当てる力が弱いと音が聞こえない事があり、それなりの力で当て続けると当てられた部分が痛む事があります。特に長時間当て続けると痛む場合が多くなります。
BAHAであれば、押さえつける必要がありませんので、そのような痛みの心配はありません。チタン性の金属を埋め込んでいるため、痛そうに見えますが、骨に馴染み、痛みは感じないようです。
煩わしさの改善
小型の骨導補聴器BAHAは圧迫感もなく、小型のため従来の骨導補聴器の鬱陶しさもありません。従来の骨導補聴器は形状が大きいため、耳に装用するのが鬱陶しい傾向があります。また、どれも格好が良くありません。
メガネは古くさいですし、女性は使用しないでしょう。カチューシャ型は、男性だと躊躇します。女性の場合でも、髪型の制限がかかります。
上記と少しかぶりますが、どの骨導補聴器も聞こえる位置に合わせる事が重要になります。何かの拍子に補聴器がズレたら、位置をまた戻さなければなりません。安定性がありませんので、こういった鬱陶しさもあります。
BAHAは固定式の骨導補聴器ですから、そんな心配もなくなります。さらにBAHAの補聴器は小型なため、重さなども気にならない方が多いようです。そして、しっかりと固定されるため、聞こえも安定して入るというメリットもあります。
従来の骨導の仕様上の欠点、形状による欠点、これらが解決できます。
従来の骨伝導補聴器と比較したBAHAのデメリット
BHAのデメリットは
- 手術をする必要がある事
- 金額が高額な事
主にこの2点です。
チタン性の金属を埋め込む必要があるため、手術が必要です。
気軽に付けられないという意味ではデメリットとなります。また、手術が必要となりますので、機械代の他に、手術台、入院費などが必要となります。
機械代等含めた合計金額は、60万〜80万ほどかかるようです。2013年1月1日にBAHAも保険制度が適用になったため、保険を適用した金額が上記のものです。不明な部分も多いため、目安程度にお考えください。なお、保険適応外時は、合計100〜150万ほどかかっていました。
金属のためアレルギーを気にする方がいらっしゃいますが、チタンはアレルギーを起こしにくい金属です。軽くて、丈夫で、アレルギーが少ない、非常に優れた金属としても有名です。そのため、肌に直付けする指輪やピアスにも使われています。
BAHAのまとめ
BAHAは、手術こそする必要がありますが、人によっては非常に有効な補聴器となります。特に伝音性難聴であり、骨伝導補聴器の聞こえが良好。しかし、使用し続けていると痛みを感じる、あるいは、使用し続けるのは、億劫である場合は、有効です。
この補聴器を使用されているのは、片耳が難聴の方や小耳症という元々耳が小さい方、外耳道閉鎖症という耳の穴がない方です。このような方々にBAHA補聴器は使用されています。
もし、気になる事があれば、病院に相談してみましょう。通われている耳鼻咽喉科にご相談する事で、どの病院で、BAHAの手術をするのか、BAHAの適性を調べてくれるのかを伺えれば、恐らく紹介状を記載していただけるか、耳について調べていただけるはずです。
BAHA補聴器は、手術するという事、金額がかかるという大きなデメリットはありますが、その代わり合う人には、非常に合う補聴器になります。
あとがき
どんなものにも利点もあれば欠点もあります。自分に合う補聴器は何なのかをしっかりと考えて、補聴器を選んでいく事が大切です。
骨導補聴器は一部の特殊な人にしか使用できない機械です。気になる方は、耳鼻咽喉科で、伺ってみる事をお勧めします。
追記:耳の医師グループ、聴覚医学会にてBAHA補聴器に関する論文が出ています。こちらも参照した方がよりBAHA補聴器を理解できます。
リンク:BAHA骨導補聴器の論文から見るBAHA補聴器の効果
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