耳・難聴のこと

iPS細胞による難聴の治療、一歩を踏み出したiPS細胞の現状。

再生医療。現在、治療に関して再生医療が非常に注目されています。今から約1年半前に発表されたiPS細胞は、世界に衝撃を与えました。再生医療は、治療が難しかったものに光を与える事になりました。難聴もその一つです。

これらの発明は、どのように聴覚障害の方に有効活用されるのでしょうか。今回は、iPS細胞の概要と難聴に関する治療の現状について記載していきます。

iPS細胞 概要

人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells)これらの頭文字をとり、iPS細胞と呼ばれています。

初めのiのみ小文字なのは、世界的にヒットしたipodにあやかり、iのみ小文字にしたようです。馴染みのない単語だからこそ、馴染みあるものと組み合わせ、認知されるよう名付けたとされています。

これらの細胞は、いろいろな体の部分となる事ができるため、万能細胞と呼ばれています。現在では、iPS細胞で直径4mmの脳の作成にも成功されおり、その技術は、非常に注目されています。

iPS細胞 作り方と使い方

わかりやすい図がありましたので、拝借します。

ips

 ※サイエンスキッズより引用

iPS細胞を製作するには、iPS細胞にしたい細胞に、いろいろなものに変形できる可能性のある遺伝子(初期化因子の遺伝子 Oct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4つの遺伝子、通称:山中4因子)を入れる事で、できます。

この遺伝子を入れると細胞のリプログラミング(細胞の初期化)が行われ、様々な細胞に分化できるiPS細胞になります。

レトロウイルスベクターと呼ばれるウイルスを使用し、4つの遺伝子をレトロウイルスベクター内に入れ、そのウイルスを細胞に感染させることで、遺伝子を導入できます。

これらの最大の特徴は、細胞ごと治療することです。

現在の医療は、 機械の小型化、技術の進歩により、より小さい血管内の詰まりを解消したり、病気になった患部の一部分を切開し、病気の部分を取り除くレベルでした。切開、取り除く系の物理的に治療できる病気は、治療可能でした。 しかし、細胞の壊死による病気、障害に関しては、治療の手立てがない状態でした。

iPS細胞は、内部の神経まで製作できます。様々な部分の治療ができると期待されています。

iPS細胞の課題

しかし、iPS細胞も利点ばかりではありません。現在では、細胞の癌化の恐れ、拒絶反応、これらの欠点があります。

細胞の癌化の恐れ

マウスでの実験の結果、製作されたマウスの20%の細胞に癌化が見られたようです。

癌化のリスクを減らすよう実験が重ねられています。 現在では、リスクは減るもののiPS細胞の製作効率も減ってしまうため、まだまだ研究が必要な部分とされています。

拒絶反応

従来のiPS細胞は、元となる細胞を提供してくれたところに戻したとしても、拒絶反応はないとされていました。しかし、アメリカで行われたiPS細胞の実験では、拒絶反応があったことが報告されています。

そのため、iPS細胞そのものを移植するのではなく体細胞に変化させたあとに移植することで、拒絶反応をなくす方法も取られています。

まだ始まったばかり

これらは、まだ始まったばかりであり、まだまだ実験段階です。

iPS細胞から臓器を作り出したとしても、それらの拒絶反応、しっかりと機能するか、毒性はないかなども確認しなければなりません。

ドナーを提供された方がドナーの拒絶反応により、体の具合に変化を起こすことがあるように、これらの細胞を使用し、実際に活用できるかも検証しなければなりません。

それ故、山中博士は「iPS細胞は新しい技術。仕事は終わっておらず、医学への本当の貢献をこれから実現させなければならない」と語っています。

iPS細胞は、偉大な一歩を踏み出しました。しかし、本当に大切なのは、これらが適切に活用されることです。

iPS細胞 難聴に関するiPS細胞

難聴に関しては、米スタンフォード大学にて 難聴の原因とされる内耳の中にある有毛細胞の細胞再生に成功したと言われています。

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有毛細胞とは、内耳とかかれた範囲のところに蝸牛(かぎゅう)とかかれた紫色のクルクルまかれている器官の中に存在します。

人は、蝸牛の中にある有毛細胞で音を感じ取っています。今回は、音を感じ取る有毛細胞の再生に成功したということです。

音を感じ取る部分を再生する場合と、補聴器を装用する場合、どのように異なるの?と疑問を持つかもしれませんね。音を感じ取る有毛細胞が損傷すると、うまく音を感じ取れなくなります。うまく音を感じ取れなくなると、言葉が聞き取りにくくなったり、音量が足りないといった事が起こります。

現在の対処法では、補聴器、人工内耳といった聞こえを補う機器を耳に装用します。これらの機器で、聞こえが低下した部分を音を大きくして補います。

しかし、音を大きくして改善するのは、音量が足りないといった部分だけです。言葉が聞き取りにくいという問題は解決できません。これは、有毛細胞が損傷すると音を脳に伝える過程で、正しく伝えられなくなっている事が原因とされています。そのためiPS細胞で、有毛細胞の再生ができる様になれば、言葉が聞き取りにくいといった事も解決できるのではないかと考えられています。

この実験の成功は、難聴の世界にも、大きな一歩を踏み出したといえます。これらの実験には、マウスが使用されました。マウスでの実験ではうまくいったようです。

次の課題は、人間に適正に順応するかです。 こちらも、まだまだ始まったばかりです。

あとがき

iPS細胞は、現在の医療に画期的な進化をもたらしました。難聴の治療に関しても、歴史的一歩を踏み出したと言えるでしょう。

しかし、まだまだ始まりに過ぎず、これらの技術が一般化されるには、長い年月が必要となります。最低でも数十年はかかるだろうと言われており、早急な医療の確立化が望まれています。

現在は、補聴器、人工内耳が聞こえを補うには主流となっています。いつの日か、再生医療による治療が一般的になれば、これらの機器は存在意義がほとんど必要なくなるかもしれません。

再生医療の発達は、不老不死を連想させる事もあり、怖い一面もあります。

しかし、障害を抱える方にとっては、非常に期待される技術です。

これからの医療の発達に注目ですね。

 

iPS細胞に関しては、こちらにもあります。

リンク:iPS細胞で難聴を治すリスクを考えよう

リンク:iPS細胞で難聴は治せるか、難聴原因から考える治療の問題 

リンク:びっくりするほどiPS細胞がわかる本から学ぶiPS細胞

 

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深井 順一
生まれつきの難聴者が対応している補聴器専門店、パートナーズ補聴器、代表。聞こえにくさを抱えている方が、聞こえを改善し、より良い生活ができるようになるお店。という考えのもと、お店の内容やサービスを考え、補聴器による聞こえの改善をしています。書いている人の詳細は、”書いている人のページ”へどうぞ。お店に来た"お客様の改善事例は、こちら”に記載しています。最近は、Yourtubeにて、動画による解説も始めました。
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