ロジャー・FM・通信機器

送信機別の機能から考えるFM送信機の選択方法

FM機器の送信機は、どのように選択すればよいのでしょうか。送信機にも種類があり、それぞれ得意としている分野が異なります。

FMの送信機には、主に二つに分けられます。ピンマイク型、スティック型の二つです。これらは、使い方、用途によりどちらを使用した方が良いかが変わります。

今回は、それぞれが持つ機能を考えつつ、見ていきましょう。この内容は、児童がFMを使用するケースとして記載しています。

なお、あくまでもFM機器同士の比較になりますので、この点に注意してください。

現在発売されている機器で比較する場合はこちらをご覧下さい

リンク:通信送信機を機器同士で比較した場合

FM機器の概要

冒頭の通り、FM機器には、主にピンマイク型とスティック型に分かれています。この呼び名は、私が勝手に考えたものですので、業界の呼び名はわかりません。音が入るマイクの部分がピンマイクを使用しているタイプと本体そのものにマイクがついているものに分かれます。

それぞれに分けて、概要を説明していきます。

ピンマイク型の概要

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※画像は補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

こちらがピンマイク型です。右側についているのが話して欲しい方の口元に付けるピンマイクです。マイクと送信機本体はコードで繋がっており、送信機本体にコードが巻き付いています。この写真ではわかりませんが、首にかける器具や腰に付ける器具もあります。ピンマイクは、話し手の口元につけ、送信機本体は首にかけたり、腰に付けて使用します。

ピンマイク型の特徴としては、操作するディスプレイ画面の割合が大きい事、ピンマイクを使用する事が挙げられます。

ピンマイクには、二つのマイクが搭載されており、有効的に音を拾う工夫がされています。マイクが二つあると音の方向感がわかるため、こっちから来た音は拾わない、あっちから来た音は拾うといった音の選択が可能になります。さらに口元に装用するため、音声もしっかり受け取りやすくなります。必要な音を拾う事を第一に考えた設計になっています。

ディスプレイ型にしているのは、様々な操作をしやすくしていると考えられます。FMには、周波数というものがあり、その周波数が同じ送信機と受信機があって、初めて音が伝わる様になっています。そのため、送信機、受信機があっても周波数が合っていなければ音は聞こえてきません。

これらを 操作をしやすくしているのがこのタイプです。主に周波数の操作をする機会があるのは、教員や補聴器屋ですが、保護者の方でも簡単に操作できるようになっています。

注意点としては、コードを全て出した状態で使用する事が挙げられます。コード自体がアンテナの役割を果たしており、コードを出し切らないと送信距離が縮んだり、うまく音声が届かない事があります。また、出し切ったコードに引っかからないよう、注意する必要もあります。

このタイプは、どのメーカーでも形状や仕様は、ほとんど同じです。

スティック型の概要

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※画像は補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

こちらがスティック型の送信機です。わかりにくいのですが、左側にマイクがついています。また正面には、ボタンが三つついています。

このボタンは、指向性と呼ばれるもので、ボタンには聞こえる範囲が記載されています。このボタンで聞こえる範囲を指定する事ができます。指向性とは、聞き取る音の範囲を指します。正面からのみの音を拾うのか、全方向の音を拾うのか、これらを決めるのがこのボタンです。

主には、指向性なし、指向性あり、超指向性(指向性タイプより聞こえる幅が狭め)に分かれます。それぞれの環境に合わせて使用できる様になっています。

上についているヒモには、アンテナが入っており、これを切ると伝えられる距離(FM有効範囲)が短くなります。

この形状は、机の上に置いたり、ついているヒモを首にかけてもらって使用する事ができます。なお首にかけるタイプの場合、送信機本体が何かにぶつかると、FMを装用している子に大きな音が入るので注意が必要です。本体そのものにマイクがついているため、本体に衝撃を与える事は厳禁です

メーカーごとに、形は異なりますが仕様は、同様です。

それぞれのFM機器の機能の違い

上記に主な概要を載せてみました。

ここで機能についてまとめてみます。

  • どちらにもついている機能
  • ピンマイク型にしかない機能
  • スティック型にしかない機能

に分けて説明していきます。

どちらにもついている機能

どちらにもついている機能としては、周波数を合わせる機能です。こちらに関しては、ピンマイク型、スティック型どちらにもあります。

また、周波数を合わせる機能の一つとして、同期というものがあります。これは、異なる周波数の受信機でも、一時的に聞こえるようにさせる機能です。

クラスを混ぜて授業を行ったとすると、異なる周波数で使っている方々が一緒に授業をする場合があります。その場合、

  • 送信機を二つ使う
  • この同期機能を使う

このどちらかを行えば解決できます。

同期を使用する場合、ピンマイク型では、ボタン一つで操作可能です。スティック型では、電源を入れる際、指定されている周波数に周囲の受信機を同期させます。※フォナックのもののみかもしれません。

なお、同期で一時的に聞こえるようにしている場合、補聴器側(正しくは受信機)の電源を切ると元の指定された周波数に戻ります。同期の場合は、元に戻すのを忘れない様に注意する必要があります。また、逆に言えば、同期していたとしても何かの拍子に電源を切ると(例えば電池がなくなって電池交換したり……)元の設定に戻りますので、ここにも注意です。

説明の順序が逆になってしまいましたが、周波数を合わせるには、二つの方法があります。送信機、受信機そのものに指定した周波数を使用する方法と上記の同期を使用した方法です。一般的には、常に使用する周波数に合わせて使用し、一時的に変更したい場合に同期機能を使用します。

このようにする事で、大概の事にあわせられる様になっています。

ピンマイク型にしかない機能

マイクの感度を変える機能、FMの状況を確認する機能、チームティーチングと呼ばれる複数の送信機をまとめて使用できる様にする機能、これらが当てはまります。

マイクの感度を変える機能は、ピンマイク型にしかありません。マイクの感度そのものを上げ、音声を聞き取りやすくする事ができます。

元々声が小さい方がお話されるケースでは有効です。しかし、欠点として、周囲の音も大きくなります。なるべく周囲の音は入らない様に設計されていますが、マイクの感度を上げると周囲の音も入りやすくなる傾向があります。メリット、デメリットを考えなければならない機能です。しかし、これが無い場合、送信機の位置で聞こえを確保しなければならないため、あると嬉しい機能でもあります。

FMの状況を確認する機能もあります。通信状況がどうか、音の聞こえはどうかを示してくれます。あまり使われていない機能の様ですが、使用すると現在の状況がわかります。

チームティーチングの機能は、スティック型の送信機にはありません。※フォナックのみかもしれません。

こちらは、複数の送信機を同期させ、一つの周波数で複数の送信機を使用する機能です。親機、子機に分け話す主導権を決めた上、設定をします。親機の場合は、どんな時でも音声が優先されます。子機の場合は、親機が話していない場合、伝える事ができます。子機が複数あった場合は、話し始めた方が早い順に決まります。どんな場合でも、FMを装用している子に聞こえるのは一つの送信機の音声です。その音声の優先順位を付けたのがチームティーチングです。

なお、同期させず同じ周波数を複数の送信機で使用した場合、話している声にノイズが入ったり、話している途中で、突然、他の送信機からの音声が入ってきたりとごちゃごちゃになります。チームティーチングは、そういった事をなくす機能とも言えます。

スティック型にしかない機能

スティック型にしかない機能は、指向性を変更する機能です。

こちらについては、上記に説明した通りになります。指向性のボタンを押して、それぞれの聞きやすいものに変更して使用します。

使用例としては、授業で先生に首にかけてもらう場合、指向性にして使用します。グループで話す場合は、全方向から聞きとる事ができるものに変更します(指向性なしで、設定できます)。さらにうるさい中、交通量が多い通りで、お話する時は、超指向性にして会話をしたりする事もできます。

この様に様々なものの使い分けが出来ます。

搭載されている機能から考えるFM機器の適正

ここでは、機器の機能から、どんな事に適しているかを考えていきます。それぞれ

  • ピンマイク型
  • スティック型

に分けていきます。

ピンマイク型

ピンマイク型の機能と形状を見てみると、一人の人がお話するケースや学校の様な特定の人が話す場合に適正がある事に気が付きます。ピンマイクの形は、授業の形式を考えると最も適した形です。一人の人が話す音声を限りなく良い形で拾い、中の機能でそれを増幅する事もできます。

また、チームティーチングを使用するのも授業形式を考えて作られた機能です。海外ではチームティーチングと呼ばれる複数の先生が一つの授業を受け持つ形式を採用している学校があります。

一人の先生だけでは、一人一人を細かく見る事ができないため、教える先生、サポートする先生に分け、授業を進めていくのがチームティーチングです。一人の先生が授業をする形式では、一人の先生にかかる負担、生徒の理解を無視した授業方針が欠点として挙げられます。一人で行うと個々のレベルではなく、平均のレベルで見て、授業を進めていくため、出来る人はどんどん出来る様になり、出来ない人は、どんどんわからなくなってしまいます。それらを補う方式として、チームティーチングが生まれました。

海外でも日本でも採用しているところとそうでないところにわかれます。こういったニーズにも答えるために、ピンマイク型には、チームティーチング機能が搭載されています。

送信機の同期は、ピンマイク型だけではありません。マイク単体で販売しているものもできます(フォナック製の場合、ダイナマイクがあります)。それらを組み合わせる事で、他の子が発表している内容を聞いたり、理解する事もできます。

ピンマイク型の機能から考えると、学校での使用を考えている人向けと言えます。

スティック型

こちらの特徴は何と言っても様々な使用ができる事です。

スティック型送信機を机に置いたって良いですし、話し手に近づけて音を聞いても良いです。首にかけてもらっても良いですし、自分自身が持って、話し手に向け音声を聞いても良いでしょう。

ただし、自分自身でどのように使用するかを考えなければなりません。ここがピンマイク型との最大の違いです。ピンマイク型では相手に持ってもらう事で成立しますが、スティック型は、指向性を選択して使います。スティック型の良いところは自由ですが、自由すぎる反面どのように聞いたら良いかを考える必要があります。

自分自身で色々な場所で使ってみたい人向けです。

なお、この機種はピンマイクをオプションで追加する事が出来ます。しかし、同環境で使用する場合、ピンマイク型の送信機の方が聞き取りは良くなります。

ピンマイク型は、学校の環境に合わせた機器、スティック型は、人が使う事に合わせた(利便性を重視した)機器と言えます。

FM機器送信機の選び方

長かった前置きはこれで終わりです。こちらではFM機器の選択方法について記載していきます。

FM機器は環境を考えて選択する

学校環境にて、チームティーチング方式の授業があり、さらに学校側が機器を取り揃えてくれる場合は、ピンマイク型が圧倒的に優位になります。しかし、そのような環境の学校は経験した事がありません。あるとしたらろう学校くらいでしょう。

チームティーチング機能を考えてみますと、チームティーチングをしている事に加え、それらができる機器を持つ必要があります。送信機は一台10万円以上する機器であり、チームティーチング専用のマイクは7万円程します。数少ない聴覚障害者のためだけに、そこまでしてくれる学校は予算的に見てもかなり厳しいと考えられます。そうなるとピンマイク型の優位性であるチームティーチングは、日本の教育環境下で、必ずしも必要となる機能ではないと考えられます。

ピンマイク型の欠点としては、一人の人の言葉を優先して聞く仕様にしているため、グループ内での授業や学習下においてスティック型より劣る事が挙げられます。ピンマイク型も班の中心に置いたりする事で、聞き取る事は可能ですが、全方向から入るスティック型と比較してしまうとここは劣ってしまいます。

そこから考えられる思考は

  • 普段の授業に重きを置くか
  • 機会少ないグループ学習などにも備えるか

があります。これのどちらを選択するかです。そして

  • オールマイティを目指すなら、スティック型
  • 普段の授業を考えるならピンマイク型

このように考える事ができます。

これは、普段の授業でどこがわかりにくかにも選択方法に関わってきます。どうにも先生のみの声が聞きにくい場合は、ピンマイク型ですし、グループ学習を含むどんな授業形態でも聞きにくい場合は、ピンマイク型、スティック型、どちらも当てはまります。

自身の状況は、どうなのか、自身の重きを起きたい場所はどこなのかを考えて選択をしていきましょう。また、解決したいところを重点に考える方法もあります。

もちろん両方を試聴した上で選択するのも良いです。特にグループ学習で聞こえる様になりたい方は、そこで使用してみて本当に聞き取れる様になるかを試した方が良いでしょう。難聴の性質上、音を拾っても聞き取りにくい場合も考えられます。

試聴ができる場合は、聞こえるかより使用している場所で聞こえるかを試す方が大切です。

場合によっては年齢で考える

ただし、上記の内容に当てはまらないケースもあります。

それは、赤ちゃん〜幼稚園児の場合です。これらのケースでは、限られた方や先生が話す場合が多いため、上記の内容は当てはまるのが少なくなります。

その場合は、素直にピンマイク型をお勧めします。

個人的には、小学校低学年まではピンマイク型が圧倒的に多いように感じています。もちろんそれが多いからそれを選択するのではなく、その方の状況を伺ったうえ、選択をしていく必要はあります。

年齢の場合でも使用する環境を考えた上での選択です。機器の選択に必要なのは、自分が使う場所はどのようなところかが重要と言えます。

あとがき

FMの選択について記載させてもらいました。

FMの選択で必要なのは、使用したい場所を考える事です。選択する上で必要な情報は、それぞれの機器の特徴だと考え、記載してみました。

機器の特徴がわかれば、どんな時に適正なのかがわかります。後は、その適正を自分の状況と照らし合わせ、有効そうか、他の方が良いかを考えていく必要があります。

なお、この内容では、ピンマイク型が良さそうに感じるかもしれませんが、ピンマイク型、スティック型とも補聴器のみと比較すると非常に良く聞こえます。

基本的な聞こえの部分を補ってくれるのは同じです。後は、それぞれの機器の特徴を見て、使用したい場所、重きを置きたい場所を考えていきましょう。

どちらを選択しても補聴器より聞こえは良くなりますので、選択肢を間違える事はありません。選択後は、どのように活用していくかを考えつつ使用していきましょう。

ABOUT ME
深井 順一
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者で補聴器を使っている事、補聴器の販売を行っている事、この二つの視点で、ブログを書いたり、補聴器のご相談をしています。書いている人の詳細は、こちら、東京都墨田区、都営浅草線本所吾妻橋駅より徒歩2分のところに、お店を開いています。
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