感音性難聴とは、耳の中の器官の一つである内耳(ないじ)と呼ばれる部分が何らかの要因によって、聞きにくくなる難聴です。
この部分が聞きにくくなると、音が聞こえにくくなるほか、言葉の理解もしづらくなり、それにより、対人関係や周囲の人とのコミュニケーションに影響が出てしまいます。
感音性難聴により、聞きにくくなった場合は、今現在、治療する方法がありません。
そのため、聞きにくさを改善していくには、補聴器を装用して、聞こえを改善していきます。
このページでは、感音性難聴になってしまい、お困りの方へ
- 感音性難聴を理解する事
- 感音性難聴を改善する事
について、まとめていきます。
改善方法については、様々な聴力型(難聴の傾向)があるため、なるべく状況を改善できるように8つの聴力に分け、記載していきます。
改善ページでは、実際の改善事例についても載せていますので、聞きにくさにお悩みの方や聞こえを改善したいという方へお役に立てば幸いです。
感音性難聴の概要
感音性難聴 聴力検査結果
聞きにくさを感じ、耳の状況を調べてもらった場合は、このような聴力図に聴力が記載されます。
これをオージオグラムと呼ぶのですが、感音性難聴の場合は、上記のような図になります。
- 縦軸:音の強さ
- 横軸:音の周波数(ピッチの違い)
- ○、×:ヘッドホンをつけて検査した数値(気導聴力検査)
- [、]:黒いブルブル震えるもので検査した数値(骨導聴力検査)
数値の見方は、このようになります。
耳には、いくつかの検査があるのですが、感音性難聴は、○と×、そして、[ と ] の位置がほとんど同じ位置にきている場合に、診断されます。
気導聴力検査は、ヘッドホンで調べたもので、○が右耳、×が左耳を表します。
骨導聴力検査は、黒いブルブル震えるもので調べたもので、[ が右側、] が左側を表します。
これらで調べたもので、気導聴力検査も骨導聴力検査もほとんど同じ位置に出ているものが、感音性難聴になります。
感音性難聴 症状
感音性難聴の症状は、主に
- 音が聞こえにくくなる(聴力が下がる、低下する)
- 言葉の明瞭性が悪くなる(言葉の明瞭性が欠ける)
の2つです。
人によっては、これにプラスして、
- 耳鳴りがする
- 耳の中に水が入ったような感覚がする(こもった感覚が常時する)
- めまいがある
などありますが、基本的に感音性難聴の場合は、音が聞こえにくくなる事と言葉の明瞭性が悪くなる事、この2つが中心に出てきます。
まず、感音性難聴は、耳の中の内耳(ないじ)と呼ばれる部分が悪化して発症する病気です。
この部分が悪化すると、その症状として、音が聞こえにくくなる事、音声の理解がしづらくなることが出てきます。

音が聞こえにくくなるのは、聴力そのものが低下していることから起こります。正常の状態(0〜25dB)より、下がっている場合、下がると下がるほど、聞きづらさが出てきます。
そして、一番厄介なのは、音は、聞こえるけれども、言葉がわかりづらくなる。という部分です。

耳の中にある器官、内耳(ないじ)は、耳の穴を通ってきた音をキャッチし、脳に送る働きをしています。
その際、脳は、音のままでは、理解ができないため、内耳の中にある有毛細胞(ゆうもうさいぼう)という部分が音をキャッチし、脳が理解できる電気信号に変換し、脳に送ります。
脳は、その変換された内容を認識し、言葉を理解したり、ニュアンスを理解したりしています。
しかし、内耳が悪化していると、うまく音を受け取れなかったり、受け取ったものを誤変換して、脳に送ってしまいます。
そうすると、情報をうまく受け取れず、結果として、言葉がうまく理解できなかったり、音は、聞こえるけれども、何を言っているのかわからない。ということが起こります。
感音性難聴 原因
原因は、よくわかっていません。
感音性難聴の場合、生まれつき感音性難聴で生まれてくるケースや病気によって、聞きにくくなる感音性難聴、そして、遺伝により、聞きにくくなる感音性難聴があります。
しかし、どのケースも直接的な原因は、よくわかっておらず、病気によって、聞きにくくなっている感音性難聴の一部は、ストレスによるものではないか。とは、言われています。
しかし、現状、原因は、よくわかっていないのが実情です。
感音性難聴 改善方法(治療)
感音性難聴ですが、今現在、有効な治療方法がありません。

そのため、聞きにくさがある場合は、補聴器で聞こえを改善していきます。

感音性難聴の原因である内耳(ないじ)は、耳の神経であり、その神経を治す薬。そして、治療する手術がありません。
そのことから、難聴の治療。という部分に関しては、今現在、iPS細胞などによる治療の研究が進んでいます。
しかし、これを書き直している2019年5月9日現在、iPS細胞、もしくは、それに変わる遺伝子治療によるものは、まだまだ研究段階です。
実際に治験や治療が開始されるには、20年先、30年先とも言われており、全く見通しがたっていません。

その事から、今現在、聞こえにくさを改善させる場合は、補聴器で聞こえを改善していきます。
幸い、補聴器も、聞こえの改善度は、徐々によくなってきており、軽度〜中等度難聴くらいであれば、耳が治るレベルまではいかないものの、70〜80%くらいは、改善できるようになってきています。
感音性難聴 再発
基本的に感音性難聴は、再発することはありません。
ただし、感音性難聴になり、その他の別の病気になってしまい、さらに聴力低下が起こる。ということは、起こり得ます。
例えば、生まれつきの感音性難聴の方が年齢により、加齢性の難聴が進んだりすると、感音性難聴にプラスして、老人性難聴の症状が出てくるようになります。
感音性難聴の再発は、ないのですが、その代わり、別の難聴や聴力低下が起こる症状を予防することは、とても大切です。
それにより、ご自身の状態をより悪くするリスクを抑える事ができます。
感音性難聴 進行
感音性難聴になり、よりその症状が深刻化する症状の進行というのは、一部の感音性難聴の方に見られます。
進行性の感音性難聴というもので、進行する原因に関しては、よくわかっていません。
仮に進行性の難聴であった場合は、定期的に病院に通って耳の定期検診を受け、ご自身の耳の状況を把握するようにしておきましょう。
さらに補聴器を装用して、聞こえを改善する場合、聴力低下が起こってしまった時は、補聴器屋さんに行き、聴力が変化する度にご相談するように心がけておくと良いです。
もしできるのであれば、病院にかかった際、自分の症状は、進行性のものなのか。を伺えると、ご自身の状況をより把握することに繋がります。
感音性難聴 予防方法
感音性難聴を予防する方法は、再発そのものがないため、基本的には、ありません。
しかし、のちに多くの方に訪れる加齢による老人性難聴(加齢性難聴)、そして、片耳のみ失聴してしまう、突発性難聴など、感音性難聴以外に途中から、聞きにくくなる病気は、存在します。
老人性難聴の場合、原因は、
- 大きな音の聞きすぎ
- 動脈硬化
の2つであることがわかっています。
若いうちから大きな音を聞きすぎると、若いうちは、良いのですが、年を重ねてくると、急に聞きにくさを感じるようになってしまいます。
また、動脈硬化も原因の一つで、血流の流れが悪くなったりすると、難聴の進行は、早くなることが、わかっています。
これらを防ぐためには、大きな音を聞きすぎないことに注意する必要があります。
基本的には、スマートフォンや音楽を聴く際は、iPhoneやボリュームの半分くらいまでしか増幅しない事。そして、そのほかの音は、適切な音の大きさで聞くようにし、なるべく音を大きくして、聞かない事です。
さらに、睡眠に関してもしっかりとるようにし、耳にダメージが残らないようにするのも大切です。
また、動脈硬化に関しては、
- 睡眠を十分にとる事
- バランスの良い食事
- ストレスをなるべく貯めない事
- 禁煙する事
- 飲酒もほどほどに
をする事で、なるべく進行せず、予防に繋がります。
参考:動脈硬化について
突発性難聴の場合も同様で、原因は、ストレスによるものとされており、動脈硬化と同じく、上記の部分を行うことで、なるべく発症をしないようにする事ができます。
上記の内容は、現代人としては、非常に難しい部分もありますが、行えると、それだけ、より低下するリスクを抑える事ができます。
感音性難聴の症状をより理解する
感音性難聴になると起こるのは、
- 聴力低下による聞きにくさ(難聴レベル)
- 言葉の明瞭さが失われる(明瞭度レベル)
の2つが起こります。
こちらには、それぞれ、レベルがあります。
聴力低下による聞きにくさ(難聴レベル)

感音性難聴になると、聴力が低下します。聴力低下のレベルに関しては、聴力検査によって調べられ、そのレベルには、ある程度、区分分けされています。

難聴レベル別の聞きにくさは、こちらの通りです。
- 軽度難聴:対面は、良いが、距離が離れるとわかりづらい
- 中等度難聴:対面での会話が半分聞こえ、半分わからないレベル
- 高度難聴:耳元で大きく話せばわかるレベル
- 重度難聴:ほぼ音声を理解できず
それぞれ、簡易的には、なりますが、このような状態になります。
なお、詳細を記載するとかなり長くなるため、以下にそれぞれの難聴レベル別の聞きにくさに関して、まとめていますので、ご興味がある方は、ご覧ください。

言葉の明瞭さが失われる(明瞭度レベル)
感音性難聴は、言葉の明瞭さも失ってしまう難聴であることを記載しました。
そのレベルに関しても、調べる事ができます。こちらは、語音明瞭度測定(語音弁別能検査)と呼ばれ、詳しく耳を見る際は、調べる事があります。

あ、じ、き、といった一つの言葉がどれだけ理解できるか。を調べる測定で、こちらの最もよい正解数のところ(最良値)を明瞭度とし、どのくらい耳そのものに理解する力があるのかを調べる測定です。

測定の意味は、このようになります。音を大きくしていって音声が理解できるのか。を調べるのですが、中には、音を大きくしても、理解できない方がいます。
どちらかというと、補聴器の適性を調べる際に使われる事が多い測定ですが、明瞭度を調べる測定もあります。
そこから見る感音性難聴の症状
これらの事から言えるのは、感音性難聴に関しては、音が聞こえにくくなることに加え、音声の理解もしづらくなる事が出てくる事です。
音が聞こえにくくなることにより、言葉も理解しづらくなるのは、その通りなのですが、それにプラスして、音声の認識エラーも起こり、より、言葉が聞こえづらくなってしまいます。
それが感音性難聴になります。
感音性難聴によって起こる障害
感音性難聴の場合、実際には、聞こえにくくなる事が問題ではなく、聞こえにくくなることによって起こる障害の方が、問題です。
それには、
- コミュニケーション障害
- 自信の低下
- 人によっては、うつ傾向がでる
の3つがあります。
コミュニケーション障害
難聴により聞きにくくなると、まずはじめに出てくるのは、コミュニケーション障害です。
コミュニケーション障害とは、聞こえにくいことにより、意思疎通がしづらくなり、それにより、対人関係に大きく影響を及ぼしてしまう事です。
聞き間違いにより、言った言っていないなどのトラブル、聞こえていないことにより、気がつかなかったりして、無視していると思われてしまうなど、聞こえにくいことによって、様々な事が起こりやすくなってしまいます。
これらは、人とあまり接する機会がない方は、起こりにくいのですが、会社や職場、人とお話する機会がある方は、このような聞こえにくいことによる障害が起こりやすくなります。
重要なのは、対人関係に大きく影響を及ぼしやすい事です。耳の場合は、見てわかるものではありませんので、周りからすれば、聞こえているものと認識されます。
その状態で呼んだのに関わらず、返事がなかったり、普通に話していて、変に返答されると「無視しているのか?」や「聞く気がないのかな?」と一部の方に誤解をされてしまう事があります。
これは、単に聞こえていなかっただけなのですが、側から見ると、どうしてもそのように見えてしまうため、それによる対人関係の悪化が、非常に問題になりやすくなります。
自信の低下
聞きにくいことにより、何か失敗してしまったり、本来ならできた事ができなかったりした場合、それにより、自信の低下が起こる事があります。
特に聞きにくさに関しては、自分の力では、どうすることもできない事が多いため、それにより、自信の低下が起こりやすくなってしまいます。
また、聞きまちがいや聞いてもよくわからい状態が多くなってしまうと、徐々に自分がしていることに自信が持てなくなり、聞く気が起きなかったり、自信そのものが喪失する事もあります。
人によっては、抑うつ傾向がでやすい
難聴になった場合、一般的な人よりも、著しく鬱になりやすい傾向が出る事が、研究結果でわかっています。
その要因は、聞きにくいことにより、対人関係がうまくいかなくなってしまったり、職場で働きづらくなってしまったり、うまくいかない事が多くなってしまうことで、自信がなくなってしまったり、と、要因は、たくさんあります。
どうしても自信がなくなりやすい事、対人関係に影響が出やすい事、これらが影響しやすく、それにより、メンタルが不安定になってしまう方も見られます。
8つの聴力別、感音性難聴の改善方法(補聴器)
基本的に感音性難聴は、治療する事ができません。そのため、補聴器で聞こえを改善していくことになります。
しかし、聴力型や難聴レベルによって、補聴器で改善する方法は、異なります。
そのため、聴力別に改善方法をまとめてみましたので、ご自身に合うものをご覧いただければ幸いです。
両耳とも感音性難聴の改善
軽度難聴の改善


中等度難聴の改善


高い音が聞こえにくい耳の改善


低い音が聞こえにくい耳の改善


感音性難聴で左右差があるケースの改善
左右の聴力が少し異なる方の改善


左右の聴力が大きく異なる方の改善


片耳のみ感音性難聴の改善
片耳のみ大きく聞きにくい方の改善


片耳のみ中等度くらいの聞きにくさの改善


感音性難聴を補聴器で改善した事例
補聴器により、実際に感音性難聴を改善した事例に関しては、以下の通りです。
リンク先には、実際にどのように改善したのか。その点に関してもまとめています。
高い音が聞こえにくい方の改善

どのような事でお悩みでしたか?

補聴器を実際につけてみて、いかがでしょうか?

このお店でご相談(購入)したのは、なぜでしょうか?

実際のアンケート


両耳とも軽度難聴の方を改善

どのような事でお悩みでしたか?

補聴器を実際につけてみて、いかがでしょうか?

このお店でご相談(購入)したのは、なぜでしょうか?

実際のアンケート


両耳、中等度難聴の方を改善

※突発性難聴に関しても、感音性難聴の一部になりますので、ご紹介しました。
どのような事でお悩みでしたか?

補聴器を実際につけてみて、いかがでしょうか?

このお店でご相談(購入)したのは、なぜでしょうか?

実際のアンケート


感音性難聴のまとめ
こちらでは、
- 感音性難聴を理解する事
- 感音性難聴を改善する事
の2つに関して、まとめてみました。
感音性難聴は、今現在、残念ながら治療する方法がありません。そのため、聞こえにくさがある場合は、補聴器で聞こえを改善していきます。
耳の聞こえにくさは、難聴レベルによって変化しますが、聴力低下が大きくなるとなるほど、聞きにくさが強くなってしまいます。
そして、聴力は低下すると低下するほど、補聴器による聞こえの改善度も低下し。さらに感音性難聴の障害であるコミュニケーション障害、自信の低下なども、引き起こしやすくなります。
そのため、聞きにくさがある場合は、早々に改善することが大切になります。早々に改善できれば、お悩みが深刻化せずに済みますし、早く楽になります。
補聴器は、耳を治す。ということはできないのですが、軽度〜中等度難聴くらいであれば、7〜8割くらいは、改善できるようになってきています。
改善されると、聞きにくさによって、悩んでいた部分も、改善しやすくなりますので、お悩みの場合は、早々に行動し、より良くしていきましょう。
聞こえにくさにお悩みの方へ、こちらの内容が参考になったのであれば幸いです。
補聴器に関する内容

基本的な改善思考


補聴器の形状

補聴器の性能

補聴器の調整

補聴器の適正

補聴器の効果を上げる思考

補聴器で改善した事例
補聴器の使い方

補聴器に慣れる

耳が痛くなる場合は?

耳から外れる場合は?

大きい音が辛い

補聴器がハウリングする
