補聴器をより良く使うためのケア

補聴器の耐久年数は5年、にまつわる謎と新たな判断基準

補聴器を購入するとき、「どのくらい補聴器は使用できますか?」「補聴器の耐久年数は、どのくらいですか?」という質問があります。それに対して良く聞く言葉は、「5年です」や「4~6年です」という言葉です。

しかし、よくよく考えてみるとこの考えは、少しおかしいのではないか……と感じます。

というのも、補聴器は修理して使用していくことが前提の機器です。世の中には、壊れたら新しいものを購入するタイプと修理し続けて使用していくタイプがあります。補聴器は、修理し続けて使用していくタイプです。

今回は、疑問に思うポイントと新たな考えた方について記載していきます。

耐久年数の謎

このように思うのは、三つの理由があります。一つ、冒頭の通り、そもそも補聴器は、修理前提で使用する機器である。二つ、使用できる期間は、購入する時期によってバラバラ。三つ、5年も持つ補聴器はほとんどない。

では、それぞれ見ていきましょう。

補聴器は修理前提で使用する機器

物には、様々な使用形態があります。その一つが、故障したら新しい物を購入するタイプです。例えば、コップやお皿は、割れたらほとんどの人が修理するのではなく、新しいものを購入します。最近の家電製品も一部のものは、修理するより、新しく購入した方が安く済みます。このような場合は、壊れたら新しいものを購入するといった流れになります。このようなタイプには、耐久年数というものがあります。そして、一般的に耐久年数とは、その製品がこの期間は壊れることなく使用できるであろうという年数を指します。

一方、新しいものを購入するのではなく長く一つの製品を使用し続けるものもあります。一部のスーパーカー(フェラーリなど)や楽器は、長く使用する傾向があるため、修理して使用するケースが多くなります。こちらの場合は、耐久年数はあまり関係なく、関係するのは、修理に必要な部品があるかないかになります。耐久年数は商品が故障しないで使用できる年数を表していますが、修理前提で使用する物は、耐久年数を気にしない特徴があります。なぜなら直す事、前提で作られているからです。

補聴器は、完全に修理前提で使用する機器です。耐久年数5年と言われたのにかかわらず、5年以内に修理した人は、だいぶ多いのではないでしょうか。耐久年数は、前者のパターンに当てはまるものであり、補聴器について耐久年数という言葉を使用するのは、少し違うような気がしています。

補聴器販売店で働いていた頃の私は、情けないことにこの矛盾に気が付いていませんでした。

使用できる期間はバラバラ

補聴器の場合、補聴器が製造中止(販売中止)になってから5年間は、部品を製造していますので、その間なら修理し続け、使用する事ができます。しかし、それを過ぎてしまうと部品がないため、修理することができません。これは、言い換えると新しく出たばかりの補聴器を購入した場合、下手すれば、6~9年くらい使用できるケースがあるのに対し、製造中止になる直前のものを購入すると5年しか修理期間がないことになります。

補聴器を購入する時期により、使用できる期間は、異なります。これは、修理前提で作られている事の特徴と言えます。

5年も持つ補聴器はほとんどない

私が居た頃、疑問に思ったことは、5年も持つ補聴器は、ほとんどなかった事です。大抵の方が何かしらの形で、5年間使用する前に修理を経験しています。子どもに関しては特に躊躇で、5年間持った方は、ほぼいないのではないかと考えています。

また、5年間保てばいいというわけではなく、音がしっかりと出ている状態で、5年間持つという事が重要です。個人的な感覚では、3~4年で、マイク、イヤホンのどちらかが何かしらの原因で壊れることが多くなります。この壊れるという部分も音が小さくなるものから、音が止まるレベルまであります。音が小さくなるものは、私自身も装用していて気が付かなかったことがあり、故障していることに気が付いていないケースもあるのではないかと考えています。

アナログ補聴器の時代は、確かに5年持った方もいたのかもしれません。しかし、それは、問題なく使用できて5年保ったのではなく、一部のところが壊れていても音が出るようなものは、そのまま使用していた方が多かったからです。伝わる方にしか伝わらない表現で申し訳ないのですが、通常の操作では、音がでないものが、スイッチを少し浮かせたり、微妙な位置で止めると音が出る……などは、アナログ時代よくありました。では、故障していなかったか……というとそのような事はありません。全て故障しているとみなされるものです。

現在の補聴器の製造スピード

上記では、耐久年数5年にまつわる謎を記載してみました。こちらでは、今現在の補聴器の開発状況について記載していきます。こちらは、補聴器の買い換えについて、別視点で捉えるために必要な内容です。

今現在、非常に早い勢いで、新製品が出て行きています。少し前までは、1~2年に1度新製品を発売するするものが、半年サイクルでどんどん新しい製品が出てきています。これは、補聴器に限ったお話ではなく、今現在、物については、急激に新しいものが増えてきています。

個人的には、物を長く使用するという考えについて、変えていかなければならないように感じています。難聴は、残念ながら、全ての音が聞き取れるようになるものではありません。しかし、新しい補聴器を装用して、今の補聴器より、装用感が良い、良く聞こえるような気がする、聞こえの検査してみたら良く聞こえたというようなものがあれば、どんどん買い換えても良いのではないかと考えています。聞きにくい物をずっと長く大切に使用するのではなく、聞きやすいものにお金を投資し、自分自身を良くしていくことにお金をかけるという考えは、悪い考えではありません。

何事も急に変わりつつある今、このように思考を変えるべき時が来ようとしているように感じます。

新たな判断基準を考える

では、上記の事を元に、どのように考えたら良いのでしょうか。仮に目の前にお客さんが居たら、このような説明を行います。「補聴器は、壊れたら買い換え……という使い捨てのものではなく、修理できる期間というものが存在します。それは、製造中止から5年間です。長く使用する事も良い補聴器が出たらそちらに乗り換えるのもお客様の自由です」このように伝え、どちらを選ぶかは、お客さん次第で良いと考えます。

なお個人的には、新しいものが出て、かつ自分にとって良いものならすぐに変えてしまいます。なぜなら、良い物があるのにそれを使用しないのは、機会損失に繋がる可能性があるからです。補聴器を装用していると、どうしても聞き取りにくいところがあります。そこで、「あの補聴器だったら何とかなったかも?」何て思ってしまうと後悔しか残りません。自分にとって重要な耳には、私自身、投資していくタイプです。耳の聞こえは、コミュニケーション障害を引き起こすほど、重大なものです。それが少しでも少なくなるのなら、投資する価値はあると考えています。もちろん補聴器は、高額ですので、金額の許す範囲内でのお話になります。

あとがき

修理に関して思うことを記載してみました。補聴器屋にいる頃は、よく怒られなかったものだ……と思い出しながら記載してみました。修理前提なら、修理前提でそのまま伝えれば良いものの、なぜか伝えない事の方が多いように思います。どこの補聴器販売店も「補聴器の耐久年数は5年です」と記載されています。

補聴器の新製品発表サイクルが早まった今、5年も前のものを使用しているリスクについても考えていかなければならない時代に入りました。それは、上記にある機会損失です。もちろんそれを受け入れたうえでの選択なら構いません。どのように考えるかは、人それぞれであり、自由です。

 

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深井 順一
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者で補聴器を使っている事、補聴器の販売を行っている事、この二つの視点で、ブログを書いたり、補聴器のご相談をしています。書いている人の詳細は、こちら。お店に関しては、こちらに詳細を書いています。お店の場所は、東京都墨田区、都営浅草線本所吾妻橋駅より徒歩2分のところに、あります。
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