ロジャー・FM・通信機器

補聴援助システムを購入前に理解したい欠点の改善方法

難聴の子どもの聞こえを支援する補聴援助システム。このシステムは、非常に素晴らしい聞こえを提供してくれる頼りになる機器です。しかしその一方、とても厄介な一面を持っています。それは、使用する人と欲しい人が異なる事です。

この点は、補聴援助システムの欠点となる部分です。ここを改善しないと購入しても使用できない、あるいは活用できないという状況に陥りやすくなります。今回は、補聴援助システムについて、考えていくと共に、どのようにして、この欠点を改善していくかも記載していきます。

どんな道具も使えるようにならなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。それは、補聴援助システムも同様です。

なお、補聴援助システムの機能的な内容について不明な方は、こちらをご覧下さい。補聴援助システムであるFM機器、Rogerの両方について記載しています。

リンク:難聴児の聞こえを改善させるFM機器、Rogerとは

それでは、見ていきましょう。

補聴援助システムの弱点

補聴援助システムの弱点は、冒頭の通り、使う人と欲しい人が異なる事です。これは、どのような意味なのでしょうか。一般的商品から補聴援助システムについて考えてみると、面白い事がわかります。

購入する人=使用する人

一般的には、商品を購入する人=使用する人になります。どんな製品も一般的に考えると、この方式が当てはまります。家が欲しいと考える人は、自分が住む家が欲しいと考えており、自分の価値観に合った家を選択します。その他、本も自分が読みたいと思った本を購入しますし、テレビも自分が見たいと思った番組を見ます。食べ物でも同様です。食べ物も購入する人=食べたいものとなります。

世の中の多くは、商品を購入する人=使用する人になります。

補聴援助システムは、逆

では、補聴援助システムは、どうなのでしょうか。補聴援助システムの使い方を見てみると……

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※画像は補聴器メーカーフォナックジャパンより引用

話し手と聞き手の二つに分かれています。話し手は、マイクを持ち、そしてそのマイクに話しかける事によって、聞き手に音声を送る事ができます。言い換えれば、話し手がいないと、補聴援助システムは、効果を発揮しません。自分の声を聞きたいのなら、マイクを自分で使えば構いませんが、聞きたいのは、話し手の声になります。ここで、話し手の協力が必要になります。

ここが、補聴援助システムの欠点になります。この欠点は、商品として考えてみると、とても面白い事に気が付きます。世の中の製品は、ほとんど自分自身の悩みを解決するための道具です。そのため、欲しいと思っている人に届けば良いという思考になります。

しかし、補聴援助システムは、それだけでは、足りません。今現在、困っている事を解決したいと考え、補聴援助システムを購入しても、そのまま解決できないのは、火を見るより明らかです。

補聴援助システムは、一般の商品とは、異なる次元のものであり、特殊なものだとわかります。

まとめ

ここから、読み取れるのは、通常の商品とは異なり、解決しなければならないところがあるという事です。商品を購入する人=使用する人でなければ、使用する人は、使いたいという意欲もありませんし、なぜ使うのかもわかりません。多くの人は、自分の悩みを解決するために、商品を購入し、そして改善しようと試みます。しかし、補聴援助システムは、それだけでは、足りず、他の方の協力まで、得なければなりません。

ここが、通常の商品と異なる点です。お願いするというよりも、使用する人が使用する理由がなければ、うまく行かないのは、おおよそ想像がつくでしょう。どのようなものにも言えますが、商品を購入する人=使用する人ではないケースは、改善が非常に難しい傾向があります。

なお、厳密には、全てが全て、商品を購入する人=使用する人ではありません。ものをプレゼントする場合は、当てはまりません。こちらで出している内容は、自分の悩みを解決しようとするプロセスの中に限定しています。その場合は、だいたい商品を購入する人=使用する本人になります。この状況に限ってこちらでは、商品を購入する人=使用する人と定義しています。

補聴援助システムで重要な事

補聴援助システムで大切なのは、運用方法まで、含めて考える事です。どのように使用してもらうのか、どのように活用するのか、どんな時に使えば良いのか、これらの事まで含めて考えなければなりません。

補聴援助システムを試聴する方にありがちな事ですが、ここをしっかり考えず、効果だけで決めてしまう方がいらっしゃいます。効果だけ見れば、絶大です。聴覚を活用している方からすれば、こんなに優れた聞こえはないといっても過言ではないくらい良く聞こえるようになります。しかし、それが常に運用できるかといったら、話しは別になります。

効果だけで判断してしまうと、ただ購入するだけで終わってしまい、機器の活用ができなくなります。特に人にお願いするというハードルは、精神的に負担が大きいものです。この部分は、お願いする部分の負担もそうですが、使用する人の負担も大きくなります。

重要なのは、補聴援助システムが使える環境を作る事です。

環境の作り方

環境を作る際に、行う事は、マイクを使ってもらう事のお願いです。そして、その中で、行うべき事は、二つあります。使用してもらう事のお願いとリスクの軽減です。

補聴器を装用する方も必要では?と思う方がいらっしゃると思いますが、補聴器を装用する方は、スイッチを押すor送信機の電源を入れれば、自動に音声が入るようにもできるため、ほとんどやる事がありません。

こちらでは、使用してもらう事のお願いとリスクの軽減に絞って記載していきます。

使用願いの仕方

補聴援助システムは、完全に相手次第の機器です。相手に使用してもらえなければ、活用する事もできませんし、改善したいところも改善できません。そのため、お願いする方法を考えなければなりません。こちらでは

  • してはならない事
  • もう一つのデメリット
  • 相手を動かす伝え方

この三つにわけて記載していきます。重要なのは、相手の事を思いやる事です。そこから、全てが始まります。

してはならない事

使用のお願いをする際には、押し付けは、必ず避けてください。どんな人もそうですが、押し付けられて良い思いをする人は、いません。自分自身の胸に手を当てて、何か押し付けられた事が合った時、どのような感情を抱いたかを考えると良くわかるのではないでしょうか。そんな風に言われてしまったら、どんな人もやる気を失いますし、使う気も失います。これは、子どもだろうと大人だろうと変わりは、ありません。

特に立場を利用した押しつけは、後々とんでもないトラブルを引き起こす事になりかねません。例えば「教員だから、生徒の事を思いやるのは当然」や「うちの子には、これが必要なので、使ってもらわないと困ります」という言葉は、言ってはならない伝え方です。この点に注意しましょう。

もう一つのデメリット

このような伝え方をする事によるデメリットは、まだあります。それは、使用する事だけを考えてしまう事です。当然ですが、補聴援助システムは、授業が聞きにくいという問題を解決する手段であり、使用する事が目的ではありません。補聴援助システムを使用するという目的になってしまうと「どのようにしたら聞きやすくなるか」を考えなくなります。

重要なのは、補聴援助システムを使用する事ではなく、授業の際の聞き取りを改善させる方法を考える事です。補聴援助システムは、授業の聞き取りを改善させる数ある手段の中の一つでしかありません。その手段を目的に変えてしまうとうまく問題が解決できなくなる原因になります。

また、補聴援助システムも使い方次第で、聞き取りも変わります。使えばたちまち話しが良く理解できるようになる魔法の道具でもありません。本当に使いこなしたいとお考えなら、双方の意志疎通が必要です。話し手、聞き手が一緒になって物事の解決に迎える姿勢が最も正しい姿勢です。これは、無理にお願いする方法では、絶対に得られない姿勢です。

先生に対してメリットを伝えよう

では、どのようにしたら良いのでしょうか。このような姿勢になるには、先生側にメリットを伝える必要があります。先生の気持ちになって考えると一番嬉しい(と考えられる)のは、自分の授業に興味を持ってもらう事です。言っている内容や話しが面白い、勉強になる、これらの言葉をかけられて、嬉しくない先生は、恐らくいらっしゃらないでしょう。つまり「先生のお話しをもっと理解するために使う」というニュアンスを伝えられると双方共に、良い関係を作れる事になります。

例えば「うちの子が、先生のお話しが聞きにくいようなんです。もっと先生のお話しをたくさん聞きたいと思っているようですので、この機器(送信機)を使用してくださいませんか?」や「先生、いつもありがとうございます。実は、先生のお話しが聞きにくくて困っているようなんです。この機器(送信機)を使うと、より先生のお話しがうちの子に伝わるようになります。先生のお話しをしっかり伝えるためにも使用していただけませんか?」など、言えると良いでしょう。ここは、私が出した例えですので、先生側にメリットがある内容であれば、何でも構いません。

重要なのは、自分の都合で使わせるのではなく、先生が使いたいと思う事を言う事です。そのために、先生側に関するメリットを言っています。先生、児童、双方にいい結果を出せるようにするのが、ポイントです。

伝え方は、非常に重要です。押し付ける事だけは、絶対にやめましょう。押し付けは、百害あって一利無しです。それでは、何も解決しません。仮に解決したとしても、それは表面上であり、後々問題になってくる事があります。

リスクの軽減

もう一つ、重要なのは、リスクの軽減です。先生の気持ちに立ってみればわかりますが、いきなり数十万もするものを持たされたら、動揺してしまいます。特に壊したらどうしよう……と思うのは、正常です。ここは、予め、先生が仮に壊したとしても「お願いした側」が全部負担するという事を伝える事が重要です。

お願いしているのですから、そのくらいは、負担しましょう。特に補聴援助システムは、話し手が色々考えて使わなければならない機器です。言い換えれば、完全に相手次第です。

このように先生側に来るリスクを最小限にするのも重要です。このような事をするだけでもグッと使用してくれる確率は、高くなります。なあなあで行うと後々トラブルになり、挙げ句の果てに使用しなくなるケースもあります。

こんな事にならないように、考えられるリスクは、予め潰しておきましょう。

まとめ

補聴援助システムを使用してもらうには、伝え方とリスクの軽減、この二つが重要です。これは、補聴援助システムに限らず、どんな物事にも言える事です。補聴援助システムは、完全に相手次第の機器です。相手の事をどれだけ思いやれるかで、嫌々使用されるか、よろこんで使用してくれるかに分かれます。

ただ、教員の中には、たまに聖人もいます。このような方は、子供達のためになるなら、何でもする方です。このような方の場合は、上記のような伝え方ではなく「こどものために先生のお力を貸してください」と素直に言えば言いでしょう。それだけで、使用してくれます。

補聴援助システムは、効果を確認する事、以上に使用できる環境を整える事が、非常に重要です。ここを疎かにしてしまうと使用しようにも使用できません。この部分は、しっかりと意識しましょう。そうする事が、状況の改善に繋がり、結果的に、聞きやすい環境を整える事になります。

あとがき

補聴援助システムに関して感じていた事を記載してみました。たまに、購入すれば良いと考える方に会いますので、そのような方のために、何が大切なのかを記載してみました。あくまでも補聴援助システムは、聞きやすくする道具であり、目的のために使う手段の一つに過ぎません。この機器を使えば、解決するとは、限りませんし、しっかりと使用できる環境を整えなければ、効果も発揮されません。

この部分をしっかり考えて、補聴援助システムは、検討しましょう。

これらの内容がお役に立てれば幸いです。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:進化した補聴援助システムRogerを使った感想

リンク:補聴器を磁気ループに対応させるには

リンク:補聴器の性能の一つ、抑制機能を理解する三つの事

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ABOUT ME
深井 順一
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者で補聴器を使っている事、補聴器の販売を行っている事、この二つの視点で、ブログを書いたり、補聴器のご相談をしています。書いている人の詳細は、こちら、東京都墨田区、都営浅草線本所吾妻橋駅より徒歩2分のところに、お店を開いています。
補聴器で聞きにくさを改善する方法、まとめました

聞きにくさがあり、お悩みの方のために、補聴器で聞きにくさを改善する方法をまとめてみました。

書いてある内容は?
  • 難聴の症状別に、どう補聴器で改善すると良いか
  • 補聴器の基本から、種類の特徴、金額による違い
  • ご自身に適した補聴器の選び方

聞きにくさにお悩みの方は、参考にしてみてください。また、お客様の改善事例には、実際の耳の状態から、実際に改善させた方法を中心に記載しています。

補聴器の改善まとめお客様の改善事例

なお、お店に関する内容は、以下にまとめています。

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