補聴器の測定(検査)

補聴器の装用効果目標、語音明瞭度測定で評価するポイント

補聴器を装用した時の限界は、どのように判断したら良いのでしょうか。補聴器を装用する方は、感音性難聴と呼ばれる難聴であり、補聴器を装用したとしても、しっかりと音声が聞こえてくるとは、限らない難聴です。では、音声がどのくらい理解できていて、どのくらい聞こえるようになれば良いかの目標を立てる事はできないのでしょうか。

耳の検査には、語音明瞭度検査(語音弁別能検査)と呼ばれる検査があり、こちらで、おおよその改善数値、目標数値を知る事ができます。

今回は、補聴器の限界を適切に理解する事を目的とし、評価方法に関して記載していきます。こちらの内容で少しでも補聴器に関する理解が深まる事、そして、適切な補聴器に巡り会えたのなら幸いです。

補聴器の限界はどこ?

補聴器の限界に関しては、人により異なります。そのため、冒頭に記載致しました語音明瞭度検査(語音弁別能検査)を行い、どのくらい音声が理解できるのかを数値化します。その後、数値の最良値を限界値として考え、補聴器の効果で目指すべき目標値として設定します。

語音明瞭度検査とは、あ、き、しなどの単音を様々な音量で聞かせ、どのくらい音声が理解できるのか、どのくらいの音量で音声が理解しやすいのかを調べる検査です。こちらは、左右別々に行う事もでき、それぞれの耳の理解力に関しても調べる事ができます。

こちらは、ヘッドホンを使用して測定する事もできますし、スピーカーから音を出して測定する事もできます。基本的には、スピーカーから出して測定をした結果で、補聴器の限界値は決めます。それは、補聴器の適合結果を見る際、同じ条件で比較をするためです。

語音明瞭度測定と適合判断

結果の見方に関しては、

  • 基礎
  • 最良値
  • 比較

の三つに分けて記載していきます。

語音明瞭度測定結果の基礎

語音明瞭度測定結果の見方語音明瞭度測定結果の見方

こちらは、語音明瞭度測定を行った結果を記す図になります。▲が補聴器を装用している状態で語音明瞭度を測定した結果、△がそのままの耳で測定した結果です。縦軸が検査の正解率を表しており、横軸は、音の強さを表しています。例えば「補聴器なしの状態で60dBの音の強さで図った場合の結果は、正解率50%であった」とこの図からは読み取る事ができます。

この図のように様々な音量で図る事で、どのくらいの正解率があるのか、そしてどのくらいの音量で理解できるようになっているのかがわかります。

音声の最良値

さて、様々な音量で測定しますと、音声理解の最良値を理解する事ができます。音声の目標値は、補聴器を装用していない状態で測定した最良値を目標値として設定します。

目標値は非装用時の最良値目標値は非装用時の最良値

図で表現しますと、このようになります。補聴器を装用していない状態で語音明瞭度を測定し、その測定した結果の最も良かった語音明瞭度が、最良値であり、目標値となります。

補聴器装用時の結果と最良値を比較

最良値が理解できましたら、補聴器を装用した状態でも語音明瞭度測定を行います。すると、補聴器を装用した状態での最良値もわかります。補聴器装用時の結果が

  • 目標値との差10%以内は適合
  • 目標値との差15%以上は不適合

となります。図で表しますと、以下の通りになります。

装用時の最良値と非装用時の最良値が同じなのがベスト装用時の最良値と非装用時の最良値が同じなのがベスト

こちらは、適合例です。補聴器を装用した状態でも目標値と同様の言葉の理解力がある事がわかります。そして、補聴器を装用する事で、より小さい音でも、その理解力を持った状態で聞こえている事も理解できます。補聴器の効果が出ている事がわかる例です。

最良値が15%以上離れている場合は、不適合最良値が15%以上離れている場合は、不適合

こちらは、残念ながら不適合と見なす例です。補聴器を装用している状態では、音が小さい状態でも聞こえるようになっていますが、言葉の理解力は思ったより伸びていません。補聴器を装用していない状態の理解力より、最も良い理解力が15%低下しています。このようなケースの場合、不適合となります。

最も良いのは、初めの図のような耳の機能をそのまま活かせる補聴器です。不適合となった場合、補聴器の調節を行うか、補聴器そのものを変更する事を考えます。

まとめ

語音明瞭度測定を行う事により、補聴器の適合がわかりやすくなります。基本的には、最良値の結果が

  • 0〜10%の間なら良好
  • 15%以上になると不適合

となります。15%以上離れてしまう場合は、補聴器を装用しても、耳の機能を活かしきれていない状態と見なし、補聴器の調整、あるいは、別の補聴器の検討を行います。

補聴器の限界は数値化できる

補聴器の限界値は、おおよそではありますが、数値化する事ができます。この数値と比較する事で、補聴器が適切なのか、そうでないのかを判断する事ができます。

なお、おおよそと申し上げているのは、最高値はわからなくても測定した結果の最良値はわかるからです。最高値は、ある意味全ての音の強さで行わないとわからない事であり、そのような事をしますと、膨大な時間と労力がかかり、現実的ではありません。少々簡略化していますが、おおよその部分がわかる事で、その値を目標値にし、補聴器の適合をしやすくしたのが、こちらの内容です。

おおよそでも目標値があるのと、無いのとでは、その後の対応も全く異なります。良好であれば、しっかりと補聴器の効果が出ている事を確認できますし、その方がお客さん、患者さんとしても安心です。そして、結果が低ければ、どのように改善し、目標値まで達成しようかを考える事に繋がります。

補聴器は、このようにして目標値を定め、そして聞こえの改善がどのようにできているのかを確認し、提供しています。

あとがき

補聴器の限界値の判断、目標値に関して記載してみました。上記の内容は、耳鼻咽喉科が定める補聴器適合指針の内容です。補聴器は、このようにして目標を定め、そして効果を調べ、ものの善し悪しをしています。目を補うメガネ、コンタクトレンズ以上に複雑なのは、それだけ耳の聞こえを補うというのは、複雑な行為である事の裏返しでもあります。

おおよそではありますが、このように目標値を設定できると、その数値と比較して善し悪しが判断しやすくなります。これは、患者さん、お客さんのためにあるものですが、補聴器販売業者、医師にとっても役立つものです。

補聴器は、このようにしてものの適性を判断しています。

 

この内容をご覧になった方は、こちらもお勧めです。

リンク:補聴器を初めて装用する方に伝えたい装用後の世界

リンク:補聴器の評価に必要な音場閾値測定に関する基礎知識

リンク:補聴器を選ぶ際に必要な語音明瞭度測定に関する基本知識

リンク:補聴器を選ぶ前に知っておきたい装用感覚に関する思考

ABOUT ME
深井 順一・聞こえを改善する補聴器専門店
補聴器を売るお店ではなく、聞こえを改善する補聴器専門店、パートナーズ補聴器、代表。2019年で補聴器使用歴25年、補聴器販売歴10年。補聴器使用者の視点も含めた聞こえの改善相談をしている人です。このブログは、補聴器を使っている事、補聴器を販売している事、この2つの視点で記載しています。書いている人の詳細は、”書いている人のページ”。連絡先は、”お問い合わせページ"にあります。
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なお、聞こえの改善方法に関しては、8つの聴力別、補聴器で聞こえを改善する方法まとめに、記載しています。

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