2016年2月26日、アドラー心理学、嫌われる勇気の続編、幸せになる勇気が発売されました。
私個人としては、聞こえにくい人には、アドラー心理学が必要ではないか、と考えている人間であり、早速購入して、読んでみました。そして、その感想について記載していきます。
前作は、アドラー心理学の思想が描かれ、今回は、その実践編。結構具体的な事が書いてあります。対人関係にお悩みの方は、前作とセットで読む事をオススメします。
なお、耳や補聴器には関係ないのでは?と思う方もいますが、耳は、コミュニケーションするのに必要な器官ですので、この器官が低下すると、必然的に対人関係に響いてきます。ですので、無関係ではありません。
幸せになる勇気 概要
幸せになる勇気は、アドラー心理学の嫌われる勇気の続編です。哲人と青年の二人の会話方式でお話しが進んでいき、話しの内容が理解しやすくなっています。
前作の【嫌われる勇気】では、基本的にどのようにしたら幸せになれるのか、それに関しては
- 自己受容
- 他者信頼
- 他者貢献
の三つを掲げ、それぞれを実践していく事を推奨していました。
その他、トラウマを否定する、承認欲求を否定するなどあり、私自身も非常に勉強になりました。
その続編が幸せになる勇気です。
嫌われる勇気の後、青年は、教師になり、3年の月日が流れます。その後、再び哲人の元に訪れ、アドラー心理学にかかわる疑問を投げかけます。
幸せになる勇気 参考になった事
私自身が読んで参考になったのは、
- 悪いあなた、かわいそうな私
- 過去は存在しない
- 愛とは、二人で成し遂げる課題である
の三点です。
悪いあなた、かわいそうな私
カウンセリングの世界には、三角柱というものがあるようで、こちらには、
- 悪いあなた
- かわいそうな私
- これからどうするか
の三つが記載されており、カウンセリングを受けにくる方は、ほぼ、
- 悪いあなた
- かわいそうな私
のどちらかに該当する事しか言わないそうです。あの人が悪いと批判をするか、私は、こんなにもかわいそうだとアピールするか、この二つに分かれるという事です。
哲人は、それに関し「いや、そんな事をいくら言っても問題解決しないよね?」と投げかけ、最も重要な「これからどうするか」について、話し合うべきであると言います。
私自身も確かにそうだ。と思います。過去をあれこれ言っても変わらないので、今、何ができるかを考え、素直に実行していく。これしかないと思っています。
過去は存在しない
厳密には「あなたの今が過去を決める」になりますが、なかなか面白い発想&気付きでした。
哲人 人間は、誰もが「わたし」という物語の編集者であり、その過去は「いまのわたし」の正統性を証明すべく、自由自在に書き換えられていくのです。
幸せになる勇気 P66
この内容を説明する前に、歴史に例えてこちらに関しては説明しています。前作のトラウマを思い浮かばせる内容であり、確かにそうだ。と感じました。
物事は、どのように受け止めるかで異なり、それは、過去も同様です。
自分自身の頭の中を整理してみると、これは、納得です。今、なぜこのような事をしているのかを考えてみますと、原因論ではありませんが、確かに、それにまつわる記憶がわんさか出てきます。
私自身も自らの正統性を証明すべく、自由自在に、書き換えられているという事ですね。
ここをさらに深堀しますと、過去は、いかようにもなるという事を表しており、人は変われるという事を強烈に意識させられます。
今は、その意識かもしれませんが、立場や状況が変われば、意識が変わる、捉え方が変わるのは、良くあるお話しです。う〜む、なかなか奥が深い……。
愛とは、二人で成し遂げる課題である
これは、なるほどな〜、と非常に勉強になりました。ぜひ、実践したい事の一つです。
アドラー心理学は、人には承認欲求がある事を前提で、その欲求をいかに満たすか、という点を共同体(社会)という概念で達成する事を推奨しています。
それを人に求めると、その人の傀儡となり、行為そのものの善し悪しではなく、その人が感じる善し悪しで判断してしまったり、あるいは、その人が見てくれる、承認してくれるものを追求してしまうためです。
注目とは、悪い事も含めた上での内容になります。
しかし、これでは、他人の人生を生きる事になり、自分自身の人生を歩めません。
そのために、共同体感覚という概念を考え、
- 自己受容
- 他者信頼
- 他者貢献
を行い、自分の承認欲求を別の方法で満たす事を考えました。
このようにできれば(他にも必要な事がありますが)、他者貢献する事により、貢献感を得られ、他者に必要とされて、承認を得られるからです。
それを理解する具体的な実行方法が、この「愛とは、二人で成し遂げる課題である」となります。
ひと言で言いますと、自分中心から二人が中心になるという事です。以下、本書の内容を引用します。
哲人 愛だけです。「楽をしたい」「楽になりたい」で生きている人は、つかの間の快楽を得る事はあっても、ほんとうの幸せをつかむことはできません、われわれは他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放されます。他者を愛す事によってのみ、自立を成しえます。そして、他者を愛する事によってのみ、共同体感覚にたどりつくのです。
青年 でも、幸せとは貢献感であり、「貢献感を持てば、幸せが得られる」とあのときおっしゃったではありませんか!あの言葉は嘘だったのですか!!
哲人 嘘ではありません。問題は貢献感を得るための方法、もしくは生き方なのです。本来、人間はただそこにいるだけで誰かに貢献できています。目に見える「行為」ではなく、その「存在」によってすでに貢献しています。なにか特別なことをする必要はないのです。
青年 嘘です!そんな実感ありません!
哲人 それはあなたが、「わたし」を主語に生きているからでしょう。愛を知り、「わたしたち」を主語に生きるようになれば、変わります。生きている、ただそれだけで貢献し合えるような、人類のすべてを包括した「わたしたち」を実感します。
幸せになる勇気 272P
自分自身が主体となるのではなく、二人を主体とするという考えは、非常に勉強になります。
どちらかの幸せを基準に考えるのではなく、双方の幸せを基準に考える、これほど、円満に、かつ双方が幸せになれる考えはありません。
どのようにしたら良いかをそれぞれの視点で考え、相談しながら、それぞれの幸せについて考えていく。もちろん、一筋縄ではいかない部分も実際には出てくると思いますが、基本的な思考としては、素晴らしいのひと言です。
これが両者ともできていると、なお良しですね。仕事の交渉場などでは、当たり前の考えですが、家庭でできている人は少ないのではないでしょうか。
と、同時に、もしかしたらほとんどの人は、愛や結婚、そして、「愛とは、二人で成し遂げる課題である」ところに関して、あまり理解されていないのでは?という事も思いました。
この内容は、全ての人にお勧めですし、実際にしていく事が望ましいとも言えます。
対人関係にお悩みの方にはお勧め
幸せになる勇気、こちらは、対人関係にお悩みの方には、お勧めできるものです。
どのようにある事で、対人関係を改善できるのか、良くできるのか、実行する事は、容易ではありませんが、その内容について学べます。
ただ、前作とセットで読む事をお勧めします。前作と陸続きになっていますので、前作を読んでいない方には、理解が難しい可能性があります。
これだけでも理解できるかもしれませんが、前作があるとより理解しやすいと思います。
と、幸せになる勇気を読んで思った事を記載してみました。
この内容をご覧になった方は、こちらもお勧めです。
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このお店は、生まれつき難聴で補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店です。
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