補聴器を使うタイミング

補聴器を使っている人の意見と使っていない人の意見の乖離

少し前、お客様に「深井さんだったら、どれを使いますか?」と言われ、自分が使う補聴器を示すと共にその理由に関して、お伝えしたのですが、なかなかに参考になる質問だなと思い、考えさせられました。個人的には、うまい質問のやり方だと思います。補聴器を使っている人が対応している場合は、特に有効ですね。

私自身、今でこそ、独立していますが、以前は、ある販売店にいましたので、周りの技術者の方々と補聴器の話しをしたり、メーカーの方とお話しする機会も多くありました。しかし、補聴器に関して感じているのは、補聴器を使っている人の意見と使っていない人の意見は、意外にも乖離しているな……と感じます。

補聴器を使った事がない人は理想や特徴だけで判断する傾向があるのですが、使っている人は、使うとどのような事が起こるのかという経験、体験から判断する傾向があります。使っている、使っていないというのは、想像以上に選択思考に影響するのだと私は感じています。

ちょっと今回は、昔話も交えて感じている事を書いてみます。ちょっとした乖離を個人的には感じています。

ある人との思い出

以前、私がまだある販売店にいた頃、私以上に補聴器の知識、調整の技術が優れている方がいたのですが、その方と「自分が使うとしたら、どんな補聴器を使う?」というやり取りをしたのを覚えています。

その方(認定補聴器技能者)が言っていたのは、「俺だったらポケット形かな。だって、ポケット形は、マイクが動かせるし、一番聞こえが良いもんね。相手に差し出せば聞きやすくなるし、マイクが動かせるメリットは大きいよ。まぁ扱うのも簡単だしね」と言っていました。

意外かもしれませんが、補聴器の中で最も聞こえが良いのは何かと言われれば、それは、ポケット形補聴器です。マイクをお話しする方の口元に持ってくる事ができれば、どの補聴器よりも圧倒的に聞きやすくなります。この点は、嘘ではありません。ただし、そんな事が常時できればという前提があります。

使う側の視点で見ますと、ポケット形補聴器は、コードが邪魔になりますし、当時のポケット形は、マイクも1つしかなく、音の方向感覚もわかりません。かつ、外出時、補聴器を置く位置が、体の前辺りになるため、後ろからの音が極めて入りにくく、外出する際は、危険も感じやすくなります。そのため、日常生活を送るには、危険な補聴器と見ていました。

会話するという目的で見るのならベストかもしれませんが、暮らしという観点からすると、正直、あまりお勧めできない形状です。

また、実際に話している人の口元に持ってくる行為は、思いのほか、難しく、複数の人と話している時は、話し手が変わったら、それに合わせてポケット形を動かすとなると非常に面倒です。実際には、そのような事はできませんので、全ての音を一つのマイクで聞く事になり、結果的にかなり聞きにくくなります。

この方とお話ししているときに思わず「え?」と思い、そのまま、その方とは、あまり話さなくなりました。現実を見て、補聴器の選定をしているとは思えなかったからです。また、そのような方とお話ししても有益な情報を得られる事もないと思った事も関係しています。

補聴器の形状に関する違和感

その他にもまだまだエピソードはあります。

例えば、耳かけ形補聴器だと風切り音が入りやすいのですが、耳あな形補聴器にすると風切り音は入りにくくなります。補聴器の教科書的な知識ですと、CICと呼ばれる形状の耳あな形補聴器は、風切り音が改善しやすいという事が書かれています。しかし、この事を実際の補聴器選定に役立てている人はどれほどいるのでしょうか。個人的には、結構疑問を感じます。

補聴器を装用すればわかりますが、風切り音は、少し風があるだけでも補聴器によっては、ヴォーヴォー大きい音がします。風がない日でも、自転車にのるだけでも風の音はしますし、バイクやロードバイクに関してはもっと大きな音がします。

補聴器で重要なのは、音を入れる事ではなく、いかにこのような邪魔する音を入れないか(拾わない構造にするか)になります。風切り音の音を聞いた事がある方ならわかりますが、風切り音がある中で会話はまずできません。風切り音があるだけでもかなり聞きにくくなります。これは、補聴器を装用した事がある方なら、誰でも感じた事があるはずの現象です。

しかし、それらを意識した補聴器選択をしている方がいるかと言いますと、以前いたところでは、私は見た事がありませんでした。

よく補聴器の形状は好みで決めれば良いというケースを聞きますが、そのような事は絶対にありません。それは、各補聴器を使えばわかりますが、各補聴器とも効果は、まるで別物です。これは、実際に耳に使えばよくわかります。

何かが少し違う改善方法

使っていない人達のお話しを聞くと、何かが少し違う……と違和感を感じる事が多々あります。少し使ってみたり、実際に試してみれば、そんな事はないし、しにくいので、お勧めできないという事もあるのに、ちょっとズレた感覚を感じます。また、他の方がより良くなるのに関わらず、それ以外の改善方法を提示したりするケースも感じます。

例えば、紛失を防止するという事で、紛失防止クリップなるメガネのチェーンのようなものを補聴器につけて使う物があるのですが、これを装用して改善するのは、どうなのか?と思います。

といいますのも使ってみればわかりますが、耳から外れやすいという事は、装用した感覚は、かなり心許なく、さらに、歩く振動によって補聴器が動いている可能性がありますので、耳にペチペチ当たったり、外れやすくなっている状態です。また、補聴器がズレる感覚というのは、思いのほか気になったり、快く感じない感覚ですので、しっかり保持できる状態にする事で、安心した感覚も得られます。

個人的には、この感覚は、非常に重要だと思っています。どんな人もそうですが、気が散ってしまう状態というのは、良い状態ではありません。

この場合の改善は、落ちるから落ちても大丈夫なようにするのではなく、落ちるほど保持が弱い状態を良くする事が優先です。そのようにすれば、このような不安を感じず、さらに快適に使用できるようになります。余談ですが、紛失防止クリップを付ければヒモの部分は、かなり邪魔に感じる事もありますので、個人的には、使わない方針で改善しています。

あげようと思うとキリがないのですが、このように使っている側からすると「?」というような改善方法は、意外にあります。

使っている感覚って重要かもしれませんね

私の場合、運悪くこのようなケースばかり対応しているのかも知れませんが、改善方法に関して頭に「?」を感じる事が最近増えてきました。もしかしたら、たまたまかもしれません。ただ、使っている人と使っていない人とでは、改善方法が異なる点を感じます。

補聴器を装用している状態として、良い状態は何か。どのような状態が安定して、使いやすい状態なのかを自分が使っているからこそ、わかっているのかもしれません。私の場合は、過去に色々やった事がありますので、その地味な経験が活きているという可能性もあります。

もちろん、自分が感じている世界が全てではありませんので、状況に関する確認と、改善方法の提示で良くなる点の提示を行いつつ、どのようにするかを決めています。

このような視点で見てみると、使っているという強い利点は、あるかもしれませんね。今更ですが、そのような事を感じます。もっとも私の場合は、自分自身の体を実験台にできるという事で強みを感じていたのですが、そうではなく使ったらどのような事が起こるのか、かつ、どういった状態が良いのかも表現できるというのは、なかなかないポイントです。

突き詰めると補聴器を使っている人の意見と使っていない人の意見は、視点が異なるという事です。とまとめておきます。

ABOUT ME
深井 順一
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者で補聴器を使っている事、補聴器の販売を行っている事、この二つの視点で、ブログを書いています。書いている人の詳細は、”書いている人のページ”こちらをどうぞ。また、連絡先は、”お問い合わせページにあります。
【聞こえにお悩みの方へ】補聴器のご相談や聞こえの改善、承ります

当店は、東京都墨田区で生まれつきの難聴者が対応している補聴器専門店です。補聴器使用者の視点も含めて、補聴器のご相談や聞きにくさの改善について、承っています。

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  • ご自身のペースで一つずつ理解しながら補聴器のご相談をしたい方

などいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。お悩みの改善をさせていただきます。

当店の特徴については、以下の通りです。この先にお問い合わせ先がございますので、そちらより、お問い合わせ願います。また、当店をご利用になったお客様の改善事例もまとめています。

お店の特徴を見るお客様の改善事例

なお、聞こえの改善については、以下にまとめています。お悩みの方は、ご参考にしてみてください。

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