難聴改善の考え方(補い方)

補聴器で聞こえを改善させるための2つの耳の検査方法

さて、こちらから本格的に改善に向けて記載していくのですが、補聴器で聞こえを改善させていくにあたり、はじめにやらなければいけないのは、現状の確認になります。

聞きにくさを改善させるために行う測定は、基本的に

  • 聴力検査(各周波数の音の聞こえ方)
  • 語音明瞭度測定(音声の理解度を調べる)

の2つがあります。

おそらく多くの人は、聴力検査をしたことはあるかもしれませんが、語音明瞭度(ごおんめいりょうど)測定は、したことがないかもしれません。このような測定があるのは、補聴器を装用して改善させる耳は、感音性難聴だからです。

ということで、これらの見方から、これらがわかると、どのようなことがわかるのかまで載せていきます。

難聴レベルを理解する聴力検査

初めは、聴力検査になります。こちらに関しては、

  • 概要
  • オージオグラムの見方(検査結果の見方)
  • 聞きにくさのレベル
  • 活用方法

の3つに分けていきます。

聴力検査の概要

聴力検査に関しては、ほとんどの方がしたことがあるかと思います。

このような部屋で、

このようなヘッドホンを被り

音が聞こえたらボタンを押してください。という測定です。左右別々に調べられ、それぞれの耳の状況を把握できるようになっています。

調べるのは、125Hz〜8000Hzまでが大半になります。音には、低い音から高い音まで、色々とありますので、どの部分が聞きにくくなっているのか。その点を理解するために満遍なく測定します。

とは言え、人間の可聴範囲(人間の可聴範囲は、約20Hz〜20,000Hzになります)を全部調べるのではなく、よく活用する部分を中心に調べていきます。

オージオグラムの見方(検査結果の見方)

検査結果の表をオージオグラムと呼びます。上記にちらっと出てきたものですね。

主な見方は、こちらの通りです。横軸が周波数を表し、縦軸が音の強さを表します。縦軸は、上にあるとあるほど、聞こえが良い状態になります。逆に言えば、下にあるとあるほど、聞こえにくい状態になります。

他、○や×、[、など記号がいくつかありますが、それぞれの意味は

  • ○:ヘッドホンで調べた聴力の右側(気導聴力)
  • ×:ヘッドホンで調べた聴力の左側(気導聴力)
  • [:黒いブルブル震えるもので調べた聴力の右側(骨導聴力)
  • ]:黒いブルブル震えるもので調べた聴力の左側(骨導聴力)
  • ↓:下に↓があるものは、反応がなかった部分です。(単なる表記)

このようになります。補聴器の場合、基本的に見るのは、○と×になります。これが、基本的な聞こえになり、今現在の聴力になります。

聞きにくさのレベル

気になるのは、聞きにくさのレベルですね。聞きにくさのレベルは、どのように見るかで変化するのですが、世界保健機構WHOの基準で見ますと

このようになります。

数値に関しては、平均聴力で見るようになっており、よく使われる4分法の計算方法も上記の通りです。4分法は、基本的に音声の聞きにくさで考える見方で、それぞれの数値別、レベルは

  • 0〜10dB:一般的に聞こえている人
  • 0〜24dB:正常の範囲
  • 25〜49dB:軽度難聴
  • 50〜69dB:中等度難聴
  • 70〜89dB:高度難聴
  • 90dB〜:重度難聴(聾)

と分かれています。

聴力図(オージオグラム)は、基本的に、正常な聴力と比較して、どのくらい下がっているのか。を見れるようにしたグラフになります。

一般的に聞こえている人、例えば、20代の方々が聞こえている数値は、0〜10dBくらいです。人の平均で作られているため、正常な聴力ほど、0dBに近づきます。中には、一般の人よりも耳がいい人もいますので、そのような方は、-5dB、-10dBとマイナス表記になります。羨ましい限りですね。

しかし、全ての周波数がそこで聞こえなければ悪いとはなりません。大体、25dBの範囲内であれば、聞こえにくいことで困ることは、少ないため、ここまでが、正常のラインです。ここから、下がってくると、聞きにくさを感じるようになるため、いわゆる、難聴。というところになってきます。

難聴のレベルは、上記の通りですが、軽度難聴は、

  • 対面では、理解できることが多い
  • 少し離れると呼びかけに応じにくい(気がつかない)
  • 騒がしい中になると、聞きにくさを感じる

ということが増えてきます。

中等度難聴くらいになると

  • 対面でのお話は、4〜6割ほどしかわからなく
  • 呼びかけには、まず気がつかない
  • 騒がしい中になると、聞きにくい

となります。ここくらいから、本格的に困ることが増え、仕事は、もちろん、日常生活でも困るようになってきます。

そして、高度難聴になると

  • 対面でのお話は、ほとんどわからず(耳元で大きい声でやっとわかる)
  • 呼びかけには、まず気がつかない
  • 騒がしい中でも聞こえない

と、わからなくなることが非常に多くなります。ここまでくると困るどころではなく、聞こえないことで、ほとんどのことができなくなってしまいます。多くのケースでは、ここにくる前に聞きにくさに気がつき、改善させていきます。

重度難聴になるとほとんど何も聞こえない状態になります。いわゆる聾というのが、こちらです。

オージオグラムの活用方法

大半は「現状は、どうか」という部分で活用します。上記に記載した聴力別の聞きにくさの部分ですね。

それ以外には、どのような補聴器が合うか」という部分もわかるようになります。

補聴器メーカーフォナックジャパンのカタログより引用

補聴器には、いくつか形状があり、聴力別に補える機器が異なります。ほとんどのものには、カタログ、説明書に、どのような聴力が、どれで補えるのか。というところが記載されています。

補聴器メーカーリオネットより引用

中には、このような表記になっているものもあります。

機械ごとにどのくらい音を強く出せるのか。という部分が決まっていますので、自分の聴力。先ほどの聴力で、どの難聴レベルになっているのか。その点を理解できると、その難聴を補えるものがわかるようになります。

音声の理解度を調べる語音明瞭度測定

さて、次は、語音明瞭度測定です。こちらは、語音弁別能検査とも呼ばれています。行なっていることは、どちらも同じで、表現方法が異なるだけになります。

こちらも

  • 概要
  • 見方
  • 理解度の意味
  • 活用方法

の4つに分けて記載していきます。

語音明瞭度測定の概要

人によっては、こちらは、聞いたことがないかもしれません。こちらは、あ、じ、し、などの一つの言葉を、聞こえる音量からはじめ、どのくらい音声が理解できるのか。を、調べる測定です。

基本的に、聴力検査室の中で行われ、聴力検査のように

聴力検査と同じヘッドホンを使い

今度は、聞こえた通りに記載します。(聞こえた通りに言ってください。というケースもあります)

そして、記載したものを採点し、どのくらい音声の理解ができているのか。それを調べる測定です。

このような測定があるのは、冒頭に記載した通り、補聴器を装用する人は、ほとんどが感音性難聴だからです。

耳の中の図。感音性難聴は、内耳と呼ばれる音を理解する器官の一部。そこが悪化してしまうと、音が聞こえにくくなる他、音声が理解しづらくなってしまい、音は、聞こえるけれど、何を言っているのかわからない。という現象が発生する。その程度を調べるのが、語音明瞭度測定になる。耳の中の図。感音性難聴は、内耳と呼ばれる音を理解する器官の一部。そこが悪化してしまうと、音が聞こえにくくなる他、音声が理解しづらくなってしまい、音は、聞こえるけれど、何を言っているのかわからない。という現象が発生する。その程度を調べるのが、語音明瞭度測定になる。

感音性難聴は、ご存知の方も多いとは、思うのですが、耳の中にある内耳と呼ばれる部分が何らかの障害により、悪化してしまい、聞きにくくなる難聴です。音が聞こえにくくなる他、音声が理解しづらくなる。という部分もでてくるのが、感音性難聴の特徴です。

ここからが重要ですが、この音声の理解しづらくなる部分がかなり強く出てしまう場合は、補聴器で聞こえを改善させることが、非常に難しくなってしまいます。補聴器は、あくまでも音を大きくするだけで、音を大きくすることで、理解できる耳であれば、それなりの効果を出せるのですが、音声を大きく聞かせたとしても、理解に繋がらない耳は、補聴器でも効果がなかなか得られません。

そのため、この測定を行い、耳の状況を調べて、補聴器で効果が得られそうか。そうでないかを調べていきます。測定の仕組み上、補聴器の擬似効果測定的な意味合いがあります。

測定結果の見方

測定結果の見方ですが、

このようになります。○が右側を表し、×が左側を表します。縦軸が、理解度を表しており、上にあると上にあるほど、理解度がよい状態です。そして、横軸が音の強さを表します。こちらは、横軸より、縦軸の方が重要で、正解率が高いと高いほど、補聴器の適性があることになります。

理解度の意味

耳の状況を把握する場合、理解度がどのような状態なのか。それを把握することが必要なのですが、

数値の意味合いは、このようになります。そして、測定結果の最良値。もっとも良い数値が、50%以上であれば、補聴器の適性は、あることになります。こちらは、教科書的な内容になり、実際に現場で改善させている身からすれば、60%くらいは、欲しいなとは、感じます。

活用方法

活用方法は、補聴器の補い方(選定の一部)です。

例えば、こちらの測定を行なってみて、聴力が同じくらいで、かつ、明瞭度も両方とも、60%以上、80%ほどだったら、両耳とも補聴器の適合があると判断できます。その場合、両耳に補聴器を装用し、聞こえにくさの改善を最大限できるようにしてあげた方が良い。ということが理解できます。

逆に測定してみたら、聴力は、同じくらいでも、片耳は、70〜80%と良いことがわかり、片一方は、非常に悪く、20〜30%ほどしか得られないことがわかった。というケースでは、良い方だけ補聴器をつける。もしくは、バイクロスという少し変わった機器で、改善させる。ということもわかるようになります。

片側が極端に低下しており、補聴器の適合が厳しいケースでは、その低下している耳側に補聴器を装用しても、うまく改善できません。たまに低いのに関わらず、装用しているケースをみたりもします。話を聞いてみますと、確認はせず、つけて、聞きづらい。そのため、当店へご相談いただくわけですが、調べてみると、元々が適性がなかった。というケースを何度も経験しています。

これは、お客さんが悪いわけではないのですが、確認を怠ると、このように誤ったことをしてしまい、改善があまりできなくなるケースもあります。補聴器は、お安いものではありませんので、是非とも注意したい点です。

補聴器は、基本的に感音性難聴の方が使うもので、かつ、症状として「音声の聞きにくさ」が出ます。そのため、そもそもの部分として、改善ができるのか、補聴器の適性は、あるのか。という部分を確認するのは、とても重要なことです。そのため、このような測定があります。

感音性難聴の症状も音声がかなり理解しづらくなるケースもあれば、改善がある程度できるケースまで、様々です。

耳の状況を把握する測定のまとめ

基本的に補聴器で聞こえにくさを改善させていくことの第一歩は、

  • 聴力検査
  • 語音明瞭度測定

の2つを行い、まず、耳の状況を把握していくことです。

聴力検査は、どのような補聴器が耳に合うのか、語音明瞭度測定は、補聴器がそもそも適合するのか、という部分を確認し、それぞれの状況に適した改善を行なっていきます。

どちらも改善させていくためには、必要な測定で、耳の状況を把握したのちに補聴器での改善を行なっていきます。

 

ABOUT ME
深井 順一
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者で補聴器を使っている事、補聴器の販売を行っている事、この二つの視点で、ブログを書いたり、補聴器のご相談をしています。書いている人の詳細は、こちら、東京都墨田区、都営浅草線本所吾妻橋駅より徒歩2分のところに、お店を開いています。
補聴器で聞きにくさを改善する方法、まとめました

聞きにくさがあり、お悩みの方のために、補聴器で聞きにくさを改善する方法をまとめてみました。

書いてある内容は?
  • 難聴の症状別に、どう補聴器で改善すると良いか
  • 補聴器の基本から、種類の特徴、金額による違い
  • ご自身に適した補聴器の選び方

聞きにくさにお悩みの方は、参考にしてみてください。また、お客様の改善事例には、実際の耳の状態から、実際に改善させた方法を中心に記載しています。

補聴器の改善まとめお客様の改善事例

なお、お店に関する内容は、以下にまとめています。

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