補聴器の基本・形状・調整

充電タイプの補聴器のメリットと懸念材料

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器で聞こえを改善していく方法については、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善を知りたい方は、お客様の聞こえの改善事例へどうぞ。

最近、ようやく補聴器も充電タイプが各社出てくるようになり、スマートフォンと同じように、充電して使用できる。という時代になってきました。

私が主に扱っているフォナックさんのものも、少し前から、充電タイプは、出てきており、自分で使ってみたり、使用者の意見を聞きながら、知見を得られるようになってきました。

そこで、自分自身で、充電タイプの補聴器のメリットと懸念材料に関して、まとめていきます。お考えの方は、参考にしてみてください。

なお、充電タイプと言っても、各社仕様が異なるようで、あくまでも、フォナックの充電タイプで考えていきます。

充電式の補聴器の基本

基本的に、形状は、ほとんど同じような状態になります。耳にかける耳かけ型のみあり、耳あな型はありません。

このように充電器に差し込んで、充電ができるようになっています。

充電中は、このように光るようになっており、それでわかるようになっています。

充電タイプの補聴器に関してまとめますと、

  • 使用時間:〜24時間
  • 充電時間:3時間でMAX充電
  • 金額:@320,000〜580,000円
  • 備考:30%充電、約30分。50%充電、約60分

になります。

金額に関しては、一般的な補聴器より、少し割高になっていますが、電池を多く使用する方、即ち、補聴器を使用する時間が長い方ほど、充電の方が、結果的にやすくなる傾向があります。

また、今までの補聴器は、だいたい補聴器の蓋の部分で、電源ON、OFFをしていました。

それが、ボタンでするようになります。電池を入れるところがないためですね。

これが、充電式の補聴器です。

補聴器の充電タイプで良くなった三つのポイント

充電式で良くなる部分は

  • 今までより、故障がしにくくなる
  • 電池交換の手間がなくなる
  • いちいち電池を外さずに乾燥することができる

の三つですね。

今までより、故障がしにくくなる

今まで補聴器といえば、汗や湿気により、故障することが多い状況でした。

各社、色々と対策をした事で、徐々に少なくなってきましたが、充電タイプになると、さらに故障しづらくなります。

補聴器の場合、電池の開閉の時に開けなければならないため、そこから、補聴器内部に湿気が入ったり、汗が補聴器内部にしみこんだりすることが多々あります。

補聴器で使用している電池も空気電池であり、開閉の部分を密閉すると、空気(厳密には酸素ですね)が電池に供給されなくなり、補聴器の電池がうまく動作しないようになってしまいます。

そのため、密閉することが困難でした。

一部の製品では、水は通さず、空気は通す素材を使っていたりするメーカーもありますが、使っているうちに、そこの部分が埃や汚れによる目詰まりを起こし、補聴器の動作が不安定になる。という事も起こってしまうこともありました。

それが充電タイプになりますと、空気電池の欠点である空気(酸素)を送る必要が無くなりますので、密閉できることにつながり、さらに補聴器が故障しづらくなります。

補聴器が故障してしまうと、聞きにくくなることで、困ることが増えます。故障そのものが減れば、困ること、そのものを減らせますので、非常に良いことになります。

電池の交換の手間がなくなる

この点に関しては、充電する手間は入るものの

  • 電池そのものを買う必要も買う手間もなくなる
  • 電池がなくなった際に交換する手間がなくなる

という部分があります。

今まで補聴器の電池は、空気電池を購入し、なくなった時に補聴器の電池を交換していました。

充電式になると、充電する手間はあるものの、電池を買う必要もなく、なくなった際に交換する必要もありません。

一日、使用し、お風呂に入る手前にでも補聴器を外し、そのまま充電器に補聴器を挿しておけば、そのまま充電されます。

そしてまた、次の日、使用できるようになります。

いちいち電池を外さずに乾燥ケースの中に入れずに済む

今現在、補聴器を使用している方は、故障防止のために、乾燥ケースの中に入れて使用しているかと思います。

このような乾燥ケースもあれば

このような専用の乾燥ケースもあります。

それが、フォナックのタイプですと、そのまま乾燥剤がついていますので、その中に保管するだけで、乾燥+充電ができるようになっています。

乾燥ケースの場合、補聴器を乾燥させるため(故障を防ぐため)とはいえ、電池をいちいち、取り出して、蓋の上に起き、中に入れて保管する必要があります。

これは、個人的にも結構な手間なので、これが省略できるのは、すごく大きいな。と、思います。

毎日行うことで、かつ手間な部分がなくなるわけですから、ここの部分が個人的には、すごくいいな。と感じた点ですね。

充電補聴器の懸念材料

充電補聴器の懸念材料ですが、これは、連続使用時間です。

簡単に言いますと【問題なく、一日中、使用できるか】という部分ですね。

メーカーさんからの仕様書によると

  • 使用時間:24時間
  • マックス(100%)充電:3時間
  • 30%充電:30分(24時間×0.3(30%)=7.2時間使用するのに必要な時間)
  • 50%充電:60分(24時間×0.5(50%)=12時間使用するのに必要な時間)
  • 80%充電:90分(24時間×0.8(80%)=19.2時間使用するのに必要な時間)

という状態でした。

次に気になるのは、実際に補聴器を使用している人は、どのくらい一日、使用しているのか。になります。

この点は、資料がないので、私の方で、確認できている部分でお伝えしていきます。

結論から記載しますと、状況によって異なるのですが、

  • 朝から一日中使用している人:15〜17時間
  • 仕事の時だけ使用している人:8〜9時間
  • 仕事から一日中使用している人:12〜14時間

になることが多いです。

補聴器には、使用している人のログが残るようになっており、ここから、ある程度、1日の使用時間を割り出すことができます。

朝から一日中使用している人というのは、朝起きて、すぐに補聴器を使用し、夜寝る前あたりに補聴器を外す方です。このような方は、だいたい15〜17時間くらい使用している事が多いです。

次は、仕事の時だけ使用している方です。この方の場合は、週で見ると、平均は低いのですが、1日あたりで見ると、大きい数値になります。そのような方の場合は、このくらい使っているケースが多いです。

仕事の時から一日中、というのは、軽度・中等度くらいの難聴の方の場合、朝からつける。というよりも、通勤中は外しておき、会社の近くについたらつけたり、業務開始とともに補聴器をつけ、そして、夜寝る前までつけている。という習慣の方です。

その場合は、1日あたりの時間は、12〜14時間くらいになる事が多いです。ただ、ブレも大きい状態になります。

このように出してみますと、1日、最低でも80%くらいの充電は、できないと使い続ける事ができない。という事がわかります。

充電補聴器の最大の欠点は、補聴器を使用中に充電ができない事です。

充電タイプのもので、一般的なものといえば、スマートフォンが身近にあるものとしては、考えられます。

スマートフォンは、充電できていなくても、充電しながら使え、かつ、常に使えていないといけないものでもありません。

ただ、補聴器は、常に使えるような状態にしておかなければなりません。

いつ話しかけられるかわかりませんし、補聴器使用中に充電ができないため、しっかりと充電しておかないと、いざ使おうと思った時に使えない。という事が起こる可能性があります。

その点が欠点ですね。

なお、この点に関しては、実際には、毎日、充電する習慣さえつけてしまえれば、大丈夫です。

私も実際に使ってみましたが、日常生活を送る上では、全然問題ありませんでした。私の場合は、1日の使用時間が、9〜11時間くらいです。

朝は、お店についたらつけ、夜、家に着いたら補聴器を外します。一人暮らしなので、話す相手はいないため、補聴器をつける理由がありませんので、家では、外しています。

そんな生活をしている人からすると、全然、きれる様子はなかったため、平気でした。

一つ言えるとしますと、スマホの充電と同じように補聴器の充電器もわかりやすいところに置き、それで充電する事です。

そのようにすれば、充電そのものに関しても忘れないかと思います。

いいなと思ったら、試聴して確認を

私自身から言えるのは、いいなと感じたら、まずは、実際に試して見ることをお勧めします。

充電タイプのもので、手間がなくなるメリットもそれは、いいことですし、気になるデメリットの部分もあるかと思います。

その部分に関しては、実際に試聴させてもらい、一日中、その補聴器を使っていても問題ないのか。充電に関しては、どうなのか。自分の手で確認できると、より実態をつかめるかと思います。

できれば、ご自身の補聴器がまだ使える状態や補聴器の相談し始めであれば、困ることは、少なくなるかと思います。

何事も気になったら、試してみる。という事ができれば、安心かと思います。

という事で、以上。充電タイプの補聴器でした。

補聴器も、どんどん良くなっていきますね。それは、とても良い事です。

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1986年、7月1日生まれ。生まれつきの難聴者で小学2年生の頃から補聴器を使っています。私にとって補聴器とは、難聴の方の生活を支える道具です。この店では、生活を支えられる補聴器を提供したり、支えられるサービスを提供する事で、聞こえの改善、生活の改善に貢献できるようにしています。

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