さて、少し日が空いてしまったのですが、今回は、こちら。補聴器の調整編です。
補聴器の調整は、聞こえの改善の8割ほどしめるほど、重要な部分になります。
補聴器の調整とは、メガネで言えば、レンズの様なもので、聴力に応じて、周波数別にどのくらい補うのか。補聴器で、決めて、実際に改善していきます。
補聴器の調整に関しては、人により、考え方が変わりますが、こちらでは、私自身がどの様にして、改善していったのか。その点に関して、まとめていきます。
結論から記載しますと、私の場合は、自分の聞こえを可視化しながら、聞こえを改善していきました。
その理由は、補聴器を使用している状態というのは、自分自身でよくわからなかったためです。
目次
自分の聞こえをどうよくするか
初めに、どの様に聞こえを改善していったか。という部分になるのですが、結論から、言いますと、私自身は、自分の聞こえを可視化しながら、聞こえを改善していきました。
補聴器の世界には、上記の様な補聴器を装用した状態を調べられる測定があります。

それを使うと、どの様な聞こえになっているのか。その点を把握することができます。

そして、おおよそではありますが、その測定を行った時に、どの部分が、どこまで改善していると、効果が得やすいか。というのも、概ねあります。

今現在の補聴器は、上記の様に聴力ごとに、どのくらい改善すると良いかが補聴器の調整ソフトに出ていたりします。
その目標となる部分まで、改善させることができると、だいたい効果が出る部分まで、改善することが多く、この様に何か目標となるもの、改善指針となるものを理解しながら、改善していけると、聞こえにくさは、改善しやすくなります。
自分で可視化しながら改善した理由
私の場合、元々は、自分の感覚を頼りに補聴器で聞こえを改善していた時期がありました。
自分の聞こえは、自分にしかわからない。そして、自分にとって、スッキリ聞こえる。もしくは、自然に聞こえる様な状態が、良い状態なのではないか。と考えて、そのようにしていた頃があります。
これは、かれこれ、8、9年前の話で、私が23歳か、24歳くらいの時ですね。
ただ、自分の感覚に音を調整すると、だいたい、自分の聴力の様な調整状態になったりすることが多く、結局、そのまま音を増幅しているだけに過ぎない。ということに気がつく様になります。

例えば、これが私の聴力なのですが、見ていただきますと、低い音が高い音より、聞こえている状態です。

補聴器も、低い音をよく補い、低下している高い音は、あまり補っていない。という、まさに聴力の様な状態で、補っている状況でした。

普通に考えれば、高い音もしっかり補い、ちゃんと改善させることが重要なのですが、8、9年ほど前の私自身は、あまり、そのことに気がつかず、逆に言えば、その経験があったからこそ、感覚は、あてにならない。ということを学びました。
感覚で信じてよいのは、音が大きい、音が小さい。もしくは、聞こえてくる音が辛い、きつい。という部分だけで、どの部分が、ちゃんと補えていて、どの部分が、補えていないのかは、感覚だけでは、わからない。という事を経験しました。
そこから、私自身は、なるべく自分の状態を可視化する様にしていきました。
自分で可視化して、気が付いた事

可視化するツールには、わかりやすいものとして、上記の測定があります。

こちらで調べた内容が、上記のものです。これは、聴力検査の補聴器版の様なもので、どのくらい聞きやすくなっているのかを簡単に知る事ができます。
聴力検査の様に、聞こえ始めの部分だけしかわからないため、この測定だけで、全てを決めるのは、あまりオススメしないのですが、この測定をするだけでも、様々な事がわかる様になります。

例えば、音声の部分は、概ね、この辺りが影響しやすく、なるべくその部分は、改善する様にしたり、

高い音に入る2000〜4000Hzあたりは、一部の高い音。例えば、洗濯機の洗浄が終了した時に鳴らすアラームの音だったり、何か機械で動作するときの高い音だったりします。
その部分で、だいたい、40dBくらいまで改善していると、全体的に聞こえやすく、気づく音やわかる音が増えます。

そして、補聴器の世界には、音声を流し、どのくらい聞き取れる様になったのか。を調べられる機器があるのですが、こちらに関しては、上記の様な表を使います。

表の中で、重要になるのは、
- 70dB:少し大きい声の方
- 60dB:普通くらいの声の大きさ
- 50dB:ちょっと小さい声の大きさ
- 40dB:小さい声の方
これらですね。
声の大きさのレベルには、いくつかありますので、全体的に理解できる様になるとベストではあります。

この理解度に関してですが、先ほどの音場閾値測定で、500〜2000Hzあたりが、35dBまで、改善できていると、50dB〜70dBまでの範囲が改善しやすく、500Hz〜2000Hzが、30dBまできていると、40dBの部分まで、改善しやすくなったりします。
この測定を行うことで、どの部分まで、改善すると、どの様な結果が得られるのか。は、おおよそではありますが、把握する事ができます。
だからと言い、むやみやたらに大きくすることは、オススメしないのですが、自分の状態を把握しながら、改善していけると、聞こえの改善は、非常にしやすくなることに気がつきました。
実際に把握しながら、聞こえの改善
そして、実際に自分でも、聞こえの改善をしていくのですが、私の場合は、この様にしています。

私の場合は、なるべく聞こえる様になりたい。と、考えていますので、全体的に聞こえを改善しています。
音声の部分もそうですし、高い音のアラームや体温計の音、そういったものも、全体的に聞こえる様にしている状態ですね。

全体的に30dBくらいまで改善していると(厳密には、500Hz〜3000Hzくらいまでが30dB)、40dBくらいの小さい声でも、改善しやすくなりますので、この様にしています。
※ある程度、音を入れた際に言葉が理解できる方に限定されます。

ちなみに言葉の測定に関しては、この通りです。数値だけ見ると、すごいことになっていますが、聞きにくい時は、聞きにくいです。
例えば、あまりにも低い声の人や元々、はっきり話さない方は、これでも、難しい時があります。しかし、その様な人以外の声は、概ね、わかるようになりました。
なお、騒がしい環境の場合は、補聴器単体だけだと難しいこともあり、自然と、耳を傾けて、なるべく、話している人に近づけて、聞く様にしています。
騒がしい環境下での聞こえは、元々補聴器での改善であった、騒がしければ、補聴器の低音域を下げる。というのもやってみたことはあるのですが、下げすぎたり、下げると、騒がしくなくても、音声の聞き取りの方にも影響が出たりするので、メリット、デメリットを考え、私の場合は、していません。
今現在は、騒がしい中での聞き取りをなるべく阻害されないようにする、指向性。という機能も、徐々によくなってきていますので、補聴器の音の調整で、ちょこまかする。というよりも、機能でよりよくする。というようになってきています。
そのため、私の場合は、聞こえの方を中心に改善し、上記のような状態にしました。
聞こえの調整に関するまとめ
私の場合は、この様にして聞こえの改善を行いました。
この業界に入った頃は、自分の耳の感覚に頼ったやり方をしていたのですが、そのようにするとするほど、こじれていき、自分の感覚ほど、あてにならない事を私の場合は、学びました。
一時期は、遠くの方が近くから話されるより、よく聞こえたり、音は、よくわかるけど、全然、はっきり言葉が聞こえなくなってしまう。など、様々な経験をしました。
その手痛い失敗があったからこそ、一つ、一つ、聞こえの状況を把握しながら、聞こえを改善していく手法になっていくのですが、目で見える形にし、把握しながら、改善していけると、聞きにくさは、改善しやすくなりました。
そのため、今現在は、聞こえを可視化して、把握しながら、一つ、一つ聞こえを改善しています。これは、自分の聞こえもそうですし、お客さんの聞こえも同様です。
幸いにも、補聴器の調整ソフトには、聴力ごとの改善目標の値があるのですが、その部分まで、改善させると、概ね、平均的に改善できる様になってきており、聞こえの改善度そのものも、徐々に、良くなってきています。
調整ソフトに入っている内容も、頭のいい、研究者が色々と考えて作っているものにはなりますので、その効果には、納得なのですが、感覚ではなく、測定で確認しつつ、ちゃんと補うべきところを補う。という至極当たり前のことをする様になってから、自分自身の聞こえも、改善できる様になってきました。
それをしても、感音性の難聴ともあり、聞きにくいこともあるのですが、補聴器の効果に関しては、納得していますし、補聴器で救われている部分も、私の場合は、多いです。
ということで、私の場合は、この様にして、聞こえを改善しました。
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