当店では、フォナックと呼ばれる補聴器のメーカーを扱っています。
よくいただく質問の中に、このフォナックというメーカーは、どんなメーカーですか?という内容があります。
この言葉の意図は、このメーカーは、果たして、自分に合うのか。というところだと思いますが、このメーカーは、向く人もいれば、残念ながら向かない人もいます。
そのため、こちらでは、他のメーカーと比較した際のフォナックの特徴、そして、フォナックの問題点に関して、まとめていきます。
そして、仮に問題点の部分が気になる方は、正直、他のメーカーの補聴器を検討していただいた方がよろしいかと思います。
目次
フォナック (Phonak)と他メーカーとの比較
- 価格:やや高め
- 聞こえの改善:音声の明瞭性(聞き取り)を重視
- 改善が向く聴力:高い音が聞きづらい方、片耳難聴など
- 音質:クリアに聞こえ、澄んで感じる事が多い
- 補聴器の多彩さ:割と補聴器が多い(何でもある)
- 補聴器の形状(小ささ):小さめ
- ハウリングのしやすさ:ほとんどしない
- 扱いやすさ:扱いやすく考慮されている事が多い
- リンク:フォナックのWebサイト
- リンク:フォナックの総合カタログ
フォナックと他メーカー(世界6大メーカー+リオネット)との比較ですが、上記の項目で比較すると、おおよそ、このような評価になります。
一言で言うと、扱いやすさと聞こえの改善効果を重視しているのですが、その代わり、ちょっと金額が高い。というのが、フォナックの特徴ですね。
補聴器の価格
まず、補聴器の価格ですが、やや高めの部類に入ります。
補聴器のメーカーには、海外のメーカーが多く、世界6大メーカーと呼ばれる
- オーティコン(デンマーク)
- シグニア(ドイツ)
- ワイデックス(デンマーク)
- GNリサウンド(デンマーク)
- スターキー(アメリカ)
- フォナック(スイス)
は、日本製の補聴器メーカー、リオネットさんやパナソニックさんより、やや高めにあり、フォナックもやや高めになります。
6大メーカーの中で、突出して高い訳ではないのですが、全体としてみると、価格は、やや高めの部類です。
仮に価格面が気になる場合は、リオネットさんあたりがオススメです。
聞こえの改善
聞こえの改善は、音声の明瞭さ、音声の聞き取りを重視する傾向があります。
聞こえを改善する場合、違和感なく、自然に感じる聞こえにするのか、それとも、言葉の明瞭さを上げ、なるべく聞き取りに貢献できるようにするのか。その点で分かれる傾向があります。
前者は、聞こえてくる音が自然に感じやすい代わりに、言葉の明瞭性は、少し下がる傾向があります。
後者は、音声の明瞭性は、上がりやすい代わりに、音が響いて聞こえてしまったり、音が機械チックに感じる傾向があります。
フォナックは、後者になります。音声の明瞭性をできる限り、改善し、言葉の聞き取りを最大限、改善する思考をしています。
欠点として、音が響きすぎてしまったり、音が機械チックに感じやすかったりする事があるのですが、最近のフォナックは、そういった点も改善しながら、より音声の明瞭性をあげるようになりました。
音の環境には、様々なところがありますので、どのような環境下でもなるべく音声の明瞭性をあげるよう、このような機能もあります(オートセンスOS)
また、フォナックが目指しているのは、どの環境下でも、なるべく音声の明瞭性をあげる事です。
そのため、上記のような機能をどの補聴器にもつけ、どのような環境下でも、聞こえの改善度を高められるようにしています。
フォナック補聴器が向く聴力、向かない聴力
フォナックでの聞こえの改善が向く聴力は、
- 軽・中等度の難聴
- 高い音が低下している難聴
- 片耳難聴
- 左右の聴力が異なる難聴の方
主にこの4つになります。
逆に向かない聴力は、
- 重度難聴(聴力低下が90dB以上)の方
になります。
フォナックの大きな特徴は、聞こえの明瞭性を上げるため、高い音を重点に補うような音の出し方をする事です。
こういった聞こえの場合、明瞭性を上げるため、高い音が必要になるため、このようなケースは、改善に貢献しやすいです。
それにより、高い音が聞こえにくくなっている方や軽・中等度難聴の方の聞こえの改善に貢献しやすいメーカーになります。
片耳のみ難聴のケースは、フォナックが昔から、良くしようと開発および、改善をしてきた分野です。
それ以外には、片耳のみ難聴の方を改善するクロス補聴器というものも、率先して、開発してきた経緯があり、片耳難聴の方の改善も、フォナックは、強いです。
左右の聴力が異なる場合、少し異なるケースも、大きく異なるケース(バイクロスにて改善するケース)も、どちらも貢献しやすいケースになります。
そして、フォナックの場合、両方の耳に補聴器を装用して、聞こえを改善する事を軸にしていますので、左右の聴力が異なる方のバランスも、整えやすくしており、そういったところの強み、貢献のしやすさがあります。
正直、重度難聴の方は、このメーカーは、むきません。素直に別のメーカーにする事をオススメします。
ただし、重度の難聴の方の聞こえの改善は、正直、他のメーカーの補聴器をオススメします。
フォナックは、重度の難聴の方の聞こえを補うのには、少し音が弱めになることがあり、最近では、ついに重度の難聴用の補聴器を開発することすら、しなくなりました。
ですので、重度難聴の方の場合は、フォナックは、正直、改善する気がないため、他のメーカーの重度難聴対応の補聴器をお考えいただく事をオススメします。
音質
音質としては、クリアで音が澄んで感じる傾向があります。
音を強く出すメーカーではない事も合間って、音が自然でちょうどよく、鮮明に聞こえやすい(扱いやすい)。という点では、良い評価だと思います。
ただ、この点は、非常に評価が難しく、自然でちょうど良い。という事は、人によっては、
- 音が物足りなく感じる
- 聞こえる感覚は、あるけど、ズッシリは聞こえない
と感じる事があります。
特に今現在、補聴器を使用しており、その補聴器で割と音を強めに出している方や、低音がしっかり入る補聴器だと、フォナックの補聴器を付けると音が軽く感じる可能性があります。
フォナックは、音が自然でちょうど良く改善する傾向が強い補聴器メーカーですので、補聴器を初めてお考えになる方や、そのような聞こえの改善と自然さを考えたい方には、オススメなのですが、音をガンガン入れたい方には、向きません。
仮に低音がしっかり入る補聴器が良い。音の強さをガンガン感じる補聴器の方が良い方は、
- ワイデックスさん
- GNリサウンドさん
この2つあたりがオススメです。
補聴器の多彩さ
補聴器の多彩さに関しては、だいぶ色々な補聴器があります。
基本となる耳かけ形補聴器から、耳あな形補聴器。
最近の補聴器だと、スマートフォンに連動できる補聴器や充電形の補聴器もあるのですが、フォナックは、これらの製品も、用意しています。
ただ、仮にスマートフォンと連動する補聴器に価値を感じ、そのような補聴器の方が絶対に良い!という場合は、
- GNリサウンドさん
- スターキーさん
あたりが良いかと思います。
充電形補聴器に関しては、フォナックがだいぶ先にやり始めた事から、取り扱いに関しては、種類が多いです。
補聴器の中には、聞こえる耳側へ音を転送して聞こえを改善するクロス補聴器というものもありま
す。また、片耳だけ聞こえにくい人を改善するクロス補聴器や片耳は、補聴器で補い、もう片耳は、補聴器では補ない方を改善するバイクロス補聴器は、フォナックが先陣切ってやっていた事もあり、このような補聴器もあります。
こういった補聴器に関しては、フォナックは、他メーカーと比較すると強いですね。
補聴器の形状(小ささ)
補聴器の形状ですが、割と小さめに作っています。
これは、耳の穴の中に入れて使う耳あな形補聴器、そして、耳にかけて使う耳かけ形補聴器、両方ともです。
ただ、この小さい。という所は、目立たないように作っている訳ではなく、あくまでも、自然に使えるようにするため、小さく製作しています。
補聴器の形が大きいと耳にフィットした感覚がしづらかったり、耳につけているところが悪目立ちしてしまい、違和感が強くなってしまうためですね。
本当に見えない、絶対に見られないものとなると、耳の中に入れて使う、CIC補聴器、IIC補聴器というのが、候補に上がります。
可能な限り、小さくて、目立たないもの。絶対に見られないものが良い。という場合は、
- スターキーさんのオトレンズ(補聴器の名前)
- シバントスさんの小型補聴器(CIC補聴器、IIC補聴器)
が良いかと、思います。
フォナックにも、CIC補聴器、IIC補聴器があり、かつ、割と形が小さい方ですが、小さくしている目的が異なりますので、絶対に見えないものが良い。という場合は、上記のメーカーさんの方が良いですね。
ハウリングのしやすさ
補聴器を使っている際に耳につけているところから、音が漏れたりすると、ピーッ!というハウリングがします。
このハウリングですが、フォナックは、だいぶしづらく、ほとんどのケースで、ハウリングがしません。
ハウリング機能が強いメーカーは、フォナック、スターキーさんあたりで、逆にちょっと弱めで有名なのが、ワイデックスさんです。
ハウリング機能が強いと、補聴器をだいぶ快適に使いやすくなります。
ピッーッ!という音は、聞こえると、だいぶ不快に感じやすい音だからですね。
そういった快適性を求める方は、フォナックは、オススメです。
補聴器の扱いやすさ
扱いやすさに関しては、フォナックは、だいぶ上位に入ります。
補聴器の装用した感覚を楽にするため、割と補聴器を小さめにして、使いやすくし、かつ、補聴器が自動で周囲の環境を感知して、その場その場に合わせて聞こえを改善するようにしています。
簡単に言えば、補聴器の電源を入れて、耳につけるだけで、余計な操作は、せず、使えるようにしている。という事ですね。
長時間使っても、疲れないような補聴器の設計をしていますので、この点は、優秀になります。
まとめ
残念ながら、フォナックは、全ての人に合う万能な補聴器メーカーではありません。
これらの特徴や比較してみて、良い部分を感じるのであれば、対象となりますが、問題点の部分が気になる場合は、あまりオススメしません。
私のところは、フォナックを扱っているお店ですので、仮に欠点の部分が気になる場合は、素直に他のメーカーを扱っている補聴器販売店さん、あるいは、他の補聴器メーカーにしていただくことをオススメします。
なお、補聴器に関してですが、音の感覚は、正直、好みがあるため、できれば、補聴器を試してみて、ご自身が使う上で、問題なく使えるのかは、確認できると良いです。
補聴器を使わせてもらい、問題なく使えるのであれば、それは、良い補聴器ですし、違和感が強い場合は、使い続けるのに苦労する可能性があります。
この点は、人の好みが入ってきますので、入れなかったのですが、その点だけ、お気をつけいただければと思います。
聞こえにくい事でお悩みだったり、使用されている補聴器が不調。など、聞こえづらくてお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
安心してご相談できるよう、補聴器の貸出や試聴も行なっています。
当店でご相談を希望される場合は、まずは、お問い合わせフォームより、ご連絡ください。
当店の内容や聞こえの改善に関しては、以下にまとめています。