聞こえにくくなってきたので、補聴器をつけた方が良い?という質問に関する私の回答

たまに聞こえにくくなってきたので、補聴器をつけた方が良いのか。という質問をいただくのですが、これだけは、正直、何とも言えない。というのがあります。
今現在の聴力の状況にもよりますし、聞きにくさがどれだけあって、生活する上でどのぐらい困る要素があるのか。によって、変わってきてしまうためです。
ですので「状況による」としか言えないのですが、仮に聴力低下もそれなりに進んできており、さらに困っているけれども悩んでいる。と仮定して、お話をしますと「自分自身の人生に必要なら使った方が良いし、自分の人生に必要ないなら使わなくて良い」と私ならお答えします。
少し厳しい言い方のように感じるかもしれませんが、これには、
- 今現在の補聴器の状態
- 自分自身がどうしたいかが一番大事
の2つの理由があります。
今回、こちらの内容をご覧いただくと、なぜそう言えるのか。この点について理解することができ、かつ、自分は、本当に補聴器が必要なのか、そうでないのか。それを考えるきっかけになります。
今現在の補聴器の状態
今現在の補聴器の状況なのですが、聞こえにくさを抱えている人の中で、まず補聴器を使っている人は、どのぐらいいると思いますか?

これ、だいたい全体の14〜15%ぐらいである。と推定されています。
どうでしょうか。皆さんが考えていた数より、多いでしょうか。それとも少なかったでしょうか。
さらにその中で、補聴器に関して、満足している人の割合。これは、だいたい35〜40%ぐらい。と言われています。

上記の内容は、日本国内における補聴器の満足度の統計です。そこの数値を見てみると、全体は、38%になります。
満足している人の数は、いるものの、日本の場合は、半分を超えておらず、実は低い状態なんですね。

じゃあ、日本以外は、どうなの?という事になりますが、ヨーロッパは、福祉大国で補聴器に関してもだいぶ先進的な事もあり、そこでの満足度は、だいたい70〜80%です。
私自身も補聴器を使っているのですが、私の場合は、自分の聞こえに関しては、やはりだいたい80%ぐらい満足していますので、ヨーロッパ諸国と評価は同じぐらいですね。
もちろん、私自身も聞こえない事。聞こえにくい事はありますので、100%満足しているか、と言われれば、そんな事はありません。
しかし、補聴器を使う事で、確実に自分の生活しやすくなりますし、だいぶ聞こえが良くなるので、それを差し引きすると、70〜80%かな。と思います。そうすると、だいたいヨーロッパ諸国と同じくらいの評価になります。
この要因には、様々なものがあるのですが、大きな要因として、補聴器で効果を出すには、それなりの時間がかかるという事です。
私の場合、自分でお店を立ち上げる前は、補聴器販売店のチェーン店にいたのですが、そういったところでは「補聴器をつければその日から簡単にすぐに聞こえるようになると思っていた」「こんなにちゃんと相談しないといけないとは、思わなかった」という声をよく聞きました。
補聴器というものがあまりにも外側から見えづらいので、補聴器の事を甘く見過ぎて、途中で挫折してしまう。という方が結構いました。
この点は聞こえの改善を提供する側も、もう少し楽に改善したり、使いやすくして徐々に補聴器の音に慣れさせて、聞こえの改善をできるようにしたりなど、工夫の余地があるとは思いますが、それをしても厳しい方は効果を出すのに厳しい状況です。
音は、脳で聞いている。という事。そして、難聴の状態を特に何年間も放置している方ほど、補聴器の音が異質に感じ、慣れる前に、挫折する傾向があります。
本当は、もっと簡単に改善できるのが一番良いのですが、耳というより脳の問題になる事も多く、誠に申し訳ないところではあるのですが、そういった傾向が出てきます。
自分自身はどうしたいのかが一番大事
私自身は、生まれつきの難聴者で補聴器をつけている人間ではあるのですが、では、なぜ補聴器をつけているか。というと難聴の体でも、より良く生活できるようになりたいからです。
そのために補聴器を使い、自分自身の体に対して、できる事。やった方が良い事。そういった事を行なっています。
ここで大事なのは、補聴器が先に来ているのではなく、自分自身がどうしたいかが先に来ている。という事です。
補聴器が主体なのではなく、自分が主体である。という事ですね。
私自身、補聴器で聞こえを改善している人間でもあり、さらに補聴器を自分自身で使っている人間でもありますので、うまくいかなかった方も知っていますし、補聴器を使い続けている方も知っています。
個人的な経験にはなりますが、他の方がこう言ったから。とか、周りに言われて……という方は挫折する事が多く「聞こえにくい事による被害が限界だ。補聴器を使うか」や「流石に聞こえを改善しなきゃまずい!」と思った方は、だいたいうまくいきます。
外部的理由ではなく、内部的理由が非常に大事。という事ですね。
外部的理由というのは、理由が自分ではなく、自分の外にある状態です。誰かにこう言われた。周りにこう言われたから、きた。というケースです。
一方、内部的理由というのは、使う理由が自分自身にちゃんとあるケースです。
聞こえにくさがあってこのままではまずい!と思うケースから、ちゃんと聞こえを改善し、しっかり自分の人生に向き合いたい。少しでも自分の状況をより良くするためにできる事をしていきたい。という方です。
内部的理由についてお伝えすると「え?そんな方いるの?」と思う方もいるかもしれませんが、今まで何とか聞きにくいままで、いろいろやってきたけど、やはり周りにも迷惑かけてしまっているし、ちゃんと自分ができる事は、しよう!という事で、補聴器を使われる方もいます。
補聴器を購入して、その後も使い続けている方や補聴器をよく活用している方を見て感じるのは、自分自身にちゃんと補聴器を使う理由があるのかどうか。それが大きいです。
そのような方は、補聴器が主体なのではなく、自分が主体になっており、自分自身はどうしたいか。今後、自分は、どう生活していきたいのか。どのように生きていきたいか。そこを考えた方が多いです。
その事から、私自身は自分自身がどうしたいか。これが一番大事である。と考えています。
もちろん、ここは、外部的理由だと、途中で「私は一体何のために補聴器を使っているんだ?」とわからなくなる事も要因としてあると思います。自分自身、補聴器を使う理由がないからです。
自分の目的のために補聴器が必要、補聴器があった方が良いのであれば使った方が良いですし、自分の目的を考えた時に補聴器は不要であれば、使わない。で良いと思います。
大事なのは、自分自身がどうしたいか。こちらになります。
まとめ
アドバイスと言えるのかどうかわからないのですが、私自身が実際に使っていること。そして、補聴器の実態。その部分を合わせて、この内容に関しては、記載してみました。
本当は簡単に改善できるのが一番良いのですが、人によっては長年、音を脳が聞いておらず、音が異質に聞こえたり、聞こえが良くなることで周りの音がかなりきつく感じたりなど、様々な反応があります。
慣れが必要な部分があるのは事実ですので、聞こえを改善する前のその手前で挫折する。という方はもちろんいます。
その際、その壁を乗り越えるのは、やはり外部的理由ではなく内部的理由。つまり自分自身に補聴器を使う理由があるのか、どうかが。が大きいです。
もちろん聞こえを改善する側も、いきなりきつい状態で改善するとか過度な音量を出して改善する。という事ではなく聞こえの改善をサポートできる形で、なるべく負担を少なくして改善しやすくしていく。という事も必要です。
ですので、なかなか難しい事ではあるのですが、事実として補聴器に満足していない方が多いのも事実ですし、補聴器を使っている人が割合としては、少ない。というのも事実です。
そこから言えるのは、内部的理由がとても大事である。という事ですね。
ですので、私個人としては、自分にとって、必要であれば使えば良いと思いますし、自分に必要なければ、ないで良いのでは?と思っています。
私が補聴器を使っているのは、難聴の体でも、より良く生活できるようになるためです。そのため、私は補聴器を使っています。
つまり、補聴器が先に来るのではなく、難聴の自分自身が先に来ている。という事ですね。