対応している人(書いている人)の詳細
初めまして、パートナーズ補聴器の深井と申します。
東京都墨田区で補聴器専門店を運営をしており、私自身、生まれつきの感音性難聴になりますので、子供の頃から補聴器を使っています。
補聴器を使っている難聴の人が補聴器の仕事をしているケースは珍しいと思いますので、こちらでは、そんな私のこと、お店のことについて、簡単にまとめていきます。
対応している人(書いている人)
プロフィール
- 名前:深井 順一
- 生年月日:1986年7月1日
- 生まれ:静岡県静岡市葵区
- 育ち:千葉県市川市
- 従事:2007年より補聴器販売に従事(従事歴15年)
- 独立:2016年2月にお店設立(継続歴8年)
生まれは、静岡県静岡市。小学校一年生くらいまで静岡県浜松市におり、父の転勤に合わせ、小学校2年生の頃に千葉県市川市へ。そこから私自身の仕事の都合で、神奈川県横浜市保土ヶ谷区に住んだり、今現在は、このお店がある東京都墨田区に住んでいます。
仕事の経歴は、2007年に理研産業株式会社(補聴器の販売会社)に入社。20歳の頃に入り、この会社では、ろう学校や通級指導教室を担当したり(難聴や聾の子供が通う教育機関)、病院の補聴器外来の業者としても出入りしていました。
補聴器の販売会社へは7年間勤め、その後、退職。2年の空白期間を経て、2016年にお店を設立し、現在に至ります。
自分なりのミッション(使命・役割)は、”聞こえの改善や補聴器の販売を通じて、難聴の方がスムーズに日常生活を送れるよう支援すること”になります。
お店でのご対応やサービスは、主にこの考えに沿って行っています。
耳の状況(聴力、病気)
- 病名:スティックラー症候群(遺伝系の疾患らしい)
- 発症:10,000人に一人(希少疾患)
- 難聴:感音性難聴(生まれつき)
- 発見:幼少期(5歳ぐらい)
- 聴力:両耳とも中等度難聴
- 装用:補聴器は、7歳の頃に使用
- 備考:耳以外に視力低下、骨格の形成不全あり
難聴のみ、あるように思われることが多いのですが、私の場合、スティックラー症候群と呼ばれる何とも聞いたことがない病気になります。(生まれつきの遺伝性の疾患のようです)
家族構成は、父、母、私(長男)、妹(長女)ですが、難聴および、障がいや持病があるのは、私のみになります。難聴の場合、遺伝のケースもあるのですが、家族の中には、誰一人おらず、突然変異的に私のみがその状態になります。
そして、この病気は、10,000人に一人の確率で発症すると言われています。だいぶ珍しい病気ですね。
症状としては、聴力低下(感音性難聴)のほか、視力低下、さらに骨格の形成不全が起こり、きちんと体の中の骨が形成されなくなる病気になります。ただ幸いにも難聴以外は気にしたことがなく、私自身もこの病気の人というより、難聴者という感覚です。
聴力はこちらの通りです。低い音より、高い音の方が聞きにくくなっており、一般的な中等度の難聴(感音性難聴)になります。子供の頃からこのような状態ですね。
難聴の発見は幼稚園年中(5歳)くらいで、呼びかけても反応が薄いこと多々あり、「何かあるのかな?」と両親が疑って病院に行ったところ、難聴が発覚しました。
補聴器に関しては、小学校2年生の頃に子供専門の病院で耳かけ形補聴器をつけ、そこからずっと補聴器をつけて生活をしています。ですので、使用歴は、2024年現在、31年になります。
私の補聴器使用歴
私の補聴器の使用歴は、
- 小学校2年生(7歳頃):ワイデックスの耳あな形補聴器(アナログ補聴器)
- 中学2年生(14歳):オーティコンの耳かけ形補聴器(プログラマブル補聴器)
- 専門学生(19歳頃):ワイデックスの耳かけ形補聴器(デジタル補聴器)
- 社会人(20歳〜):フォナックの耳かけ形補聴器(デジタル補聴器)
になります。
子供の頃から補聴器を使っていますので、耳あな形補聴器から耳かけ形補聴器、メーカーもいくつか変えて使っています。
今現在は、このお店でも扱っているフォナックというメーカーの補聴器を使っています。
この仕事のきっかけ
難聴の方が補聴器の仕事をしているとなると、気になる方もいらっしゃるかと思いますので、簡単に私自身が補聴器の仕事に携わるようになったきっかけについて載せていきます。
私が補聴器の仕事に携わるようになったのは、あまり良い理由ではなく、少しでも自分の聞こえを良くしたいという想いからでした。
実は私の場合、補聴器のことで、3回ほど失敗しており、その事から、自分で耳や補聴器のことを学ぶ必要性を感じ、自分で自分の状態を改善しています。
補聴器における3度の失敗
1回目は、失敗と言えるのかどうかわからないのですが、初め、私は病院さんで補聴器をつけており、その時は、なぜか左側のみ補聴器をつけました。
私の場合、生まれつき難聴で両方とも同じぐらい聞こえにくいのですが、当時は、「両方とも聞こえにくいのに片方だけでいいんだな」なんて呑気に感じていました。
しかし、聞こえは良くなっているものの、右側から話されるとわからなかったり、グループとかで囲んで話す際は、つけてない側から話されるとわからないことも多々ありました。
病院さんの定期検診の際、そういったことを伝えるものの担当していた医師からは、「感音性難聴だから、しょうがないのよ」の一言で済まされるだけになりました。なので「お医者さんがそういうならしょうがないか〜」と思っていました。
2回目は、ちょっと大きな出来事になりまして、小学生の際は、聞こえの改善が甘くてもそれなりにやっていけたのですが、中学校に上がると、急に上下関係が厳しくなったり、聞き間違えによって揶揄われること、トラブルが多くなりました。
ひどい時には、呼びかけられたことに気づかず、後ろから「無視してんじゃねーよ」と急に殴られることもあり、中学校の頃は、人間関係や人との距離感にだいぶ悩みました。そういった事が続き、学校に行かなかった時期もあります。
事態を重くみた両親は、知人に補聴器屋さんを紹介してもらうのですが、そこでの対応は、あまり良いものではありませんでした。
補聴器を使ったり試聴するものの、聞こえる音が異質すぎて使える感覚ではなく、音が高すぎて非常に聞きづらい、違和感が強いということを伝えるのですが「とにかく補聴器の音に慣れることが大事なんだ」「慣れるまでずっと付けなさい」と取り合ってもらえない状態でした。
結局、うまく相談することができず、30万円出して、自分の耳に合わない補聴器だけが手元に残りました。その間、仕方がないので、今までの補聴器を使うことになります。
3回目は、今までの補聴器がいよいよ限界まで近づいてしまったことで、買い替えをしなければなりませんでした。
その際、また別の補聴器屋さんにいくのですが、そこでは、聞こえの改善は、そこそこできるようになり、今までよりだいぶ良くなりました。(とても感謝!)
しかし、個人的に気になっていたのは、補聴器はどこまで改善できて、どこからは難しいのかでした。個人的な考えとしては、改善できるのであれば改善したい、が、無理なら、仕方がない。
感音性難聴については、耳が治らないことは聞いており、しかし、改善できるところは改善したい。なぜなら、聞こえの改善はできればできるだけ、自分の生活をよくすることに繋がるからです。
それについて質問するもののあまり良い返答は得られず、確かに聞こえは今までより良くなったのですが、これで本当に良いのか。それは、よくわかりませんでした。
私には、このように補聴器のことで失敗したこと、悩んだこと、疑問を感じた経験が数多くあります。これらの経験を失敗と考えるか、そうでないのかは人によりますが、私にとっては、自分の人生、生活に関わることでしたので、とても重要な課題として残ることになります。
真剣に自分の”これから”を考える
その当時、冷静に考えてみて感じたのは、自分はあまりにも耳のこと、補聴器のことに対し、無知であること。それがありました。当時は、ネットもほとんど普及しておらず、それも仕方がないことでした。
こういった経験から感じたのは、自分自身でちゃんと耳のこと、補聴器のこと、そして、この体でどう生きていくのか、それを真剣に考えなければ、この先一生、聞こえのことで悩み続ける人生になるのではないか?ということでした。
私はそんな人生は嫌でした。
そこから、自分で耳のこと、補聴器のことを学ぶことを考えました。その当時、就活生だったので、就職で決定していた会社を蹴り(失礼!)、新卒募集が出ていた理研産業株式会社という補聴器の販売会社に応募し、採用されることになりました。
補聴器の業界には全く入るつもりはなかったので補聴器のことも全く知らず、耳のことのもよくわからなかったのですが、ありがたいことに先輩方や人にも恵まれ、そこで学びながら、ようやく自分の状態を良くすることができました。(とても感謝!)
その後、よくできた後は、会社を辞め、やめた後に少しでも役立てばいいかなと思い、ブログを始めました。そのブログから相談される方が増えてしまい、それがお店設立のきっかけになっています。
このように仕事のきっかけは、成り行きになります。一言で言えば、偶然、たまたまですね。
もしかしたら、人によっては、そんなに補聴器のことで失敗して可哀想と感じる方はいるかもしれません。しかし、今の私は、そうは感じていません。
なぜなら、こういった経験をしてきたことで、自分で耳や補聴器のことを学び、自分の状態を改善することに繋がったからです。現にその当時より、格段に聞こえが良くなり、フツーに出かけたり、買い物や人と楽しむこともできるようになってきています。
このような経験をしている身から言えるのは、そこから何を学べるか、だと思っています。
オーストリアの精神科医であるヴィクトール・フランクルは、「人生が自分に何を教えようとしているのか、それを知ることが大事だ」といっています。簡単にいうと、その経験から何を学んだのか、そこから何を学べるかですね。
キリスト教にも「全てはギフトである」という考え方があります。確かにそういった経験はきついものがあります。しかし、そのような経験から学べること、人として成長できることはたくさんあります。
私自身がこのような経験から学んだのは、「この体でどう生きていくのか、それを真剣に考えることが大事だ」ということでした。
特に耳のことや補聴器のことについては、無知だと、上記のような状態になる。それは、私にとって、その当時はとてもきつい経験でしたが、今となっては良い経験だったなと思っています。その経験が今の自分を作っているからですね。
大事なのは、人生がその経験を通じて何を伝えようとしているのか。そして、そこから、自分が人生に対してどのような姿勢を示していくのか。自分の人生に対する態度が問われているということです。
それを教えてくれたことに私はとても感謝しています。
おまけ・自分の聞こえを改善した方法
さて、上記のような経験をしていると、「どうやって自分の状態を改善したんですか?」と聞かれることがあります。
もし、「自分の聞こえを改善した最大の秘密は?」と聞かれたら、迷わず「聞こえの改善状況をみえるようにしたこと」と答えます。
具体的にいうと、聞こえの改善状況を見えるようにしたうえで、
- ちゃんと聞こえを改善できる(聞こえを補える)補聴器を使うこと
- 自分自身の聴力から改善できると良いところまで改善すること
この2つを行うことですね。
今現在、補聴器は、どのぐらい聞こえが改善できると聞きやすくなるのか、スムーズに日常生活を送りやすくなるのか、その部分がおおよそわかってきています。
補聴器がしていることというのは、簡単に言えば、聞こえにくくなった聴力のところに音を入れて聞こえを改善することです。
ただ、気をつけなければいけないのは、実際に聞こえを改善しようとすると
- そもそもどこまで聞こえを改善できると自分の状態を良くできるのか
- 感覚ではどの音が聞きづらいとかわかりづらいので可視化する方法はないのか
この2つの問題が起こります。
というのも、補聴器をつけてわかるのは「こんな風に音を感じる」「音が大きい」「この音が聞こえない」などの感覚のみになります。そして「ここまで改善できると良い」ということがわかっても、感覚でそこまで改善されているのかどうかは、とても判断しづらいものがあります。
上記に記載した私の課題も「感音性難聴だけど、改善できるところはできるだけ改善したい」ということでした。これは、聞こえが改善されればされるだけ、自分の人生も生活も良くすることに繋がるからです。
では、それを可能な限りしていくにはどうしたら良いのか、そのための要となるのが、聞こえの改善状況を見えるようにすること、になります。
今現在は、補聴器を使った状態の聴力検査のような測定(音場閾値測定)があり、こちらで、簡易的に聞こえの状況は、わかるようになってきています。
そして、補聴器の調整画面では、今現在の聞こえの改善状況と聴力から、このぐらいまで改善できると良いという目標値、これがわかるようになっています。
こういったものを活用し、私自身の聞こえについては、このようになりました。
……非常にわかりづらいですね。なるべくわかりやすくポイントをお伝えしていきます。
まず、先ほどの図をわかりやすく伝えると、このように低下した聴力のところに音を入れることで、補聴器でどこまで改善されたか、ということになります。
○と×が聴力検査の数値(厳密には、ヘッドホンをつけて調べた数値)になり、そこの数値から、▲が補聴器をつけた時の聞こえになります。
つまり、下がっているところに対し、補聴器をつけて、▲のところまで聞こえるようになったということですね。
▲の部分がどのぐらいの数値なのかがわかりづらいかと思いますので補足しますと、このようになります。一般の人が聞こえる数値が0〜10dB、正常の聞こえの範囲が0〜25dBになりますので、正常の範囲にかなり近いくらいまで改善されるような状態です。
基本的に今現在、補聴器で30dB、25dBまで改善されるようになると、補聴器ありなしは、かなりの違いになります。人によっては、聞こえ方に天と地の差が出るほどです。
つまり、この数値が上がると上がるほど、単純に聞きやすさが上がり、かつ、今まで聞きにくかった部分も解消されやすくなります。
音声に関しては、こんな感じです。こちらの方がわかりやすいですかね。
縦が言葉の理解のしやすさになり、横が音の大きさになります。それぞれの声の大きさで言葉の聞き取りを調べてみた結果がこちらなのですが、補聴器がある状態、ない状態では、だいぶ違いが出ます。
といいますか、40dB、50dBは、補聴器がないと(ない状態は、△)全く聞こえない、感じないので、補聴器ありなしに関しては、だいぶ違いがあり、聞こえについて私自身は、大きく変わりました。
私の場合、自分の聞こえの改善とお客様の聞こえの改善の2つを行うのですが、聞こえの改善にどうも影響度が高いのは、上記の測定のあの数値が影響度が高いように感じています。
あの数値が良い方は、お客様でもだいぶ聞きやすくなっており、数値が低い方は、聞きにくいままであることが多いですね。この点は、結果論である可能性はあります。
もちろん、私自身は感音性難聴ですので、騒がしい環境下になってくると私も含め、まだまだ改善しづらい、聞きにくい部分は出てきます。ただ、その数値が良いと状況が良くなりやすく、聞こえの改善度の良し悪しを決める一つの要因のようには感じています。
自分で自分の聞こえを改善した経験から言えるのは、補聴器においては、聞こえの改善状況を見えるようにすること、その上で
- ちゃんと聞こえを改善できる(聞こえを補える)補聴器を使うこと
- 自分自身の聴力から改善できると良いところまで改善すること
この2つが大事だな、ということですね。
ただし、人によっては、あげすぎるとキツくなることがありますので、あくまでも補聴器を使った感覚とご相談ではあります。
お店をご利用いただいた方の声
私の場合、自分で自分の状態を改善していますので、このお店では、補聴器の販売員としての知識、技術に加え、難聴者である自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、ご相談しています。
その対応を受けてみて、実際にお越しいただいたお客様はどのように感じたのか、そのお客様の声に関してもご紹介致します。ご参考にどうぞ。
両耳とも難聴の方
片耳のみ難聴の方
左右の聴力が異なる難聴の方
この他には?
お客様の声に関しては、Google mapのコメントもあります。ご参考にどうぞ。
資格(補足)
一つ補足として、補聴器に関連する資格に関して記載していきます。
資格としては、医療機器の販売および貸与営業所管理者の資格があります。
補聴器には、認定補聴器技能者という資格があるのですが、こちらに関しては、今現在、講習を受けつつ取得中となります。
すみません、私の場合は、お困りになっている方のご対応やどのようにしたらより聞こえの改善ができるようになるのか、そして、難聴の方がスムーズに日常生活を送れるようになるには、どのようなお店の仕組み、サービスがあると良いのかの思考、実践を優先していたため、資格取得に関しては、後手に回ってしまいました。
ただ、あると良いことなのであれば、取ることも大事だと思いますので、今現在、時間を見つけて取得中となります。