バイクロス補聴器って、どんな補聴器?
補聴器の世界には、バイクロス補聴器と呼ばれる少し変わった機器があります。
聞こえない耳側にクロスという音の転送機をのせ、聞こえる耳側に補聴器をつけることで、聞こえる耳側の音も聞こえない耳側の音も、両方の音を聞こえる耳側で聞く機器になります。
聞こえない耳側に補聴器を使っても聞こえを改善できない方へ、聞こえない耳側では音を聞けないので、その方向からの音を聞こえる耳側で聞く。という機器ですね。
今現在、補聴器は、どのような聴力の方でも聞こえを改善できるわけではありません。
耳の状況によっては、聞こえにくくなった耳側に補聴器をつけても、まるで聞こえるようになった感覚を感じないケースもあります。
そういった方に使われるのが、バイクロス補聴器になります。
こちらでは、そんなバイクロス補聴器について記載していきます。
バイクロス補聴器とは?
バイクロス補聴器とは、主に片方が聞こえており、もう片方がなんらかの理由により、補聴器が合わず、聞きにくさを感じている方に使われる特殊な補聴器です。

バイクロス補聴器が使われる典型的な聴力が上記のような聴力なのですが、聞こえない耳側にクロスという音の転送機をのせ、聞こえる耳側には、補聴器をつけます。


そうすることで、聞こえない耳側からくる音を聞こえる耳側で聞き、聞こえる耳側からの音は、そのまま補聴器の役割をして、聞くことができます。
クロス機器と補聴器の2つがあって初めて改善されるのですが、補聴器には、こんな変わった機器があります。
なぜ、こんな機器がある?
今現在、残念ながら補聴器というは、全ての聞こえに関して、効果が出るわけではありません。
聞こえにくくなった耳に補聴器をつけても、まるで聞こえるようにならない耳。というのもあります。
それを改善するための方法として、バイクロス補聴器、厳密には、クロス補聴システムと呼ばれるのですが、こういった機器があります。
なお、こちらについては、つい最近できたものではなく、バイクロス補聴器、クロス補聴システム自体は、かれこれ、30年ぐらい前からあります。
ここ最近は、Wi-FiやBluetoothなどの通信機能がどんどん発達してきたため、クロス補聴システムもだいぶ良くなり、ようやく少しずつ知られるようになってきました。
バイクロス補聴器が合うケース
バイクロス補聴器が合うケースには、
- 片方の耳がほとんど聞こえない耳
- 明瞭度が低い耳
- 耳の状況が特殊な耳
の3つがあります。
片方の耳がほとんど聞こえない耳
バイクロス補聴器が合う典型的なケースは、片方は、少し聴力が低下しており、もう片方の耳がほとんど聞こえない耳の方です。

聴力で言うと、上記のような聴力ですね。
このようなケースは、聞こえる耳側は、まだ補聴器で聞こえを補えるのですが、聴力低下が大きい耳側は、補聴器をつけてもほとんど聞こえるようになった感覚を感じません。
すると、片方だけ補聴器をつけることになるのですが、そうすると、想像以上に聞こえていない側から音、音声、呼びかけに気が付かず、聞こえにくい側が死角になってしまいます。

こういった方は、バイクロス補聴器で改善できると、聞こえない耳側からの呼びかけ、音声、音にだいぶ気が付きやすくなり、それによるストレスを軽減しやすくなります。
基本的に聴力低下は、大きければ大きいほど、その方向からの音や音声、呼びかけは、わかりづらくなりますので、その部分の改善度が上がるようになります。
このようなケースは、生まれつきの難聴の方(感音性難聴)、突発性難聴の方、メニエール病の方、老人性難聴などで見られたりします。
生まれつき、こういった聞こえの方もいれば、複数の症状が重複することでなったりもしますので、実に様々なケースで見られます。
明瞭度が低い耳
バイクロス補聴器が合う耳、2つ目が、明瞭度が低い耳です。
……明瞭度(めいりょうど)が低い耳?となってしまいますが、明瞭度とは、その耳に音声を聞かせた時に、どれだけ言葉が理解できるのか。その理解度を指します。
補聴器の世界には、音がどれだけ聞こえているのか、あるいは、聞こえていないのかを調べる聴力検査。

音を大きくした際にどれだけ言葉が理解できるようになるのか。を調べる語音明瞭度測定(ごおんめいりょうど測定)というものがあります。

このような測定があるのは、音が聞こえることと言葉が聞き取れることは異なるためです。
で、この測定による言葉の理解度を明瞭度と読んだりします。(補聴器の世界で)
理解のポイントは、最良の値が50%以上かどうか。になります。

最良の値が50%以上の場合は、補聴器をつけることで、言葉の理解度及び、聞こえの改善について、ある程度、効果が見込めそう。となり、その耳に補聴器をつけます。
逆に50%以下の場合は、補聴器をつけても、効果は著しく低そうだ。となります。
補聴器がしていることは、簡単に言えば、その耳に音を入れて聞こえやすくすることです。
そうすることで、本当に効果が出そうなのか?を調べるのがこの測定になります。
なぜこんなものがあるかというと、それが冒頭に記載した通り、どのような聞こえの方でも補聴器をつければ聞こえやすくなる。とは、限らないからです。
この数値が、50%以下の場合。
厳密には、片方の耳は、補聴器をつけることで、聞こえの改善ができる耳で、もう片方の耳は、明瞭度が50%以下で、補聴器の効果が見込めそうにない耳。
こういった方が対象になります。
このような方は、聞こえない耳側に補聴器をつけても、ノイズを感じたり、音を感じることはあるのですが、音声が理解できるようになった感覚はあまり感じません。
ですので、聞こえる耳側に音を転送して聞こえを改善する。と聞こえにくさの改善に貢献しやすくなります。
なお、このような耳になる方は、生まれつきの難聴の方、老人性難聴の方、メニエール病の方、突発性難聴の方。
元々、聞きにくい状態にプラスして、さらに病気が重なり、重複することで、このような複雑な聞こえになることがあります。
耳の状況が特殊な耳
最後が、耳の状況が特殊な耳。です。
これは何を意味しているかと言いますと、耳には、聴力低下した際、フツーに?聞こえにくくなるだけの方と低下した際に耳の感覚が変化し、低下した耳側が非常に音が響くようになったり、異なる感覚になる方がいます。
このようになる代表格の病気が、
- 突発性難聴
- メニエール病
- ムンプス難聴
- 低音障害型感音難聴
なのですが、このような病気の方の一部で、耳の感覚が大きく変わり、その耳に補聴器をつけると聞こえ方に強い違和感、非常に強い響きを感じてしまい、補聴器をつけられないケースがあります。
このような方は、聴力にもよりますが、バイクロス補聴器で補う。という選択肢もあります。
バイクロス補聴器の場合、聞こえない耳側は、補聴器を使うわけではありませんので、その苦痛を感じることなく、聞こえを改善することができます。
これが一番のメリットですね。
なお、このような聞こえの方は、この前の明瞭度で引っかかることが多く、そのような場合は、バイクロス補聴器で補っていけると良いです。
左右の聴力が異なる方の聞こえ
さて、ここで改めて、左右の聴力が異なる方の聞こえについて記載していきます。
それは、概ね、このようになるのことが多いです。

左右の聴力が異なる方の場合、特に聞こえにくくなっている耳側からの音、呼びかけ、音声が特に聞きづらくなります。
人によっては、全然、気が付かない部分もあり、とにかく聞きにくい側からの音が弱くなります。
人によっては、聞こえる耳側があれば、ある程度、聞こえるのでは?と感じる方もいるかもしれませんが、耳というのは、両方あって初めて、1つの働きをします。

右からの音は右耳で受け取り、左からの音は、左耳で受け取ります。
そして、来た方向から反対方向へ音が移行する際、音が大きく減衰します。ですので、聞こえにくい側から話された時にだいぶ聞きにくさを感じるようになります。
聞こえている耳側も少し低下していることもあり、特に聞こえにくい耳側からの音。
それは、呼びかけられた時から、会議の際、食事の際に聞こえにくい耳側にいる人、騒がしい中など、さまざまな場面で聞きにくさを感じやすくなります。
それが、こういった聞こえの方の特徴になります。
バイクロス補聴器による改善
さて、バイクロス補聴器による聞こえの改善についても記載していきます。
結論から言いますと、このようになります。

バイクロス補聴器がしてくれるのは、まさに弱い部分である聞こえにくい耳側からの音、音声、呼びかけをわかりやすくしてくれることです。
ただ、その代わり、一つだけ改善できないものがあります。それは、音の方向感覚です。
音の方向感覚は、2つの耳が同じくらい聞こえていないと掴むことはできません。
バイクロス補聴器は、イメージしづらいかと思いますが、聞こえる耳側で、聞こえない耳側の音も聞こえる耳側の音も聞くため、音の方向感覚は掴めない状態になります。
たまに、聞こえない側からくる音は、少し音が小さい?ため、わかることがある。という方はいるのですが、正確性に欠けるため、(申し訳ないのですが)ノーカンにしています。
お客様の声
こちらでは、実際にこのお店をご利用になり、かつ、バイクロス補聴器を購入になった方からの声についてご紹介いたします。参考程度にどうぞ。
生まれつきの感音性難聴の方


突発性難聴、原因不明の感音性難聴の方


原因不明の感音性難聴の方


まとめ
今回は、バイクロス補聴器について、簡単にではありますが、まとめてみました。
バイクロス補聴器は、聞こえない耳側の音を聞こえる耳側で受け取り、聞こえる耳側は、そのまま補聴器として機能することで、聞こえを改善する少し変わった補聴器になります。
このような補聴器がある理由は、どのような難聴でも補聴器は改善できるわけではないためです。
主には、
- 片方の耳がほとんど聞こえない耳
- 明瞭度が低い耳
- 耳の状況が特殊な耳
このようなケースで、改善に貢献できないことがあるため、そのような方に使われるのが、バイクロス補聴器になります。
つい最近できた補聴器のように感じますが、バイクロス補聴器自体は歴史は長く、30年ぐらい前からあるものになります。
ここ最近は、世界そのものが通信技術、Wi-FiやBluetoothなどの進歩により、バイクロス補聴器の性能も良くなってきました。
ということで、こちらの内容が何か参考になったのであれば幸いです。
