片耳、両耳、補聴器をつける場合、どっちが良いの?

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器をつける耳、補い方には、片方の耳のみつける、両方の耳につけるなど、考え方があります。

こちらに関しては、両方の耳が補聴器に適合するのであれば、両方の方が良い。というのが結論になります。

その理由には、

  • 補聴器は正常の範囲まで改善できない
  • 片耳で全ての音を聞くことはできない
  • 騒がしい中での聞き取りが片耳だと改善しづらい

の3つがあります。

補聴器はまだまだ正常の範囲まで改善できない

まず、補聴器において理解しておけると良いことは、補聴器はまだまだ正常の範囲まで聞こえを改善することは、できていないということです。

例えば、このような聴力があったとしますと、

このぐらいの聞こえの方が改善される数値は、このようになります。

このぐらいの聴力だと、改善される数値は、だいたい30dBから、良い方だと25dBぐらい。実は、補聴器はまだまだ正常の範囲まで改善されていない。

こちらは聴力図になり、正常の範囲が0〜25dB、一般の人が聞こえている範囲は、0〜10dBになります。ですので、正常の範囲内まで聞こえの改善は、残念ながらまだできていません。

この状況下で、あまり改善されない方法をとると、それだけ聞きにくさがより残りやすくなってしまいます。

片耳で全ての音を聞くことはできない

片耳の欠点の一つは、片耳で全ての音を聞くことはできない事です。基本的に耳は、左右にあることで、右側の音は、右側で受け取り、左側の音は左側で受け取っています。

受け取る耳側の反対側に音が移行する際は、実はだいぶ音が小さくなります。片方だけ補聴器をつけたとしても、補聴器をつけていない側の耳は、あまり聞こえていなかったりします。

反対側へ音が移行する際に音量が大きく減少することを頭部陰影効果(とうぶいんえい効果)と呼びます。
  • 片方のみ聞こえにくい
  • 両方の耳ではなく、片方しか補聴器が適合しない

という場合は、片方で良いのですが、両方とも聞こえにくく、かつ、両方の耳が聞こえにくいのでしたら、両方の耳に補聴器をつけ、なるべく聞きにくさを減らしていけると良いです。

片方のみ補聴器をつけた場合、つけた側は改善されるが、つけていない側はあまり改善されない。それは、上記の頭部陰影効果による影響のため。

一番初めに記載した通り、補聴器はつけても正常の範囲にすら届いていません。ですので、なるべく改善される方法をとらないと聞きにくさが残りやすくなります。

なお、余談ではありますが、片方のみ補聴器をつけた場合は、音の方向感覚が掴みづらいという欠点もあります。両方とも聞こえて初めて音の方向感覚は掴めるので、地味な部分ではありますが、こういったところの欠点もあります。

騒がしい中での聞き取りが片耳だと改善しづらい

最後は、騒がしい中での聞き取りが片耳だと改善しづらいことです。今現在、全難聴者の課題と言っても過言ではないのが、この部分です。

難聴になることの問題の一つは、騒がしい中での聞き取りが非常に悪くなってしまうことです。周りが騒がしかったり、周囲に様々な音があると、それらの音に邪魔されてしまって聞きづらくなります。これは感音性難聴である私自身も例外ではありません。

そこから補聴器はなるべくそういった環境でも聞きやすくするために色々なことをしているのですが、片方のみ補聴器をつけることと、両方の耳に補聴器をつけることの違いもそこに含まれます。

主にこのような状態ですね。騒がしい中での聞き取りの改善には、いくつかの方法がありますが、その中でも影響度が高いものの一つが、両方の耳に補聴器を装用することになります。

まとめ

さて、こちらでは、片方の耳のみ補聴器をつけるか、両方の耳に補聴器をつけた方が良いのか。こちらに関する内容について、簡単にではありますが、まとめてみました。

一応、色々な内容を上記に記載してみましたが、結論から言えば、両方の耳が補聴器に適合するのであれば、両方の耳につけられると良いです。

その理由は、今現在、補聴器は耳を治せないため、あまり改善されないやり方をすると、それだけ聞きづらさや改善度が低くなってしまうからです。

片方の耳のみに補聴器をつけることで、健聴の人の聴力になるのであれば、それで十分かもしれませんが、今現在、補聴器はその聴力に対し、最善の方法で補ったとしても、そこまで全く及びません。

ですので、本当に聞こえを改善したいなら、ご自身にとって、最善の補い方をしていくこと。それをお勧めします。

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