耳・補聴器のこと

【アドラー心理学】人と接する事が苦手な方にお勧めする嫌われる勇気

深井 順一|パートナーズ補聴器

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昨年、大きなヒットとなったアドラー心理学の本【嫌われる勇気】。

私自身、この本を読んで思う事は、対人関係に悩む難聴の方、あるいは、人と接するのが苦手な難聴の方にすごくお勧めできる本だという事です。自己啓発の源流とまで言われるアドラー心理学は何がすごいのでしょうか。

こちらは、私自身、読んで感じた事について、記載していきます。

嫌われる勇気

昨年のヒットとなった嫌われる勇気は、アドラー心理学を対話式で記載されている本です。

adler

心理学と言いますと、ユングやフロイトなどが思い浮かびますが、海外では、このお二人+アドラーを心理学の3大巨頭とまで言われる方です。日本では、マイナーのようですが、海外では、非常に有名です。

嫌われる勇気というタイトルから「嫌われても気にするな」的なニュアンスが伝わってきそうですが、どちらかと言いますと「嫌われる事を恐れるな」という意味になります。

この本を読みますと、このタイトルの本当の意味に気が付きます。

嫌われる勇気から学ぶ事

さて、私自身、この本を読んで難聴の方に有効ではないかと思う内容は

  • 人は主観によって生きる生き物である
  • 課題の分離
  • 自己受容

の三つです。

人は主観によって生きる

こちらはよく言われる事かもしれませんが、人は、主観によって生きる生き物です。ですので、人それぞれ物事の解釈は異なります。

例えば、私は背が小さいのですが、実は気にした事がありません。身長は、中学生の頃に止まってしまい148cmしかありませんが、特に困る事はありませんので、気にした事がありませんでした。

男性にとっては、身長は非常に重要なステータスにもなっており、一昔は、高三の高学歴、高収入、高身長などと呼ばれる事もありましたが、私自身は、全く気にせず生きてきました。

この本の中にも記載されていましたが、身長が低いという事は、背が高い方より威圧的に感じられないという点もあります。個人的には、この点を意識した事はありませんでしたが、確かにそのような一面もあります。

難聴の事を引き合いにしてみますと、耳が聞こえにくい事で会話がしにくくなり、聞き返す事があると「聞いていなかったの?」と言われてしまう事があります。

しかし、これを叱責されている(聞いていない事を責められている)と考えるか、このような感情を相手に与えていると考えるかは、聞き手次第になります。

人は主観によって生きるものであり、物事をどのように解釈するかは、人次第であるという事ですね。

課題の分離

アドラー心理学の中で特に重要なのが、この課題の分離です。

この部分は、難聴の方も非常に重要な事だと感じました。課題の分離とは、その課題(問題)は、誰の課題(問題)なのかという事です。

この本の中では、子どもの勉強に関して記載されており、勉強するか、しないかは子どもの課題であり、親が介入する事ではないと記載されています。

もちろん、放任をするという事ではなく、協力するスタンスである旨伝えますが、あくまでも勉強する事に関しては、子どもの課題であり、親とはいえど土足で子どもの課題に踏み込む事は推奨していません。

この内容を難聴の方に当てはめますと、難聴である事を伝え、その事を受け入れていただけるか、そうでないかは他者の課題であり、自分の課題ではないと言えます。

こちらには、カウセリングに関しても記載されており、一部引用しますと

哲人「たとえば、アドラー心理学のカウセリングでは、相談者が変わるか変わらないかは、カウンセラーの課題ではないと考えます。」

青年「なんですって?」

哲人「カウセリングを受けた結果、相談者がどのような決心を下すのか。ライフスタイルを変えるのか、それとも変えないのか。これは相談者本人の課題であり、カウンセラーはそこに介入できないのです」

青年「いやいや、そんな無責任な態度が許されますか!」

哲人「無論、精いっぱいの援助はします。しかし、その先までは踏み込めない。ある国に「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を呑ませることはできない」ということわざがあります。アドラー心理学におけるカウセリング、また他者への援助全般も、そういうスタンスだと考えてください。本人の意向を無視して「変わること」を強調したところで、あとで強烈な反動がやってくるだけです」

※嫌われる勇気 P142〜143より引用

伝える事は可能ですが、受け入れるかどうかは、他者の課題です。

そして、それを強要しますと、あとで強烈な反動がきます。これは、どの方でも体験している事のような気がします。

個人的には、耳の事を伝えはしますが、それを強要する事はありません。そして、お話ししても、理解いただけない場合、あるいは、相容れぬ存在であれば、身を引きます。

なぜかと言いますと、聞き返す事で言われてしまう事が多いのであれば、それは、聞き返される相手にとっても、聞き返す自分にとっても良い状況ではないと考えているからです。

聞き返される相手からすれば、何度も説明する事になり、疲れてしまいます。聞き返す自分からすれば、聞き返す度に心が疲れたり、聞きにくい事を非常に苦痛に感じる事もあります。

これは、どのように考えてもお互いにとって利となる事はなく、むしろ負荷がかかっている状態です。

この場合は、縁がなかったという事で、きっぱり別れた方が、良いと個人的には考えています。

もちろんできる場合とできない場合があるのは重々承知ですが、できるなら、別れる事、あるいは、別の方法を考える必要があります。

課題の分離という概念は、とても大切な概念だと感じました。

自己受容

アドラー心理学の中で、重要な要素の一つが自己受容になります。この点も非常に重要な点であると私は思いました。

自己受容とは、ありのままの自分を受け入れることであり、仮に自己評価が60点だとしましたら、その状態を受け入れ、現状をより良くしていくには、どのようにしたら良いかを考えていく事を表します。

60点の中で、どの部分が変えられ、どの部分が返られないかを見つつ、100点を目指していくイメージになります。

難聴の場合を例にとりますと、仮に補聴器で聞こえを補っている状態が60点だとします。

その状態で、さらに良くする方法は、予め人に耳の事を話しご協力いただく、電話が聞き取りにくければそれを補う機器を使う、理解がある方のサークルに入るなどが考えられます。

耳の改善も入る可能性はありますが、しっかりと改善できている場合、難しいケースもありますので、こちらには入れていません。

変えられないものに注目するのではなく、変えられるものに注目する。この点は、本当にその通りだと思います。

難聴の方の中には、治らないと聞いて、補聴器を装用する事を諦める方もいます。しかし、耳は治らないかもしれませんが、聞こえを改善させる事はできます。

そして、補聴器を使用して、さらに別のものを利用したり、周囲に耳のことを伝え、補聴器に+αする事で、よりご自身の環境をよくしていく事もできます。

この点に関してもまさに変えられるところと変えられないところに関する内容です。

このような視点は、難聴の方にも必要ではないかと私自身は感じました。

お悩みの方にはお勧めします

人と接する事が苦手である(改善したい悩みである)、人が苦手な方には、自信をもってお勧めできる本です。

内容によっては、受け入れがたい事も記載されていますが、よく考えてみますと、納得できる内容です。こちら意外にも学ぶべき点は、たくさんあり、非常に勉強になる一冊でした。

解決したいもの、あるいは、どうにも人の顔色を伺い、消耗してしまう方にとっては、非常にお勧めできる本となります。

こちらの内容で、少しでも難聴を改善させるヒントを得られたら幸いです。

 

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深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器の販売員としての知識、技術に加え、一人の難聴者が自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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