補聴器のFAQ

補聴器は、どうやって耳の状況を理解している?

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

前回は、各耳の状況別に聞こえの範囲のパターンについて、記載しました。

補聴器は、この聞こえの範囲に合わせて改善しており、耳の状況によって、それは、異なる。という事ですね。

じゃあ補聴器は、その耳の状況というのをどう理解しているのでしょうか。

今回は、補聴器の調整のソフトの構造についても、簡単に記載していきます。

補聴器の調整ソフトがしている事

今現在、補聴器は、パソコンに繋ぎ、そのパソコンのソフト(アプリ)を使って、細かく耳の状況に合わせるようになっています。

補聴器の調整ソフトの中には、耳の状況。聴力検査によって、どんな耳の状態なのか。を調べた後、そのデータを入力するところが、あります。

聴力検査でよく調べられるものは、気導聴力(きどうちょうりょく)。という普段、私達が耳で感じている音。この場合、耳の穴の中を通って聞いた音。といったほうがわかりやすいかもしれないのですが、その状態で調べた数値と

骨導聴力(こつどうちょうりょく)という骨を振動させて、耳の音を感じる部分(内耳)に直接、音を流して、どんな風に聞こえているのか。を調べた数値を使います。

この2つを使って、どんな風な聞こえなのか。を補聴器に教え、その状態に合わせるようにしてくれているんですね。

補聴器が耳の状況を理解するポイントは?

ここからが本題なのですが、どのようにして、補聴器が耳の状況を理解しているのか。というと、この気導聴力と骨導聴力の数値の違い(気骨導差(きこつどうさ)を利用して耳の状況を理解しているんですね。

上記の通り、耳の状況を把握するものは、気導聴力と骨導聴力の2つがあり、気骨導差とは、この2つの聴力の差を意味します。

例えば、感音性難聴の場合は、気骨導差は、ほとんどありません。

そして、感音性難聴の聞こえの範囲は、正常の聴力と比較して、小さい音は、聞こえにくくなるけれども、大きい音は、同じように聞こえている(ケースが多い)という事でしたよね。

ですので、気骨導差の差がない場合は、それに合わせた調整をしてくれます。

一方、気骨導差が大きいもの(伝音成分が多い耳)は、その差に応じて、音を広く入れるようになります。

伝音性難聴。もしくは、混合性難聴の場合は、この骨導聴力と気導聴力の差が大きくなると、大きくなるほど、音を広く入れて、聞こえを改善するようにします。

このようにして、補聴器は、耳の状況を理解し、聞こえを改善しようとしてくれるんですね。

【補足】補聴器のデフォルト設定を理解し、理解を深める

ここからは、補聴器の調整ソフトの補足です。前回紹介したケースの中には、特殊なケースがありましたよね。

前回:耳のラウドネスパターンと調整で注意したい耳の状況

通常の人より、小さい音が聞こえにくく、さらには、大きい音もより辛く感じやすい方です。

それを改善するには、どのように補聴器の調整ソフトが動いているのか。を理解する必要があるので、こちらも記載します。

さて、復習ですが、補聴器は、どうやって聞こえを改善している?と言われたら、聞こえの範囲に対して、改善しているよ。という風に学びましたよね。

ということは、この聞こえの範囲をどう把握するか。が補聴器で聞こえを改善する上でキモになる。という事は、想像に容易いですよね。

それを把握するには、その人が聞こえる最も小さい音は、どこなのか。そして、その人が不快に感じる音の音量は、どのぐらいなのか。を調べれば、出てきそうです。

まさに聴力検査というのが、この最も小さい音の部分を担っています。

聴力検査をした事がある方は検査技師の方に「小さい音でも聞こえたら、ボタンを押してください」と言われたと思うのですが、その正体がコレです。あの言葉には、ちゃんと意味があるんですね。

残るは、不快に感じる部分になるのですが、これは、前回あたりで紹介した不快閾値測定と言われるものですね。これで、調べる事ができます。

普段の調整に関しては、補聴器の調整ソフト側が自動で聴力検査の結果から、このぐらいの聞こえの範囲だろう。という事で、不快閾値を入れなくても、算出してくれます

しかし、前回紹介した特殊なケースは、どの部分まで音を入れると不快になるのか。が個別に異なってしまうため、聴力検査からの平均値を参考にしても、役に立たなくなってしまいます。

ですので、このようなケースは、不快閾値測定をして、個別に「ここぐらいまで大きくすると辛くなる」という情報を補聴器に教えてあげる必要があります。

特殊なケースに関しては、ここに注意する必要があります。逆に言えば、一般的なケースであれば、そこを省略しても、問題ない事もあります。

まとめ

補聴器は、こんな風に聞こえを改善しています。意外に多くの人は、聴力を参考に調整している。という風にお考えの方も多いと思うのですが、それは、半分正解で半分不正解ですね。

厳密には、聞こえる音の範囲に合わせて聞こえを改善するため、その範囲をどう調べるのか。が、補聴器を調整する上で大事だったりします。

その範囲が通常と離れている、外れている場合は、外れている事を補聴器に教えてあげる必要がありますし、それを把握する方法も、理解しておけると、いざという時に、こんな風にしたら改善できるのではないか。と考えることもできます。

という事で、以上、補聴器は、どう耳の状況を理解している?でした。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
使っている人が対応している補聴器専門店・代表
1986年、7月1日生まれ。生まれつきの難聴者で小学2年生の頃から補聴器を使っています。聞こえにくい側の状況やお気持ちは、同じ難聴者や当事者にしかわからないことがある事から、このお店では、実際に補聴器を使っている私自身がご相談を承っています。

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初めまして、パートナーズ補聴器の深井と申します。

このお店は、生まれつき難聴で補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店です。

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