補聴器の聞こえの改善度って何で決まる?
補聴器に関して、初めての方や補聴器について間もない方ですと、まだまだ補聴器に関して、知らないことが多いかと思います。
補聴器に関する疑問の一つは、補聴器の聞こえの改善度って何で決まるのか?があると思います。
どのようにしたら、聞こえの改善度を高めることに繋がるのか。そもそも補聴器の聞こえの改善度って何で決まるの?ということですね。
結論から記載させていただきますと、影響する要素の順位は、耳の状況>耳の補い方>聞こえの改善(補聴器の調整)>補聴器の性能>補聴器の形状、の順番です。
補聴器の聞こえの改善度に関する誤解で多いのは、補聴器の性能が聞こえの改善に大きく寄与するとお考えの方が多いことです。
簡単にいうと、高い補聴器を買えば(たくさんお金を出せば)ご自身の状況が良くなる。ということですね。
こちらは、必ずしも誤りではないのですが、上記の通り、補聴器の性能は、聞こえの改善度に影響する要素としては、4番目、どちらかというと下から数えた方が早い部類です。
そして、補聴器による聞こえの改善度は、耳の補い方と聞こえの改善(補聴器の調整)の2つで、8割は決まるということです。
ここを覚えておけると良いです。
補聴器は、耳の状況が9割
まず一番初めに身も蓋もないことを記載するのですが、補聴器による聞こえの改善度は、耳の状況が9割です。
耳の状況が良ければ、良いほど、損傷度が低ければ、低いほど、補聴器による聞こえの改善度は高くなります。逆に耳の損傷度が大きければ大きいほど、聞こえの改善度は下がりやすいということでもあります。
補聴器をつける方は、大半が感音性難聴の方です。感音性難聴の症状は、
- 音が聞こえにくくなること
- 音声が理解しづらくなること
の2つがあります。
これらのものは、内耳と呼ばれる音を感じる器官が何らかの損傷を受け、うまく音を処理できなくなっていることから来ているのですが、重要なことは、聴力低下が軽いということは、損傷度が低く、聴力低下が大きいということは、それだけ内耳の損傷度が高いということです。
これは、音声の理解のしやすさも同様で、耳の状況によっては、補聴器で音を補っても、全く言葉の理解に貢献できない耳の方も存在します。
内耳の損傷度が高くなると、耳から入ってきた音をうまく処理できなくなってしまうため、いくら補聴器で音を増幅しても、その改善に限度が出てきてしまいます。
ですので、実は、補聴器は、耳の状況が9割になります。
こういった側面がありますので、補聴器は早めにつけましょう。とか、なるべく早めにつけて、慣れるようにしましょう。とか、言われます。
その損傷度が軽いうちにつけましょうというのは、言い方を変えれば、効果が出るうちにつけましょうということです。
耳の状況や事情を知らないと「ただ単に高い補聴器を売りたいだけでは?」と思われることもあるのですが、そもそも難聴の程度が大きいということはそれだけ、内耳が損傷しており、その損傷度がある一定を超えると、どうすることもできなくなってしまうからです。
補聴器は、基本、耳の治療ができない方が使う機器です。現在の医療では治療できないので、(しょうがないので)補聴器で改善しよう。となります。
その補聴器ですら改善できなくなると、もうどうすることもできません。この点の理解が大事になります。
聞こえの改善度をなるべく下げないために
とはいえ、耳の状況が9割ということを聞いても、どうすることもできません。
補聴器には、できることもあれば、できないこともあります。ですので、基本スタンスとして、できることに集中して改善していくこと。この考えが大切です。
では、聞こえの改善度をなるべく下げないようにできることはなんでしょうか。それは、
- 耳の補い方(補聴器をつける耳)
- 聞こえの改善(補聴器の調整)
について、最善の状態を目指していくことです。
あまり知られていないことですが、耳の補い方(補聴器をつける耳)と聞こえの改善(補聴器の調整)により、補聴器による聞こえの改善度の8割は決まります。
補聴器のカタログを見ていただくと、どのような補聴器の種類があって、そして、グレード(性能)がいくつかに分かれていてなど、見えますが、本当に状況を良くするための情報はそれではありません。
そういったことも大事といえば大事なのですが、それ以上に聞こえの改善度に影響するのは、上記の2つです。
ですので、この2つに関して、知るようにしたり、お店の方や病院の先生などに相談できると良いです。
耳の補い方(補聴器をつける耳)
耳の補い方というと、非常にわかりにくい表現になるのですが、簡単にいうと、補聴器をつける耳のことです。
補聴器は基本、最善の状態を目指していくことが大切です。今現在の補聴器は、耳につけても耳が治るわけではないため、適さないやり方をすると、それだけ聞きにくさが残りやすくなります。
その際ですが、影響度が高いのは、耳の補い方、補聴器をつける耳になります。
仮に両方とも聞こえづらく、両耳とも補聴器の効果が見込めるのであれば、両方に装用し、どちらか片方、なんらかの理由により、使えないのであれば、それに合わせた改善をしていきます。
耳の補い方は、だいぶ大事で、ここの影響度と聞こえの改善(補聴器の調整)の2つで、補聴器による聞こえの改善は、8割は決まります(体感的には9割くらい)。
聞こえの改善(補聴器の調整)
聞こえの改善というと全ての工程が入ってしまうのですが、厳密には、補聴器の調整という項目になります。
補聴器の調整とは、低下した聴力のところに音を入れ、聞こえを改善していくことになります。たまに「補聴器は、調整が大事です」と聞いたりするかもしれませんが、それですね。
今現在、補聴器は、耳の状況を調べ、そのデータを活用して、パソコンで調整していきます。
で、ここで大事なのは、できれば、ご自身の聴力からどのぐらい聞こえが改善できると良いのか、そして、現状の改善状況はどうなのかの可視化ができると良いです。
補聴器は耳に使っただけではどのように音を感じるのかはわかるのですが、今、自分はどのぐらい改善されているのか、自分の聴力から改善できると良いところまで改善できているのかは、体感ではわかりません。
ですので、そういったわからないところは可視化して、改善できるところは、なるべく改善していけると良いです。
ここの調整も聞こえの改善度には大きく影響します。
まとめ
補聴器による聞こえの改善度は、意外かもしれませんが、補聴器の性能(お金)では決まりません。
ここによる要素はもちろんあるのですが、それ以上に耳の補い方、そして、補聴器の調整の部分で決まります。
どうしても補聴器に関して、間もない方や初めての方だと「高い補聴器を買えば、良くなるのかな?」というような考えをされている方がいるのですが、そういうわけではありません。
初めての方だと補聴器のことが複雑すぎて「値段しか判断するものがない」という状況からきているかと思いますので、まずは、落ち着いて状況を理解すること、補聴器について知ることから、初めていけると良いと思います。
そして、もし聞こえの改善度を良くしていきたいのでしたら、上記の2つ、耳の補い方と補聴器の調整は、押さえるようにしておきましょう。この2つにより、補聴器による聞こえの改善の8割は決まります。
ということで以上、補聴器の聞こえの改善度って何で決まる?でした。