【2016年12月】フォナック新製品セミナーへ参加してみた
私のところで、取り扱っている補聴器のメーカー、フォナックさんが新製品を発表するとのことで、セミナーに参加してきました。正直、感想としては、想像以上で、考えさせられることも多々ありました。
セミナー内容を一部記載すると共に、私自身が感じたこと、思ったことも載せていきます。
セミナーの内容
セミナーの内容は、一言で言うと新製品、ビロング(B)と呼ばれる新製品の補聴器がでることになります。特徴としては、
- 性能そのものをバージョンアップ
- 充電タイプのものが出る
の2つです。そして、まずは、RICタイプという形状のものから出ます。
こちらは、資料の一部ですが、この通りです。
性能そのものをバージョンアップ
フォナックの補聴器で有名なのは、自動で補聴器のプログラムを適切な環境下に切り替えるオートセンスOSと言うものがあります。
画面を見てもらうとわかりやすいのですが、補聴器を使用する環境下には、様々なものがあり、それを自動で切り替えるのが、この機能です。
その機能がより自然に動作し、かつ音の快適性を重視する環境下であれば、それをしっかり動作させ、聞こえを重視する環境下、例えば人とお話ししている時などは、それをしっかり動作させるなど、快適性、可聴性をあげられるようになったそうな。
オートセンスOSとは、簡単に言えばプログラムスイッチの自動化であり、補聴器は、音量を上下するだけでは、対応できないところがあります。
例えば、騒がしいところでお話する場合、ボリュームの音量を上げて改善しようとするケースが多いのですが、厳密には、音量を上げるのではなく、周波数のメリハリを変えて聞こえを改善させていきます(低域を下げ、高域を上げると言うやり方が一般的ですね)。それでも聞きにくいところは、聞きにくかったりはするのですが、なるべく聞こえるようにするには、このように行なっていきます。
ですので、どのような環境下にも適切な音の調整というのが厳密には、変わってきます。そのため、プログラムスイッチを作り、その環境下に合わせたものを作っていたのですが、それを自動化したのが、オートセンスOSですね。自動で合わせてくれれば、そのぶん、楽になります。
充電タイプのものが出る
注目なのは、こちら。充電タイプのものが出ることです。オーデオB Rというもので、Bは、ビロングで、Rは、リチャージ(リチャージャー?)の略になります。
金額が結構高くなりますが、その代わり
- 電池代が安くなる
- 取り替える手間がなくなる
- ケースがやたらと凝っている
の3つの利点があります。一番最後は、私が感じたことです。
充電式で気になるのは、充電時間と使用可能時間ですが、
それに関しては、上記の通りです。30分、充電するだけで6時間持つのであれば、結構優秀ですね。夜寝る前に充電し、そして使い続ければ、特に問題なさそうです。
ただ、充電タイプで一番の問題は、充電を繰り返すと、徐々に使える時間が短くなること。その点に関しては、正直、まだ発売されたばかりなので、未知数と言わざるを得ません。スマートフォンもその点が問題ですね。それと同じです。
修理することで直るものではありますので、いざとなったら、修理すればいいのかもしれませんが、この部分がどうなのか。それが少し気になるところです。
なお、ケースですが、こんな感じです。
ポイントは、単なる充電器ではなく、ドライカプセルや乾燥剤まで入っているため、しっかりと乾燥もした上で充電してくれること。使用者としては、これは、嬉しい仕様。正直に言いますと、これに限らず、全部のケースにしてほしいくらいです。
人のことを考えたプロダクト
個人的に参加してみて感じたのは、人のことを考えたプロダクトだなということです。
充電式のものは、金額こそ高くなるのですが、そのかわり、電池の交換が不要になるため、ご高齢の方や操作が難しい方に対し、受け入れやすくなるかも?と感じます。この点は、初めにフォナックの新社長、齋藤氏より発表がありました。この点は、同感です。
ご年配の方の中には、確かに難しい方もいますので、面倒な動作一つなくなるだけでも、大きな一歩かなと思います。もちろん、無理に電池を入れて壊すこともこれにより無くなりますので、ユーザーにとっては扱いやすく、メーカーにとっては、不慮の事故を減らすことになり、どちらにとってもよい内容です。
この点に関して、競合他社のリオンさんは、プラスマイナスを考えずに電池を入れられる設計にしていますが、そもそも電池の交換という発想をやめたのが、素晴らしいですね。交換せずにできるのであれば、それは、確かに楽になります。
オートセンスOSに関しても同様で、基本的にフォナック社は、自動でその場、その場の適正化に力を入れてきました。これに関しては、どのように音を聞いたらよいのか。その部分を考えるとよくわかります。
これは、なぜプログラムスイッチは存在するのかを考えることと同意で、騒がしいところでの聞こえの改善は、音量を上下変更だけでは難しいこと。そして、それぞれの環境下において聞こえの最適化は、異なることが要因です。
騒がしい環境下であっても人とお話する機会があれば、聞き取り重視にした方がいいですし、別に話す機会がなければ、快適性を重視した方が、耳にとってはいいです。簡単な例ではありますが、このように人が音を聞く環境というのは、色々あります。
これに加え、場所の環境まで加えるとかなりの数になります。場所の環境とは、例えば、反響しやすいところでの会話や狭い部屋で騒がしい環境下での会話、ホールのような広いところで騒がしいところでの会話などです。音というのは、場所による環境下でも聞こえが簡単に変化しますので、このようなものも考えるとかなりの数になります。おそらくパターン化しても〜100くらいでしょうか。
おそらくフォナックは、将来的に全ての環境下に置いて自動化を進めてくるのではないかと私は勝手に想像しています。今現在のCPUの性能では、全然できませんが、その部分は、アップルやインテルがなんとかしてくれそうな気がします。※基本的に中のチップ次第です。
自動化というのは、単にプログラムを自動化させるだけでなく、このように本当の意味で、真の最適化を可能にする可能性を秘めています。そこを重視するのは、個人的にも同感ですね。
セミナーのまとめ
今回、こちらのセミナーに参加してみましたが、徐々にプロダクト思考になってきているなと感じました。これは、いい変化で、お客さん、患者さんが楽になるもの、欲しいと思うものを作るようになってきたのは、いい変化だと思っています。
性能の変化も同様で、より良くなってくれば、聞こえにくい人の生活を本当の意味で変えられるようになってきます。補聴器の場合、耳の状況が9割なので、耳の状況に大きく左右されるのですが、補聴器で耳を活かせる方にとっては、いいことです。
ただ、金額が高いのがネックで、この点に関してどう考えるのか。その点だけですね。私の方としては、その部分に価値を持ってくれる方には、もちろん、自信を持って勧めますが、それ以外は、ちょっと厳しいかな、という感じです。
通常のBとB、Rの差がかなり金額が異なります。補聴器も徐々に良くなってきているな・・・と正直感じました。