中等度難聴を補聴器で改善する【前編】〜合う補聴器の選び方〜
こちらでは、中等度難聴の耳を補聴器で改善するための方法について、記載していきます。
こちらの内容が合う方は、上記のような聴力の方となります。数値にすると大体50〜70dBの範囲内の方ですね。
補聴器で聞こえを改善していく場合、合う補聴器を選ぶ。というところと、聞こえを改善する。の2つの要素が必要となります。
今回は、合う補聴器を選ぶ。というところに焦点を合わせ、こちらについて、記載していきます。
なお、後編は、中等度難聴の方の聞こえを改善する内容について、記載していきますので、興味がある方は、こちらの方も、ご覧ください。
補聴器を選ぶ。の全体像
補聴器を選ぶ場合ですが、補聴器の形の部分を選ぶ。という事と補聴器の性能を選ぶ。の2つがあります。
今現在の補聴器は、いくつか形状が分かれており、そこにいくつか性能が分かれている状態になります。
選ぶ順番は、まずは、補聴器の形の方を決め、その後に性能を決める。とすると、補聴器は選びやすくなります。
ここでは、補聴器の形と補聴器の性能。この2つを選ぶ必要がある。というところだけ、覚えていただければ大丈夫です。
中等度難聴の方に向く補聴器の形状
では、補聴器の形から進んでいきましょう。
補聴器の形は、耳につけた際の扱いやすさ、そして、全体的な使いやすさが影響します。
形状の全体像とオススメの形状
まずは、形の全体像からです。
今現在、補聴器の全体像を見てみると、このような種類、形状があります。
主には、耳にかけて使用する耳かけ形補聴器。
そして、耳の穴の中に入れて使用する耳あな形補聴器。
これらのものがあります。
補聴器の形状というのは、補える聴力が異なるのですが、中等度難聴の方の場合、ほぼ全ての種類を使うことができます。
この中で、あえて選択を絞る。としたら、オススメの形状は、
- 耳かけ形補聴器なら、RIC補聴器(リック補聴器)
- 耳あな形補聴器なら、CIC補聴器(シーアイシー補聴器)
になります。
こちらが、RIC(リック)補聴器になり
こちらが、CIC(シーアイシー)補聴器になります。
どちらも小さいタイプの補聴器で、中等度難聴の方が補聴器を使う際に欠点となりやすい部分を軽減しやすい補聴器の形です。
中等度難聴の方で気をつけたい事
まず、中等度難聴の方の場合、注意しなければならないのは、補聴器を使用すると、自分の声が大きく響いたり、自分の声が低く唸るような感覚で聞こえやすくなる事です。
この感覚は、補聴器を使用する際の不快感に繋がりやすく、125〜500Hzの間が60dBの範囲内で、かつ、この部分の聞こえが良いと、良いほど、この不快感を感じやすくなります。
その事から、この不快感を感じにくい補聴器の方が使いやすくなるのですが、それが、先ほどの耳かけ形補聴器なら、RIC補聴器、耳あな形補聴器なら、CIC補聴器になります。
これらの補聴器は、耳を塞ぐ量を減らしたり、なるべく塞がないようにして、補聴器を使用した時に感じる不快感、それを軽減しやすくしてくれます。
中等度難聴の方の場合、補聴器を使用する際に不快感を感じやすくなりますので、その部分に関しては、なるべく軽減できるものを使った方が良いです。
このお店でも、中等度難聴の方が感じやすい不快感に関しては、なるべく感じにくいもので改善をしています。
そうした方が結果的に使いやすく、かつ聞こえを改善できる補聴器を提供する事に繋がるためです。
耳かけ形補聴器と耳あな形補聴器の違い
さて、先ほど耳かけ形補聴器なら、RIC補聴器、耳あな形補聴器なら、CIC補聴器と記載しました。
では、この2つは、どのような違いがあるのでしょうか。それに関して、簡単にまとめますと、上記の通りとなります。
耳かけ形補聴器のRIC補聴器の特徴
この形状の良いところは、耳に装用した時の不快感。先ほどの自分の声の不快感が少ない事です。
この不快感の軽減は、今のところ、全補聴器の形状の中で、このRIC補聴器が一番軽減しやすく、この部分を軽減しやすくなると、補聴器の使いやすさを上げやすくなります。
これが利点です。
逆に欠点は、耳にかけて使うため、マスクやメガネを使っている方は、人によっては、邪魔に感じてしまう事です。
この点は、使い方さえ理解すれば問題なく使える方もいるのですが、中には、気になる方もいます。
そのような方は、耳あな形補聴器の方が使いやすいです。
また、電話をする際は、音を拾うマイクが上にありますので、上に受話器をずらして行う必要があります。
この点は、問題なくできる方もいるのですが、電話を取る数が頻繁にある。という場合や受話器を上にずらして行うこと自体が面倒に感じたり、煩わしい場合は、耳あな形補聴器の方が使いやすくなります。
これらの事から、RIC補聴器は、補聴器を使う感覚が楽なものが良かったり、初めて補聴器を使う方にオススメの形状になります。
耳あな形補聴器のCIC補聴器の特徴
この形状の利点は、邪魔にならない事です。
耳の穴の中に入っているため、メガネだとか、マスク。こういったものの邪魔になりません。
さらに耳の中に直接入っているため、今まで通り、電話ができる。という利点もあります。
これが、主な利点になります。
逆に欠点は、耳を割と強く塞ぐため、自分の声が大きく聞こえたり、低く唸るように聞こえやすい事です。
自分の声が不快に聞こえる感覚は、強いと違和感が強くなり、補聴器の使いづらさが強くなってしまいますので、なければないに越したことはありません。
その事から、
- 邪魔にならない補聴器が良い
- 電話がしやすい補聴器が良い
というケースは、このCIC補聴器の方が使いやすくなります。
補足・スマホ対応と充電形補聴器
補聴器について詳しい方だと、今現在、スマホと連動する補聴器と充電形の補聴器の事もご存知かと思います。
中等度難聴の方の場合、どちらのケースも対応することができます。
あくまでも耳かけ形の補聴器ですが、RICタイプの補聴器でスマホと連動したり、充電形の補聴器が出ていますので、こういったタイプでも、改善する事ができます。
このお店でも、スマートフォンと連動する補聴器や充電形の補聴器は扱っていますので、こういったものでの改善も行なっています。
補聴器の性能
さて、次は補聴器の性能の部分です。
補聴器の性能は、ちょっと難しいのですが、なるべく簡単にお話をしていきます。
性能の全体像
まず、補聴器の性能ですが、今現在、上記のようにいくつかグレードが分かれています。
P30だとかP50だとか書いてあるものがありますが、どの補聴器の形状、種類でも、だいたいこのように3つか4つぐらい分かれていたりします。
この中で、どれを選ぶのか。というところが補聴器の性能になります。
性能の違いは何?
この補聴器の性能というのは、簡単に言いますと、音を抑える機能。それが異なります。
どの補聴器にも低下した聴力を補う基本の機能は、ついており、聞こえを改善した後に気になりやすい音を抑えたり、それが聞こえる事で聞き取りを邪魔されやすい音を抑えやすくする機能があると、補聴器の金額は、上がっていきます。
わかりやすくなるかわかりませんが、一つの目安は、このようになります。
静かな環境など、一般的に邪魔する音が少ない環境では、抑制する機能が少ない一番下のものでも聞き取りやすくなるのですが、騒がしい環境だとか、周囲に色々な音がしやすい環境下だと、邪魔する音が増え、聞き取りづらさが上がってきてしまいます。
そういった環境でも、なるべく聞き取りを阻害されないようにしたり、快適性を良くしたい場合は、上のグレードのものを選んでいただく事になります。
これが、性能の違いです。
で?どれを選べると良いの?
上記の内容を見ていただくと、補聴器の性能に関する違いについては、わかったかもしれないのですが、じゃあどれを購入したら良いのか。という点に関しては、わかりづらいかと思います。
この点に関して、返答させていただくと、ご自身が買える範囲内のものを選ぶ。で良いと思っています。
この理由については、大きく分けると
- 聞こえの改善は、性能以上に改善パートの方が影響する
- 性能間の金額差が大きい
の2つがあります。
聞こえの改善は、性能以上に改善パートの方が影響する
恐らく多くの方は、補聴器に関しても、高いものの方が良いもの。品質が良いもの。という風に考えている方が多いかと思います。
これは、あながち間違いではないのですが、実際に聞こえの改善度に影響する要素は、聞こえの改善パート(後編の内容)になり、聞こえの改善パートの内容>補聴器の性能(補聴器の金額)。になります。
補聴器の性能は、直接、お金に影響する内容ではあるのですが、じゃあ、ここにお金をかければ、聞こえの改善度が上がりやすくなるのか。というと、必ずしも、そうとは言えません。
聞こえの改善を一番にお考えの場合は、性能(金額)よりも、まずは聞こえの改善パートで記載している内容をはじめに押さえることが大事です。
その後にお金をかけられる方や、耳は大事なので、できる範囲内で良いものを使いたい。という方は、性能に関して、上げていただければと思います。
聞こえの改善を重視する場合、優先順位は、聞こえの改善パート>補聴器の性能(金額)になりますので、その点にご注意ください。
性能間の金額差が大きい
これは、誠に申し訳ないところではあるのですが、実際に補聴器の性能間の金額差は、結構、大きく、両耳に補聴器を装用する場合、平気で10万、20万以上の差が出てきます。
金額差が2〜3万ぐらいであれば、どれが良いかな?と考えられるかもしれないのですが、金額差がだいぶあるため、正直、選びづらいという点もあります。
その事から、あくまでも無理のない範囲で、選んでいただければと個人的には、考えています。
補足・どのランク帯でも基本的な改善は可能
性能に関して、一つ補足させていただくと、どの補聴器の性能、ランク帯でも、基本的な聞こえの改善は、可能です。
上記の通り、補聴器の性能は、あくまでも音を抑える機能の有無、あるいは、聞こえを改善した後の快適性を上げたり、周囲が騒がしい事による聞き取りの低下、それをなるべく減らす事にあります。
ですので、低下した聴力のところに音を入れ、聞こえを改善する。という基本的な機能は、どの補聴器にも搭載されています。
高い補聴器の方が、聞こえを阻害されたり、騒がしくなりづらく、快適性や可聴性は、上がりやすい側面はありますが、高い補聴器ではないと聞こえの改善は、できないというわけではありませんので、その点は、ご安心いただければ幸いです。
中等度難聴に合う補聴器のまとめ
こちらでは、中等度難聴の方に合う補聴器の選び方。という事で、こちらに関して、まとめてみました。
中等度難聴の方の場合は、補聴器の形状は、ほとんどのものが合います。
ですので、この点は、正直、ご自身が使いやすいと思うものであれば、なんでも良いとは、思います。
こちらでは、その中でもあえて絞るとしたら、という事で、RIC補聴器、CIC補聴器をおススメさせていただきました。
補聴器を装用した時に感じる自分の声の不快感は、補聴器を使う方であれば、ほとんどの方に見られるものですので、なるべくそういったものがない方が使いやすいためです。
また、補聴器の性能に関しては、金額差が大きい事、補聴器の聞こえの改善度は、聞こえの改善パートの方が重要であることから、ご自身が買える範囲内のもので良いと、個人的には、考えています。
もちろん、良いものを購入していただければ、それだけ、抑制機能がある事により、快適性が上がったり、騒がしいところでの聞き取りを阻害されにくくなりますので、色々と補聴器がサポートしてくれる点は、間違いありません。
ただ、聞こえの改善を重視するのでしたら、まず押さえていただきたいのは、聞こえの改善パートの方になります。
その基本となる部分を押さえていただいた後、お金をかけられる方は、良い補聴器を購入していただき、より良い改善を目指していただければと思います。
以上、中等度難聴の方に合う補聴器を選ぶ。という内について記載させていただきました。