軽度の難聴における補聴器の効果のライン
軽度の難聴の方の場合、補聴器を装用した方が良いのか、それともまだ時期早々で待った方が良いのか。そういった課題があります。
軽度の難聴よりも重い聴力の方は、明らかに普段から聞きにくさが出てきますので必要か不要かがはっきりするのですが、軽度の難聴の方の場合は、時には問題なく聞こえ、ある場面だけ聞きづらいという場所ごとに聞こえやすさが変化します。
今回は、あくまでも聴力だけをみた場合のお話になるのですが、軽度の難聴における補聴器の効果のラインを記載していきます。
補聴器はどのような方もつければたちまち効果が出るというわけではなく、実際には、効果が出やすい聴力と効果が出にくい聴力があります。
その理由は今現在、補聴器においてできる改善というのは、改善できる量(音量、dB的な要素)と改善できる範囲(周波数的な要素)で制限があるためです。
結論から記載しますと、軽度難聴の方でも、1000Hzが40dB、45dBぐらいまで下がっている方は、比較的、補聴器あり、なしによる違いがわかりやすくなります。
今の補聴器が改善できる範囲
まず、大事になってくるのは、今現在の補聴器が改善できる範囲です。聞こえの改善範囲ですね。これは、このぐらいになります。
数値で示すと大体、30dBぐらいで、良い方だと、25dBぐらいまで行ったりするのですが、大体は、このぐらいまでの改善になります。
その後にこのグラフの見方が重要になるのですが、一般の人が聞こえている音の範囲は、0〜10dBです。そして、正常の範囲は、0〜25dB(厳密には、24dB)になります。
聴力を記載されているグラフをオージオグラムと呼んだりするのですが、このグラフは、正常の聴力からどのぐらい下がっているのか、を簡易的に見れるようにしていますので、正常のラインを0にして、そこから、どのぐらい下がっているかがわかります。
ここで重要なのは、補聴器は、一般の人の聞こえている範囲まで改善してくれるものではないということです。さらにいうと正常の範囲にも届いていません。(25dBまで届いていません)
ですので、補聴器というのは、”改善できる範囲に限度があるもの”ということになります。
効果が出やすいものと出にくいもの
それらを考えた上で効果が出やすいもの、ここは、比較的、補聴器ありなしで差が出やすいもの、そして、出にくいもの、について記載していきます。
違いが出やすいもの
違いが出やすいケースは、このようなケースです。重要なポイントは、音声に関係しやすい500〜2000Hzが下がっている状態になります。
このように全体的に下がっている方に関しては、音声に関係しやすい500〜2000Hzも含む、全体的に聞こえを改善できると、補聴器ありなしによる聞こえの差は感じやすくなります。
違いが出にくいもの
違いが出にくいケースは、このようなケースです。重要なポイントは、音声に関係しやすい500〜2000Hzは、聞こえているケースですね。
これらの部分は聞こえていて、でも高い音になると急に聞こえづらくなる。というようなケースは、補聴器ありなしによる違いを感じにくい傾向があります。
このようなケースでも、4000Hzや8000Hzが低下していますので、聞きにくさ、例えば騒がしい中での聞き取りだとか、一部の物音が聞こえづらくて、聞こえにくさを感じます。
しかし、今現在の補聴器は、大体、250〜4000Hz、6000Hzぐらいまでの改善が主体になりますので、それ以上の部分は、ほとんど変化がない状態になります。音を出していないからです。
ですので、こういった補聴器で聞こえを補える範囲を超えているものは、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
今回は、軽度難聴の方の補聴器における効果のラインについて、お伝えさえていただきました。
あくまでも聴力ベースにはなるのですが、そこで考えるとこのようになります。
大事なポイントは、今現在の補聴器には改善できる範囲、量に限度があるということです。
仮に限度がなければ、もっというと、聴力的に一般の人が聞こえている範囲まで改善できるものなのであれば、そういったことは考えずに使えば良いと思うのですが、現状はそうではありません。
ですので、効果が出やすいケースと効果が出にくいケースで分かれてきます。
なお、基本的に困りやすさは難聴のレベルだけで決まるわけではありません。実際には、難聴レベルだけではなく、その方がいる環境も影響します。
ですので、もし現状について困っているのでしたら、補聴器について考えるのも手です。
ただ、先ほど紹介した効果が出にくい側に該当する場合は、それを理解した上で、まずは試してみたりして、本当に自分にはあった方が良いのか。から初めてみると良いでしょう。
補聴器を実際につけていただくとその部分はより理解しやすくなるかと思います。