左右のバランスを整えるのは、なぜ大事?
補聴器を使う方の中には、左右の聴力が異なっていたり、両方の耳につけても、聞こえ方が異なるケースがあったりします。
そのような場合、できる範囲内ではありますが、左右のバランスは、整えられるようになると良いです。
補聴器を両方の耳につけることの効果は、左側、右側とそれぞれの方向からきた音を理解しやすくなる。というところもそうなのですが、一番の効果は、両耳補聴の効果を得ることができる点です。
しかし、注意しなければならないのは、この両耳補聴というのは、両方の耳に補聴器を使うことによって起こるのではなく、両方の耳が同じぐらい聞こえていることによって、起こるものです。
そのため、補聴器の改善効果をなるべく上げられるよう、左右のバランスは整えられると良いです。
両耳補聴とは
初めに両耳補聴について、記載していきたいのですが、こちらは、両方の耳が同程度の聞こえになった際に得られる効果(補聴効果)のことです。
それには、
- 音の方向感覚を得られる
- 正面からのお話がより聞きやすくなる
の2つがあります。
音の方向感覚を得やすくなる
左右の聴力が異なる方の場合、どうしても聞こえる耳側から音がきているように錯覚しがちです。(厳密には、錯聴と言います)
音の方向感覚は、両方の耳が同程度に聞こえていないと、聞こえる耳側から音がくるように感じてしまうため、音の方向感覚を得ることができません。
ですので、音の方向感覚を得やすくするためには、両方とも同程度の聞こえが必要になります。
正面からのお話がより聞きやすくなる
もう一つの効果は、正面からのお話がより聞きやすくなる。というものです。
専門的な言い方をしてしまうと、片方のみ使うことに比べ、両方の耳に補聴器を使うと、ラウドネス値が3dB増幅します。片方ずつ、同じ音量で使って音を聞くと、音を増幅したわけではないのに関わらず、感じている音の体感は、3dB増幅する。ということです。
これは、簡単にいうと、正面から話される声、音に関しては、3dBより大きく聞こえるようになるので、聞きやすくなる。という事です。
もちろん、補聴器を使う方は、私もそうですが、感音性難聴という音を処理するところが何らかの要因によって、損傷してしまい、うまく受け取れない、処理できないという状況です。
ですので、片方のみで聞き取れなくても、もう片方で聞き取れていれば、音声が理解できる。という点もありますので、そういった意味でも聞き取りやすさが上がりやすい点はあります。
これが主な両耳補聴になります。
両耳の補聴の条件は?
ここからが難しい話になるのですが、両耳補聴の効果を出す条件というのがあります。
それは、左右の補聴閾値差が15dB未満の場合になります。未満になりますので、15dBは入らず、10dBまで、という事ですね。
補聴器の世界には、音場閾値測定という補聴器を使ったときにどのぐらい聞こえているのかを調べる測定があります。
大体こちらの測定で、左右の違いが、10dBまでは、許容範囲で、15dBで反応すると、もうその数値は、反対側に届いてしまっていて、反対側に届く音量と同等か、あるいは、反対側の方がその数値に関しては、聞きやすくなる状況になります。
このようになってくると、聞こえる耳側の方が聞こえが良いため、音の方向感覚は、つかむことができません。
ですので、できれば、左右の聴力が異なる方は、バランスを整えられるようになると良いです。同じぐらいが一番良く、許容範囲は、10dBまでという事ですね。
そうすると音の方向感覚も得やすくなり、どこから話されているのか、どこから音がなっているのかが分かりやすくなります。
音の方向感覚は、わからないと割とストレスが溜まったり、不便になりますので、そういったものは、無くしていけると良いですね。
なお、実際には、バランスを整えられる聴力の方もいれば、そうじゃない聴力の方もいます。ですので、できる方は。という前提がついてしまうのですが、そこに注意です。
あまり無理して、聞こえない側を補おうとすると、辛くなってしまう方もいますので、そこは、相談しながら、適量まで改善していくこと。そこが大事になります。
まとめ
左右のバランスを整えるのは、なぜ大事?というところについて、お話させていただきました。
左右のバランスが整っていた方が聞きやすいし、ストレスもない、という点はありますが、補聴器の効果を上げるため、より不便な部分を少なくするためにこの部分はわりと大事な部分になります。
耳は、ちゃんと理由があって、2つありますし、同じぐらいの聞こえをしています。ですので、その状態に近づくようにしてあげられると良いですね。