補聴器のFAQ

難聴者の私が自分で自分の聞こえを補聴器で改善した方法

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

私自身、生まれつきの難聴者になりますので、補聴器をつけているのですが、私の場合は、自分で自分の聞こえを改善しています。

私の場合、補聴器に関しては、あまり恵まれていない人生を過ごしました。小学2年生の頃に初めて補聴器をつけ、で、そこそこ良かったのですが、中学生ごろに人間関係であまりうまくいかなくなりました。

で、その頃に補聴器の買い替えをするものの、うまくいかず、その後、19歳ごろに補聴器の買い替えをまたするのですが、またうまくいかずで、しょうがないので、自分で自分の聞こえを改善するために補聴器業界に入ったという事情があります。

当時を思い出してみると、どこに相談したら良くなるのかがよくわからなかったので、補聴器業界に入り、自分で学ぶことを選んだという事ですね。それが良かったのかどうかは今現在もわかりません。

で、自分で学んで自分の聞こえを補聴器で改善したのですが、その方法に関して、記載すると、私の場合は、できることとできないことをわけ、しっかりとできるところは改善していく。ということをして、よくしていきました。

私が感じた補聴器の課題

まず、補聴器の課題、これは私が感じている補聴器の課題についてお伝えしていくと、補聴器を使っている側からすると課題に感じるのは、補聴器は、どこまで改善ができるものなのか、というところです。

感音性難聴とは、内耳と呼ばれる音を感じ取る神経の部分が悪化して起こる難聴のこと。

私自身は、生まれつきの難聴者で感音性難聴というものになります。感音性難聴は、音が聞こえにくくなることに加え、音声の理解度が下がってしまい、音が聞こえないこともあるのですが、音声が理解できない、はっきり聞こえないということが起こります。

さらに病院さんで、「感音性難聴は、補聴器では治せない」とも聞いていました。この文だけを見ると、まるで補聴器が悪いみたいな見方にはなるのですが、現状としては、感音性難聴は、治療する方法がない、なので、補聴器という流れです。さらにその補聴器でも治せない、改善には限度がある状況になります。

であれば、どこまで聞こえが改善できればそれは良いのか、逆にどういう状態だと、まだ改善の余地があると言えるのか、それがよくわかりませんでした。

補聴器をつけても聞きやすくなる感覚はわかるのですが、それは、どう良いのか、逆にその状態はまだまだ解決できるのか、その違いがよくわからなかった。というのがあります。

一般の方からすると、聞こえにくいことがあって、それを改善。という流れになるかもしれませんが、問題は、その問題は、補聴器で改善(解決)できるの?ということです。なぜなら感音性難聴は、そもそも音声の理解度が低下し、補聴器による改善には、限度が出てしまうからです。

こういったことがあり、補聴器について、どう考えていければ良いのか。それは、私にとっても課題ではありました。

試行錯誤の先にあったもの

自分なりに耳のこと、補聴器のことを学んでいくのですが、一つ、気付いたのは、どこまで改善できると良いのか、の可視化ができていないから、自分の状況を把握しづらい、ということでした。

私も含む難聴の方は、音のことがわかるようでわかりません。例えば、聞こえにくい状態というのは、感じることはわかっても、どのように聞こえにくいのか。音には、低い音、高い音がありますが、聞こえにくいという感覚はわかっても、どの部分がどれぐらい聞きにくいのかはわかりづらいです。

これは、あの人の声が聞きにくい、あの音に気づかない、という感覚はわかっても、自分は、一般の人の感覚から、どこがどれだけ下がっているのかは、感覚ではわからないということです。

そして、それは補聴器も同様です。補聴器を使った時にどのように音を感じるか、は、わかっても自分の聴力から改善できると良い数値まで改善できているのか、どのぐらい聞こえるようになっているのかは、よくわかりません。

そうなると、聞こえてはいるけれども理解できない部分があった時にそれは改善できない聞きにくさなのか、それともまだ改善できる聞きにくさなのか、その判断がつかなくなります。

ですので、私自身がとった方法は、今現在の補聴器による改善状況をできる限り、可視化することでした。一言でいえば、現状どうなんだ?ということですね。

具体的には可視化して、自分の聴力から、どのぐらい聞こえを改善できると良いのか、の数値を割り出し、感覚と数値の両方を合わせていく、そのようにして改善をしました。

補聴器の世界には、補聴器版聴力検査のような機器があります。

補聴器には、このような補聴器を使った時の聞こえの状況を調べる測定があります。こちらは、補聴器版聴力検査のようなもので、どのぐらい聞こえが改善されていて、どこがどのようになっているのかを比較的簡単に調べることができるものです。

例えば、こんな感じに出たとしますと、周波数ごとに足りているところ、足りていないところがわかるようになりますので、もしより改善していきたい場合は、足りていないところを改善していくことで、より良くすることが可能になります。

また、こちらだけではなく、補聴器の調整ソフト内には、補聴器の調整状態に関する目標と現状を写してくれます。

そこで、感覚と数値を合わせられるようにもなると、改善値は上げやすくなります。こういったものは、実際に経験してみるとわかるのですが、私の場合は、このようにして、改善をしていきました。

可視化の先と現状

可視化することによって、私の場合は、少なくとも今現在できることはしっかりと行う、ということに関してできるようになってきました。これは、お客様への対応でも同様です。

自分自身で補聴器を使っていて感じるのは、補聴器の難しいところの一つは、どこまで改善できるのか、の線引きがとても難しいということです。感音性難聴という治らない病気、病状に対し、果たして補聴器はどこまでできるのか、この点は、今現在の私自身も正直よくわかっていません。

私の場合は、自分で補聴器で改善している身でもあるのですが、お客様へも聞こえの改善をしています。その際の悩みとしては、果たして、どこまで聞こえの改善ができるものなのか、がありました。

聞こえにくい状態というのは、解決できれば解決できるほど、聞きにくさに悩むことはなくなります。あくまでも私自身の勝手な考えではありますが、補聴器を求めている方は、補聴器を求めているのではなく、聞こえにくさの改善を求めている、と考えています。言い方を変えれば、補聴器そのものが好き、ではなく、聞こえの改善のためにつけている、ご自身の生活を良くするためにつけているということです。

その際、私が難聴者として、ではなく、お店を運営する立場としての考えは、どれだけ、その願いを叶えられるのか、になります。感音性難聴は、音が聞こえにくくなることに加え、音声の理解度まで低下してしまいます。そのような状況で、果たして、どれだけその願いを叶えられるのか、ということです。

その際に役に立ったのは、ニーバーの祈りというものです。有名な言葉なので、ご存知の方もいるかと思いますが、一言で言うと、できることとできないことをわけ、できることをすること。になります。

残念ながら補聴器で耳を治すことはできません。それは、私自身もまだ改善はできていない部分はあります。ただ、補聴器による改善状況を可視化し、最善の状態にすることで、今現在の状況をより良くすること、これはできます。

その最善の状況を今後、どれだけ改善度を高められるのか、は、私の努力次第だとは思いますが、私の場合は、可視化をして、なるべく改善状況を最善にしていくこと、それをして、よくしました。

私の場合は、このようにして改善しました。まだまだ聞きにくいところは確かにあるのですが、私の体感ではありますが、8割がた、状況によっては、9割がたは、聞こえるようになってきていますので、補聴器で大事なことは、できることとできないことをわけ、できることに集中して行くこと、だと感じています。

これは、人生にも共通することですね。と、難聴者の私が自分で自分の聞こえを補聴器で改善した方法でした。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
1986年7月1日生まれ。生まれつき難聴で小学2年生の頃から補聴器を使っています。このお店では、実際に補聴器を使っている当事者が対応することで、わかることを活かす、をコンセプトにお客様のご要望に合った補聴器を提供できるよう、お店作りをしています。
記事URLをコピーしました