補聴器もクラウドファンディングされる時代になったようです
クラウドファンディングサイトINDIEGOGOより小型補聴器のクラウドファンディングがありました。
豆粒サイズの補聴器であり、現在の補聴器を簡易化したものです。既製された耳あな型の補聴器で、先端に耳せんをつけるタイプとなります。現在、開発中であり、購入者を探している最中のようです。
この形状のタイプ、シーメンスの耳あな補聴器にも似たようなものがありますね。
クラウドファンディングでついに補聴器開発も支援される事になりました。この変化は、すごい変化だと考えています。
今回は、こちらの補聴器の概要について記載していきます。
NANOPLUGの概要
動画はこちらです。
※2015年2月に動画サイトにログインしないと見れない仕様に変わってしまいました……
こちらの概要として
- ノンリニア方式
- チャンネルは8チャンネル
- ハウリングキャンセラー付
- ノイズキャンセラー(ノイズリダクション)付
- 充電式(138.888時間もつらしい……)
- プログラムは4つ
- 調整は自分でする(!?)
- オートフィットあり
- 対象者 中等度難聴くらい
謳い文句は、「見えない補聴器」のようです。
そして金額は、驚きの@249ドル。今現在のドル計算(1ドル=116円)ですと、28,884円です。なんという破格……、集音器レベルの金額で、本格的な補聴器と同じ(かもしれない)機能を持っているようです。
これは、非常にすごいと言わざるを得ません。耳の奥に入れる事で、音の劣化を極力減らし、音質も良くしているようですね。
なお、対象者は、音の出力から見て、平均聴力60dBくらいまでの人が使えるラインだと考えられます。
また、オートフィットとは、聴力データを入れるとその聴力に合わせて自動的に音量調整してくれる機能を指します。現在、どの補聴器調整ソフトにも導入されている機能です。これにより、フィッティングについて何も知らない人でも調整できるようになっています。もちろん人それぞれ聴覚は異なりますので、細部(微調整)には、熟練者と初心者で差が出ます。
気になるポイント
個人的には、
- 自分で調整する
- 性能
この二点が気になります。
自分で調整
この機器は、自分で補聴器を調整する事が条件です。パソコンに補聴器を繋げ、音量の調整を行います。フィッティング画面を見る限り、明らかに業者用のツールであり、消費者向けのツールには見えませんでした。
※INDIEGOGOより引用
個人的には、自分自身で調整する事は良いと思っています。他人が自分の耳に合わせるより、自分自身が合わせた方が自分にとって最適な音量になります。自分自身が調整する事によるデメリットはありますが、そのデメリットも注意点として伝えていけば、それを踏まえてどう調整したら良いか考えていくでしょう。自分自身で、自分の耳を調整したいと考えている人は、聞こえを良くしたいという想いより、そのように行動しています。そのような方がわざわざ自分の耳を危険にさらす事は、ありません。
ただこのソフトは、スティーブ・ジョブズ氏がいう「デザインとは、単にどのように見えるか、どのように感じるかということではない。どう機能するかだ。」という観点が抜けています。言い換えれば、どう使って欲しいかの観点が抜けています。わかりづらい(使いづらい)ソフトだと、調整する気には、ならないでしょう。
お客さんに調整してもらいたいなら、素人でもわかるようなユーザーインターフェースにしないとかなり厳しいと考えられます。
いきなり業者クラスの内容を求めるのではなく、もっと簡易的の方が良いのでは?と感じています。
一つの例としては、ききとり上手という補聴器アプリがあります。こちらの画面は、非常に簡易的にまとまっています。
※Appleストアより引用
このくらいシンプルになれば、わかりやすいですね。もちろん業者クラスの知識があれば、ナノプラグの画面でも構いません。しかし、あの画面で調整できる人は、ごく僅かでしょう。
性能面の気になるところ
ノイズキャンセラー(ノイズリダクション)、ハウリングキャンセラーが搭載されているとはいえ、どの程度のものかがいかせん不明です。金額の安さは、非常に魅力ですが、この部分は、どうなのでしょうか。
一番気になるのは、バッテリーです。138時間使用できるのは、魅力的ですが、なぜそんなに使用できるのかが不明です。2010年頃、GNリサウンド社にて、充電式のバッテリーが出ました。こちらは、当時画期的だと思われましたが、補聴器の消費電力の大きさ、充電池の欠点により、市場から姿を消しました。この当時の充電池でも一日置きに充電しなければならない電池でした。そして、充電池は、2010年よりあまり進化していません。使用時間が問題視されるスマートフォンを見ていただくと、電池が良くなったのではなく、ディバイス(ディスプレイ)を大きくして、充電池の体積を拡大する事により、使用時間を伸ばしている事がわかります。
充電池の容積が小さくなっているのに、なぜそんなに使用できるのかが理解できません。一つ仮説を立てるなら、性能そのものを低下させる事により、電池寿命を伸ばしたと考えられます。現在の補聴器は、常に周囲の音を聞き取り、どのような状況なのか、この音は何なのか、この音は下げるべきか、など様々な演算をしています。これらの機能が抑えられれば、確かに使用する電力は減ると考えられます。このように考えると性能面はあまり期待できるものではないかもしれません。
こちらは私が考えた仮説であり、外れる可能性は大いにあります。
あとがき
ついに補聴器開発がクラウドファンディングされる日が来ました。これは、すごい変化だと思います。
ここまで進化しているとは思いませんでした。私が一番びっくりしたは、補聴器開発をクラウドファンディングされた事です。
なお、今年中のクラウドファンディングになりますので、興味がある方は購入してみるのも良いかもしれません。INDIEGOGOで249ドル以上投資すれば、完成後、自宅に届けてくれます。調整に必要なディバイス ごと送ってくれるでしょう。注意点としては、自分の聴力を知らないと調整できません。自分の聴力は、予め調べておく事をお勧めします。
ちなみに一番びっくりしたのは、調整画面です。この画面は、補聴器の製造を行っているスターキー社と全く同じです。……という事は案外スターキー社と繋がっているのかもしれませんね。