聴力図(オージオグラム)では、障害レベルは測れない

深井 順一|パートナーズ補聴器

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耳の聞こえを調べると聴力レベルがわかるようになります。この聴力レベルは、音の聞きにくさを表すものなのですが、残念ながら障害のレベルまで、正確に測る事は、できません。一般的に聴力レベルは、低下すると低下するほど、聞こえにくくなりますので、障害レベルはあがる傾向はあるのですが、それだけで、障害レベルが決まる事はありません。

それは、なぜなのでしょうか。それには、難聴は、コミュニケーション障害であるというところに、ヒントがあります。コミュニケーション障害というところを見ると、難聴というのは、実に奥深いものである事がわかります。

聴力レベル

聴力を測ると自分自身の聞こえのレベルを知る事ができるようになります。聴力ごとのレベルに関しては、以下の通りです。

聴力レベル別の難聴度
聴力レベル別の難聴度

聴力を検査した際にもらえるオージオグラムの平均聴力を出すと、自分自身がどの分類になるかが理解できます。オージオグラムの見方、平均聴力については、こちらをご覧下さい。

リンク:オージオグラムの見方と検査数値から見る耳の聞こえにくさ

それぞれの難聴のクラスにて、聞こえ方、音の感じ方は、異なります。平均聴力が重くなれば、重くなるほど、聞こえにくくなりますので、周囲の音も含めた、様々な音が感じにくくなります。※その違いについては、以下のリンク先をご覧になる事をお勧めします。

リンク:【どのくらい聞きにくい?】難聴レベル別聞きにくさのまとめ

聞こえにくくなるほど、確かに障害レベルも上がってきます。しかし、それだけで全てが決まる事はありません。それは、冒頭の通り、難聴とは、コミュニケーション障害だからに他なりません。

難聴は、コミュニケーション障害

難聴がコミュニケーション障害となる所以は、意思疎通を会話で行う事にあります。人は、口(喉)と耳を使って、意思疎通をします。しかし、その内の一つ、音を受け取る役割がある耳が聞こえにくくなってしまうと、満足に会話ができなかったり、聞き間違えたりしてしまい、意思疎通がしにくくなります。その結果、様々なところで、ほころびが出てくるようになります。

難聴とは、聞こえにくい事で、様々なところに、ほころびが出てくる障害という事が言えます。この障害の出やすさは、聴力に依存する傾向はあるのですが、必ずしも聴力に依存するわけではありません。軽度の方でも、重度の方でも、周囲の方の状況により、大きく左右されます。ここが、コミュニケーション障害の最大のポイントです。

周囲の環境+聴力レベル=障害レベル

コミュニケーション障害で言えるのは、良くも悪くも周囲の環境次第で、ガラリと変わる事です。いくら聴力が重く、その方のコミュニケーション能力が低下している場合でも、周囲の方々がそれを受け入れ、その難聴の方に合わせてくれる環境下でしたら、その環境は良い環境と言えます。しかし、いくら聴力が軽くても、その状況が中々理解されず、コミュニケーションがしづらい環境下であれば、相当厳しい環境となります。どちらが、心の負担が楽かを考えてみると一目瞭然ではないでしょうか。

この点を考えてみると、必ずしも聴力レベルだけで、難聴における障害レベルというのは、推し量れない事が言えます。私自身、聴力に関しては、あくまでも「飾り」だと思っています。補聴器を装用して聞こえを改善させる場合は、見なくてはならないポイントですが、聴力レベルでは、その人が困っているレベルを推し量る事ができない点より、そのように考えています。

これは、聴力が軽いから、困るレベル、困りごとは、あまりないとは言えないという事です。

困っているなら改善させよう

聴力を改善させる方法は、いくつかあります。難聴によって、対応方法は、異なりますが、耳を診察してもらう事(簡単な処置)、耳を手術してもらう事、補聴器を装用する事、だいたいこの三つに分かれます。気になる事があれば、耳鼻咽喉科、あるいは、補聴器販売店で相談をしてみましょう。

そして、その内……や軽度難聴だから、中等度難聴だから、高度難聴だから、という理由ではなく、ご自身が困っているのなら、ご自身の聞こえを改善させるものをしてみましょう。

上記のように、難聴の場合、聴力だけで、障害レベルが決まる事はありません。もし、困っているのなら、改善させる事をお勧めします。軽度難聴だから改善させなくても良いと思う方もいらっしゃると思いますが、そもそも困っているのでしたら、改善させた方が良いのではないかと私は考えています。逆に、重度難聴であっても困っていないのなら、改善させなくて良いと個人的には、思っています。

重度難聴にまでなると、困らない事は、ないと思いますが、考え方を示すうえで、このように表現をしています。改善させなくてよいという意味ではありませんので、その点には、ご了承ください。

重要なのは「今困っているか」です。それがYesであれば、何らか改善させる方法を試した方が良いと私は、考えています。その方が、悩みも解決できますし、より生きやすくなると個人的には、思います。

あとがき

聴力図(オージオグラム)では、障害レベルは測れないという事で、聴力レベルだけでは、わからない事があるという事を載せてみました。難聴であるご本人さんであれば、腑に落ちる内容だと思います。どうしても難聴は、聴力レベルだけで判断される事が多いのですが、このように実情を理解できるようになると、難聴というものがより理解しやすくなると思います。

私自身が思う事は、周囲の環境の方が、ウエイトを占めるのが大きいと感じています。上記にも載せましたが、周囲の方が難聴に関して理解がある場合とそうでない場合においては、天と地ほど、環境が異なります。それほどまでに、環境は重要な要素である事からも、私は「聴力は飾り」だと思っています。

だからこそ、少しでも環境が改善できる、あるいは、良くできるのであれば、その方法を試した方が良いとさえ感じています。その方が、その方の負担や苦痛を和らげられるからです。少なくとも、私は、そのように考えています。

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深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。お客様からは「補聴器を使って良かったです。これから明るく生活できます」「日常生活がスムーズになった」「人に聞き返すことが減り、コミュニケーションに対するストレスが軽くなった」と評価いただくことが多いです。
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