補聴器修理の概要と金額や保証に関するまとめ
補聴器を購入する前に気になる要素として「補聴器が故障したらどうなるのだろう?」「どうしたら良いのだろう?」というところもあると思います。補聴器は修理をし続けて使用し続ける製品です。無いに越した事はありませんが、故障は、どうしても起こりうる現象となります。
では、故障した場合、修理についてどのような事を知っておけば良いでしょうか。そして、気になる金額や保証というのは、どのようになっているのでしょうか。
こちらについても見ていきましょう。
補聴器の修理の概要
基本的に補聴器が壊れた場合は、購入したお店か、お持ちの補聴器のメーカーを取り扱っている販売店に行けば対応してくれます。その際は、購入した際に、発行してもらった保証書を持っていく事をお勧めします。
保証期間内なら、補聴器の修理は、無償でしてくださいますし、お店の人もどのくらい使用しているものかがわかれば、修理に関する見積りもしやすくなります。
修理の期間は、大抵7〜10日ほどかかります。夏の期間は、もっとかかり、14〜20日くらいかかるケースもあります。夏場は、補聴器が故障しやすく、多くの補聴器が送られてくるため、どうしても長くなりがちです。修理の期間は、ご自身の補聴器が使えなくなりますので、ご注意ください。
販売店によっては、修理期間中の代替機の貸出をしてくれるところもあったりします。予備のものがない場合や聞こえにくい状態だと困ってしまう方は、相談してみる事をお勧めします。
私のところでも、代替機は、用意しています。私のところは、若い方が多く、お店に来られる方の平均年齢は30代です。この世代は、働いているケースが大半ですので、補聴器が故障すると死活問題になりがちです。その困った状態を軽減させるために、貸出しています。
修理の金額
修理の金額は、補聴器の形状やメーカーによって様々です。全体をお話しさせていただきますと、修理の方法には、
- 交換部品式
- 区分修理式
の二つがあります。交換部品式は、交換する部品をそのまま計上する形式です。例えば、音がでるイヤホンのみ交換したら、その分の代金だけ請求するのが、交換部品式です。
一方、区分修理式とは、部品がA、B、C、Dとあった場合、A〜Cは、同じ区分として修理する……としますと、Aのみ壊れた場合、Bのみ壊れた場合、あるいは、A、B、C全てが壊れた場合でも同じ区分として修理します。一見一つだけ壊れた場合は、高くつきそうに見えますが、実際には、あまり変わらず、全体の修理金額で見ると、交換部品式よりも区分修理式の方が安く済みます。
それを踏まえたうえで、
- 耳あな形補聴器
- 耳かけ形補聴器
の二つについて記載していきます。ポケット形補聴器は、台数として少ないので、記載はしません。
なお、以下の内容は、私が扱っているフォナックのものとなります。補聴器メーカーごとに金額が異なりますので、その点は、ご了承ください。フォナックは、区分修理式です。
耳あな形補聴器の修理金額
耳あな形補聴器の主な部品の修理金額は、こちら。
補聴器には大きくわけて、
- 音を操作するボリューム
- 音を切り換えるスイッチ
- 音を出すイヤホン
- 音を拾うマイク
- 音を加工するアンプ(CPU)
の5つがあります。これらの内訳は、上記の通りです。アンプに関しては、機種により、金額が異なります。高額の機種だとこの部分の修理は高くなります。アンプの場合、30,000〜80,000円まで大きく差が出ます。
仮に部品が壊れている事により、音が出ない場合、壊れている可能性があるのは、イヤホン、マイク、アンプになります。このようなケースでは、最低でも16,000円以上かかります。その他、補聴器の取り出しにつかうテグスが取れてしまった場合、付け直すのは、5,000円で、スイッチが効かない、ボリュームが効かない場合は、それぞれ10,000円です。
そして、耳の中に入る肌色の部分(ものによっては、赤や青の部分)をシェルと呼ぶのですが、その部分が耳に合わなかったり、破損したり、割れてしまった場合、作り直すケースにおいては、25,000円となります。
なお、フォナックの場合、区分修理になりますので、仮にボリュームもスイッチも、イヤホンもマイクも壊れていた場合は、合計、16,000円で修理ができます。それぞれ、前の区分のものを入れての金額となります。
耳あな形補聴器の修理金額に関しては、概ねこのようになります。
耳かけ形補聴器の修理金額
耳かけ形補聴器の主な部品の修理金額は、こちら。
耳あな形補聴器と同じく、主な部品で比較しますと、スイッチとボリュームに関しては、耳かけ形補聴器の方が安くなります。アンプに関しても、機種によって異なり、20,000〜80,000円と幅があります。
補聴器のケースが破損した場合は、ケースの交換となり、こちらは、5,000円です。ボリュームやスイッチが効かなくなった場合も同様で、一律5,000円。音が出なくなった場合は、耳あな形補聴器と同じく、イヤホン、マイク、アンプのいずれか、もしくは、複数、全部の可能性があり、最低でも16,000円かかります。
耳かけ形補聴器の場合は、概ね、このようになります。
補聴器の保証期間
補聴器には、二つの保証期間があります。
- 補聴器故障時に無償修理する保証期間
- 保証期間終了後の修理価格上限設定の期間
の二つです。なお、メーカーによっては、保証期間終了後の修理価格上限設定の期間はありませんので、ご注意ください。フォナックはあります。
補聴器故障時に無償修理する保証期間
補聴器には、保証期間があります。基本的には
- デジタル補聴器:2年保証
- アナログ、自立支援法:1年保証
- 最上級機種:3年保証
となります。ほとんどの補聴器は、2年保証となり、メーカーの中で最も金額が高い機種は、3年保証となります。そして、一部の補聴器は、1年保証となります。保証期間内の故障に関しては、無償で修理ができます。ただし、過失による故障は、対象外になります。例えば、補聴器を洗濯した、補聴器を踏んづけたなどが当てはまります。
なお、それ以外の機器は、おおよそ1年になります。例えば、クロス機器や通信機器などのオプションで購入する機器は、大抵1年が保証期間となります。
保証期間終了後の修理価格上限設定の期間
こちらは、保証期間が過ぎた後の第二の保証です。上限は、
- 保証期間終了後、1年目:20,000円
- 保証期間終了後、2年目:40,000円
となります。修理の金額の上限を設け、それ以上かかる場合は、上限までしか請求しないのが、こちらの保証です。
もっとも、これ以上請求になるのは、アンプと呼ばれる部分が故障したケースにのみ当てはまりますので、そこまで使用する機会があるかと言いますと、そこまでありません。
しかし、不意に壊れる事もありますので、上限が設定されていると安心ではあります。なお、上記に記載されている金額は、あくまでもフォナックのものとなりますので、ご注意下さい。
修理に関するまとめ
補聴器の修理に関しては、おおむね、上記の事を理解されていれば対応に困る事はないかと思います。故障した際やそうかもしれないと感じた場合は、すぐに販売店に持っていきましょう。見てもらい、もし悪いのであれば、早々に対応いただいた方が、良くなりやすいですし、場所によっては、代替機を貸してくれますので、自分にとって良い状況にしやすくなります。
補聴器は、修理をしながら使い続ける製品です。補聴器の平均使用年数は、約5年と言われており、それよりも短い期間で買い換える方もいれば、それよりも長く使用する場合もあります。
長く使用する場合は、補聴器の修理対応年数も覚えておいた方が良いかもしれません。補聴器は永続的に修理ができるわけではなく、ある程度、修理が対応できる期間を設けています。その機種が販売中止になった後、5年ほどは、部品の供給をしていますが、それを過ぎると、修理そのものもできなくなります。その後に故障してしまった場合は、直す事ができなくなりますので、補聴器を別のものに買い換える必要があります。
補聴器は長く使い続けたい派とできるだけ自分自身を良くできる製品が欲しい派の二つにわかれます。もし、できるだけ長く使い続けたい派であれば、補聴器が修理できる期間には、限りがある事も覚えておきましょう。
以上、修理に関する内容で、知っておきたい事をまとめてみました。お役に立てば幸いです。