新製品発表で密かにちょ〜気になっているエクスパンションの改善
先日、フォナックのセミナーに参加し、個人的に、密かに気になっているものがあります。それは、エクスパンションと呼ばれる要素です。新しい補聴器では、こちらに関して、より効果的に行う仕様になったとか。
補聴器を調整する人間としては、ここが一番気になったところです。マーケティング的思考では、先日書いた内容が気になったところですね。
ちょっとこちらに関して、私が感じたことをまとめていきます。
補聴器のエクスパンション
エクスパンションとは、簡単に言いますと小さい音の増幅をどのようにするか。というところになります。
※2016年12月、新製品発表会の資料、フォナック社より引用
フォナックさんの資料に、そのまま意味が書かれています。こちらは、聞こえを改善させる上で、結構重要な要素です。
音を聞こえさせるということ
聞こえが良くなる。と聞くと、皆さん、音が聞こえやすくなる、音声が聞こえやすくなるとお考えになる方が多いのですが、これは、半分正解で、半分外れです。実際には、そのような点もありますが、それ以上に細かな物音が聞こえるようになります。
補聴器を装用し始める頃に感じることも多いのですが、音が聞こえるようになると、
- 音の聞こえる範囲が広がる
- 小さい物音が聞こえる
の2つのことが起こります。
音の聞こえる範囲
音の聞こえる範囲とは、今まで近くの音しか聞こえなかったものが、小さな音が聞こえるようになることで、離れたところからの音も聞こえるようになることです。
音は、離れれば離れるほど、自分のところでは、小さく聞こえてきますので、聞こえが良くなることで、離れたところからの音もわかりやすくなります。
小さい物音が聞こえる
聞こえが良くなれば、今まで、聞こえていなかった小さな音も聞こえるようになります。代表的なものは、テレビのスイッチを押すと、プチッといった音がしたり、機械類を操作した時に、ピッ!と聞こえたり、時計の針の音が、カチッカチッカチッ・・・と聞こえたりなどです。
これらの物音が聞こえるようになります。日常生活上には、細かな物音が非常に多いため、これらのものも気がつくようになります。
音が聞こえるようになると音の範囲が広がる
補聴器を装用すると、どちらかというと音が大きく聞こえてくるというよりも、聞こえる音の範囲が広がる感覚になります。今まで気がつかなかった離れたところからの音や聞こえず、音の存在すら気がつかなかったものが、補聴器で聞こえが良くなることで、一気に聞こえるようになります。
私自身は、補聴器を装用していますが、音が大きく聞こえるというよりも、聞こえる音の数が多くなる。というのが素直な感想です。身近には、様々な音がしていますので、それらの音が聞こえやすくなる感覚ですね。
音を聞かせる上での問題
しかし、おそらくお気付きの方も多いかと思うのですが、音を聞かせる量が多くなると、聞こえる音の数が多くなり、時には、かなり辛くなってしまうケースもあります。
音の大きさが問題なのではなく、聞こえる音の量(数)の多さが問題になります。※音の大きさも一部あります。
そこで、そこの部分をどうするのか。そこがエクスパンションになります。各社、自分なりの考えの元、エクスパンションに関しては、決めています。
で?フォナックは?
んで、今回の製品発表では、こちらのエクスパンションの見直しを行い、より小さい音声でも理解ができ、かつ快適性を上げることができるようになったとか。
※2016年12月、新製品発表会の資料、フォナック社より引用
こちらや
※2016年12月、新製品発表会の資料、フォナック社より引用
になります。エクスパンションオフの状態は、可聴性は、良いのですが、問題は、音の大きさです。
※2016年12月、新製品発表会の資料、フォナック社より引用
それについては、実験の結果上、良いようです。・・・本当に?
もっと聞こえの改善ができるかも?
こちらを見た際に思ったことですが、仮にこれが本当だったとしたら、より聞こえに関しては、改善できるかもしれない・・・と思いました。
補聴器の聞こえの基本は、どれだけ聞こえを改善させるかになります。簡単に言いますと聴力をよくさせる部分です。よく性能と勘違いしている人も多いのですが、補聴器で聞こえさせる値と性能は、別の要素です。
補聴器を装用した状態で測定する音場域値測定というものがあるのですが、こちらを測定すると、どのくらい補聴器を装用して、聞こえているのか。それを調べることができます。
そして、補聴器の場合、おおよそではありますが、聴力ごとに「ここまで聞こえさせるといいよ!」という目標値があります。そこまで達成できていれば、概ね聞こえを改善できますし、達成していなければ、少々、聞こえにくさを感じるようになります。
私が思ったのは、こちらの上限を上げられるようになるかもしれない。ということです。
仮に本当であれば、快適性が上がることにより、より増幅できる幅が上がるわけですから、離れているところからの会話、例えば、会議で聞きにくい方や自分の席に座っており、呼びかけられた時に気がつきにくいケースをより改善できることにつながります。つまり、距離が関連する要素は、より改善しやすくなることが可能になるということです。あと、強いて挙げるなら、声が小さい方の声もそうでしょうか。
聞こえの上限を上げる際、どうしても気になりやすいのは、周囲の音なのですが、ここが気にならなくなるのであれば、上限は上げやすくなることにより、聞こえをより改善させやすくなることになります。この点が調整者としては、非常に気になったところです。
仮に本当であれば、今まであった限界をさらに更新できるようになります。う〜む、これは、すごい。
まだ始まったばかり
ただ、まだ始まったばかりですし、販売すらされていないものですので、私の方では、おいおい実験でもしながら、理解していくつもりです。
本当だったらより上限が上がることにより、聞こえの基本の部分が改善されます。
お気付きの方は、お気付きですが、補聴器を装用しても、今現在できる聞こえの改善は、軽度難聴程度です(軽度、中等度難聴に限ります。高度、重度は、もっと改善の域値が下がります)。
それが、より正常の範囲内まで近づけられる、もしくは、近づけるのが楽になるのであれば、それは、非常に良いことであり、補聴器の進歩になります。
補聴器が進歩すれば、より聞こえにくさを感じている方にとって良いものになります。まぁあまり妄想を膨らませすぎるのもよくありませんので、おいおい実験でもしていきますかね。