低音障害の方を実際に対応して学んだ3つのこと
先日【実例】低音障害型感音難聴の方を補聴器で改善した方法に関して記載しました。こちらに関しては、実際に対応した内容を記載してみたのですが、難しい症例の一つですので、実際に私が対応して学んだこと、得られたことに関してもシェアできればと思い、こちらも記載してみます。
前回のものがお客さん用とするなら、こちらは、補聴器を実際に調整する方、向けと行ったところでしょうか。どちらかというと感想的なものですが、載せていきます。
学んだ3つのこと
さて、早速ですが、学べたのは
- 現状、耳を塞いだ方がまだ改善しやすい
- 型を採取したものを使う
- 課題は、高域をどう補うか
の三つです。最後は、学べたというか、さらに聞こえを改善させるために必要なものといったところですね。
現状、耳を塞いだ方がまだ改善しやすい
先日のものをみていただくとはじめにこれ以上の改善を行うため、二つの方法を試してみたのですが、結論からいうと、まだ耳を塞いだ方が改善しやすいということがわかりました。
耳を塞ぐと高域の部分が補いにくくなるため、はじめ明らかにしなければならなかったのは、現状、どのような方法で改善が可能で、それぞれの改善度は、どのくらいなのか。というところでしたが、調べた結果は、高域が少し低下したとしても、塞いで補った方が良い。ということでした。
ただ、私もまだこの方しか対応していないため、もう少し症例が欲しいところではあります。
なお、高域がちゃんと聞こえているか、そうでないかは、音場閾値測定で、0dBくらいまで出せる機械ではないと測定できないため(一般のもの(リオンさんの)は、20dBが限界)、その点も要注意点ですね。うちは、0dBまで測定できるものがあるので、大丈夫でした。
型を採取したものを使う
これは、最近私の方で気がついてきたことですが、耳の型を採取するもの。耳あな形の補聴器やイヤモールド、Cシェル、スリムチップといった類のものは、使った方が、音場閾値測定の結果もよくなり、そのおかげか、語音明瞭度測定も上がる傾向を感じています。
これらのものは、保持のために使う方が、多いかもしれませんが、最近、私の場合は、聞こえをあげるために使うことが増えてきましたね。この点は、フォナックの補聴器でしか調べていませんので、他のメーカーは、わかりません。もしかしたら、フォナックは、それぞれの耳せんでの改善値が変化しているのかも。という予想はしています。
課題は、高域をどう補うか
課題としては、少し前に出ましたが、まさに高域をどう補うか。になります。耳を塞ぐ耳せんを使用すると、1500Hzあたりから影響を受け始め、2000Hz、3000Hz、4000Hzが下がりやすくなります。特に2000Hz、3000Hz、4000Hzは、まず下がります。
元々高域が下がるのは、知っていましたが、知っていて、かつ、改善が残念ながらできませんでした。最低でも、裸耳と同じくらいにしたかったのですが、私の腕では、これが限界でした。無念……
この点を改善できるともしかしたらもっと改善できるかも?と密かに考えています。実際には、音場閾値測定で改善できたことを確認した後、お客さんに使ってもらったり、音場語音をやって確認できると、より実際のところがはっきりするはずです。
まとめ
以上、低音障害の方を対応して学んだことでした。元々難しい症例の一つですので、私もまだまだ改善のために行なっていく、もしくは、実験や検証していく必要はあるのですが、ひとまずやってみてわかったことに関して、まとめてみました。
どちらかというと補聴器を調整する側の知識になってしまうのですが、まぁ難しい症例の改善例などは、皆で共有して、業界そのものに貢献できるようにしたり、知識が行き渡るようにして、改善できる人が増えると一番いいかなと思い、書いてみました。
やっとネットが普及したのですから、その力を利用しない手はありませんね。