感音性難聴の事例

【不安が減った】片耳のみ低音障害型感音難聴の方、クロス補聴器で改善

深井 順一|パートナーズ補聴器

聞こえの改善や補聴器のことについては、【FAQ】聞こえの改善と補聴器のFAQへ。お客様の改善事例は、聞こえの改善成功事例へどうぞ。

数年前に低音障害型感音難聴になり、右耳のみ、大きく聴力が低下してしまった方から、聞こえの改善のご依頼をいただき、対応させていただきました。

ご対応した結果

  • 聞こえない側から話されても、気がつくことが増えた
  • 仕事の際は、聞こえないことによる不安が大きかったが、その感覚が大きく軽減された

との事でした。

現状をよりよくでき、こちらとしては、何よりです。

では、どの様にしてよくしていったのでしょうか。こちらに関して、記載していきます。

耳の状況

対応した方の耳の状況ですが、

  • お名前:T・Tさん
  • 性別:女性
  • 年齢:40代
  • 聴力:右耳のみ、重度難聴(左は、正常)
  • 症状:低音障害型感音難聴(片耳のみ)
  • 備考:何度か再発してしまい、聴力低下が大きく

となります。

聴力は、この様になります。

耳についてですが、4〜5年前に低音障害型感音難聴で低下してしまい、治療を行なったのですが、残念ながら、治らなかった方となります。

気がついたら、聞こえにくくなっていた。ということで、徐々に低下していってしまった様で、気がついたら、片耳が、全く聞こえない状態にまで、低下してしまいました。

治療を行なっても、改善されず、治療は、既に終了しており、聞きにくさがあることから、補聴器のご相談へ来られました。

今現在、感じているのは、

  • 聞こえない側から話された時に気がつかない
  • 仕事の際に、聞こえない側からだと、話されてもわからないことがある

との事で、片耳が聞こえにくい事で、主に聞こえない側からの会話や呼びかけ、その様な部分がわかりづらい状況でした。

という事で、こちらの部分に関して、改善していきます。

聞こえの改善案

T・Tさんの改善案は、結論から言いますと、クロス補聴器というもので改善していきました。

聴力の低下が非常に大きいため、このような方は、補聴器での改善度も低くなります。そのため、少しでも、改善するよう、クロス補聴器で改善していくことにしました。

聴力を測定した際ですが、かなり大きく低下しており、音の部分も、音が聞こえている。というよりも、どちらかというと、振動を感じる。程度で、音(音色)がわかる。という状況ではありませんでした。

聞こえの低下が大きい場合は、補聴器の効果も限られることが多く、聞こえない耳側に補聴器を装用しても、うまく改善できないことが大半です。

補聴器の中には、クロス補聴器。という少し変わった機器があります。

少しでも、聞こえない耳側からの音声や音に気が付きやすくするため、こちらでは、クロス補聴器で、改善していくことになります。

クロス補聴器とは、聞こえる耳側に補聴器をのせ、聞こえない耳側にクロス。と呼ばれる音を転送する機器をのせます。

クロス補聴器は、聞こえない側で聞く補聴器ではなく、聞こえる耳側で聞く補聴器です。そのようにして、聞こえを改善していきます。

すると、聞こえない側からきた音が、聞こえる耳側に転送される様になりますので、聞こえる耳側で、聞こえない耳側の音を受け取れる様になります。

片耳難聴の状態をこのように改善してくれます。実際には、周囲が騒がしくなりすぎてしまうと、効果が薄れてしまうのですが、そのようなことがなければ、改善度は、上がります。

この様に改善できると、主にこの様な部分で改善できます。

残念ながら、片耳のみで音を聞くため、音の方向感覚だけは、わからないのですが、それ以外の部分を今現在の状態より、よくすることができます。

それが、クロス補聴器になります。

T・Tさんの様に聞こえない耳側の聴力低下が大きすぎる場合は、クロス補聴器で改善する方が、聞こえの改善度は、上がります。

実際にしたこと

初回にした事

初回は、耳の状況をお伺いさせていただき、病院さんで検査された聴力データを参考に、補聴器でご自身の状況を改善する方法について、お伝えしていきました。

主な内容は、聞こえの改善案に記載した通りで、こちらに来られた理由も、クロス補聴器に関して書かれており、もしかしたら、自分の状態を改善できるのではないか。と、感じたことからでした。

このタイプのクロス補聴器の試聴機で、実際に日常生活から職場で、使用していただきました。

そのため、クロス補聴器に関する概要をお伝えしたのち、どの様に改善されるのか。実際に試聴や貸出期間を設け、日常生活から職場まで、使用できる様に貸出してみました。

1週間ほど実際に日常生活、職場で使用していただくと、クロス補聴器があることにより

  • 聞こえない耳側から聞こえる感覚がわかる
  • 聞こえない耳側から話されても、わかること、気づくことが増えた
  • つけていると、少し安心する感覚もある

という事でした。

クロス補聴器をつけると、明らかにすごく良くなる!。というところまでは、行っていないのですが、つける事で、恐らく、今のは、なかったらわからなかっただろうな。と思うことは、何度かあり、クロス補聴器の効果も少なからず、感じているご様子でした。

ご自身としても、なるべくなら、聞こえない状態でいるより、少しでも改善させ、周りの方にあまり負担をかけず、できる限り、ご自身の状態をよくしていきたい。とのことから、クロス補聴器を考えていく事になります。

クロス補聴器の選定

クロス補聴器には、一応、耳にかけるタイプのクロスと耳の中に入れて使用するクロスがあります。

クロス補聴器には、一応、耳の中に入れて使用するものもあります。

しかし、この耳の中に入れて使用するクロス補聴器は、聞こえている耳側が、正常の方に使用すると、聞こえている耳側がより、聞きにくくなってしまいます。

聞こえている左側は、正常の範囲内(0〜25dBまでが正常の範囲)ですので、耳あな形を使用すると、聞きづらくなってしまいます。

T・Tさんの場合は、聞こえている耳側が正常なので、この形状は、残念ながら合いません。

このタイプのクロス補聴器の試聴機で、実際に日常生活から職場で、使用していただきました。

そのため、自然と、耳にかけるクロス補聴器になります。

ただ、耳にかけるクロス補聴器には、2つの種類があります。小型タイプと標準タイプですね。

こちらに関しては、小ささや耳にかかる楽さを重視するか、少し大きくなるけれども、電池の保ちを優先するか。どちらかになります。

試聴時に貸出したタイプで、そのまま形状に関しては、決定になりました。この形状で、試聴もしているため、しっかり使えることを確認した上での、決定となります。

T・Tさんの場合は、はじめ、耳の裏が少し痛くなることがあり、そのことから、小型タイプにしました。

小さいものですと、耳に乗っている負担なども、少ないため、楽に使いやすいためです。

なお、クロス補聴器を使い始めた頃に、少し耳の裏が痛くなることがあったのですが、使い続けていくうちに、その様なことは、なくなり、今現在は、そのままスムーズに使用されています。

という事で、小型タイプを選びました。

クロス補聴器での改善度をあげる

クロス補聴器は、基本的に、聞こえる耳側へ、聞こえない耳側にくる音を転送する機器です。

一般的な補聴器は、聴力により、音を調整し、その人の耳の状況に合わせていくのですが、クロス補聴器は、あまりその様な部分がありません。

しかし、クロス補聴器の場合は、しっかりと装用できる様にし、なるべく効果を出せる様にしていくことが大切です。

聞こえる耳側につける補聴器ですが、この部分から音が出ています。そのため、この部分をしっかり耳の中に入れる(装用する)ことが大切です。

クロス補聴器の場合、聞こえる耳側につける補聴器側は、この様な部分から、音が出ています。

この部分をしっかりと耳の中に装用できる様にすることが大切です。ここがしっかり装用されていれば、聞こえの改善度も、上がってきます。

さらにできればではありますが、この様なストッパーをつけられる様になると、より、聞こえの状態は、安定します。

耳は、口が動いたり、頭が動いたりすると、耳の中が変化するため、人によっては、徐々に耳から抜けてくる方がいます。

その様な方の場合は、スポーツロックというストッパーをつけられると、耳から抜けにくくなる事で、聞こえが安定しやすくなります。

T・Tさんの場合は、貸出の際にクロス補聴器を使用していただいた際、幸いにも、耳から抜けてくることはなく、かつ、ストッパーをつけると、非常につけづらくなることから、やめたのですが、つけられると、いいものではあります。

クロス補聴器には、ご自身で音量をある程度、変えられる様になっています。周りの状況により、自分で変えられる様になると、使いやすさは、上がります。

また、補聴器の状態に関しては、ご自身である程度、調整できる様にしました。

クロス補聴器には、ある程度、自分で音量をあげたり、下げたりする事ができるボリュームを設定する事ができます。こちらを設定し、ご自身で自由に調整できるようにしています。

自分で調整できるようになると、少し聞きづらい場合は、少しご自身で上げ、少し騒がしい場合は、ご自身で下げる。など、自由に合わせやすくなります。

音の環境は、様々ですので、なるべくこのように自分で合わせやすいスタイルにし、どのようなところでも一通り、使えるような仕様にしました。

これらの部分を設定し、なるべく改善できる様にしていきました。

お客様の声

実際にお越しいただいたお客様に、ご来店いただいて、どうだったのか。お伺いしてみました。

どの様な事でお悩みでしたか

実際にクロス補聴器をお使いになってみていかがでしょうか

このお店で、ご相談(購入)になったのは、なぜでしょうか

アンケート

アンケートにご協力いただきまして、誠にありがとうございます。

聞こえにくい状態に関して、よりよくでき、こちらとしては、何よりです。

改善のポイント

改善のポイントは

  • 聞こえの低下が大きいため、クロス補聴器で改善した事
  • クロス補聴器で改善する際に必要な部分を全て確認した事

の2つです。

聞こえの低下が大きいため、クロス補聴器で改善した事

T・Tさんの場合は、聞こえの低下が大きく、それらの理由から、クロス補聴器で改善していきました。

クロス補聴器は、あくまでも一般的な補聴器では、改善が難しい。聞こえなくなった耳に直接、補聴器を装用しても、聞こえを改善できないケースに、使用されるもので、T・Tさんの場合は、耳の状況からこちらにしました。

どの様な耳でも、補聴器で改善できれば、めでたし、めでたしなのですが、耳の状況によっては、一般的な補聴器は、効果がほとんど出ないこともあります。

片耳のみ聞こえており、もう片耳が全く聞こえないケースの場合は、クロス補聴器で改善すると、改善しやすくなります。

クロス補聴器で改善する際に必要な部分を全て確認した事

2つ目は、こちらです。

上記にも記載しましたが、クロス補聴器は、聞こえない耳側にきている音を聞こえる耳側に転送する機器です。

一般的な補聴器は、音の調整があるのですが、クロス補聴器は、そこまで、調整する要素がありません。

そのため、補聴器の装用状況により、聞こえが変化します。

クロス補聴器の場合は、しっかりと装用できる状態にすることが、大切です。ですので、その部分も含めて、こちらでは、改善していきました。

装用の状態がしっかりできているのか。良い状態で使用できているのかの確認を行い、なるべく改善できる状態にしていきました。

補聴器の音の状態も、なるべくご自身で操作できる様に、音量の設定も行い、使いやすくする事で、どの様な環境でも、使用できる様にしました。

この様にできると、聞きにくさを改善しやすく、かつ、様々な場所でも使いやすくできます。

片耳のみ低音障害により聞こえなくなった方の改善まとめ

以上、T・Tさんの改善例でした。

今回は、低音障害感音難聴の改善になるのですが、この難聴は、ここまで低下するのは、かなり珍しい病気ですので、実際に取り上げてみました。

また、実際に片耳のみ聞こえにくいケースに関して、どのように改善すると、改善しやすくなるのか。その点を中心に記載しました。

実際に聞こえにくさを感じている方へ、ご参考になれば幸いです。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。お客様からは「補聴器を使って良かったです。これから明るく生活できます」「日常生活がスムーズになった」「人に聞き返すことが減り、コミュニケーションに対するストレスが軽くなった」と評価いただくことが多いです。
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