補聴器のFAQ

集音器と補聴器の違いとは?

深井 順一|パートナーズ補聴器

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補聴器と集音器の違いは、何?これは、意外に多くの方が気になっている事だと思います。

金額が高いのが補聴器。金額が安いのが集音器。と言われれば、確かにその通りですね。

真面目に答えますと、集音器と補聴器の違いは、耳を補う事を考えて作っているか、それとも単純に音を大きくして、聞こえるようにしようとしているのか。の違いになります。

以下、補聴器と集音器の違いについて、簡単に。ではありますが、記載していきます。

補聴器がしている事

集音器と補聴器の違いを理解するには、補聴器がしている事を理解した方が早いです。

では、補聴器がしていることは、何かと言うと、聴力低下した耳に対して、音を補う。という事をしています。

難聴の耳というのは、実に面白いもので、聴力低下した場合、周波数別に低下している量も違えば、その低下している部分も量も人によって、違います。

さらにあまり意識しない事かもしれませんが、聞こえにくさに困りやすい感音性難聴。という耳の聞こえは、厳密には、その人にとって、小さい音を中心に聞こえにくくなります

このような聞こえの方がいた場合(感音性難聴と仮定)、注目していただきたいのは、大きい音の許容範囲です。

書き忘れていますが、50dBの方は、105dBあたりから音が辛くなります。

これが、健聴の方と比較をするとこのような状態になります。

小さい音の聞こえ(聞こえはじめ)の部分は、大きく下がっているのに対し、大きい音の許容範囲は、そんなに変わっていないですよね

つまり、難聴の耳(感音性難聴の場合)というのは、小さい音を中心に聞こえにくくなっており、大きい音も、それと同様に聞きにくくなっている訳ではない。ということになります。(ココ、めちゃくちゃ重要です)

補聴器は、このような耳の状況を補うために、色々としています。

じゃあ、その色々って何?となるのですが、音の大きさ別に補う音の量を変えているんですね。それも、周波数別に

例えば、小さい音の出力(50dB)では、音を16大きくしよう。

普通の音の出力(65dB)では、音を7大きくしよう。

さらに大きい音の出力(80dB)では、音を2大きくしよう。

という具合です。

なぜ、音の大きさ別に音を変える必要があるかと言いますと、音の大きさ別に補えるとよい音の量は、変わるからです。

このような聴力で例えますと、50dBで全体的に聞こえていますので、50dBの方は、小さい音の出力(50dB)は、ギリギリ聞こえるか、聞こえないか。ぐらいです。

ですので、この音は、しっかりと聞こえさせてあげる必要がありますので、それなりに音を出す必要があります。

では、普通くらいの音の大きさ(65dB)の場合は、どうかと言いますと、その音量は、もう普通に聞こえている状態になりますので、ほんの少し大きくしてあげるだけで、だいぶ聞きやすくなります

さらに、大きい音の大きさ(80dB)については、50dBの耳でも、それなりに大きく聞こえているため、正直、そこまで音を大きくする必要性は、ありません。なぜなら、問題なく聞こえているからです

上記に記載しましたが、難聴の状況(主に感音性難聴)というのは、主にその人にとって、小さい音が聞こえにくくなっているだけで、大きい音の感度、聞こえやすさは、そんなに変わっていないんですね。

ですので、その部分を小さい音の大きさと同じ量、大きくしてしまうと、大きい音の出力(音)が強くなりすぎてしまい、補聴器をつけると、キツイ、辛い。という状況になってしまいます

このような耳の状況がありましたので、補聴器は、周波数別に、さらに音の大きさ別に細かく調整できるようになっています

黒い線が、最大出力(出力制限)です。

なお、実際には、音の出力制限(最大出力)。というのもつけています。

音の出力制限というのは、この音量以上に音を大きくしない。というものです。

ちょっと賢い人だと「あれ?大きい音に関しては、音、大きくしないんですよね?」と疑問に感じるかもしれませんが、それでも、出力の制限は、必要なんですね。

例えば、出力の制限がない場合、80dBの音は、80dBで入るし、110dBの音は、110dBで入ります。

逆に出力の制限があるものは、80dBの音は、80dB、110dBの音は、制限をかけて、95dBまでしか出さない。というように、制限をかけることができます。

ある一定の音量以上にしない。というのは、出力の制限をかけることによってできる事です。

耳の状況によっては、大きい音が辛く感じる耳の方もいますので、このような制限も非常に大事で、かつ、必須になります。

このようにして、補聴器は、聞こえにくくなった耳を補っています。

集音器がしている事

では、集音器は、どうか。と言いますと、集音器は、周波数も音の出力も、決められた部分を決められた量、大きくします

決められた周波数の部分をテレビのボリュームのような感覚で、音を大きくしたり、小さくすることができる。という事ですね。

例えば、上記のケースにならっていうと、

小さい音(50dB)の出力は、15大きくする。

普通の音(65dB)の出力は、15大きくする。

大きい音(80dB)の出力は、15大きくする。

と音の大きさ別に音を大きくする量は、変えず(というか変えられない)、全ての音の強さは、一定に大きくなります。

さらに、周波数に関しても、変えることができないので、決められた周波数を決められた量、変える事しかできません。

ですので、集音器は、安く提供することができます。

聴力や耳の状況が人それぞれ異なる事を想定して作ると、補聴器のように色々と機能を入れる必要がありますので、あれも、これも…と入れ、高くなってしまうんですね。

なお、集音器に関しては、出力制限はないものが大半です。

ですので、大きい音がした際に、抑えられないので、その点に注意する必要があります。

静かな中で使う分には、良いかもしれませんが、外だと、不意に大きい音がするケースがありますので、その点に注意が必要です。

耳を補う、と、音を大きくする。の違い

集音器と補聴器の違いは、音を大きくする。と、耳を補う。の違いといえば、わかりやすいかもしれません。

補聴器は、上記のように難聴の耳を補う事を想定して作られています

耳の状況というのは、小さい音を中心にして、聞こえづらくなり、さらにそれぞれの音の大きさ別に補う量が異なる事から、それぞれの音の大きさ別に補う量を変えたり、周波数別にも、補う量を変えています。

そして、大きい音は、入りすぎると辛くなるケースがありますので、一定以上の音の大きさは、制限をかけて、入れないようにしています。

補聴器は、聞こえを改善するのは、大事だけど、同時に耳を守ることも大事だよね。という事で、それを実現できるように製品を作っているんですね。

この点は、難聴の人の状況を改善するには、どういった仕組み(機能)が必要か。を考えて作った。といえば、わかりやすいかもしれません。

集音器に関しては、音を大きくする。という事で、簡単にではありますが、テレビのボリュームのように音を大きくできるようにしたシンプルなものが多いです。

これが、集音器と補聴器の違いです。こんな事ばっかしているので、補聴器は、どんどん高くなってしまっているんですね。

この点は、ご負担をかけるようで、誠に申し訳ございません。 <(_ _)>

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深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器の販売員としての知識、技術に加え、一人の難聴者が自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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