補聴器のFAQ

実際に補聴器を使っている私が考える良い補聴器の定義

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

良い補聴器の定義。これは、非常に難しいことで、意見がだいぶ分かれる部分だと思います。

このページを見ている方は、「良い補聴器の定義は何ですか?」と聞かれたら、どんな風に答えますか?

このお店は、一度、耳や補聴器の事で、うまくいかなかった方を専門に補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店です。

その事から、主に一度、うまくいかなかった方の生活の改善にフォーカスして、補聴器の提供や聞こえの改善をしているのですが、その際に、外してはいけないポイントというのは、意外にも、共通点があるな。と感じています。

言い換えれば、うまくいく人は、どのような補聴器を得ているのか。ここになるのですが、その共通点は、

  • 聞こえの改善ができる
  • 使いやすい(扱いやすい)
  • 審美感が良い(見た目が気にならない)

の3つです。

補聴器というと聞こえの改善ができればそれで良い。と思われることがあるかもしれないのですが、物の見方を”聞こえの改善”ではなく “生活の改善”という視点で見ると、また別のことがわかります。

うまくいっている人は、どちらかというと”生活の改善”という視点で見ていることが多く、今回は、こちらに関して、記載していきます。

生活を改善するための3つのバランス

さて、はじめに結論から記載していきたいと思うのですが、うまくいっている人、あるいは、補聴器に関して、満足している人は、

  • 聞こえの改善ができる
  • 使いやすい(扱いやすい)
  • 審美感が良い(見た目が気にならない)

の3つのバランスが非常に良いです。

はじめにそれぞれの要素に関して、見ていきましょう。

聞こえの改善ができる

おそらく補聴器に関して、購入する。あるいは、つける。と考えた際に「聞こえの改善ができない補聴器でも良いよ」という人は、いないと思います。

補聴器は、聞こえにくい人の生活を改善する。聞きにくさを抱えている人を支えるのがお仕事ですので、その根本的な価値を放棄してしまうと、ただ耳についている高い機械になります。

ですので、ここは、大事な部分ですね。もっとも大事な部分で、コアとなる部分といえば、わかりやすいかもしれません。

使いやすい(扱いやすい)

では、補聴器は、聞こえさえ改善できればどんなものでも良いのでしょうか。そんな事は、ないですよね。

これは、実際に使いにくい補聴器を使ったことがある方は、非常に良くお分かりいただけると思うのですが、自分にとって、使いづらい補聴器は、とにかくストレスが溜まります。

例えば、耳かけ形補聴器を使用しており、今現在、マスクをつける生活に世界中でなりました。

耳かけ形補聴器の場合、耳にかける状態になりますので、マスクをつけると、人によっては、補聴器にマスクの紐がかかってしまったり、マスクの紐がきついと、耳が曲がってしまい、その曲がった状態になると耳から補聴器がずれ落ちる。というケースもあります。

こうなると補聴器に関して、うまく使えなくなりますので「使い物にならん」「使いづらすぎてストレスが溜まる」となります。

聞こえの改善だけ見た場合は、聞こえの改善ができる補聴器で良いかもしれません。しかし、”生活の改善”という視点で見ると、実は、聞こえの改善だけでは足りない。ということがお分かりいただけると思います。

審美感が良い(見た目が気にならない)

最後は、こちら。審美感が良い。となります。

審美感とは、見た目のことを表しており、よく医療の世界で使われる言葉です。歯医者さんや美容系で使われる言葉でもあります。

審美感が良い。は、見た目が気にならず、自然に使える。を意味しており、審美感が悪い。は、見た目が気になって、落ち着いて使えない。ということです。

見た目に関しては、気になる方と気にならない方が結構、分かれやすいのですが、この審美感もだいぶ大事になります。

というのも、補聴器というのは、まず、そもそもの問題として、使っている人があまりいません。さらに一部の人は「障害を持っている人が使うもの」「お年寄りが使うもの」というイメージを持っている方もいます。

これは、補聴器を使う側がそう思っていることもあったり、逆に周りの人がそのように思っているケースも入ります。

ですので、この審美感に関しても、補聴器を使う方が、あるいは、周りの方にとっても、自然に見えるようにする。あるいは、場合によっては、目立ちにくくし、その方が自然に使えるようにする。ということが何よりも大事です。

ここは、補聴器を使う方が日々の生活を自然に過ごせるようにしてあげる。と言い換えるとわかりやすいかもしれません。

「補聴器を使うことで、周りの方の視線が気になってしまう」という方に見えやすい補聴器を使うと、その方は、安心して、日々の生活を過ごすことができなくなってしまいますよね。

このような方に、いくら「聞こえの改善がしっかりできるよ」とか「使いやすよ」と言っても、「そんなこと言われても……」と、その前の段階で気になってしまっている訳です。

そういった方がいた場合、逆に目立ちにくくして、その方がその方らしく振る舞えるように。そういった苦手意識、マイナス意識を感じさせないように補聴器をデザインする必要があります。

これも”聞こえの改善”という視点で見ると、埋もれがちなのですが”生活の改善”という視点で見ると、ものすごく大事になってくることがわかります。

大事なのは、3つのバランス

実は、補聴器というのは、”聞こえの改善”という視点で考えるのではなく、厳密には、”生活の改善”という視点で考えるものです。

そして、この3つのバランスが何よりも大事になります。

人によって、考える軸は、あります。

例えば「聞こえの改善を重視する」という人もいれば「補聴器の使いやすさ、扱いやすさを重視する」という人もいます。

さらに人によっては「周りの視線が気になるので審美感が良いもの、目立ちにくいものにする」という人もいるでしょう。

しかし、聞こえの改善さえできていれば、使いにくく、審美感を全く気にしない。という事はありませんし、使いやすいけれども、聞こえの改善が全くできない補聴器というのもありません。

さらに審美感と聞こえの改善さえできていれば良い。という事もありえず、使いづらい事でストレスが爆発します。

その人ごとに「何を重視するか」は変化するのですが、うまく行っている人、あるいは、補聴器に満足されている方は、多くの場合、この3つのバランスがすごく良いです。

簡単にいえば、この3つに関して、ご自身なりに考えることが大事。ということですね。

もちろん、この点は、補聴器屋さんや補聴器に関して相談する際にこの3つの部分を重点的に相談できるとよい。ということでもあります。

これが、補聴器を使っている私自身が考える良い補聴器の定義になります。

まとめ

さて、こちらでは、珍しく補聴器を使っている私自身が考える良い補聴器の定義に関して、記載してみました。

実際にこちらの内容は、私自身が補聴器を提供する際、お客様と相談している時に重点的に意識している部分でもあります。

上記の通り、補聴器は、”聞こえの改善”というよりも”生活の改善”という視点で見ることが非常に大事です。

そもそもの補聴器の役割は、難聴の人の生活を改善させる道具ですし、聞こえの改善さえできていれば、そのほか、すべて解決!ともならないからです。

重要なのは、この3つに関して、ちゃんとご相談する事です。

どの部分を重視するのかは、人によると思いますが、この3つを外すと、使いづらかったり、抵抗があったり、役に立たなかったりと、補聴器に関して、うまく行かなくなります。

このお店の場合は、補聴器を使っている私自身が対応している事もあり、この3つに関して考えながら、ご相談しています。

なぜなら、このお店の目的(コンセプト)は、一度、耳や補聴器の事で、うまくいかなかった方の生活を改善させる事だからです。

そのためには、聞こえの改善だけを考えればうまくいく。ということはありません。

ちゃんと日々の生活の中で、難聴の方が自然に振る舞えるように、そして、使えるようにしていく事も考えていく必要があります。

その視点で考えても、聞こえの改善、使いやすさ、扱いやすさ。そして、審美感は、とても大事です。

以上、こちらの内容が何か参考になったのであれば幸いです。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
生まれつきの感音性難聴で小学2年生の頃から補聴器を使用。補聴器の仕事は、2006年からで、2024年現在、18年です。自分自身でも補聴器を使っていることを活かして、お客様に貢献できるお店を目指しています。お客様からは、補聴器を使っている当事者なので、状況や気持ちをわかってもらいやすい、と評価いただくことが多いです。
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