最近の補聴器の傾向
最近、このお店の方で扱っているメーカーの方で新しい製品が発売されたこともあり、色々と最近の補聴器のことについて考える機会がありました。
補聴器は聞こえを改善する機器ではあるものの、感音性難聴の聞こえを改善する機械とあり、かなり複雑なことをしています。
ただ、ようやく基本となる部分というのは、どのランク帯にも搭載されるようになり、後は、問題の大元となる騒がしい環境下による聞こえにくさをどれだけ緩和できるか。ここになってきているように感じます。
今回は、こちらについて、記載していきます。
感音性難聴の耳から見る補聴器
今現在の補聴器の役割は、感音性難聴の聞こえにくさを改善することです。
感音性難聴に限らず、耳の中の神経の内耳と呼ばれる部分が何らかの理由により損傷するケース、老人性難聴、突発性難聴、メニエール病などは、今現在、聴力は治療する方法がありません。
治療する方法がないので、少しでも改善するために補聴器をつけて補う。これが今現在の補聴器の役割になります。
初めに補聴器が取り組んだのは、まさに聴力に対して、音を合わせる。という行為ですね。
病気や耳の状況によって、聴力は皆さん、全然、異なりますので、その異なる聴力でも改善できるように自由自在に音を調整できるようにしました。
主にチャンネル(ch)だとか、バンドだとか言われたりするのですが、この数が多ければ多いほど、周波数別に細かく調整ができ、ここを大きくしたい、あるいは、ここを小さくしたい。ということがしやすくなります。
補聴器は今現在、一つの製品があるというより、一つの製品に何個かクラス(グレード)があり、車におけるランクのようなものがあります。
その中で良いグレードのものは、全体的に機能が高くなり、抑えめのものは、機能も抑えめになります。
しかし、聞こえの改善の根幹となるこのチャンネル、バンドと呼ばれるものは、ようやく一番下のものでも、満足いくチャンネル、数多くのチャンネルが搭載されるようになり、どのランク帯でも基本的な聞こえの改善は、変わらなくなってきました。
ここが最近の補聴器が良くなってきたところです。
聞こえを改善した後の問題をどう改善するか
では、どこが金額差が出てくるのか。というのが、聞こえを改善した後の問題になります。
聞こえを改善していくと良くも悪くも、周りの音や細かな音が聞こえるようになりますので、騒がしく感じる方もいれば、その音が聞こえることにより、聞きたい音が阻害され、聞きにくくなることがあります。
実は、感音性難聴の場合における耳の状況は、騒がしい環境下に非常に弱いです。
周波数分解能(しゅうはすうぶんかいのう)と呼ばれたりするのですが、感音性難聴の特徴の一つは、文字通り、周波数を分解する能力が低下することです。
一般の方は音を分解して、音声とノイズ(あまりにもノイズが大きい場合は無理)を区別して、音声が理解できるのですが、感音性難聴の方は、周波数分解能が弱い事でノイズと音声がくっついたままになりやすく、その結果、騒がしくなると特に聞きづらくなります。
聞きづらくなるというよりも、音が一緒になってしまったり、音がかぶさったような感覚に感じ、分けることができないので、わからない。となりやすくなります。
これは、単純に低下した聴力の部分だけ音を補えば改善できる。という問題ではなく、耳の状況から、そういった耳になってしまっていますので、補聴器側は、ノイズ抑制の機能をつけたり、騒がしい環境下でなるべく音声が邪魔されないような指向性と呼ばれる機能をつけてきました。
感音性難聴を改善するというと、足りなくなった聴力のところだけを補えば良いように感じますが、実はそうではありません。
感音性難聴は聴力低下のほか、実に様々なことを引き起こしますので、その部分に関しても、文字通り、補ってあげる必要があります。
まとめ
さて、こちらでは、最近の補聴器に関して、まとめてみました。
聴力が低下した部分を補うことに関しては、どのランク帯の補聴器でもできるようになってきましたので、今後は、どちらかというと抑制機能の方にフォーカスされてくるかと思います。
高い補聴器、金額が高いものは、以前からそうなってきているのですが、ようやく下のライン。言い方を変えれば、どのランク帯でも、聞こえの改善という基本部分はできるようになってきた。と言い換えることもできます。
ここの部分がより強力になり、さらに聞きやすくなればそれはすごく良いことです。
もちろん、抑制機能には、単純に音を抑えることで快適に過ごしやすくする。という意味もありますので、そちらに関しても、同様です。
以上、最近の補聴器でした。