耳あな形補聴器は、左右兼用にできる?
今現在、マスクを使うことが常時当たり前になってきていますので、耳かけ形補聴器よりも、耳あな形の補聴器をお考えの方も多くいます。
その中で、お客様から一つ、質問をいただいたのですが、その内容は、耳あな形補聴器は、左右兼用にできるかどうか。になります。
この質問の意図は、左右兼用にできれば、故障した際に、右側が故障したら、右側の予備として使う、あるいは、左側が故障したら、左側の予備として使える。というものでした。
それ以外にもしかしたら、人によっては、左側に使いたい時と右側に使いたい時で分けられるケースもあるかも知れません(あまりないとは思いますが)
こちらに関する返答は、残念ながらできない。になります。
以下には、その理由に関して、記載していきます。
耳あな形補聴器はどのように製作している?
どのような補聴器も難聴の方の生活を改善する、あるいは、このような形で作れれば難聴の方の生活を支えることに繋がるだろうと考えながら、作っていたりします。
耳あな形補聴器において大事になる要素は、ハウリングと保持の2つになります。
この2つをするために耳の形を採取して、型を参考にその方の耳の形に合ったものを作ります。※聞こえの改善という観点は除きます。
保持というのは、実際に耳の穴の中だけで、補聴器を固定する必要がありますので、あまり適当に作ると、耳から外れてしまったり、あるいは、何かの拍子に耳から抜けやすくなってしまい、それによって紛失したり、地面に叩きつけられてしまい、中の部品が破損するということが起こりやすくなります。
そういったことがなるべく起こらないようにするために耳の形を採取して、耳からなるべく抜け落ちないようにしています。
これが一つですね。
もう一つは、少しイメージしづらいのですが、補聴器で聞こえを改善する際に注意しなければいけない点で、それは、ハウリングという現象が起こることです。
補聴器は周囲の音を拾って、その音を増幅し、そして、耳の聞こえの改善に貢献できるようにしているのですが、拾った音を補聴器からだし、さらに補聴器から出した音をまた補聴器が拾う……ということを繰り返すと、ピーッと音がします。
これがハウリングになります。
ハウリングがしてしまうと、非常に鬱陶しい音になりますので、正常に補聴器を使うことができなくなってしまいます。
このハウリングがしないようにするには、補聴器から出た音を補聴器が拾わないようにすることです。簡単に言いますと、耳を塞いで、補聴器から出た音がちゃんと鼓膜と言いますか、耳の中に伝わるようにしてあげることですね。
それをするためにも、耳の形を採取して、耳の型に合わせて補聴器を作る必要があります。
もしかしたら、ここまで読んでいただいた方の中には、「イヤホンとかは、左右兼用のものがありますよね」と感じている方もいるかもしれません。
これは、すごく良い観点で、イヤホンは、音を出す部品で、外から音を拾っているわけではなく、例えば音楽であれば、iTunesからの音を再生したり、Spotifyから音を聞いたり、人によっては、Youtubeの動画とかで音を聞いたりします。
ハウリングについては、外の音を拾い、その音をスピーカーから出し、さらにスピーカーから音が出たものをマイクが拾う、ということによって起こることですので、実は、イヤホンについては、ハウリングは発生しません。
ですので、人によっては少し使いづらいかもしれませんが、左右兼用のものがあったりします。それがご自身の耳に合うかどうかは、別としてですね。
聞かせるものやどのようにすれば、使う方にとって使いやすいものになるのかは、用途によってつ違う。というのは、面白いことですね。
補聴器の場合は、外の音を拾って、その音を増幅するため、このように耳の型を採取して、その方に合わせた補聴器を作るようにしています。
これは単純にしっかりしたものを作ろう!という意識のもと行われているのではなく、そのようにする必要性があったためになります。
まとめ
お客様から一つ質問がありましたので、その点に関して、返答してみました。
補聴器に関しては、補聴器を使う方がどのようにしたら使いやすい状態にできるのか。言い方を変えると、使う方にとって、良いものになるのか。それを考えて作られています。
しっかりとしたものを作ろう。とか、根性とか気合いで、ああいった形になっているのではなく、あのような作りになっているのは、きちんとそれなりの理由があるということですね。
もちろん、左右兼用のものがあっても良いと思いますし、実際に補聴器を使っている方からすると、ご自身の手元に代替の補聴器があるというのは、とても安心できることでもあります。
ただ、今現在の状況からするとちょっと難しいので、その点は、申し訳ありません。
以上、補聴器のことに関して、記載してみました。