補聴器の形によって何が変わるの?
こちらでは、補聴器の形に関する全体像について記載していきます。
今現在、補聴器を選ぶ要素には、補聴器の形と補聴器の性能の2つがあります。補聴器のカタログを見ると、たいてい補聴器の形があり、そして、補聴器の性能、グレードといったものがいくつか載っていることが多いです。
今回は、この補聴器の形の部分にフォーカスして記載していくのですが、補聴器の形で変わってくるのは、扱いやすさになります。補聴器の形がいくつかある理由は、この形状が一番性能がいい、というものではなく、形状によって扱いやすさが異なるためです。
ですので、補聴器の形を選ぶ際に大事になってくるのは、ご自身が扱いやすいと感じるもの、あるいは、この形だったら、使いやすいんじゃないか、自分の要望に合うんじゃないか、と感じるものを選ぶことです。
補聴器の形
まず、補聴器の形に関して、全体像を記載していきたいのですが、今現在、補聴器には、主に耳かけ形補聴器と耳あな形補聴器の2つがあります。
耳かけ形補聴器には、耳かけ形補聴器の中にいくつか種類があり、耳あな形補聴器には、耳あな形補聴器の中にいくつか種類があります。
このようにいくつか種類があるのは、
- 形ごとに扱いやすさが異なるから
- 形ごとに補える聴力が異なるから
の2つの理由により、耳かけ形補聴器の中にもいくつか種類があり、耳あな形補聴器の中にもいくつか種類があります。
右の方に目を向けていただくと、適応聴力というものがあります。これは、その言葉の通り、その聴力であれば、この形で補えますよ。というものになります。
補聴器には、軽度〜中等度難聴まで補える補聴器もあれば、高度難聴用の補聴器、重度難聴用の補聴器があります。これらは、単純に出る音の強さが異なるのですが、難聴のレベルが高くなると高くなるほど、より高出力の補聴器が必要になります。
ですので、どのぐらいの聴力であれば補えるのか、この形で補えるのかが分かれている状態になります。
耳かけ形補聴器には、だいたい上記のように分かれているのですが、RIC補聴器という小型のものは、だいたい軽度難聴〜高度難聴、中央のBTE補聴器も、軽度〜高度難聴、で、パワータイプの補聴器は、高度難聴〜重度難聴と分かれています。
音を大きく出す必要がある聴力の場合は、補聴器の形も大きくなりやすく、そのため、耳かけ形補聴器の中にもいくつか種類が分かれています。
耳あな形補聴器も同様で、CIC補聴器という小型の補聴器は、軽度〜中等度難聴、中央のカナル型の補聴器は、軽度〜やや高度難聴、フルシェル型の補聴器は、中等度難聴〜やや重度難聴まで補うことができます。
こちらも音を強く出す必要がある補聴器ほど形状が大きくなりますので、聴力ごとに形のサイズが変化します。
基本的には、耳かけ形、耳あな形の扱いやすさが異なるのですが、それにプラス、使う方の聴力によって、使う形は変わります。といっても、これでも昔に比べたらだいぶ自由に形については、選べるようになってきました。
形によって扱いやすさが変わること
では、ある程度、補聴器の形についてわかってきたら、次は、扱いやすさがそれぞれの形でどう変わるのか、その点について、まとめていきます。
全体的に出すとこのような感じですね。こちらは、耳かけ形補聴器、耳あな形補聴器の違いになります。
ここでいう耳かけ形とは、先ほど出てきたRICだとか、標準BTEだとかも全てはいったものになります。耳かけ形補聴器には、耳かけ形補聴器の利点と欠点があり、その利点、欠点は、上記に記載したもの全てに影響します。これは、耳あな形補聴器も同様です。
まず、感じるのは、聞こえの改善度は、耳かけ形補聴器と耳あな形補聴器は、違うのか。になります。この点については、基本、中の機能にほとんど違いはありません。ですので、一応、違いはない、というように表現しています。
ただ、耳あな形補聴器は、耳のあなの中に補聴器を作る、という非常に限られたスペースでものを作らないといけないため、実際には、耳かけ形補聴器より、音の出力や聞こえの改善度で、少し劣ることがあります。
ですので、実際には、ここは、機能(性能)を取るか、目立ちにくさや使いやすさを取るか、の2択になることが多いです。
次は、邪魔になるか、ならないかです。
ここはわかりやすい部分になるのですが、耳かけ形補聴器は、耳の上にかけて使うものになりますので、そこに重なるもの、例えば、マスクやメガネ、帽子、ヘルメット、そういったものを使う頻度が高い方は、邪魔に感じやすい傾向があります。
一方、耳あな形補聴器は、耳の穴の中に入れられますので、ものの邪魔になることはありません。先ほどあげたものもそのままスムーズに使うことができます。
また、電話に関しても固定電話などを使う場合ですが、そのまま耳に当てて使うことができますので、耳あな形の方がしやすいものですね。
このような違いがあります。
最後が装用感覚ですね。これは、何をいっているのかわからない方も多いかと思いますが、補聴器は耳の中にものを入れるため、自分の声が内側で大きく響いた感覚を感じやすくなります。
この不快な感覚というのはないに越したことはないのですが、耳かけ形補聴器は、比較的、少なくしやすく、耳あな形補聴器は、耳をほぼ密閉せざるを得ないので、この感覚を感じやすくなります。
人によっては、自分の声の不快感は、だいぶ強く出ることがありますので、そういった部分を減らしたい場合は、耳かけ形補聴器が良いです。耳あな形と比較するとだいぶ楽になります。
実際に決める場合の注意点
さて、実際に補聴器の形の部分について記載させていただきましたが、恐らく、ここまで見ると、どっちが良いのか、と逆に悩んでいる方も出てくるのではないかと思います。
というのもそもそも耳かけ形補聴器、耳あな形補聴器で、2つの種類があるのは、どちらの方が性能が上だとか、逆にどちらの方が劣るとか、そういった上下の違いではなく、それぞれに合う方、合わない方がいるから、2つの種類があります。
仮に性能が上か下か、であれば、性能が上のものを選べばいいので、悩む必要はありません。悩むというのは、どちらにも良い点、欠点があるから、どちらにしようか悩む、もっというと、だからこそ、2つの種類がこれまで残ってきたことになります。
では、どのようにしたら良いか、と言いますと、実際に使ってみることです。もし、耳あな形補聴器が良さそうだ、と感じたら、実際に使ってみて、欠点となる装用感覚はどうなのか、自分の声が大きすぎて使いづらい、などはないか、と確認することです。
これは、耳かけ形補聴器も同様です。実際に使ってみて、耳かけ形補聴器は、マスクやメガネの邪魔になる、と聞いていたけれども実際に邪魔になるのか、使いづらいところがあるのか、そういったところを一つ一つ、試聴や貸出などを通じて、経験してみることです。
実際に経験してみると、思ったほどではなかったな、と感じるか、これは思った以上にキツイな、と感じるのか、それはその人ごとに異なりますが、このように経験を通じて、理解できると、間違いは少なくできます。
こういったものは、頭で考えて結論が出るものではありませんの実際に経験を通じて、判断できると良いです。
まとめ
さて、補聴器の形状について記載してみました。こちらに関しては、全体像に関して、記載してみましたので、少し長くなってしまいましたが、補聴器の形に関しては、このようになります。
補聴器の形に関しては、今現在、扱いやすさに違いがあります。ですので、ご自身が扱いやすい方を選んでいただく、それが大事です。
実際には、最近、徐々に耳かけ形補聴器の方が性能がよくなりつつあるので、なんとも返答に困る部分はあったりするのですが、今のところは、こんな感じですね。
ということで、補聴器の形、に関することでした。