低い音が聞こえにくい難聴を補聴器で改善する
こちらでは、低い音が聞こえづらい難聴を補聴器で改善する内容について、記載していきます。
低い音が聞こえづらくなっている聴力とは、このような聞こえの方を示します。こちらは、低音障害と言われることが多いのですが、まさに低い音が聞こえづらく、高い音になるにつれ、音が聞こえやすくなる聴力になります。
初めにお伝えさせていただくと、今現在、このような聞こえの方は、補聴器で改善するケースの中では、最も改善しづらいタイプの一つです。補聴器には、まだまだ改善に課題が残る3大聴力があり、その一つが、低い音が聞こえづらい難聴になります。
ですので、こちらでは、今現在できること、ということで、聞こえの改善の要所について、まとめていきます。
補聴器で相談していく要素、決めていく要素には、
- 耳の補い方
- 補聴器の形状
- 補聴器の性能
- 補聴器の調整
の4つがあり、耳の補い方と補聴器の性能は、他の聴力と変わりがありませんので、別途でまとめています。こちらでは、聴力ごとに異なる補聴器の形状、補聴器の調整の2つを中心に記載していきます。
補聴器の形状
補聴器を選ぶ要素には、補聴器の形状と補聴器の性能の2つがあります。補聴器を買う場合、主にこの2つに関しては、最低でも決めていく必要があります。
で、補聴器の形状に関しては、基本、扱いやすさが変化します。こちらに関しては、補聴器の形によって何が変わるの?にまとめています。
実はそれ以外に、各難聴において聞こえを補いやすい補聴器というのが存在します。
低い音が聞こえづらい難聴の方の場合、結論から書いてしまうと、
- 耳かけ形補聴器ならRIC補聴器
- 耳あな形補聴器ならCIC補聴器
になります。
まず、このような聞こえの方の改善の基本方針は、低下している低い音の聞こえを良くしつつ、聞こえている高い音の部分は、そのまま聞こえるようにすることです。
補聴器の役割は、まさに低下している聴力の部分を補うことで、より聞こえを改善することです。ただ、低い音が聞こえづらい場合、補聴器をつけることの一つの欠点は、補聴器の形状によっては、聞こえている高い音の部分が元の聞こえより聞こえづらくなってしまうことです。
実は、耳を塞ぐと、この聞こえている高い音の部分は、下がりやすくなります。ですので、低音障害と呼ばれる症状の方の中には、補聴器をつける方が聞こえづらくなるケースがあります。それは、補聴器をつけることで、逆に聞きづらくなるからです。
今現在の数値としては、改善度としては、30dBぐらいが限度で、これよりも高い音の部分の聞こえが良い方は、そこまで下がりやすくなってしまいますので、逆に聞きづらくなるという現象が起こります。
ですので、補聴器で改善していく場合の考え方というのは、低い音の聞こえをよくしつつ、高い音の聞こえは、なるべく下げない。が基本的な考えになります。
では、それがしやすい補聴器は何か、というと、先ほどの、
- 耳かけ形補聴器ならRIC補聴器
- 耳あな形補聴器ならCIC補聴器
になります。耳を塞ぐ量が大きいものほど、高い音の部分の減衰が大きくなりますので、それが低いもの、なるべく低くなるものが良いのですが、それがこの2つになります。
あとは、耳かけ形にするか、耳あな形にするか、なのですが、こちらは、扱いやすさの違いになります。耳かけ形補聴器は、耳の上にかけますので、メガネやマスクなどのものの邪魔に感じることがあります。
ですので、耳の中に入れる耳あな形補聴器というのがあるのですが、こちらは、どちらの方がご自身が扱いやすいか、で決めていけると良いです。
補聴器の調整
さて、次は補聴器の調整です。補聴器の調整というと非常にわかりづらいかと思いますが、簡単に言えば、低下した聴力のところに音を入れ、聞こえを改善していく作業そのものです。
ですので、ここでの改善度がそのまま補聴器の聞こえの改善度に直結します。高い補聴器を買えば改善できる、とお考えの方がたまにいらっしゃるのですが、その考えは、誤りではないものの、実際の改善度に関しては、この補聴器の調整でどこまで改善するかにかかっています。
ここは表現が難しいのですが、無理やりわかりやすくお伝えしますと、今現在、補聴器を使った時の聞こえの改善度を調べる音場閾値測定というものがあります。こちらは、補聴器版聴力検査のようなもので、簡易的にではありますが、補聴器を使った時の聞こえの改善度を表してくれます。
で、それで表現してみますと、主に改善できると良い数値というのは、このぐらいになります。
この数値は、正常の方の範囲が0〜25dB、一般の人の聞こえが、0〜10dBですので、そこに近づくようなイメージになります。
ポイントをいくつか記載していきますと、音声が影響しやすい部分は、500〜2000Hzになりますので、この部分は、できれば目標値あたりまで改善できると良いです。ここは、それができるようになると、それだけ聞きやすくなります。
そして、低い音が聞こえづらい方の場合おいて大事になってくるのは、この部分ですね。高い音に関しては、できるだけ、聞こえている部分より、下がらないようにしていくことが大切です。
ここの部分の減少度が大きいと大きいほど、補聴器がある状態より、補聴器がない状態の方が聞きやすくなります(つまり補聴器がない方が聞きやすい)。ですので、ここは、できる限り、補聴器をつけない状態より、下がらないようにしていくことが大切になります。
そして、低下量が多い低い音の部分ですね。ここも目標値まで改善できると良いです。ただ、最近の補聴器は、250Hzはあまり改善しないようになってきており、500Hzを主に改善できるようになってくるとまた聞こえやすさも変わってくるようになります。
突き詰めると、全体的に聞こえやすくする。というようになるのですが、低い音の聞こえの方を改善していく場合に意識していくと良いのは、この辺りになります。
ご利用になったお客様の声
原因不明の感音性難聴の方
- 改善:RIC補聴器
- 機器:耳かけ形補聴器
- 備考:両耳装用にて改善
難病による聴力低下(感音性難聴)の方
- 改善:RIC補聴器
- 機器:耳かけ形補聴器
- 備考:両耳装用にて改善
原因不明の感音性難聴の方
- 改善:RIC補聴器
- 機器:耳かけ形補聴器
- 備考:両耳装用にて改善
この他のお客様の声(総合)
まとめ
さて、こちらでは、低い音が聞こえづらくなっている難聴の方、通称、低音障害の方を補聴器で改善するための内容について、まとめてみました。
冒頭にも記載させていただいた通り、今現在、低音障害の方の聞こえの改善は、まだまだ補聴器では難しい部分が多くあります。補聴器での改善ととことん相性が悪いのが、この難聴の特徴で、私自身もまだまだ満足に改善できているのか、というと少し不安を感じる部分もあります。
ただ、今現在、改善できる部分があるのも事実ですので、今現在、わかっていることについてまとめてみました。ポイントは、いかに低下している部分を補いつつ、聞こえている部分を残すか、になるのですが、そこがよりできるようになってくればより聞こえの改善度は上がるようになります。
ということで、低い音が聞こえづらい方における補聴器での改善でした。