補聴器販売者技能向上研修に参加してみた
先日(12月4日)、一般社団法人日本補聴器販売店協会が主催した補聴器販売者技能講習研修に参加してみました。約400人ほどの人が来たようで、多くの補聴器販売に携わる方々が参加。補聴器の適切な販売を目指し、基礎的な内容の講習会でした。
参加した手前、こちらに関して簡単にまとめていきます。なお、参加して感じたことの詳細や疑問に感じたこと。自分の考えは、後日に記載していきます。まずは、概要をまとめていきます。
講習会の内容
講習会の様子は、こんな感じでした。
多くの人が参加し、内容を受講。
受講内容に関して、簡単にまとめると
- 行なった事:補聴器のフィッティング、販売者としての倫理、高齢者の難聴、補聴器装用、認定補聴器技能者制度について
- 目的:適切な補聴器販売を通じ、難聴者のQOLを上げつつ、業界そのものもよくしていく事
- 背景:年々、消費者センターに補聴器のクレームが増えている
となります。
背景
まず、このような講習を開いたのは、年々、国民消費者センターに補聴器に関するクレームが増えていることから。それにより、販売店の知識、技能やサービス体制が十分でないとの問題点も指摘されるようになり、業界そのものの洗浄を行うため。
また、ここは、私が感じたことですが、クレームの質がかなり低いため(講師は「そりゃそうだよな・・・。と嘆いていました。これに関しては、私も同感)、早めに対策を打つことで、業界そのものをよりクリーンにしていくことも考えていると思われる。
なお、国民生活センターにいくクレームの内容としては、
- 認知症気味の高齢者が補聴器を購入したが聞こえないので返品に行ったら、より高額なものを勧められた
- 高齢者が補聴器の店に一人で出向いて勧められるまま両耳分を契約したが、高額なため片耳分への変更を申し出たものの注文品なのでキャンセル不可といわれた。
- 同行者がいない間に補聴器を契約。使用すると頭痛がし、高額なため解約したい
- 試聴した補聴器は聞こえたが購入したものは何度調整しても聞こえない
- メガネ店で高額な補聴器を購入したが、その後病院で「補聴器は使用しない方がいい」と診断された
- 補聴器の説明や調整などアフターケアを約束したのに自宅に来てくれない
などが多いとの事。
目的
どの内容も事前に耳のことや補聴器のことを説明すればクレームにならないものなため、それらの改善を行うことにより、難聴者、業界、両者にとってよき世界を目指していく。
その方法として、講習会を開き、適切な販売に必要なものを研修会にて学べるように。
行なったこと
講習内容について、主に、
- 補聴器のフィッティング
- 販売者としての倫理
- 高齢者の難聴、補聴器装用
- 認定補聴器技能者制度
の4つ。
補聴器のフィッティング
補聴器の構造、機能からフィッティングに関わる一般的な内容を網羅。中には、聞こえの測定、明瞭度の測定は、もちろん。補聴器の効果測定にまで及び、講習。
販売者としての倫理
業界そのものに存在する倫理と法律、その2つを紹介し、補聴器を提供するものとして、どうあるべきか。それを説いたものになる。
内容としては、
※補聴器販売の手引きP4より引用
こんな感じです。
内容としては、いくつかありますが、重要なのは、補聴器適正販売ガイドラインを守り、販売していくこと。簡単に言えば「コンプライアンスを守りましょうね」という内容。
業界としては「豊富で幅広い知識と、長い実務経験から培った確かな技能を有し、難聴者のQOL向上に寄与する補聴器適合のスペシャリスト」(認定補聴器技能者のことね)を増やしていくことを目標にしているとの事。
高齢者の難聴、補聴器装用
こちらの内容は、高齢者の難聴に関わらず、耳の病理、生理に関してもお話。全体的に耳の構造と難聴に関しての内容。
難聴の基本、耳の基本といえばわかりやすいかもしれません。
認定補聴器技能者の制度
業界としては、お客様の要望を伺い、耳の状態をみて、適切に補聴器を販売できる人を多くする事(ニュアンス的には、確かこんな内容だったはず)。これを目的とし、認定補聴器技能者を増やしていくとの内容。
業界をよくして補聴器そのものの流通もよくしていきましょう。とのお話でした。
ここはあまり資料が残っていないので、うろ覚え。自信ありません(笑)
私の感想
私の感想としては、いいとこもあれば、悪いところもあった。と普通の感想。
まず、耳の病理に関して伺えたのは、良かった。中には、鼓膜穿孔の状態により、真珠腫性中耳炎に繋がるケースもあるとのことで、それは、ちゃんと覚えておこう。あまりないかもしれないが、伝えられるようになれば、お客さんにとっても良いだろう。(伝え方は、気をつけなければならないが)
また、進行性の難聴の種類に関しても同様。自分の耳のことがわかる方は、以外に少ない。進行性の難聴の場合、予備利得も通常より、多くとる必要もある。そこがわかれば補聴器選定は変わるし、より難聴の方に適したものを提供できるだろう。予後のことも考えてという意味ですが。
なお、紹介されていたのは、遺伝性の難聴と騒音性難聴の2つ。この2つは、進行性の難聴であることがあるらしい。要注意ですね。
自分として良かったのは、これくらい。
で、問題は悪いところ。まず、全体的にかなり淡白な印象を受けた。基礎だからかもしれないが、ほとんど知っていることだったし(それはそれで復習にもなったが、むしろ知らないとまずいともいえますね・・・)、書籍を見ればわかることが大半。
個人的には「日本補聴器販売店として、補聴器の効果に関しては、どのような見解なのか」そして「補聴器の効果で目指すべきところ、測定を通じて、どこまで改善させるべきか」を聞きたかったが、説明としては「日本補聴器技能者協会のページをみてください」の一言のみで終了。ここが補聴器の効果のキモ、そして、難聴者のQOL向上のキモになるはずなのだが・・・。
ちなみにそれは、このページのことです。リンク:販売店における補聴効果確認法
質問タイムも設けられていなかったため、質問もできず、発表者は、早々と控え室に入ってしまっていたため、聞くこともできず。で、終了・・・。
なんと言いますか、業界そのものをよくすることには、全面的に賛成なのですが、その割に言っている内容で、詰めなきゃいけない部分を詰めきれていない気がします。補聴器で目指す効果などは、その典型ですね。
いいところもあったけれども悪いところもあった。まぁ普通の感想ですが、私が感じたのは、こんな感じでした。
後日、ちょっとずつ講演会を通じて、感じた疑問点なども載せていきますかね。