【改善実例】軽度の低音性難聴の方、補聴器で改善
低い音が聞きづらい事で、主に職場で聞きづらさを感じていた方より、ご相談をいただき、聞きにくさの改善を行いました。
補聴器を装用し、改善した結果
- 今までより聞きやすくなり、お話やわかることが増えた
- 聞きやすくなる事で、心の負担も減った
との事でした。
お悩みの部分を少しでも減らすことができ、こちらとしては、何よりです。
では、どのようにして改善していったのでしょうか。こちらに関して、記載していきます。
※実際に改善したのは、これを書いている日時(2019年2月)より、1年半くらい前になります。珍しい症例ですので、書いてみる事にしました。
お客様の状況
まず、お客様の状況ですが、
- お名前:M・Kさん
- 性別:女性
- 年齢:40代
- 聴力:軽度難聴
- 症状:低音性難聴(感音性難聴)
- 備考:数年前に聞きにくくなり受診するものの治療はできず
になります。
聴力については、
こちらの通りです。低い音が聞きにくくなっている珍しい聴力型で、ものすごく聞きづらい。という訳ではなく、軽度の難聴となります。
軽度とはいえ、特定の人の声が聞きにくかったり、騒がしい場所、そして、複数の人との会話、さらに、距離が離れたりすると、聞きにくくなる傾向があります。
耳の聞きにくさのレベルだけで見た場合は、軽度かもしれませんが、それによって引き起こされることは、軽度とは、限りません。
現状としては、職場で聞きにくさを感じていたり、会議の際や呼びかけ、様々なところで、聞きにくい傾向を感じている状況でした。
それらのことから、聞きにくさの改善に関して、ご相談いただくことになります。
聞こえの改善案
さて、聞こえの改善案について記載していきます。
低音が聞きにくくなっている方の形状選定
低音が聞きにくくなっている方ですが、そのような方を改善しやすいのは、耳にかけて使用する耳かけ形補聴器になります。
まず、低い音が聞こえにくくなっている方で、第一に考えなければならないのは、聞こえている高音の部分をなるべく下がらないようにすることです。
補聴器は、高音を補うのが少々苦手で、かつ、耳を塞ぐことで、下がる傾向があります。
補聴器には、耳かけ形補聴器の他に耳あな形補聴器というものがあります。特にこちらだと、高域が下がりやすい傾向があり(特に2000Hz〜4000Hzが下がりやすいです)、元の聞こえている数値よりも、下がってしまうことがあります。
そのため、基本的に改善させていく場合、耳かけ形タイプで改善していくのが、セオリーになります。
低音が聞きにくくなっている方の補聴器の調整
補聴器には、今現在、ある程度、改善できると良い数値。というのがあります。
M・Kさんの場合は、概ね、上記のような部分まで、改善できるとそれなりに良い状態になります。
ポイントになるのは、高い音、2000Hz、3000Hz、4000Hzが、補聴器なしの状態より、下がらないようにする事。
そして、比較的、音声に関与しやすい500〜2000Hzは、目標となる改善値まで、改善できると、聞きにくさの改善は、しやすくなります。
補聴器には、ある程度、改善できると良い数値がありますので、その部分を意識できると、現在の聞こえと目標、それが、どう違うのか。目標の部分まで改善できているのか。それとも、もう少し改善した方が良いのか。それらの部分も判断できるようになります。
目標の部分がある事、そして、それを確認する方法がある事。これらを理解しておけると、改善は、しやすくなります。
実際に行った事
初回
まず初めは、お越しいただき、現状について、確認しました。
当時、M・Kさんから聞いたのは、補聴器に関しては、少し迷っており、お話を聞きに来た状況でした。
確かに聞きにくさは、感じており、ただ、補聴器も高額な事もあり、あった方が本当に良いのか、それとも、なくてもあまり変わらないのか。その点に関して、迷われていたようです。
補聴器に関しては、そんなによい噂がなかった事、そして、ご自身の状況が軽度の難聴であった事。その2つもあり、実際のところは、どうなのか。その点に関して、伺いに来られました。
その点に関してですが、軽度の難聴の方の場合、正直なことを言いますと、聴力。というよりも、環境によって、聞こえやすさが変化することが多く、家の中や人とあまり会う機会がない方ですと、そう困ることはありません。
しかし、仕事をしていたり、人と会う環境、会議などの場所では、困ることが増え、補聴器について、考える方が多くなります。
さらに、ここは、私自身が感じていることですが、軽度の難聴で、かつ、低音性の難聴とあり、正直、どのくらい聞こえの改善が見込めるのか、わからない部分がありました。
低音性の難聴の場合、高い音が聞こえていることで、数値以上に聞こえている事も多く、補聴器をつける事で、本当に聞きやすくなるのか。差が出るのか。その点を推測することができませんでした。
そのため、希望であれば、一旦、補聴器の調整をさせてもらい、どのくらい聞こえるものなのか。試せる旨、お伝えし、試聴することになります。
初めに行なったのは、こちらのタイプです。少し形状が大きいのですが、色々な操作ができ、できるだけ、ご自身でも音の操作をできるようにして、聞こえに関して、試せるようにしました。
初めの状態は、このような状況です。なるべく補えるようにした上で、どのくらい差が出てくるものなのか。確認していくことになります。
幾日か、試していただくと、明らかに補聴器があることで、聞きやすくなり、かつ、あった方が、仕事に関してしやすくなる。聞こえやすくなることで、安心できる。という事でした。
その事から、補聴器に関して、考えていくことになります。
補聴器の形状選定
さて、補聴器の選定ですが、補聴器には、
これらの種類があります。耳にかける耳かけ形補聴器、耳の中に入れる耳あな形補聴器。この2つです。
しかし、改善案で記載した通り、低音が聞きにくい方は、耳あな形を使うと、より聞きにくくなることが多いため、基本的には、耳かけ形補聴器で改善していくことが、大半です。
耳かけ形補聴器の場合、この2つの補聴器が候補になります。
小さい形状のRIC(リック)補聴器。少し形状は、大きいもののなんでもできる標準耳かけ形タイプの2つです。
結論から記載しますと、M・Kさんは、RIC(リック)補聴器になりました。
こちらのタイプは、少し形状が大きく、もう少し使いやすい小型タイプが良い。との判断からです。
実際には、この補聴器でも貸出を行い、どんな感じの補聴器なのか、問題なく使えるのか。ということを確認した後に、この形状に決定となります。
最終調整と聞こえの状態
さて、形状の選定と同時に、実際には、聞こえの改善も行なっていきます。
貸出した状況は、このような状態でした。
そこから、こちらのタイプに変更し、
初めは、このような状態に。
ただ、RIC補聴器のタイプは、少し聞きづらい傾向を感じており、その分をよりよくし、さらに目標まで改善しやすくすることも含め
このようなものを作り、よりよくしていくことになります。
最終的には、ここまで改善できました。改善目標となる部分にかなり近いところまで改善する事ができました。
幸いにも、このくらいの音量でも使用でき、聞こえの改善に関しては、それなりに改善するようになりました。
なお、補聴器を装用した状態での調べる測定もあるのですが、その結果は、こちらの通りです。
元々がそれなりに良いので、そこまで数値的には、上がらなかったのですが、それなりによくすることは、できました。
お客様の声
こちらでは、実際にご来店いただいたお客様の声に関して、載せていきます。
ご相談前は、どのような事でお悩みでしたか
実際に補聴器をお使いになってみて、いかがでしょうか
このお店でご相談(購入)になったのは、なぜでしょうか?
実際のアンケート
アンケートのご協力、誠にありがとうございます。
改善のポイント
実際に私自身が改善をして、感じたポイントは、
- 下がらないようにすべきところは、下げず、改善値を上げられた事
- M・Kさんが望む補聴器の形状を提供できた事(補助できた事)
の2つです。
下がらないようにすべきところは、下げず、改善値を上げられた事
こちらは、補聴器を調整する際、低音障害の方の特徴である高音域を聞こえる状態にしつつ、改善できると良い改善目標値まで、補聴器で改善できた事です。
補聴器を装用した状態での測定で、言葉の測定では、そこまで、差は出なかったのですが、実際には、補聴器がある事で、聞きやすさは、上がっており、補聴器がある状態とない状態では、大きく変化するようでした。
そのような状態まで、持ってこれた事が改善の要素としては、一番大きい部分になります。
M・Kさんの望む補聴器の形状を提供できた事(補助できた事)
M・Kさんの場合、補聴器の形状は、RIC補聴器にしました。
実際には、こちらの形状にした際に、少し聞きにくくなってしまったり、耳から外れやすくなってしまったりしたのですが、なるべくそのような部分をなくすように対応させていただき、よりよくできたのも、よかった部分になります。
なるべく使いやすい形状のものを使えると、長時間使用するのも、長い期間使用するのも、どちらも、良い状態で使いやすくなります。
改善まとめ
さて、M・Kさんの改善内容について、記載してみました。
実際には、これを書いている2019年2月より、1年半前の内容になりますので、少しうろ覚えの部分がありますが、なるべく当時の内容をそのまま記載してみました。
低音が聞きにくくなっている耳の方は、少なく、さらに改善が難しい部類に入ります。
それにプラスして、軽度の方となりますので、その一例として、みていただければと思います。
低音が聞きにくい方は、低音の部分を補うと共に、なるべく高音の部分を阻害しないようにすることが重要です。
そして、聞こえの部分は、可視化しつつ、改善できると良い部分をなるべく改善するようにしてあげられると、改善度は、高くなります。
それらのことをしても、耳が治らない。という部分は、確かに事実かもしれません。
しかし、それらの事をする事で、なるべく聞きにくさを減らすことができます。
M・Kさんも今現在は、補聴器を装用し、明らかに補聴器がある方が、聞きやすく、心の負担やあることで軽くなり、安心して、行動もしやすくなった。とも伺っています。
耳は治らなかもしれませんが、今現在の状況をよくすることはできる。それが補聴器です。
ということで、何か得る内容があったのであれば、何よりです。