補聴器の改善効果とクロス補聴器の改善効果の違い
片耳難聴の方の場合、聴力によって改善する方法、使用する補聴器の種類が変わってきてしまうのですが、基本的に
- 一般的な補聴器を装用して、聞こえを改善する
- クロス補聴器を装用して、聞こえを改善する
の2つがあります。
補聴器で改善する場合の効果とクロス補聴器で改善する場合の効果、その違いは、どのようになるのか。その点に関して、気になる方もいるかと思います。
結論から言いますと、方向感覚を改善しやすくなるか、そうでないか。それが、大きな違いになります。
以下、片方難聴の方に補聴器で聞こえにくい耳側を補った場合と、低下した耳側が補えなかったので、クロス補聴器で改善していった場合の違いを記載していきます。
補聴器を装用した効果
まず、一般的な補聴器を聞こえない耳側へ装用して、聞こえを改善した場合の効果は、こちらになります。
基本的に片耳のみ難聴の方の場合、
- 聞こえない耳側から話されるとわかりづらい
- 騒がしい中だと聞きづらい
- 複数の人とのお話の際は聞きづらい
- 音の方向感覚がわからない
これらの部分での聞きにくさや困るところがあり、それらの部分を全体的に底上げしやすくなるのが、こちらのケースの特徴です。
聞こえにくくなった耳側を直接改善することにより、元の状態に近づける。というと、わかりやすいかもしれません。
このような補い方ができるのは、基本的に聴力レベルが、全体的に60dBぐらいまでで、それ以上、低下してしまうと、補いづらさが出てしまい、全体的に効果は、下がりやすくなります。
その点に注意が必要です。
クロス補聴器の効果
一方、クロス補聴器の効果は、こちらの通りです。
クロス補聴器とは、このような機器で、簡単にいうと聞こえない耳側を補聴器で補っても効果が得られないので、聞こえる耳側で音を聞けるようにした補聴器ですね。
この機器に関しては、このような効果があります。
2つを比較を比較すると見える事
さて、本編になりますが、2つを比較していただくとわかるのは、音の方向感覚が掴みやすくなるか、ならないか。というところです。
音の方向感覚は、2つの耳で音を聞き、音がそれぞれの耳に届くまでの時差で得ています。
簡単に言いますと、2つの耳が聞こえている事で(厳密には、同じぐらいの聴力である事が条件)音の方向感覚を得られます。
この点は、一般的な補聴器を装用した場合、低下した部分を補う事により、聞こえがよくなって音の方向感覚を得やすくなる傾向があるのですが、クロス補聴器は、片方の耳しか聞こえていないため、方向感覚を得る事はできません。
音の方向感覚は地味に困りやすいものの1つで、方向感覚がないと、どこから音がするのか、あるいは、何か聞こえるけれども、どこからしているのかわからず、疲れたり、負担になる事があります。
このような困る部分も、できれば改善できた方が楽になります。
その事から今現在、片耳のみ難聴の方の場合は、一般的な補聴器で改善できるのであれば、こちらを使い、残念ながら効果が見込めないのであればクロス補聴器。というように分けています。
耳の状況によって分けているのは、なるべく困るところを改善できるようにするためでもあります。
まとめ
一般的な補聴器で改善できるところは、全体的な部分がありますが、クロス補聴器の場合は、聞こえの改善の仕様上、音の方向感覚だけは、つかめません。
その事から、基本的には、片耳に補聴器を装用して補えるのであれば、その方がよく、逆に何らか補聴器を装用しても、効果が得られない場合は、クロス補聴器。というように分かれてきます。
それぞれの効果がわかると、なぜ、聴力別に分けられているのか?もわかりやすくなるかと思いましたので、こういった点も記載させていただきました。