低い音が聞こえにくい方を補聴器で改善する【前編】〜合う補聴器の選び方〜
こちらでは、このお店が行なっている低い音が聞こえにく方の改善について、記載していきます。
こちらの内容は、前編。という事で、主に合う補聴器の選び方となります。
この内容が合う方というのは、主にこのような聴力の方です。低い音が聞こえにくくなっており、高い音になるにつれ、聞こえが良くなる方です。
補聴器で聞こえを改善していく場合、合う補聴器を選ぶ。というところと、聞こえを改善する。の2つの要素が必要となります。
今回は、合う補聴器を選ぶ。というところに焦点を合わせ、こちらについて、記載していきます。
なお、後編は、低い音が聞こえにくくなっている方の聞こえを改善する内容について、記載していきますので、興味がある方は、こちらの方も、ご覧ください。
後編:低い音が聞こえにくい方を補聴器で改善する【後編】〜聞こえの改善〜
補聴器を選ぶ。の全体像
まず、補聴器を選ぶ場合ですが、補聴器の形の部分を選ぶ。という事と補聴器の性能を選ぶ。の2つがあります。
今現在の補聴器は、いくつか形状が分かれており、そこにいくつか性能が分かれている状態になります。
選ぶ順番は、まずは、補聴器の形の方を決め、その後に性能を決める。とすると、補聴器は選びやすくなります。
ここでは、補聴器の形と補聴器の性能。この2つを選ぶ必要がある。というところだけ、覚えていただければ大丈夫です。
低い音が聞こえにくい方に向く補聴器の形状
では、補聴器の形から進んでいきましょう。
補聴器の形は、耳につけた際の扱いやすさ、そして、全体的な使いやすさが影響します。
形状の全体像とオススメの形状
まずは、形の全体像からです。
今現在、補聴器には、このような種類、形状があります。
主には、耳にかけて使用する耳かけ形補聴器。
そして、耳の穴の中に入れて使用する耳あな形補聴器。
これらのものがあります。
この中で、低い音が聞こえにくくなっている方にオススメの補聴器は、
- 耳かけ形補聴器なら、RIC補聴器(リック補聴器)
- 耳あな形補聴器なら、CIC補聴器(シーアイシー補聴器)
になります。
こちらが、RIC(リック)補聴器になり
こちらが、CIC(シーアイシー)補聴器になります。
どちらも小さいタイプの補聴器で、低い音が聞こえにくい方が補聴器を使う際に欠点となりやすい部分を軽減しやすい補聴器の形です。
低い音が聞こえにくい方で気をつけたい事
まず、低い音が聞こえにくい方の場合、注意しなければならないのは、補聴器を使用すると、聞こえの良い高い音の部分が下がりやすくなってしまう事です。
低い音が聞きにくい方の場合、このように高い音が聞こえていることが多いです。
高い音の聞こえが、25dB以上、言い方を変えると正常の範囲内(0〜25dBが正常の範囲です)にある方の場合、一般的な補聴器や耳をしっかり塞ぐものを使うと、聞こえている高い音の部分が下がりやすくなります。
影響を受けやすい2000Hz以上の周波数は、特に言葉の明瞭性(言葉の理解のしやすさ)に関わるため、なるべく下がらないようにできると良いです。
その事から、この影響度が少ないものを選べると良いのですが、それが、先ほどの耳かけ形補聴器なら、RIC補聴器、耳あな形補聴器なら、CIC補聴器になります。
これらの補聴器は、まだ先ほどの高い音の部分に関する影響度が少なく、仮に下がるとしても、少し下がる程度にまで、抑えてくれます。
耳あな形補聴器より、耳かけ形補聴器(影響度が一番少ないのは、RIC補聴器)で、改善できると良いのですが、補聴器の形状は、扱いやすさに影響するため、ここは、扱いやすさで考えていただければ大丈夫です。
低い音が聞こえにくくなっている方の場合、補聴器を使うと言葉の理解度に影響する高い音の部分が影響を受け、聞こえに影響を及ぼすことが多いです。
その事から、その部分に関しては、なるべく軽減できるものを使った方が良いです。
このお店でも、低い音が聞こえにくくなっている方には、上記のような部分に気をつけ、なるべく補聴器を使用した時の影響度を少なくし、より聞こえを改善できるように対応しています。
耳かけ形補聴器と耳あな形補聴器の違い
さて、先ほど耳かけ形補聴器なら、RIC補聴器、耳あな形補聴器なら、CIC補聴器と記載しました。
では、この2つは、どのような違いがあるのでしょうか。それに関して、簡単にまとめますと、上記の通りとなります。
耳かけ形補聴器のRIC補聴器の特徴
この形状の良いところは、耳に装用した時の不快感。自分の声の不快感が少ない事です。
補聴器を装用すると、良くも悪くも耳を塞ぐため、自分の声が大きく聞こえたり、低く響いて聞こえたりします。
この不快感の軽減は、今のところ、全補聴器の形状の中で、このRIC補聴器が一番軽減しやすくなります。
この部分を軽減しやすくなると、補聴器の使いやすさを上げやすくなります。
また、上記に記載した通り、高い音の聞こえへの影響度を一番減らしやすい。というのも大きな特徴ですね。
これが利点です。
逆に欠点は、耳にかけて使うため、マスクやメガネを使っている方は、人によっては、邪魔に感じてしまう事です。
この点は、使い方さえ理解すれば問題なく使える方もいるのですが、中には、気になる方もいます。そのような場合は、耳あな形補聴器の方が使いやすいです。
また、電話をする際は、音を拾うマイクが上にありますので、上に受話器をずらして行う必要があります。
この点は、問題なくできる方もいるのですが、電話を取る数が頻繁にある。という場合や受話器を上にずらして行うこと自体が面倒に感じたり、煩わしい場合は、耳あな形補聴器の方が使いやすくなります。
これらの事から、RIC補聴器は、補聴器を使う感覚が楽なものが良かったり、初めて補聴器を使う方にオススメの形状になります。
耳あな形補聴器のCIC補聴器の特徴
この形状の利点は、邪魔にならない事です。
耳の穴の中に入っているため、メガネだとか、マスク。こういったものの邪魔になりません。
さらに耳の中に直接入っているため、今まで通り、電話ができる。という利点もあります。
これが、主な利点になります。
逆に欠点は、耳を割と強く塞ぐため、自分の声が大きく聞こえたり、低く唸るように聞こえやすい事です。
自分の声が不快に聞こえる感覚は、強いと違和感が強くなり、補聴器の使いづらさが強くなってしまいますので、なければないに越したことはありません。
その事から、邪魔にならない補聴器が良い。電話がしやすい補聴器が良い。というケースは、このCIC補聴器の方が使いやすくなります。
補足・スマホ対応と充電形補聴器
補聴器について詳しい方だと、今現在、スマホと連動する補聴器と充電形の補聴器の事もご存知かと思います。
低い音が聞こえにくい方の場合、どちらのケースも対応することができます。
あくまでも耳かけ形の補聴器ですが、RICタイプの補聴器でスマホと連動したり、充電形の補聴器が出ていますので、こういったタイプでも、改善する事ができます。
このお店でも、スマートフォンと連動する補聴器や充電形の補聴器は扱っていますので、こういったものでの改善も行なっています。
補聴器の性能
さて、次は補聴器の性能の部分です。
補聴器の性能は、ちょっと難しいのですが、なるべく簡単にお話をしていきます。
性能の全体像
まず、補聴器の性能ですが、今現在、上記のようにいくつか分かれています。
30だとか50だとか書いてあるものがありますが、どの補聴器の形状、種類でも、だいたいこのように3つか4つぐらい分かれていたりします。
この中で、どれを選ぶのか。というところですね。
性能の違いは何?
この補聴器の性能というのは、簡単に言いますと、音を抑える機能。それが異なります。
どの補聴器にも低下した聴力を補う基本の機能は、ついており、聞こえを改善した後に気になりやすい音を抑えたり、それが聞こえる事で聞き取りを邪魔されやすい音を抑えやすくする機能があると、補聴器の金額は、上がってきます。
わかりやすくなるかわかりませんが、一つの目安は、このようになります。
静かな環境など、一般的に邪魔する音が少ない環境では、抑制する機能が少ない一番下のものでも聞き取りやすくなるのですが、騒がしい環境だとか、周囲に色々な音がしている環境下だと、邪魔する音が増え、聞き取りづらさが上がってきてしまいます。
そういった環境でも、なるべく聞き取りを阻害されないようにしたり、快適性を良くしたい場合は、上のグレードのものを選んでいただく事になります。
これが、性能の違いです。
で?どれを選べると良いの?
上記の内容を見ていただくと、補聴器の性能に関する違いについては、わかったかもしれないのですが、じゃあどれを購入したら良いのか。という点に関しては、わかりづらいかと思います。
この点に関して、返答させていただくと、ご自身が買える範囲内のものを選ぶ。で良いと思っています。
この理由については、大きく分けると
- 聞こえの改善は、性能以上に改善パートの方が影響する
- 性能間の金額差が大きい
の2つがあります。
聞こえの改善は、性能以上に改善パートの方が影響する
恐らく多くの方は、補聴器に関しても、高いものの方が良いもの。品質が良いもの。という風に考えている方が多いかと思います。
これは、あながち間違いではないのですが、実際に聞こえの改善度に影響する要素は、聞こえの改善パート(後編の内容)になり、聞こえの改善パートの内容>補聴器の性能(補聴器の金額)。になります。
補聴器の性能は、直接、お金に影響する内容ではあるのですが、じゃあ、ここにお金をかければ、聞こえの改善度が上がりやすくなるのか。というと、必ずしも、そうとは言えません。
聞こえの改善を優先する場合は、性能よりも、聞こえの改善パートで記載している内容を優先し、そちらの内容をはじめに押さえることが大事です。
その後にお金をかけられる方や、耳は大事なので、できる範囲内で良いものを使いたい。という方は、性能に関して、投資をしていただければと思います。
聞こえの改善を重視する場合、優先順位は、聞こえの改善パート>補聴器の性能(金額)になりますので、その点にご注意ください。
性能間の金額差が大きい
これは、申し訳ないところではあるのですが、実際に補聴器の性能間の金額差は、結構、大きく、両耳に補聴器を装用する場合、平気で10万、20万以上の差が出てきます。
金額差が2〜3万ぐらいであれば、どれが良いかな?と考えられるかもしれないのですが、金額差がだいぶあるため、正直、選びづらいという点もあります。
その事から、あくまでも無理のない範囲で、選んでいただければと個人的には、考えています。
補足・どのランク帯でも基本的な改善は可能
性能に関して、一つ補足させていただくと、どの補聴器の性能、ランク帯でも、基本的な聞こえの改善は、可能です。
上記の通り、補聴器の性能は、あくまでも音を抑える機能の有無、あるいは、聞こえを改善した後の快適性を上げたり、周囲が騒がしい事による聞き取りの低下、それをなるべく減らす事にあります。
ですので、低下した聴力のところに音を入れ、聞こえを改善する。という基本的な機能は、どの補聴器にも搭載されています。
高い補聴器。高性能な補聴器ではないと聞こえの改善は、できないというわけではありませんので、その点は、ご安心いただければ幸いです。
低い音が聞こえにくい方に合う補聴器のまとめ
こちらでは、低い音が聞こえにくくなっている方に合う補聴器の選び方。という事で、こちらに関して、まとめてみました。
あくまでも簡単にまとめさせていただきましたが、補聴器の形状は、高い音への影響をなるべく下げるために耳かけ形補聴器なら、RIC補聴器、耳あな形補聴器なら、CIC補聴器。この中から選べると、聞こえの改善度を下げにくくできます。
そして、補聴器の性能に関しては、金額差が大きいこともあり、正直、ご自身が買える範囲内のもので良いと考えています。
耳の状態をなるべく良くしたい。耳は大事な部分なので、できる範囲で良くしたい。とお考えの方は、聞こえの改善パートの内容を押さえた上で、性能の方を上げていただくことをオススメします。
補聴器で聞こえを改善する場合、優先順位は、聞こえの改善内容>補聴器の性能(金額)。になりますので、その点にご注意ください。
以上、低い音が聞こえにくい方に合う補聴器を選ぶ。という内容について、記載しました。
後編:低い音が聞こえにくい方を補聴器で改善する【後編】〜聞こえの改善〜