語音明瞭度測定って何?
補聴器の世界には、語音明瞭度測定という言葉の聞き取りを調べる測定があります。
耳の世界で有名な検査といえば、聴力検査になります。しかし、検査するものは、聴力検査しかないわけではありません。中には、この言葉の聞き取りを調べる測定もあります。
今回は、なかなか知られることがない、この語音明瞭度測定に関して、補聴器を使う方が知っておくと良い事をまとめていきます。
語音明瞭度測定とは
語音明瞭度測定とは、聴力検査と同じように耳にヘッドホンをつけ防音室の中で行われる測定の一つで、あ、じ、し、など一つの言葉を聞かせ、どのぐらい聞き取れたかを調べる測定です。
聴力検査は、どのぐらい音が聞こえているのかを調べるのに対し、語音明瞭度測定は、どのぐらい言葉が聞こえているのかを調べる測定になります。
音が聞こえるのと言葉が聞き取れるのは、異なるためです。
語音明瞭度測定の場合、異なる音量で音声を何度か流し、それがどのぐらい聞き取れたか。どのぐらい正解したかで、音を大きくする事で、聞き取りやすくなる耳なのか、それとも、そうでない耳なのかを見ます。
意外かもしれないのですが、この語音明瞭度測定の結果が著しく低い方の場合、補聴器を装用しても、効果を感じにくくなります。
補聴器がしていることは、極論を言ってしまえば、音を大きくして、聞きやすくすることです。しかし、検査そのものがそうなのですが、音声を大きくして聞かせたとしても、聞き取れない。正解数があまり上がらない場合、補聴器を装用しても、効果が上がりづらい傾向が出ます。
まさに音が聞こえる事と言葉が理解できることは異なる事から、このような測定があり、聴力検査は、あくまでも音がどのぐらい聞こえているのかを調べられるだけで、この部分を調べることはできません。
その事から、このような語音明瞭度測定というものがあります。
事前に補聴器の効果を予測するため。あるいは、複数の改善の選択肢がある場合、どちらかより良い方を選択し、なるべく聞こえの改善に役立てるために行うのが、この語音明瞭度測定になります。
主な語音明瞭度測定の見方
では、見方に関して、記載していきます。
基本的に横軸、縦軸があり、横軸が音量、縦軸は、正解率です。そして、◯が右で、左は、×で表示されます。
この正解率が高くなると高くなるほど、補聴器を装用した時に聞こえの改善に貢献しやすい事になり、逆に音量を上げても上がってこない場合は、補聴器を装用しても改善に繋がりにくい事を意味します。
そして、一般的な人の音声の理解度というものがあり、それが、このラインです。
基本的に一般の人は、40dB(小さい声の人の音量)で、もう100%の聞こえになります。そこから、50dB(ちょっと声の小さい方の音量)60dB(普通くらいの声の音量)とそのあとの音量は、すべて100%です。すごい聞こえですよね。
余談ですが、聴力検査の場合、25dBまでが正常の範囲内になるのですが、25dBまでで聞こえていれば、小さい人の声(40dBの音声)もほとんど問題なく聞き取れるため、25dBまでが正常の範囲内になっています。
話を戻しまして、正常の方の聞こえと比較すると、ご自身がどのぐらいの聞こえにくさが出ているのかがわかりやすくなります。まさに言葉バージョンの聴力検査のようなものです。
知っておくと良い基準
さて、次は、知っておくと良い基準です。
上記の表は、最良値がどのぐらいのパーセンテージで、そのパーセンテージごとの理解度、状況を示します。
基本的に補聴器の効果が見込めるとされる数値は、最良値が50%以上になります。
最良値というのは、右側、あるいは、左側で最も正解率が高い部分になります。そこが50%以上という事ですね。
この数値を超える場合は、補聴器を装用する事で、言葉の聞き取りに貢献しやすくなり、逆に低い場合は、そこに貢献しづらくなります。
ここに関しては、認識しておけると良いでしょう。
語音明瞭測度を良くするには?
語音明瞭度測定の結果の数値を語音明瞭度というのですが、この数値を良くする方法は、あるのか。と言われると、今現座は不明です。
まず、話の流れとしてなのですが、音が聞こえる事と言葉が理解できる事は異なります。そのため、聴力検査と言葉の理解度を調べる語音明瞭度測定が出てきました。
そして、今現在、いろいろな人が研究しているのですが、一度、低下したこの語音明瞭度は、原則、元に戻らない。改善させる方法がない。とされています。
ですので、語音明瞭度測定を行い、明瞭度を調べて、事前に補聴器の効果が期待できるのか、それともできないのかを調べているのですが、それは、こういった実情があるためです。
この明瞭度が下がりやすくなる行為は、聞こえにくくなってきても聞こえにくいまま放置するとか(聞こえを補わない)、病気により、聴神経を傷付ける、あるいは、内耳と呼ばれる部分が損傷するなど、色々とあります。
原因はいろいろになりますので、その分、改善が難しいのだと思うのですが、今現在、落ちた明瞭度を改善させる事は、ほぼ不可能とされています。
他の分野では訓練する事によって、以前と同じとまではいかないものの生活できるようになるケースもありますよね。
例えば、事故で足が動かなくなってしまったけど、訓練して、歩けるようになったとかです。ドラマとかで訓練している様子が描かれやすい事もあって、そういったイメージを持っている方もいるかもしれません。
耳に関して聞くと、正直、そのようなケースはあるのかどうかはわかりません。あくまでも今のところですが、この明瞭度は、低くなったらおしまいという状況です。
語音明瞭度と補聴器の早期装用
その事から補聴器は、この明瞭度が下がる前につけることが大事で、補聴器の早期装用をオススメする事があるのは、こういった実情があるためでもあります。
人によっては、「補聴器を売りたいからそういう風にするんだ!」という見方や意見もあるかもしれないのですが、耳の実情を知っている側からすると、明瞭度が下がると「もう手の施しようがなくなってしまうから」という事情から来ています。
基本的に補聴器は、聴力低下した耳に関して、手術したり、薬で治せない場合に使うものです。つまりこの時点で最後になります。後がない状態ですね。
その最後の砦で手の施しようがないとなると、もう何もすることができなくなってしまいます。
なので、早期装用をすすめて、少しでも良い状態にする。あるいは、良い状態をキープできるようにする。そういった役割もあります。
まとめ
さて、語音明瞭度測定に関して、補聴器を使う方が知っておくと良い事と行く事で、まとめてみました。
見方から、なぜこんな測定があるのか。そこの流れを知る事で、耳の事の理解に繋がりやすくなったんじゃないかなと思います。
語音明瞭度測定は、聴力検査では、音しか調べられない事。そして、聞こえる事と理解できる事は異なる事から、このような測定があります。
そして、一度、明瞭度が下がると原則、この数値の改善はできないとされています。色々と聴覚訓練とか言われることもあるのですが、めぼしい成果を出しているものは、今の所、私は存じてはいない状態です。
ということで、以上、語音明瞭度測定の知っておくと良いことでした。