補聴器の性能に含まれる機能って何?
補聴器の性能は、金額に大きく影響する部分であり、その性能には、いくつか種類があったりします。
では、その性能の中に含まれる機能とは、どんなものがあるのでしょうか。そして、そういった機能は、どのように使う方の聞こえについてサポートしてくれるのでしょうか。
補聴器の性能に関しては、一言で言うと、感音性難聴の方が補聴器をつける上で聞きにくくなったり、辛くなったりする部分を楽にしてくれる機能が大半になります。
こちらでは、その点に関して、まとめていきます。
補聴器の2大機能
基本的に補聴器の機能というと、
- 音の調整に関わるチャンネル(ch、バンド)
- 指向性機能
- 抑制機能
の3つに分けられます。
音の調整に関わるチャンネルというのがあるのですが、これは、低下した聴力に対し、音を入れる際、どれだけ細かく調整できるか、どれだけ周波数別に細かく分かれているかを指すものです。
ここは、だいぶ簡単で、12chと書かれていれば、周波数12等分、20chと書かれていれば、周波数20等分されるものです。メーカーによっては、ch(チャンネル)をバンドともいったりします。
昔は、下のグレードだと4ch(全体の周波数4等分)、3ch(全体の周波数3等分)とか普通にあったのですが、今現在は、一番下のグレードでさえ、12chになっていますので、ここの違いは、ほとんどなくなってきました。
昔は、低下した聴力のところを補うのも金額の差が出ていたのですが、今現在は、どのグレードでも十分なchが揃っており、基本的な機能(グレード)の違いは、指向性機能と抑制機能の2つになってきました。
指向性機能と抑制機能
今現在の代表格な機能は、指向性機能と抑制機能になります。これらの機能がある理由は、感音性難聴というのは、非常にノイズに弱いという特徴があるためです。
補聴器をつける方は、ほぼ感音性難聴の方になるのですが、どうしても感音性難聴の方は、音を分解する能力が低下してしまい(内耳が悪化するとそうなりやすいです)、うまくノイズと音声の区別、認識、聞き分けができません。
ですので補聴器側で騒がしい中だとか、聞きにくくなる環境下でサポートしたり、あとは、常日頃感じるノイズについて、抑制することにより、なるべく音声が邪魔されないように、あとは、一部の音に関して辛くならないようにサポートしています。
以下、それぞれの機能についてまとめていきます。
指向性機能
指向性機能は、主に騒がしい中で聞き取りをなるべく阻害されないようにサポートしてくれる機能です。
主に聞く音の方向性を定め、その方向からの音は入れて、それ以外の方向からの音は、音を抑える。集音能力を抑える。という考え方をします。
こんな機能があるのは、まさに感音性難聴の方は、周囲のノイズに弱く、今現在も補聴器では改善しにくい部分の一つでもあるためです。
騒がしい中だと、「であればノイズを抑えればいいのでは?」と思う方もいるのですが、騒がしい中というのは、人が多いことで騒がしいことも入ります。
人が多いことにより騒がしい場合は、いろいろなところで声がしていて騒がしい状態になりますので、ノイズを抑えても変わりがありません。
そこで、人は前を向いて話すという習性を利用して、前方の音は入れ、周囲の音だとか、ノイズだと考えられる方向からの音はなるべく入れないようにする。
そうすることで、周りの音と聞きたい人の声の部分をなるべく分けるようにして、阻害さづらくしました。
そういった経緯でできたのが、この指向性機能です。
今現在は、少し考え方や抑え方が変わってきているのですが、基本的な考えは同じで、聞く方向を定めて、抑制したり、阻害されづらくするのが主な指向性と呼ばれる機能になります。
抑制機能
抑制機能には、いくつかあり、主には、
- ノイズブロック
- 風の音を抑制する機能
- 突発的な大きな音を抑制する機能
- 反響音を抑制する機能
の4つですね。
こちらに関しては、単純に快適性を高めるためのものから、抑制することにより、聞きづらくしないためのものまで様々です。
ノイズブロック
主に騒音抑制とか、雑音抑制とか言われるものです。ノイズブロックなんて言葉はまさにそうですね。
ただ、注意しないといけないのは、「補聴器にとってノイズとは何か」になります。
例えば、そばで車が通っていて、その車の音はノイズか?と言われると、人によっては、「ノイズだ」と答える方もいますし、逆に「いやいや聞こえなくなったらそれこそ危ないでしょ」とノイズではないと答える方もいます。
補聴器の場合におけるノイズとは、定常音(ていじょうおん)のことを意味します。定常音?となってしまいますが、漢字の通り、一定で常に鳴っている音という意味です。
補聴器を使っていると背景ノイズ(暗騒音)というざわざわいうような何とも言えない音が聞こえるのですが(細かな音の集まりでそう聞こえます)、そういった一定に続く音のみを抑えます。
ですので、車の音など、外で何か音がしているものなどは、基本、抑えません。補聴器は、「それは、ノイズではないのでは?」と考えているからですね。
補聴器にとってノイズとは何か。というのは、とても深い内容なのですが、基本的な考えとして「機械で増幅する過程で発生した余計な音」を抑えるようにしてくれます。
先ほどの定常音については、実は、動画とか撮影したり、マイクで音を拾ったりすると結構、入っていたりします。そういった機械で音を拾って大きくする過程で入ってしまう余計な音を中心に抑えるということですね。
風の音を抑制する機能
補聴器をつけると補聴器によっては、風の音が大きく聞こえることがあります。
補聴器のマイクに直接、風が当たるとかなり大きい音がします。それを抑えてくれるのが、こちらですね。
こちらは、音響機器だとわりとよく起こることで、音響機器の場合、ウインドジャマーと呼ばれるもの(マイクの先端につけるもふもふなアレ)をつけて、なるべくそういった音を入れないようにするのですが、補聴器は小さいのでそんなものをつける余裕がありません。
(スマホとかでも電話中、風や息がマイクに当たったりすると結構、大きな音がしたりしますが、それと同じ原理です)
ですので、補聴器の機能の一つとして、あります。特に耳かけ形補聴器に起こりやすく、耳あな形補聴器は、耳の中に入る分、少し軽減された状態になります。
風の音はだいぶ大きかったりしますので、こういったものを入れておけると、補聴器を楽に使いやすくなります。
突発的な大きな音を抑制する機能
こちらは、突発的に大きな音がした際、瞬間的にその音だけ抑制することで、楽に使えるようにしてくれる機能です。
補聴器に限らず、音響機器は全てそうなのですが、瞬間的に大きな音がした際にだいぶ大きく音を感じます。ヒールのカンカンする音だとか、お皿のガチャガチャする音などは、気になりやすい音の代表格なのですが、こういったものを楽にしてくれるのが、この機能ですね。
一般的な耳(健聴の耳)は、音の緩衝材というか大きな音が入っても、わずかな時間でその音を緩衝してくれるのですが、内耳が悪化するとそれがしづらくなります。ですので、その機能の補聴器版ですね。
気になりやすい人は気になりやすいので、そういった方は、こういった機能があると楽になったりします。
反響音を抑える機能
部屋によっては、音が反響してしまい、何だか音が変に聞こえたり、言葉の輪郭が掴みづらくなり、聞こえてはいるけれども言葉の認識ができず「ん?」となったりします。
それをなるべく軽減してくれるのがこの機能です。そういった部分もあるのですが、個人的に使っていて感じるのは、補聴器から感じる全体的な機械的な感覚が軽減されることです。
この機械っぽさがなくなってくると肉声に近い感覚で使えるようになりますので、だいぶ自然になります。
反響してしまう音を抑えることで、聞きやすくすること、快適性を上げること、この2つをしてくれます。
ただ、今現在、高い補聴器にしか搭載されていないのがネックですね。
オマケ・値段に限らず、入っている機能
上記で記載したのは、あくまでも性能、グレードにより、入っているもの、入っていないものについて記載してみました。
こちら以外にも機能はあり、値段に限らず、入っているものもあります。こちらについていくつか紹介します。
ボリューム
補聴器は調整後、補聴器を日常生活で使っていくわけですが、その際、ご自身で補聴器の音量を調整できるようになっています。
「ちょっと聞きづらいな」と思ったら、音量を上げ、「ちょっとうるさいな」と思ったら、音量を下げる。これは、どの補聴器にも搭載されています。
ハウリングキャンセラー
補聴器には、ハウリングという現象が起こります。
これは、補聴器から出た音が耳から漏れ、その漏れた音を補聴器が拾って……ということを繰り返した結果、「ピーッ」と補聴器から鳴るものなのですが、こちらに関して、抑える機能がハウリングキャンセラーです。
このハウリングの音は、非常に鬱陶しいのですが、このハウリングキャンセラーというのは、今現在、どの補聴器にも搭載されています。
これは、補聴器に関して自然に使えるようにするための機能ですね。
Bluetooth
あくまでも一部の補聴器にはなってしまうのですが、Bluetooth機能が搭載された補聴器であれば、グレード関係なく、こちらが搭載されています。
Bluetoothで接続することで、スマホで電話したり、Zoomで会議したり、Youtubeや音楽、そういったものがかなり聞きやすくなります。
今現在は主に耳かけ形補聴器にはなるのですが、そういった補聴器であれば搭載されていることが多くなりましたね。
補聴器調整アプリ
簡易的にではありますが、補聴器を調整するアプリもあります。こちらもBluetooth機能と同様、一部の補聴器でできるようになってきています。
主にできることは、音量を変えたりするほか、中の補聴器の音の設定を変えたりとかもできます。アプリでできることも増えてきているのですが、これができる補聴器はグレード関係なくできるようになってきました。
音をご自身で調整してみたいという方は、そういった補聴器でもいいかもしれませんね。
まとめ
さて、今回、こちらでは、補聴器の性能の中に含まれる機能について記載していきました。
だいぶ長くなってしまい、申し訳ございません。これだけ、補聴器の機能というのはあります。(これでも抑えている方です)
どれも感音性難聴は、ノイズに弱いということと音響機器上、過剰に音が入りやすい、感じやすいものがあり、そういった音を抑えることで、なるべく楽に使えるようにするためにこれらの機能が出てきました。
これらは全て、感音性難聴の方の耳をサポートするための機能になります。
たまに「高い補聴器だと機能を使いきれない」というようにいう方はいますが、今現在は、全て自動でやってくれるようになりましたので、そんなことはありません。
ただ、補聴器の価格は、それなりにしますので、あくまでもご自身が買える範囲内のもので大丈夫です。
以上、補聴器の中に含まれる機能について記載してみました。